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第1章:のんびり気ままなスローライフ!!

第22話:【鑑定】さん!?

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 どうしよう‥‥‥この惨状。選べる選択肢は2つだ。

・見なかったふりをする。
・逃げる。

 うん‥‥‥どれも同じだ。本当にどうしよう‥‥‥とりあえず、スラ君を探そう。 

 俺はスラ君を探し始めた。しかし大して探すことなくすぐに見つかった。理由は俺が飲み込まれた時に俺がいた位置より後ろから一歩も動いていないからだ。
 あとオロオロしているのがかわいい。俺を探しているのかな?

「おーい、スラ君ー。俺はここだよー」

 スラ君を見つけた俺は声をかけた。どんな返事が返ってくるか楽しみだ。

「うぇーんじょらごんじゃん。うぇーんごわいなのー」

 泣いているのか‥‥‥?涙は出てないけど。返事を返しながらスラ君はこっちに向かって来た。
 泣き声(?)を上げるほど怖かったんだな。

「おーよしよし、もう怖くないよー」
「ゔぇーん、うぇーん」

 うーん、なんだろう‥‥‥この子供をあやしていると言うより、妹を慰めている感は‥‥‥。
 妹といえば、地球にいる家族はどうしているんだろう‥‥‥あんまり考えないようにしてきたけど、もう会えないとなると少し‥‥‥寂しいな。

「ぐすん、なの」

 などと考えているとスラ君が泣き止んだ。

「おーよしよし」

 さて‥‥‥スラ君には『味覚』がないから『』も無いと思うから気づかないと思うけど、この辺り一面の焦土以外の問題に向き合わないとな。

 その問題はーー俺が殺したモンスターが居た付近からが漂うというものだ。最初は無視できたけど‥‥‥流石に匂いがキツくなってきた。
 速いところ原因を駆除しないと気が狂いそうだ。臭いが原因で気が狂うとか洒落にならない。

 俺は腕で『○』を作ってからそのところに目掛けてスラ君に飛び乗ってもらった。プニプニのスライムボディが体にあたって心地よい。
 スライムボディを堪能しながら俺は香魚フレグランスフィッシュの死体があるところを目指した。

 香魚フレグランスフィッシュに近づくごとに臭いーー汚臭がキツくなっていく。スライムボディがなければ今頃はとっくに気が狂っていただろう。スライムボディ様々だな。


ーーやっとの思いで香魚フレグランスフィッシュの近くに来た。近づいた時、無意識のうちに臭いを嗅いでしまってあまりものの臭さに吐きそうになった。もう『香魚フレグランスフィッシュ』から『汚臭魚スメルフィッシュ』に改名したらどうだ?

「何十年も掃除をしなかったトイレと何かを足して2倍したような臭さだな」

 こいつ、どうしよう。も残らないほどに燃やして灰にしようかな‥‥‥。
 いや待てよ‥‥‥『ゲテモノほど美味い』という言葉があったよな‥‥‥。それに果物の王様と言われているドリアンも匂いが凄くキツイけど美味いと言うし。俺は食ったことないから知らないけど。

 でも、怖いもの見たさ的な理論で食べてみようかな~なんて考えたり‥‥‥食べたらダメかな?自己責任で食べてみようかな。

 俺は意を決して香魚フレグランスフィッシュ改め汚臭魚スメルフィッシュにかぶりついた!!

 途端に口に広がる旨味。さっき殺したばかりのせいかわからないけど歯ごたえもあって美味い!!これは食わないと損をするな。

「スラ君も食べていいよ。美味しいから」
「うん、なの!!」

 俺がスラ君に声を掛けるとスラ君はのそのそと這いずりながら汚臭魚スメルフィッシュの身を引きちぎり体の中に入れた。そしてお馴染みのドラム式洗濯機が洗濯物をまわすーーそんな食べ方をした。
 魚の身が泡を出しながら溶けていく様は一種のホラーのようだ。

 スラ君の方ばかり見ていてはいけないな。ぼーっとしていたら俺の分がなくなる。そんなケチなことをせずスラ君に全部あげて俺がまた獲ればいいだけの話だけど‥‥‥また飲み込まれるのは勘弁だ。

 それにしても‥‥‥体、ベタベタだな。消化液を全身に浴びたから当然といえば当然だが。体の一部分すら溶けないとは‥‥‥流石、ドラゴンというところだな。

 あ、【鑑定】のレベルも上げておかないと‥‥‥まあ、どうせ上がったって【鑑定】さんは仕事をしないのだろうけど。

ーーーーー
香魚フレグランスフィッシュの身】
死後、悪臭を発し獲物を遠ざける。なお、身を焼くと悪臭は消える。
ーーーーー

 おい‥‥‥おいおいおいおい!!【鑑定】さんが‥‥‥【鑑定】さんが初めて有益な情報をくれたよ!!やれば出来るのね。

 さて‥‥‥何で身を焼こうかな~。『火球ファイア・ボール』?『火刃ファイア・カッター』?それとも‥‥‥【ミニドラゴンブレス】?

 【ミニドラゴンブレス】にしようかな。いざという時のためにレベルを上げておいてもいいよな。
 とりあえず目的が『焼く』だから属性は【炎】でいいか。

「えーと、息を吐いたらブレスが出る‥‥‥か。結構簡単に出来るんだな。てっきり、『汝に与えるは死。炎に焼き尽くされ骨はもとより、塵一つ残らぬ残酷なる死を与える。その役目を担うは我が炎の息吹。喰らうがいい、『竜炎の息吹フレイム・ドラゴンブレス』!!』的なことを言う‥‥‥の、かと‥‥‥自分で言ってみてなんだが‥‥‥クソ恥ずかしいなッ!!また黒歴史が増えた‥‥‥」

 さ、さあ黒歴史のことは忘れて魚を焼こう。さあ焼こう今すぐ焼こうさっさと焼こう!!

「せーのッ、はぁーーー!!」

 うーん、焼けていない‥‥‥いまひとつ火力が足りないのかな?あと息が続かない。すごくしんどい。
 全く焼けないのならどうしようか‥‥‥。

「今全部焼くのは諦めて【アイテムボックス】に収納しよう。それに焼いている最中にも臭うからな」

ーーーーー
※ERROR。【アイテムボックスLv:1】はこれ以上モノが入りません。【アイテムボックス】内を整理して下さい。
ーーーーー

「ん?げ、入らないのかよ‥‥‥また整理かよ。憂鬱だー」
「もうこの際、【アイテムボックス】内のものを全部【鑑定】しよう。レベル上げにもなるし」

 さて‥‥‥整理するか!俺がそう意気込むとスラ君が話しかけてきた。

「どらごんしゃん‥‥‥おなか、すいたぁなの」
「なんで首(?)を傾げているの‥‥‥」

 スラ君、お腹空いたのか‥‥‥臭いも気にならないみたいだし先に食べさせるか。臭いはーー俺が我慢すればいいんだ‥‥‥。

「先に食べててもいいよ」
「わぁーいなの!!」

 俺が許可するとスラ君は満面の笑顔で喜びを表現し、『香魚フレグランスフィッシュ』を食べ始めた。食べ方はあいも変わらずにグロいけど。

 さて、俺は俺の仕事ーー【アイテムボックス】の整理をしないとな。というかレベルアップしたらこんな面倒なことせずに済んだのに‥‥‥。

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次回は只の採取物の説明回パート2になります。
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