モンスターのスキルを奪って進化する〜神になるつもりはなかったのに〜(修正中)

お寿司食べたい

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第1章:知らないことだらけのこの世界

第29話:豹変の理由

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 部屋に戻った俺は泣いた。声を押し殺して。今日会ったばかりの人にズタボロになるまで貶されたせいで俺のメンタルは限界だった。

「うっうっ‥‥‥もう、やだ‥‥‥うっうっ」


 ある程度泣いて気持ちの整理がついた頃、俺は思った。

『絶対に見返す』と。

 そのためには腕立て伏せをしないといけない。そう思った俺は床に手をついて腕立て伏せを始めたーーが、先程庭でやった通り、1回も出来なかった。

 何故出来ないんだ?俺は練習をやめて原因を考えてみた。

 えーと、腕が曲がらないくらいか。まあ、練習あるのみだな。原因がわかったので練習を再開した。









ーー飽きた。単調な作業すぎるからつまらない。腕立て伏せ以外の筋トレをやろう。

「いーち‥‥‥にーい‥‥‥さーんーー‥‥‥じゅーう!!」

 腕立て伏せとは違って腹筋は10回は出来た。ゆっくりとだが。まあ、数回はズボンを引っ張って起き上がったりなどのズルをしたが‥‥‥1回とカウントしよう。子供の体だし‥‥‥。

 子供といえば、あのクソ野郎は大人‥‥‥だよな。大人が子供をいじめるって‥‥‥大人気ないな‥‥‥。
 そう思ったら、気分がちょっと晴れた。でも、あいつは絶対に見返す‥‥‥そう決めたんだ。

 と言ってもなぁ‥‥‥1回も出来ない奴が何言ってんだ状態なんだよなぁ‥‥‥。せめて、2回‥‥‥いや、1回は出来るようになりたい。

 でもその前にお腹が空いたな‥‥‥昼食にしよう。筋トレは昼食の後でやろう。そうと決まったら食べに行こう。

「きょおは、な~んのりょうりかな~」

ーールンルン気分で下に降りていった俺はドアの側にいる人物に気づかなかった。仮に気づいたとしても、そこには誰もいないから気にも留めなかっただろう‥‥‥。




♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢





ーーバークス視点

 ガルドの旦那に呼ばれて執務室に行ってみれば、子供を鍛えろだぁ?それ、遠回しに『お守りをしろ』といっているのと同じだろ‥‥‥。

 だが、話を聞いた後だとお守りよりも別の理由があるのがわかった。その理由は襲われても返り討ちにできるほど鍛えろというものだ。
 正直、短期間で襲われても返り討ちに出来るレベルまで鍛えるのは難しい。それを伝えると、返り討ちは無理でも捕まらずに逃げることが出来たらいいというレベルまでに鍛えろと言ってきた。

 そのレベルまでなら短期間で鍛えられるだろうが‥‥‥随分とレベルが落ちたな。まあ、いいか。

 そんで今、そのシズナっていう坊主に会っているが‥‥‥なんでこの家計は美男美女、美少年が多いんだ?まだ幼いせいか、少し中性的な顔立ちだが、大人になれば美男になるな。

 取り敢えず挨拶しておくか。敬語で。

「私はユニ・バークスと申します。以後お見知り置きを」

 俺が敬語で挨拶したのを見た旦那が目で文句を言ってくるのを無視して俺は坊主を連れて外に出た。

 外に出たはいいが‥‥‥どこに連れて行こうか悩むな‥‥‥確か庭に大きな広場があったな。あそこなら誰にもーー庭師は除くーー迷惑を掛けないだろ。

 旦那の私兵になってから暫くの間、指名依頼を受けていなくて久し振りに敬語を使ったから肩が凝ったな。やっぱり敬語使うのやめよ。

 ん?なんだ?坊主が怯えているぞ。

「いえ、その‥‥‥口調が‥‥‥」

 あ、口調が変わったことに怯えていたのか。そこまで考えなかったな‥‥‥子供の相手なんてしたことねーし。

 ま、気を取り直して剣術の指南を始めるか‥‥‥お金を貰っているんだ、働かねーとな。
 剣術の指南のために木剣を渡したが、握ることはおろか持つこともできないほど重いみたいだ。

 まいったなぁ‥‥‥筋力をつけるために腕立て伏せでもさせるか。俺は見本として腕立て伏せをした。暫くの間、坊主は見ていたがやがて自分からやりだした。1回が。

 どうやったら出来るようになるんだ‥‥‥と考えた結果、怒らせることにした。『怒り』っていうのはすげーからな。普段出来ないことも怒っているときは出来るようになったりするしな。

 というわけで俺は徹底的に坊主の失敗を嘲笑った。予想通り、俺に嘲笑われた坊主は怒った。よし、んじゃあー次は目標を定めてやるか。

「お前と同じ5歳のやつら、最低でも10回は出来るぞ~」

 と言ったが、実際は5回も出来たらいい方だ。‥‥‥流石に2倍は厳しいよな‥‥‥ミスったな。

「やってやる!!絶対に20回以上出来るようになってやるッッッ!!」

 よし、成功だ。しかし坊主はこの後俺の予想外の行動を取った。逃げたのだ。自分の部屋に向かって。

「ちょ、おいッ!待て!!」

 ‥‥‥ダメだ。俺の言葉が聞こえてない。仕方がない。念のため、【隠密】を発動させて追いかけるか。【隠密】というのは相手に察知されないように気配を消すスキルだ。よっぽどの実力差が無い限り、まず見破ることは出来ない。

 さて‥‥‥追いかけて追い越して俺が先に部屋に入ったあと、坊主が入って来た。暫くの間佇んでから床に座った。そして声を押し殺して

 脆い、脆すぎる。やる気にさせるどころか逆に心を折ってしまった‥‥‥。まさか心が折れるとは思わなかった‥‥‥どうしよう。

 ‥‥‥明日、謝っとくか‥‥‥。
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