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しおりを挟む「おーい、奈留くっ、奈留くーん!?」
「はっ、はっ……きっつい……狭い……」
「聞こえてるかなー!? ねえ一旦指抜こ、ね? ちょ、痛っ」
掃除はしたけど特に使用するつもりもなかった硬い尻の内部が乾いた他人の指に擦られてピリッと痛み、身が竦む。
流石に痛みの訴えには気づいてくれたのか、奈留くんはそろっと指を抜いた後おれの顔のすぐ横にある洗面台の鏡の扉を開けて、何かを取り出す。保湿用の軟膏か皮膚薬みたいなチューブだ。
その蓋を口で齧り乱暴に片手でひねっている。耳の裏を噛んだ歯の端から漏れるフーフーという荒い息が撫でてゾクッとした。
「わ、わあっ、冷た……っ」
「あー……やらかい、ぬくい……全部俺の……俺のだ……」
たかだか指をちょっとぬぽぬぽしているだけだというのに、奈留くんの声は快楽に呑まれきったみたいに熱く浮ついている。
低くて掠れたその音がおれまで何か変な気分にさせてくるのだ。
差し込まれた指の横からもう一本指が侵入してきて、思わず振り向きかけて鳩尾がギリギリ傷んだ。
そうだおれそこそこ酷い怪我してるんだった。もっとしっかり拒否した方が良い。
のだけど。
ぶっちゃけこのまま奈留くんに全部委ねたらどうなるのかが気になってきてしまった。十代の性への探求心を侮らないでいただきたい。
今の所男性器を扱いている時のような快感は無い、と思う。少しの違和感と、他人の指であらぬ場所を拓かれてる背徳感で頭が煮えているだけだ。
「はぁっ……ね、いいとこある……?」
「わ、わかん、わかンない……」
「っあ~~~~……」
奈留くんは最早おれが何と答えても琴線に触れるらしく、おれの一挙手一投足に感じ入り、肩甲骨辺りを熱い吐息と舌で舐め上げてくる。
というか風呂入る直前だった。汗臭くないか不安になったものの、恐らくこの現場を百人が見たら百人とも奈留くんは絶対今それどころではないって答えそうだから気にしないことにした。百人に見られるのはちょっとごめんだけど。
おれの尻穴から漏れる音が水気を帯びてくる。猛烈に恥ずかしい。
奈留くんの指はおれの中を探るように動き回り、たまに二本の指で広げる。ちょっとずつ抵抗が無くなってきているのか、最初は少ししか開かなかったそこに空気が入り込み、ぷちゅ、と潰れる音がした。
「ひっ、う……うー……!」
「は、はっ、も……もう駄目……っだめ……」
「あぅっ、な、奈留く……?」
どこか急かされるように指を引き抜いた奈留くんが、突然刺激が無くなってひくつく穴に熱くなった性器を塗りつけている。
あ、待って、それ生、
「っあぇ゙ッ、あっ、うあぁっ!」
「ふうっ、う……あー……何これ……何これ……っ」
「ッはあ、はぁっ、なるっくっ、苦し……」
「熱い……きもちい……何これ……」
奈留くんの熱が一気に奥まで押し込まれて一瞬息が止まったかと思った。
穴の縁がギチギチに広げられてる。腹の中に異物がはまりこんでいる。尾骶骨を男の陰毛で擽られている。
どれも非現実的で淫猥で、中がどうとか以前にこのシチュエーションだけでおれのちんこも少し硬くなっていた。どうしようもねえ変態みたいで身体がカッと熱くなる。
奈留くんはおれの腰辺りから両腕を前に回して、ワキの下と肩をガッチリ掴みながら身体をピッタリ引っ付けてきた。いつの間に脱いだのか、背中に感じる奈留くんの素肌は汗でしっとりしてる。伝わってくる心拍がすごく速い。
外から見た時はそんなに凶悪じゃないと思っていたものが、酷い質量と圧迫感でもってゆっくりおれの中を擦り上げ始めた。
抜き差しされる度不覚にもなよなよしい悲鳴が上がってしまう。下腹から声が押し出されてるみたいだ。
羞恥と疚しさが体内の違和感を快楽に変えている。さっきまで普通に会話してた男にちんこ入れられてると考えれば考えるほど頭がおかしくなりそうだった。
「う、えぅっ……っあ、あっ、あっ」
「はぁっ、あー……あっ、すず、清白、清白っ」
奈留くんがおれに必死にしがみついて首筋に頬擦りしてくる。
はあはあと喘ぐ舌に顎のラインをねぶられると喉が震えて歯がカチカチ鳴った。
青痣まみれの身体中が痛くて痛くて、でもそんなこと気にしていられない。今のおれにとってそんなどうでもいい事より奈留くんの性器とおれの尻の穴がずちゅずちゅとエロい音を出しながらやらしく絡み合ってる方が余程由々しき事態だった。
まるでおれの事が好きでたまらないみたいな切羽詰まった様子で何度も何度も名前を呼ばれて、のぼせそうだ。
後ろで発情する男が猛烈に愛おしくて頭を撫でてやりたくなったけど、右手は身体を支えてて左手は馬鹿みたいに腫れてるから叶わなかった。
「あっ、出る……出る……清白、清白の中に出る……っ」
「はっ、あっ、えっ、な、る……あっ、あァッ!?」
「はぁっ、はぁ、ああぁ……!」
おれの肉をとんでもない速さで嬲り倒していた性器が奥まで思い切り捩じ込まれて、痙攣する腸壁にボトボトと煮え滾った液体が落とされる。
収縮する襞に染み込んだ奈留くんの精液が、おれの身体が打ち震える度に腹の奥で潰れてにちゃにちゃ言ってる。
中に出されたという実感が、しばらくおれを興奮から降ろしてくれなかった。
おれに貼り付いたままだった奈留くんが呼吸を整えてようやく身体を離す。
体力がごっそり減った感じがする。射精まで至らなかったおれも張り詰めた性器の先から先走りみたいな汁をトロトロ出していて、洗面台の開き戸に糸みたいにくっ付いていた。
へたりかけた脚に何とか力を込めて振り向く。おれを抱いてる間奈留くんがどんな顔をしていたのかがずっと気になっていた。
散々おれを突きまくってスッキリ発散した奈留くんは目に見えて「やっちまった」みたいな顔をしていた。
そりゃそうなるわ。怪我人ですもんこちとら。
洗濯機の前にしゃがみ込んで「いっそ殺して……」とド凹みする彼氏に焦ったおれは「やっ、大丈夫だから! 次はゴム着けような! な!」とフォローのようなトドメを刺したのであった。
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