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第七章 王国剣術大会編
第268話 温泉に向かう
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みんなで軽く昼食を摂った後に、家を出る。
晴れた昼下がりだった。
春のポカポカした陽気が心地よい。
「これは、三代目!」
家を出るなり、金髪碧眼で整った顔立ちのエルフが居住まいを正す。
スラッとした体躯に、ストンした胸元。
イケメンエルフのイーデさんだった。
俺たちが話している間、ずっと家の前で立っていたんだろうか。
なにその奇行。
まあ、イケメンに興味はない。
興味があるのは、ドアを挟んで反対側に立つ女性。
陽光に煌めく金色鎧。
腰に佩いた白鞘の長剣。
緩やかに波打つ金髪。
緑色の目をした美しいエルフ。
「お疲れさまです、三代目」
そこに立っていたのは見事な騎士姿のクッコロさんだった。
家の玄関を開けたら、エルフの美女騎士が立っていた。
なんて心躍る状況か。
「こんにちは、クッコロさん。何されてるんですか?」
俺は努めてにこやかに挨拶をした。
美女の好感度を上げるチャンスは貪欲に狙う。
そうした日頃の努力が、やがてのセックスに結びつくのである。
「クッコロ……。いえ、エスメラルダ様とジークリンデ様の警護についてまいりました。今は三代目の、その……お屋敷の警護をしています」
「……私も話しかけたのに」
クッコロさんはなぜか微妙な顔で説明してくれた。
愛しのマイホームをお屋敷と言ってくれるなんて、良い人。
その隣でイケメンも微妙な顔をしていたが無視する。
警護とか言っているが、一体何から警護するっていうだろう。
こんな長閑な村に危険なんてないと思うのだが。
「いえ、つい昨日、凶悪な吸血鬼に襲撃されましたので」
イケメンが生意気な事を言って来たが。
そうだった。
吸血鬼が襲ってくるとかどんだけ危険な村だよ。
本当に迷惑な姉である。
またお仕置きしなくては。
今日はまだ会ってないのにカンナさんのお仕置き案件が増えていく不思議。
「…………」
「…………」
どこかの姉吸血鬼のせいで、クッコロさんとイケメンとの間に、微妙な空気が流れる。
二人は怯えた表情をしていた。
よっぽど昨日のカンナさんが怖かったらしい。
「それと三代目……」
「その……腕に抱きついているのは、先程不機嫌そうに膨大な魔力で威嚇していた吸血鬼の親玉ですか?」
二人が恐る恐るといった具合に、俺の腕に目をやる。
そこに嬉しそうに抱きついているのは爆乳吸血鬼。
セレナはとろっとろの笑みを浮かべながら、見るからに幸せそうだった。
俺が見つめていると、セレナは気付いて顔を上げる。
とろけ切った赤い瞳に浮かぶのは、見慣れた俺の顔。
若返って多少マシになったとはいえ、ザ一般ピープルな凡人の顔だった。
「……なんで、そんなにかっこいいんでしゅか?」
しかし、セレナは目を思い切りハートマークにしていた。
この女の目もおかしい。
腕に感じる爆乳の感触、顔からセリフまで、全てがとろっとろだった。
良く煮込んだ豚バラ肉みたいな女である。
出会った頃は、死の恐怖すら感じたのに、今や見る影もない。
クッコロさんたちが、ビビる意味がわからなかった。
「……まあ、吸血鬼の親玉っていうか、俺の嫁です。二人とも仲良くしてあげてください」
なので、セレナの頭をポンと撫でつつ、そんなセリフを言ってみた。
「はあ」「真祖を嫁って……」
イーデさんとクッコロさんは微妙な顔で頷いてくれたのだが。
「ヨメ……わたし、だんにゃしゃまヨメ……う、ううっ」
セレナが当たり前の事を言いながら、腰をガタガタと震わせていた。
奇行過ぎて心配するわ。
「セレナ!? 大丈夫か?」
同じく心配したらしいルーナがセレナが駆け寄ってくる。
「……だ、大丈夫よ。ちょっと感動してイッちゃっただけだから」
全然大丈夫じゃない事を言っていた。
イッちゃっただけて。
「……そうか。さあ、温泉に入りに行こう? ここの温泉は、その、なんか色々と身体に良いらしいから」
「え、ええ。悪いわね」
あのルーナに生暖かい目で見つめられ、セレナが手を引かれてよろよろとついていく。
ルーナがした温泉の効能の説明は、物凄く適当だった。
温泉なんてそんなものな気もするが、今のセレナに効く温泉なんてあるんだろうか。
というか今のセレナはどうすればいいのか。
何科の病院に連れていけば良いのか。
とりあえず、老いさらばえ過ぎて人間グーグル検索みたいになっているマリーババアにでも聞いてみるか。
「……さすがアサギリくんだな。あの真祖をあそこまで手懐けるとは」
そんな事を考えていたら、セレナがルーナに連れて行かれたせいで空いた腕に、むにゅっとアーニャが抱きつてきた。
嫁乳が空いたら、義母乳が埋めるとは、これ如何に。
義母乳の間にむにゅっと挟まれた腕が、幸せすぎた。
「…………やっと抱きつけた。身も心もアサギリくんに捧げた女を、こんなにほったらかしちゃダメじゃないか」
耳元でボソッと、熱い吐息とともに囁かれる。
エロいセリフ。
世間一般はどうか知らんが、うちの義母はエロい。
思わずスカート越しにムチムチの太ももを撫でてしまうほどに。
「……ふふ。アサギリくんに会うと、すぐにぐしょぐしょになってしまうから、今日は履いてないんだ。……確かめてみる?」
太ももをモジモジさせた義母は、耳元で更にエロいことを囁いていた。
は、履いてない!?
何を???
今日のアーニャは、白いブラウスに青いロングスカートを履いていた。
いつもの普段着スタイルだ。
しかし、その腰からふとともにかけて艶めかしい曲線を描くスカート。
たしかにそこにはあるはずの下着のラインは見えなかった。
まじか。
最近の義母はノーパンで誘惑してくるらしい。
なんて時代だ。
なんて素晴らしい時代だ。
……まあ、時代のせいではなく、ただアーニャがエロいだけなのだが。
こんなエロい義母がついてくるとか。
結婚して良かった、と心の底から思うのだった。
「……ねえ、どうする? アサギリくんに見てほしいな? 私のスカートの中がどうなっているのか」
義母はボソボソと更にエロいことを囁いてくる。
破壊力が凄まじい。
もう俺の一物はバキバキである。
これは温泉なんて行っている場合じゃないかもしれない。
伝家の宝刀チョットオナカイタクナッチッタを発動してでも、このまま引き返して、アーニャのスカートの中を探検したくなる。
そんな時だった。
アーニャに抱きつかれていないもう一本の手。
その手を、ギュッと冷えた手が掴む。
「早く温泉に行きましょう? 閣下のお背中は、私が流しますので」
手を掴んできたのは、エレインだった。
眼鏡をくいっとさせながら、覚悟を決めた顔で、反対側のアーニャを睨んでいる。
「……確か、アサギリくんの家臣のエレインだったかな? アサギリくんは私と用事があるのだが」
睨まれたアーニャは美顔を引くつかせながら、エレインを睨み返していた。
そしてむにゅっと俺の腕に胸を押し付ける。
「アナスタシア様。閣下のお世話は私に任せて下さい。……私も閣下に身も心も捧げていますので。……アナスタシア様と違って、初めても」
「むっ……」
負けじとエレインがちょんちょんと胸を押し付けてくる。
アーニャに比べれば微々たるものだが、その柔らかさは十分にエロかった。
しかも、あのツンデレエレインが身も心もとか言っている。
初めては、捧げられたと言うか、強引に奪った気もするが、アサギリ感激。
「大体、公爵夫人ともあろうお方が不貞を成すとか、何を考えているんですか!? エリシフォン公に見つかったらアサギリ家はおしまいですよ!?」
「バ、バレないようにするもん!」
「もん! じゃないです!! 私に一瞬でバレてるじゃないですか!! 今後、閣下に近づくのは控えて下さい。閣下は、私と温泉でしっぽりするんです。アナスタシア様はどっか行ってて下さい」
「ううっ……」
エレインに怒られて、アーニャが涙目になっていた。
二人で喧嘩を始めたので、女同士のドロドロの争いが繰り広げられるのかと思いきや、あっという間にアーニャが泣かされていた。
エスメラルダさんも、アーニャも、ちょっと小突くとルーナ要素が顔を出す。
そこが可愛いようにも見えるが、つまり、エレインには勝てないのだ。
まあ、エレインが何を言おうとアーニャとエッチするのはやめないが。
エレインもアーニャも俺の女である。
とりあえず二人でどっちが上手に俺のチンコをしゃぶれるかで勝負するのはどうだろう?
些細ないさかいはフェラチオ勝負でかたをつける。
それがアサギリ家の家訓である(今決定)。
「家の前でイチャコラしておるでないわ、バカ娘ども! ほら、さっさと行くぞ」
フェラチオ対決を提案をしようとしていたら、エスメラルダさんが後ろから急かしてきた。
今、良いところだったのに。
まあ、それなら。
「エスメラルダさんもフェラチオ対決します?」
「どっからそんな卑猥な対決が出てきたんじゃ! ばか!!!」
真っ赤になったエスメラルダさんに殴られてしまった。
え、ひどい。
「イーデとクリスも付いて来い。今から、村の温泉に行くんじゃと」
「はっ、お供します」「はい!」
エスメラルダさんに言われて、クッコロさんも付いてくることになった。
これはテンション上がる。
だが。
「言っとくけど、ちゃんと男湯と女湯に別れてるかんな?」
「え? ええ……」
イケメンエルフには、そう念を押しておいた。
イーデさんはキョトンとした顔をしている。
女湯に入れるのは俺だけだかんね?
俺たちが湯けむり温泉大乱交をしている間、男湯で一人寂しくマスでもかいていれば良いのだ。
そんなわけで、ルーナ、セレナ、エスメラルダさん、アーニャ、エレイン、クッコロさん、ニャン子とピョン吉を引き連れて温泉に向かう。
両手でアーニャとエレインを抱きながら。
美女を引き連れて温泉に行くとか。
男の野望、ここに極まれりと言った感じで気分がいい。
途中で。
「こんにちは、コウ。……まだちゃんとおかえりを言えてなかったのでな。おかえり」
銀髪褐色ダークエルフのリュディアに出会った。
グレーの肩出しロングセーターに、ももまであるロングブーツを履いたリュディアはエロかった。
尻をぺしぺし叩きながら、乳首ピアスをくいくいと引っ張ってやりたくなるのだが。
一つ、気になることがあった。
「お前ら昨日、カンナさんとつるんでエルフの皆さんを襲ってたよな?」
「え、ええ!?」
昨日のカンナ事件。
ノリノリで空に浮かぶカンナさんの脇で、バサバサと飛竜が飛んでいたのを忘れない。
たしかリュディアの火竜もいた気がする。
「あ、あれはカンナ殿が、お前の姉だって言うから……龍神王であるお前の姉君となれば、我らは従うしかなくて……」
カンナさんは続柄詐称までしていた。
なんだろう。
この場にいないのに、あの人のお仕置き案件がボロボロ出てくる。
まあ昨日の件は、全部カンナさんが悪いんだろうな。
と、思ったのに。
「……まあ、全面的に我が悪いな。仕方ない。よし、打ってくれ」
妙に潔いリュディアは、くるんと俺に背を向けると、ロングセーターの裾をまくり上げる。
ぺろんとあらわになる褐色尻。
食い込んだ黒いTバックがやたらエロい。
エロいのだが。
「打つって、閣下……?」
「アサギリくん? お、女の子にそういうことしちゃダメじゃないか……」
左右のエレインとアーニャの目が痛い。
そりゃリュディアの尻は叩き慣れていはいるが。
二人きりの時であって、今はやめてほしかった。
「ま、まあ、今はそういうのやめようか。これから温泉行くんだけど、お前も来ないか?」
「え、温泉? ……熱湯攻め? うん、我も行く」
何故か頬を染めたリュディアも一行に加わる事になった。
妙な自動翻訳をしていたのは、聞き流すことにする。
俺たちは、褐色属性も加わったことで、ますますそのエロさを増した。
湯けむりセックスが楽しみである。
そうして、少し進むと。
「コウ君。お姉ちゃん、待ちくたびれちゃいました。昨日約束したじゃないですか。今日もお姉ちゃんとセックスしてくれるって」
頬を染めながら、そわそわした姉メイドに出くわした。
諸悪の根源の登場である。
「姉メイド……」
「「カ、カンナ様……」」
「「魔王……」」
ルーナは嫌な顔をし、ニャン子とピョン吉は獣耳をピンっとさせて尻尾を丸め、クッコロさんとイーデさんは戦慄している。
みんなからこれだけ恐れられる人ってなかなかいないよな、と思っていると。
「ふふっ、コウ君!」
「あうっ」
俺の手を握っていたエレインを弾き飛ばして、カンナさんが抱きついてくる。
エレインは文句を言いたそうにしていたが、カンナさんを見て悔しそうに口を結んでいた。
あのエレインがビビるなんて。
「えーと、カンナさん? 幼児虐待とか続柄詐称とか、カンナさんには言いたいことがたくさんあって」
「はいはい。全部お姉ちゃんが悪いです。……今日もたくさんお仕置きすればいいじゃないですか」
罪の告発をしようとしたら、カンナさんが淫蕩に歪んだ目を向けてきた。
なんてエロいメイドだ。
ちんこが勃起しすぎて痛かった。
「よし、付いて来いカンナ。温泉に行くぞ」
「はい! 温泉ですか。お姉ちゃんがすごい洗い方してあげますね?」
調子に乗って命令口調にしてみたら、カンナさんがなぜか喜んで、自分の胸をむにゅっと抱き寄せていた。
すごい洗い方って何?
めちゃくちゃ期待するんだけど。
そんなわけで姉要素も加えた俺達のエロさは、完全無欠だった。
満を持して湯けむり大乱交に臨めるというものである。
村の温泉施設にやってくると、アメニティ要員に任命した男があくせくと働いているところだった。
なんつったっけな、こいつ。
車だん吉みたいな名前の。
「クルガンっす!」
そうだ、そんな名前だった。
クルガンは角刈りにした金髪の体格のいい男だった。
タオルをねじりハチマキして巻いていて、デッキブラシを持っている。
なんというか。
うちの村には珍しく、よく働く男である。
「珍しいっていうか、村でちゃんと働いてるのってクルガンさんと風の民の皆さんくらいしかいませんけどね?」
エレインが余計な事を言っていた。
だまれと言いたい。
「皆さんでお風呂ですか? さっき掃除を終えてお湯を張り終えたところなんで、もう入れるっす!」
クルガンが爽やかな笑顔でそんな事を言ってくれる。
ちゃんと毎日掃除しているらしい。えらい。
あとは。
――カサカサ。
近くの茂みが不自然に揺れる。
《他者重力変動》。
「あがっががっ!」
茂みに重力をかけると、子供の悲鳴が聞こえた。
かき分けるとカー坊が潰れている。
やっぱり覗きに来たらしい。
「ビッグチャンスのよかんがしたのに」
なんて鼻のいいエロガキか。
「こいつ埋めとけ」
「わかったっす!」
爽やかに頷くクルガン。
子供を埋めていいの? とは思うが、覗きの常習犯であるカー坊は頻繁に埋められている。
「コウ、早く行こー?」
てててとやってきたルーナが、俺の手を引く。
よしよし、かわいい嫁である。
征くか、湯けむり大乱交パーティに。
そんなわけで、ルーナの腰を抱いて、女湯の赤いのれんを勢いよく跳ね上げた。
その瞬間。
「いや、婿殿は向こうじゃろ? ここは女湯じゃ」
むんずっと肩を掴まれる。
エスメラルダさんに。
え?
いやいや、え??
ここは女湯なのは知っているが。
「俺モ、女湯、入ル」
「なんで片言なんじゃ!? ダメに決まっとるじゃろうが!!」
えええ!?
「……まあ、アサギリさんは男湯っすね」
ええええ!?
だん吉まで!?
何寝返ってんだてめえ!?
「え、でもそれじゃ俺、おっぱい見れない」
「見んでいいわ」
エスメラルダさんは即答だった。
血も涙もない。
「エスメラルダさんも、俺のおちんちん見れない」
「見たくないわっ! ばかああああっ!!」
普通に殴られた。
HPがガクッと減って、膝が地面に付く。
エスメラルダさんは顔を真赤にしていた。
まんざらでもなかったと見た。
ふふふ、とか言っている場合ではなくて。
「まあ、仕方ないか。コウ、また後でね」
「あとでうちのお風呂に二人で入りましょう? ね?」
ルーナとセレナはそんな事を言い残して、女湯に入って行った。
ええええ!?
俺の湯けむり大乱交が!?
本当に湯けむりになって消えていく。
「……ふふ、女湯はどうどうとはいるもんじゃない。のぞくものだよ、コウ兄ちゃん」
「うるせっ!!」
首から下が地面に埋まったエロガキがなんか名言っぽい事を言っていた。
イラッとする。
「残念ですけど、閣下……」
「母上には逆らえないし……」
「コウ君、やっぱりお姉ちゃん二人きりがいいです。温泉入った後にいっぱいエッチしましょうね」
他の女達も俺を置いて、女湯に入っていく。
えええええ!?
その時、俺は見逃さなかった。
何食わぬ顔で、イケメンが女湯に付いていこうとしているのを。
させない。
「おい、てめえはこっちだろうが!! ずるいぞこら!!!」
とっさにイケメンの腕を掴む。
妙にほっそりとした腕だった。
イケメンはこれだから。
「え、三代目? ええ!?」
腕を掴まれたイケメンはきょとんとした顔をしていた。
堂々と女湯に入って湯けむり大乱交をキメようとした陰獣のくせに、なんてふてぶてしい。
これだからイケメンは。
エロいことしか考えてない。
頭空っぽで、金玉に脳みそ詰まってんのかよと言いたい。
……なぜだろう、胸がズキズキする。
「お前は俺と一緒に男湯なんだよ!」
「えええ! ええええええ!?」
イケメンは顔を真赤にしていた。
なぜ。
「……はあ、仕方ないのう。イーデ、付いてってやれ。……じゃないと婿殿がこっちを覗いてきそうじゃからのう。お前が慰めてやれ」
「エスメラルダ様!? ええええええ!?」
エスメラルダさんに言われて、絶望するイケメン。
そんなに俺と入るのは嫌なんだろうか。
男同士なのに。
いや、気持ちはわかる。
俺も女湯入っちゃダメって言われて、絶望したもん。
「……あの、その」
俺に腕を掴まれたイケメンは、真っ赤な顔で地面を見つめていた。
艷やかな金髪をもじもじといじりながら。
なんというか。
男らしさが皆無なんですけど。
中性的っていうのだろうか。
モテそうだった。
イラッとする。
「……あの、お風呂あんまし汚さないでくれるとありがたいっす」
俺たちを見てだん吉が心配そうな顔で、そんな事を言ってくる。
え、どゆこと??
社畜時代、スーパー銭湯に行くのが唯一の楽しみだった俺が風呂を汚すとでも思ってんのだろうか。
車め、生意気な。
まあ、ひとっ風呂浴びたらセレナんちにでも押しかけてカンナさんとセレナにまとめて抜いてもらうか。
そんな事を考えながら、イケメンを連れて男湯の青いのれんをくぐるのだった。
■あとがき
明日も連続更新します。
待ラノさんにてコミカライズ版を期間限定公開中です!
毎日1ページずつ更新するそうです。
晴れた昼下がりだった。
春のポカポカした陽気が心地よい。
「これは、三代目!」
家を出るなり、金髪碧眼で整った顔立ちのエルフが居住まいを正す。
スラッとした体躯に、ストンした胸元。
イケメンエルフのイーデさんだった。
俺たちが話している間、ずっと家の前で立っていたんだろうか。
なにその奇行。
まあ、イケメンに興味はない。
興味があるのは、ドアを挟んで反対側に立つ女性。
陽光に煌めく金色鎧。
腰に佩いた白鞘の長剣。
緩やかに波打つ金髪。
緑色の目をした美しいエルフ。
「お疲れさまです、三代目」
そこに立っていたのは見事な騎士姿のクッコロさんだった。
家の玄関を開けたら、エルフの美女騎士が立っていた。
なんて心躍る状況か。
「こんにちは、クッコロさん。何されてるんですか?」
俺は努めてにこやかに挨拶をした。
美女の好感度を上げるチャンスは貪欲に狙う。
そうした日頃の努力が、やがてのセックスに結びつくのである。
「クッコロ……。いえ、エスメラルダ様とジークリンデ様の警護についてまいりました。今は三代目の、その……お屋敷の警護をしています」
「……私も話しかけたのに」
クッコロさんはなぜか微妙な顔で説明してくれた。
愛しのマイホームをお屋敷と言ってくれるなんて、良い人。
その隣でイケメンも微妙な顔をしていたが無視する。
警護とか言っているが、一体何から警護するっていうだろう。
こんな長閑な村に危険なんてないと思うのだが。
「いえ、つい昨日、凶悪な吸血鬼に襲撃されましたので」
イケメンが生意気な事を言って来たが。
そうだった。
吸血鬼が襲ってくるとかどんだけ危険な村だよ。
本当に迷惑な姉である。
またお仕置きしなくては。
今日はまだ会ってないのにカンナさんのお仕置き案件が増えていく不思議。
「…………」
「…………」
どこかの姉吸血鬼のせいで、クッコロさんとイケメンとの間に、微妙な空気が流れる。
二人は怯えた表情をしていた。
よっぽど昨日のカンナさんが怖かったらしい。
「それと三代目……」
「その……腕に抱きついているのは、先程不機嫌そうに膨大な魔力で威嚇していた吸血鬼の親玉ですか?」
二人が恐る恐るといった具合に、俺の腕に目をやる。
そこに嬉しそうに抱きついているのは爆乳吸血鬼。
セレナはとろっとろの笑みを浮かべながら、見るからに幸せそうだった。
俺が見つめていると、セレナは気付いて顔を上げる。
とろけ切った赤い瞳に浮かぶのは、見慣れた俺の顔。
若返って多少マシになったとはいえ、ザ一般ピープルな凡人の顔だった。
「……なんで、そんなにかっこいいんでしゅか?」
しかし、セレナは目を思い切りハートマークにしていた。
この女の目もおかしい。
腕に感じる爆乳の感触、顔からセリフまで、全てがとろっとろだった。
良く煮込んだ豚バラ肉みたいな女である。
出会った頃は、死の恐怖すら感じたのに、今や見る影もない。
クッコロさんたちが、ビビる意味がわからなかった。
「……まあ、吸血鬼の親玉っていうか、俺の嫁です。二人とも仲良くしてあげてください」
なので、セレナの頭をポンと撫でつつ、そんなセリフを言ってみた。
「はあ」「真祖を嫁って……」
イーデさんとクッコロさんは微妙な顔で頷いてくれたのだが。
「ヨメ……わたし、だんにゃしゃまヨメ……う、ううっ」
セレナが当たり前の事を言いながら、腰をガタガタと震わせていた。
奇行過ぎて心配するわ。
「セレナ!? 大丈夫か?」
同じく心配したらしいルーナがセレナが駆け寄ってくる。
「……だ、大丈夫よ。ちょっと感動してイッちゃっただけだから」
全然大丈夫じゃない事を言っていた。
イッちゃっただけて。
「……そうか。さあ、温泉に入りに行こう? ここの温泉は、その、なんか色々と身体に良いらしいから」
「え、ええ。悪いわね」
あのルーナに生暖かい目で見つめられ、セレナが手を引かれてよろよろとついていく。
ルーナがした温泉の効能の説明は、物凄く適当だった。
温泉なんてそんなものな気もするが、今のセレナに効く温泉なんてあるんだろうか。
というか今のセレナはどうすればいいのか。
何科の病院に連れていけば良いのか。
とりあえず、老いさらばえ過ぎて人間グーグル検索みたいになっているマリーババアにでも聞いてみるか。
「……さすがアサギリくんだな。あの真祖をあそこまで手懐けるとは」
そんな事を考えていたら、セレナがルーナに連れて行かれたせいで空いた腕に、むにゅっとアーニャが抱きつてきた。
嫁乳が空いたら、義母乳が埋めるとは、これ如何に。
義母乳の間にむにゅっと挟まれた腕が、幸せすぎた。
「…………やっと抱きつけた。身も心もアサギリくんに捧げた女を、こんなにほったらかしちゃダメじゃないか」
耳元でボソッと、熱い吐息とともに囁かれる。
エロいセリフ。
世間一般はどうか知らんが、うちの義母はエロい。
思わずスカート越しにムチムチの太ももを撫でてしまうほどに。
「……ふふ。アサギリくんに会うと、すぐにぐしょぐしょになってしまうから、今日は履いてないんだ。……確かめてみる?」
太ももをモジモジさせた義母は、耳元で更にエロいことを囁いていた。
は、履いてない!?
何を???
今日のアーニャは、白いブラウスに青いロングスカートを履いていた。
いつもの普段着スタイルだ。
しかし、その腰からふとともにかけて艶めかしい曲線を描くスカート。
たしかにそこにはあるはずの下着のラインは見えなかった。
まじか。
最近の義母はノーパンで誘惑してくるらしい。
なんて時代だ。
なんて素晴らしい時代だ。
……まあ、時代のせいではなく、ただアーニャがエロいだけなのだが。
こんなエロい義母がついてくるとか。
結婚して良かった、と心の底から思うのだった。
「……ねえ、どうする? アサギリくんに見てほしいな? 私のスカートの中がどうなっているのか」
義母はボソボソと更にエロいことを囁いてくる。
破壊力が凄まじい。
もう俺の一物はバキバキである。
これは温泉なんて行っている場合じゃないかもしれない。
伝家の宝刀チョットオナカイタクナッチッタを発動してでも、このまま引き返して、アーニャのスカートの中を探検したくなる。
そんな時だった。
アーニャに抱きつかれていないもう一本の手。
その手を、ギュッと冷えた手が掴む。
「早く温泉に行きましょう? 閣下のお背中は、私が流しますので」
手を掴んできたのは、エレインだった。
眼鏡をくいっとさせながら、覚悟を決めた顔で、反対側のアーニャを睨んでいる。
「……確か、アサギリくんの家臣のエレインだったかな? アサギリくんは私と用事があるのだが」
睨まれたアーニャは美顔を引くつかせながら、エレインを睨み返していた。
そしてむにゅっと俺の腕に胸を押し付ける。
「アナスタシア様。閣下のお世話は私に任せて下さい。……私も閣下に身も心も捧げていますので。……アナスタシア様と違って、初めても」
「むっ……」
負けじとエレインがちょんちょんと胸を押し付けてくる。
アーニャに比べれば微々たるものだが、その柔らかさは十分にエロかった。
しかも、あのツンデレエレインが身も心もとか言っている。
初めては、捧げられたと言うか、強引に奪った気もするが、アサギリ感激。
「大体、公爵夫人ともあろうお方が不貞を成すとか、何を考えているんですか!? エリシフォン公に見つかったらアサギリ家はおしまいですよ!?」
「バ、バレないようにするもん!」
「もん! じゃないです!! 私に一瞬でバレてるじゃないですか!! 今後、閣下に近づくのは控えて下さい。閣下は、私と温泉でしっぽりするんです。アナスタシア様はどっか行ってて下さい」
「ううっ……」
エレインに怒られて、アーニャが涙目になっていた。
二人で喧嘩を始めたので、女同士のドロドロの争いが繰り広げられるのかと思いきや、あっという間にアーニャが泣かされていた。
エスメラルダさんも、アーニャも、ちょっと小突くとルーナ要素が顔を出す。
そこが可愛いようにも見えるが、つまり、エレインには勝てないのだ。
まあ、エレインが何を言おうとアーニャとエッチするのはやめないが。
エレインもアーニャも俺の女である。
とりあえず二人でどっちが上手に俺のチンコをしゃぶれるかで勝負するのはどうだろう?
些細ないさかいはフェラチオ勝負でかたをつける。
それがアサギリ家の家訓である(今決定)。
「家の前でイチャコラしておるでないわ、バカ娘ども! ほら、さっさと行くぞ」
フェラチオ対決を提案をしようとしていたら、エスメラルダさんが後ろから急かしてきた。
今、良いところだったのに。
まあ、それなら。
「エスメラルダさんもフェラチオ対決します?」
「どっからそんな卑猥な対決が出てきたんじゃ! ばか!!!」
真っ赤になったエスメラルダさんに殴られてしまった。
え、ひどい。
「イーデとクリスも付いて来い。今から、村の温泉に行くんじゃと」
「はっ、お供します」「はい!」
エスメラルダさんに言われて、クッコロさんも付いてくることになった。
これはテンション上がる。
だが。
「言っとくけど、ちゃんと男湯と女湯に別れてるかんな?」
「え? ええ……」
イケメンエルフには、そう念を押しておいた。
イーデさんはキョトンとした顔をしている。
女湯に入れるのは俺だけだかんね?
俺たちが湯けむり温泉大乱交をしている間、男湯で一人寂しくマスでもかいていれば良いのだ。
そんなわけで、ルーナ、セレナ、エスメラルダさん、アーニャ、エレイン、クッコロさん、ニャン子とピョン吉を引き連れて温泉に向かう。
両手でアーニャとエレインを抱きながら。
美女を引き連れて温泉に行くとか。
男の野望、ここに極まれりと言った感じで気分がいい。
途中で。
「こんにちは、コウ。……まだちゃんとおかえりを言えてなかったのでな。おかえり」
銀髪褐色ダークエルフのリュディアに出会った。
グレーの肩出しロングセーターに、ももまであるロングブーツを履いたリュディアはエロかった。
尻をぺしぺし叩きながら、乳首ピアスをくいくいと引っ張ってやりたくなるのだが。
一つ、気になることがあった。
「お前ら昨日、カンナさんとつるんでエルフの皆さんを襲ってたよな?」
「え、ええ!?」
昨日のカンナ事件。
ノリノリで空に浮かぶカンナさんの脇で、バサバサと飛竜が飛んでいたのを忘れない。
たしかリュディアの火竜もいた気がする。
「あ、あれはカンナ殿が、お前の姉だって言うから……龍神王であるお前の姉君となれば、我らは従うしかなくて……」
カンナさんは続柄詐称までしていた。
なんだろう。
この場にいないのに、あの人のお仕置き案件がボロボロ出てくる。
まあ昨日の件は、全部カンナさんが悪いんだろうな。
と、思ったのに。
「……まあ、全面的に我が悪いな。仕方ない。よし、打ってくれ」
妙に潔いリュディアは、くるんと俺に背を向けると、ロングセーターの裾をまくり上げる。
ぺろんとあらわになる褐色尻。
食い込んだ黒いTバックがやたらエロい。
エロいのだが。
「打つって、閣下……?」
「アサギリくん? お、女の子にそういうことしちゃダメじゃないか……」
左右のエレインとアーニャの目が痛い。
そりゃリュディアの尻は叩き慣れていはいるが。
二人きりの時であって、今はやめてほしかった。
「ま、まあ、今はそういうのやめようか。これから温泉行くんだけど、お前も来ないか?」
「え、温泉? ……熱湯攻め? うん、我も行く」
何故か頬を染めたリュディアも一行に加わる事になった。
妙な自動翻訳をしていたのは、聞き流すことにする。
俺たちは、褐色属性も加わったことで、ますますそのエロさを増した。
湯けむりセックスが楽しみである。
そうして、少し進むと。
「コウ君。お姉ちゃん、待ちくたびれちゃいました。昨日約束したじゃないですか。今日もお姉ちゃんとセックスしてくれるって」
頬を染めながら、そわそわした姉メイドに出くわした。
諸悪の根源の登場である。
「姉メイド……」
「「カ、カンナ様……」」
「「魔王……」」
ルーナは嫌な顔をし、ニャン子とピョン吉は獣耳をピンっとさせて尻尾を丸め、クッコロさんとイーデさんは戦慄している。
みんなからこれだけ恐れられる人ってなかなかいないよな、と思っていると。
「ふふっ、コウ君!」
「あうっ」
俺の手を握っていたエレインを弾き飛ばして、カンナさんが抱きついてくる。
エレインは文句を言いたそうにしていたが、カンナさんを見て悔しそうに口を結んでいた。
あのエレインがビビるなんて。
「えーと、カンナさん? 幼児虐待とか続柄詐称とか、カンナさんには言いたいことがたくさんあって」
「はいはい。全部お姉ちゃんが悪いです。……今日もたくさんお仕置きすればいいじゃないですか」
罪の告発をしようとしたら、カンナさんが淫蕩に歪んだ目を向けてきた。
なんてエロいメイドだ。
ちんこが勃起しすぎて痛かった。
「よし、付いて来いカンナ。温泉に行くぞ」
「はい! 温泉ですか。お姉ちゃんがすごい洗い方してあげますね?」
調子に乗って命令口調にしてみたら、カンナさんがなぜか喜んで、自分の胸をむにゅっと抱き寄せていた。
すごい洗い方って何?
めちゃくちゃ期待するんだけど。
そんなわけで姉要素も加えた俺達のエロさは、完全無欠だった。
満を持して湯けむり大乱交に臨めるというものである。
村の温泉施設にやってくると、アメニティ要員に任命した男があくせくと働いているところだった。
なんつったっけな、こいつ。
車だん吉みたいな名前の。
「クルガンっす!」
そうだ、そんな名前だった。
クルガンは角刈りにした金髪の体格のいい男だった。
タオルをねじりハチマキして巻いていて、デッキブラシを持っている。
なんというか。
うちの村には珍しく、よく働く男である。
「珍しいっていうか、村でちゃんと働いてるのってクルガンさんと風の民の皆さんくらいしかいませんけどね?」
エレインが余計な事を言っていた。
だまれと言いたい。
「皆さんでお風呂ですか? さっき掃除を終えてお湯を張り終えたところなんで、もう入れるっす!」
クルガンが爽やかな笑顔でそんな事を言ってくれる。
ちゃんと毎日掃除しているらしい。えらい。
あとは。
――カサカサ。
近くの茂みが不自然に揺れる。
《他者重力変動》。
「あがっががっ!」
茂みに重力をかけると、子供の悲鳴が聞こえた。
かき分けるとカー坊が潰れている。
やっぱり覗きに来たらしい。
「ビッグチャンスのよかんがしたのに」
なんて鼻のいいエロガキか。
「こいつ埋めとけ」
「わかったっす!」
爽やかに頷くクルガン。
子供を埋めていいの? とは思うが、覗きの常習犯であるカー坊は頻繁に埋められている。
「コウ、早く行こー?」
てててとやってきたルーナが、俺の手を引く。
よしよし、かわいい嫁である。
征くか、湯けむり大乱交パーティに。
そんなわけで、ルーナの腰を抱いて、女湯の赤いのれんを勢いよく跳ね上げた。
その瞬間。
「いや、婿殿は向こうじゃろ? ここは女湯じゃ」
むんずっと肩を掴まれる。
エスメラルダさんに。
え?
いやいや、え??
ここは女湯なのは知っているが。
「俺モ、女湯、入ル」
「なんで片言なんじゃ!? ダメに決まっとるじゃろうが!!」
えええ!?
「……まあ、アサギリさんは男湯っすね」
ええええ!?
だん吉まで!?
何寝返ってんだてめえ!?
「え、でもそれじゃ俺、おっぱい見れない」
「見んでいいわ」
エスメラルダさんは即答だった。
血も涙もない。
「エスメラルダさんも、俺のおちんちん見れない」
「見たくないわっ! ばかああああっ!!」
普通に殴られた。
HPがガクッと減って、膝が地面に付く。
エスメラルダさんは顔を真赤にしていた。
まんざらでもなかったと見た。
ふふふ、とか言っている場合ではなくて。
「まあ、仕方ないか。コウ、また後でね」
「あとでうちのお風呂に二人で入りましょう? ね?」
ルーナとセレナはそんな事を言い残して、女湯に入って行った。
ええええ!?
俺の湯けむり大乱交が!?
本当に湯けむりになって消えていく。
「……ふふ、女湯はどうどうとはいるもんじゃない。のぞくものだよ、コウ兄ちゃん」
「うるせっ!!」
首から下が地面に埋まったエロガキがなんか名言っぽい事を言っていた。
イラッとする。
「残念ですけど、閣下……」
「母上には逆らえないし……」
「コウ君、やっぱりお姉ちゃん二人きりがいいです。温泉入った後にいっぱいエッチしましょうね」
他の女達も俺を置いて、女湯に入っていく。
えええええ!?
その時、俺は見逃さなかった。
何食わぬ顔で、イケメンが女湯に付いていこうとしているのを。
させない。
「おい、てめえはこっちだろうが!! ずるいぞこら!!!」
とっさにイケメンの腕を掴む。
妙にほっそりとした腕だった。
イケメンはこれだから。
「え、三代目? ええ!?」
腕を掴まれたイケメンはきょとんとした顔をしていた。
堂々と女湯に入って湯けむり大乱交をキメようとした陰獣のくせに、なんてふてぶてしい。
これだからイケメンは。
エロいことしか考えてない。
頭空っぽで、金玉に脳みそ詰まってんのかよと言いたい。
……なぜだろう、胸がズキズキする。
「お前は俺と一緒に男湯なんだよ!」
「えええ! ええええええ!?」
イケメンは顔を真赤にしていた。
なぜ。
「……はあ、仕方ないのう。イーデ、付いてってやれ。……じゃないと婿殿がこっちを覗いてきそうじゃからのう。お前が慰めてやれ」
「エスメラルダ様!? ええええええ!?」
エスメラルダさんに言われて、絶望するイケメン。
そんなに俺と入るのは嫌なんだろうか。
男同士なのに。
いや、気持ちはわかる。
俺も女湯入っちゃダメって言われて、絶望したもん。
「……あの、その」
俺に腕を掴まれたイケメンは、真っ赤な顔で地面を見つめていた。
艷やかな金髪をもじもじといじりながら。
なんというか。
男らしさが皆無なんですけど。
中性的っていうのだろうか。
モテそうだった。
イラッとする。
「……あの、お風呂あんまし汚さないでくれるとありがたいっす」
俺たちを見てだん吉が心配そうな顔で、そんな事を言ってくる。
え、どゆこと??
社畜時代、スーパー銭湯に行くのが唯一の楽しみだった俺が風呂を汚すとでも思ってんのだろうか。
車め、生意気な。
まあ、ひとっ風呂浴びたらセレナんちにでも押しかけてカンナさんとセレナにまとめて抜いてもらうか。
そんな事を考えながら、イケメンを連れて男湯の青いのれんをくぐるのだった。
■あとがき
明日も連続更新します。
待ラノさんにてコミカライズ版を期間限定公開中です!
毎日1ページずつ更新するそうです。
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