ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記

油揚メテオ

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第七章 王国剣術大会編

第266話 猫メイド見参、兎メイド推参

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 カンナさんのお仕置きを終えて。
 家に帰ってきたのは、もう明け方だった。
 一月ぶりの我が家だ。
 猫と兎は元気だろうか。
 しんと静まり返った我が家を見渡す。
 見慣れたリビング。
 いつものテーブルとソファ。
 子供部屋のドア。
 一月ぶりで懐かしい。
 ニャン子とピョン吉は寝ているだろうから、挨拶は明日にするか。
 そう思って、2階へ上がる。

「うーん、うーん、コウ……」

 ベッドの上ではルーナがうなされながら寝ていた。
 苦しそうにうめきながら、ベッドの上の、いつも俺が寝ている辺りをさすさすしている。
 カンナさんを抱きぬいていたので、軽く罪悪感。
 しかし、あれは浮気ではなくお仕置きだったのだ。
 仕方ない仕方ないと言いながら、ルーナを抱きしめて寝た。

「コウ……すーすー」

 穏やかになるルーナの寝息。
 朝まで数時間は寝れるだろう。
 チンコ変動スキルのせいでMP枯渇に襲われたので、疲れていたのだ。
 ルーナの金髪に鼻を埋めて目を閉じた。
 ルーナの匂いは落ち着くのだ。





「おい! コウ!!! 昨日はなんで帰ってこなかったんだ!? 妻を一人で寝かしちゃダメじゃないか!! さ、さみしくなっちゃうじゃないか!!!」

 起きるなりルーナはプンプン怒っていた。
 新婚のはずだが、いつもと全然変わらない不思議。
 とりあえず、ぶーたれるルーナを抱きしめる。

「ふ、ふん! こんなことしてくれたって簡単には許さないんだからな! 私の機嫌が良くなるまで、ずっとギューッとしてくれなきゃダメだ! えへへ」

 機嫌は秒で治ってた。
 腕の中でルーナが嬉しそうに頬を擦り寄せてくる。
 これもう離していいべ。

「コウ、おはようのチュウしよう? んむっ」

 ご機嫌なルーナと軽くキスをした。
 浮気朝帰りをしたのに、この手軽さ。
 ルーナの真骨頂である。
 どさくさに紛れて嫁尻をモミモミしてから、二人で下に降りた。


 ニャン子とピョン吉は、朝になっても1階にはいなかった。
 というか、子供部屋は空だった。
 あいつらどこ行ったんだろう。
 一月も放置したので、家出猫と家出兎になってしまったのだろうか。
 よく考えたら、これって育児放棄だろうか。
 まさかね。

「二人ともお腹が空いたら帰ってくるんじゃないかな?」

「だよなー」

 ルーナとそんな会話をしながら笑い合う。
 そんな時だった。
 ――コンコン。
 ドアをノックする音が聞こえる。
 アーニャが朝フェラチオでもしに来てくれたんだろうか?

「はいー?」

 ルーナがガチャリとドアを開ける。
 するとそこには2名のメイドさんがいた。

「「お帰りなさいませ、旦那様、奥様」」

 スカートの裾をキュッとつまみながら、見事な挨拶をキメるメイドさん達。
 まだ若い、少女と言ってもいいくらいのメイドさんだった。
 しかも猫耳とうさ耳を装着済という萌えポイント付き。
 というか。

「……何してんだ二人とも」

 メイドさんは、ニャン子とピョン吉だった。
 二人はメイド服を見事に着こなし、いつもはボサボサの赤と白の髪もしっかりセットしている。
 しかも、目を伏せたすまし顔。
 玄関に立っていたのは、ニャーニャーぴょんぴょんうるさかった子どもたちではなく、小綺麗な美少女メイドさん達だった。

「「失礼致します」」

 二人はすすっと家に入ってくると、ニャン子はテーブルの椅子を引き、ピョン吉はお茶の準備を始める。

「さ、旦那様、奥様」

「お、おう」「う、うん」

 ニャン子に促されて、ルーナと一緒にテーブルに付いてしまった。
 すぐにピョン吉の淹れたお茶が出てくる。
 普通に上手いお茶だった。

「……美味しい。で、でもそんなこと私がするから良いんだぞ? 二人ともお腹すいてるだろう? 今、朝ごはんを……」

「いえ、奥様。私どもがやりますので」

「ええー!?」

 立ち上がろうとしたルーナが、ニャン子に止められて微妙な顔をしていた。
 なんだろう。
 俺たちがいない間に、二人に何があったのか。

「カンナ様にメイドの心得を教えていただいておりました」

 ピョン吉がそんな事を教えてくれた。
 ああ、そうだった。
 思い出した。
 ルーナを追いかけていった時に、二人の事はカンナさんに頼んどいたんだった。

「ええ!? あ、あの姉メイドに!? ……二人ともひどいことはされなかったか?」

 ルーナが失礼な事を言い出した。
 いや、ひどいことしてそうだけど。

「「…………」」

 ルーナの問に、二人は無言だった。
 あれ、これ絶対なんかされたな。

「ニャン子? ピョン吉?」

「「いえ、カンナ様は素晴らしいお方デス」」

 ルーナが心配そうに問いかけると、二人は洗脳感バリバリの答えを返した。
 その目は酷く濁っている。

「大丈夫か、二人とも!? 置いて行っちゃってごめん!!」

 何かを察したルーナが二人を抱き寄せる。
 ルーナのぬくもりを感じた二人は、ぷるぷると震えると、やがてつーーと静かに涙を流した。
 なんて哀れな。

「うああああああ、ルーにゃん!!」
「ルーナああああああっ!!」

 そして、子供らしくびえーんと泣き始めるニャン子とピョン吉。
 口調が戻ったので安心した。

「ひどいですにゃ! ひどいですにゃ! 子供を置いてかないでほしいですにゃー!!」
「……そのせいで、断崖絶壁でお辞儀の練習1万回とかさせられたよ」

 ピョン吉が冗談みたいな事を言っていた。

「にゃーって言うとごはん抜きでしたにゃ!!」
「ティーカップ割ったら火で炙られそうになったよ!!」

 カンナさんが普通に子供を虐待していた。
 昨日もっとお仕置きしておけば良かったな……。

「二人ともごめんね! もう帰ってきたから……そうだ、今から二人の好きなパンケーキ焼こうか」

「うう……ルーにゃん。パンケーキ、大好物ですにゃー!」
「ルーナのパンケーキ……楽しみ」

 やっと笑顔を見せたニャン子とピョン吉。
 経緯はともかく、二人のメイド服はよく似合っていた。
 何よりもスカートの後ろから、にょろにょろした猫しっぽと、ぴょこっとした兎しっぽが出ているのが可愛らしい。
 じーっと見てたらゲートが開きそうになったので、慌てて目をそらす。

 ルーナと笑い合う二人を見ていると、セランディアに帰ってきたのだと実感できるのだった。
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