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第七章 王国剣術大会編
第262話 出立
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エルフ王国エルフィニアに来てから、一月ほどが経った。
この国に来てから色々あった。
ルーナとも、セレナとも結婚できたし。
カーチャンとエッチできたし、バーチャンの乳も揉めたし。
エッチな鬼娘ちゃんも捕まえることが出来た。
下半身的には大満足な旅であった。
満足したので、そろそろ家に帰ろう。
そんなこんなで帰り支度を済ませて、女達を連れて、ルーナ邸のバカでっかい玄関を開いた。
そこには1台のバカでっかい馬車が停まっていた。
真紅の光沢を放つボディ。
ずらりと並んだ体躯の良い馬が8頭も繋がれている。
ばくんと開かれた大きな入口からは、綺羅びやかな車内が覗ける。
なんか高そうな革張りのソファーと天井から下がったシャンデリアが見えた。
馬車と言うには、でかすぎるし、豪華すぎた。
外見の大きさから見て、多分うちの居間より車内である。
なんだろう。
このバブリーな馬車は。
紅くてかっこいいけど。
これもルーナんちの馬車なんだろうか。
金持ちすぎて引くわ。
ただ、車体に書かれた紋章が前と違うような気もする。
前に見たルーナんちの紋章は、某池袋にある有名大学の校章みたいなユリっぽいマークだった。
目の前の紅い馬車に描かれているのは、ギザギザの花びらを五枚つけた花のマーク。
紅いボディに銀色で描かれたその花のマークは際立った存在感を醸し出していた。
「なんだろう。あのマーク。お前んちの家紋じゃないよな?」
「うん。私も初めて見たな。可愛いけど」
とりあえず隣のルーナに聞いてみたが、知らないみたいだった。
そんな俺達の後ろに立つエレイン。
エレインからメラっと嫌なオーラが立ち上る。
あれ? なんか怒ってる!?
「……そうですか。知りませんか、お二人共。あの家紋に見覚えはございませんか……」
なぜかワナワナと肩を震わせてキレる寸前のエレイン。
なんか当たり前の事を言っていたので。
「「うん」」
ルーナと二人で頷いてみたら、ブチッとエレインのこめかみが音を立ててた。
あ、マジギレのやつだこれ。
「アサギリ家の家紋ですよ!!!」
「「えええ!?」」
ナ、ナンダッテー!
ブチギレたエレインは人差し指を突き立て、ルーナのぷにぷにとしたほっぺたをぐりぐりとえぐっている。
初めて見たわ。
つうか家紋あったのかアサギリ家。
と、思ったが、エレインが怒っていて怖かったので黙っておく。
「ふががが! 妻である私でさえ知らなかったんだぞ!」
ほっぺをぐりぐりされて喋りづらそうなルーナが必死にそんな事を言っていた。
「ちゃんとお二人にお見せしましたし、許可も頂きました!!! ……お二人共アレの最中か、直後だったので、私の話なんて聞いてなかったのかもしれませんが」
え、かけらも覚えてないわ。
アレ。
そう言われて思い当たることはセックスしかないので、思わずルーナと顔を見合わせてしまった。
そりゃまあエレインの話を聞いてなかったんだろう。
ルーナは頬を赤らめて照れていた。
かわいい。
「ア、アレしてる時だったら仕方ないな。私、コウのことしか考えられなくなっちゃうし……えへへ」
照れながら俺を上目遣いで見つめる妻。
可愛すぎて押し倒したくなる。
「あなたはいつも閣下のことしか考えてないでしょうが!!!」
「あうっあううううっ! ほ、ほっぺたをつんつんしちゃダメじゃないか!!」
ルーナが泣きべそをかき始めたので、とりあえず抱きしめておく。
まあアサギリ家の家紋があったのは驚きだが、それはいいとして。
「なんで花なんだ?」
紅い馬車に描かれていたのは見たことのない花だった。
自分の家紋なのに、俺と縁もゆかりもなさすぎた。
「え? そ、それはその……」
ふとした疑問を聞いたつもりだったが、ブチギレていたエレインが途端にモジモジしだす。
「閣下に家紋どうしますか?って聞いたら、お前の好きにしていいって言ってくださったので……」
エレインは垂れ下がったこめかみの金髪をテレテレと弄りながら、頬を桜色に染めていた。
妙に可愛かった。
「家紋を任せてくれるほど私のこと好きなのかなと思って……私の好きな撫子の花をモチーフにしてみました」
「なんでお前の好きな花になるんだ!?」
ぼそっと漏らしたエレインに、秒でつっこむルーナ。
「なんか文句ありますか? だったら正妻のあなたがもっとしっかり家紋を選べば良かったじゃないですか!?」
「あうううっ! つんつんダメって言ってるのに!」
そして秒で返り討ちにあっていた。
イラッとした顔でルーナのほっぺたをぐりぐりしていたエレインは、しかし、俺と目が合うと頬を赤らめる。
「わ、私の大好きな閣下の家紋なんですから……私の好きな花にしたっていいじゃないですか」
え、かわいい。
ルーナに説教しながらの照れ告白とかずるい。
「そうか。ありがとうな、エレイン」
「閣下……」
とりあえず俺には可愛いエレインを抱きしめることしか出来なかった。
「えええええ!?」
ルーナはうるさかったが。
まあ、家紋はこれでいいだろう。
俺になんか好きなマークを考えろって言われていたら、高確率でおっぱいのマークとかにしただろうから。
「ちなみに、家紋は撫子の花ですが、アサギリ家の色は閣下の鎧をモチーフに真紅にしてみました。真紅に銀地のダイアンサス。アサギリ家は今後この家紋を使用していきます。ちゃんとラグニード王国、エルフィニア王国ともに紋章として登録済みです!」
腕の中に収まったエレインが、メガネをキラリとさせながら説明してくれる。
なるほど。
この馬車の真紅のボディは俺の鎧の色だったのか。
俺の鎧の色という事は、セレナの血の色である。
一見派手にも見えるが、落ち着いた深みのある赤。
俺の好きな色だった。
馬車の前方には、垂れ幕のような、縦長の旗を掲げたエルフ兵の姿も見えた。
真紅の垂れ幕に銀色の撫子の花のマーク。
結構かっこいいかもしれない。
旗なんか作ってどうするんだろうっていう気もするが。
「戦場に行く時や、王都へ行く時なんかにアサギリ家をアピールするんです! 民達や、他の貴族たちも、やがてこの旗に敬意や畏怖を覚えるようになります。ちなみに、真紅の色については、ちゃんとセレナ様の許可も頂いております。ねえ、セレナ様?」
「え、ええ……」
話を振られて、ルーナと同じく俺の隣にいたセレナがぼーっとしながら答える。
俺の鎧はメイドインセレナなので許可を貰うのはいいとして。
結婚してからというもの、セレナはずっとこんな調子だった。
なんというか、いつもふわふわしている。
熱でもあるかのように頬を上気させて。
吸血鬼が体調を崩すわけないのだが、心配である。
「大丈夫か、セレナ?」
「はわっ! だ、だんにゃしゃま……!」
頬に触れると、瞬間湯沸かし器のように沸騰していくセレナ。
顔がどんどん真っ赤になっていって心配である。
はわって。
そんなセリフ今までセレナから聞いたことなかったのだが。
「もう!!」
そんなセレナの様子を見ていたルーナが、バシッとセレナの頬に触れた俺の手を払った。
突然、何を。
「お前はいつまで目をハートマークにしているんだ!?」
「ええ!?」
ルーナに指摘されて、はっと我に返るセレナ。
そんな目がハートマークなんて、漫画じゃないんだから。
「べ、別にハートマークなんて浮かべてないわよ! わ、私はただ妻として旦那様の……だ、旦那しゃまの……だんにゃしゃま……」
一瞬キリッとしたセレナ。
俺を見つめると、途端に口元が歪み、目が潤んできて。
紅い瞳の奥にピンク色の……あれ? ハートマークだ。ハートマークだなこれ。
「だんにゃしゃま、かっこいい……私のだんにゃしゃま……」
目にハートマーク浮かべる女、エロ漫画以外で初めて見た。
ちょっと感動モノである。
「私、だんにゃしゃまにぎゅーってしてほしい……してくれないなら……もう死ぬ」
なんか妙な事を言っているので不安になるが。
ちょっと毎日激しく抱きすぎただろうか。
まあ、ぎゅーっとしてやるが。
「!!!!! ふわっ! うっううううう―――!!!」
抱きしめた瞬間、セレナはびくんびくんと震えると、ふにゃーっと全身の力を抜いてしまった。
え、何この反応。
「……だんにゃしゃまいい匂い……しあわせ……」
また妙な事を言いながら、セレナはクタッと目を閉じる。
どうしよう。
冷や汗が出てくる。
この女、これから大丈夫なんだろうか。
「つ、疲れてるのかな? 先に馬車に入って休め? な?」
「ルーナお嬢様、私が」
いつもだったら嫉妬に狂うルーナにまで優しく介抱されていた。
カレリアさんと一緒にクタッとしたセレナを馬車に運んでやっている。
馬車のタラップのようなところにカツっと足をかけたカレリアさん。
くるっと振り返って、その切れ長の瞳で俺を睨んだ。
「アサギリ様。その圧倒的なお力で大陸に敵なしだったセレナお嬢様をこんな風にしたケジメ。ちゃんと取ってもらいますからね! ゆめゆめお忘れなく!」
ええ!?
なんかカレリア姉さま怒ってる?
ケジメて。
ちゃんと結婚したのにこれ以上どうケジメをとれというのか。
無理難題を言う金髪メイドさんだった。
「はっ!! 今きづいた!!」
そんな時、ルーナがそんな事を言いながら長耳をピンとさせていた。
「エレインの家紋に、セレナの色。……アサギリ家の紋章なのに私の要素が1個も入ってない!!! 私、妻なのにー!!!」
ものすごくどうでもいい事だった。
「まあまあ、正妻がそんなことで文句を言っちゃダメだ。度量が疑われるぞ」
「お母様……」
そんな事を言いながら玄関から出てきたのは、アーニャだった。
プラチナブロンドの美しい人妻エルフ。
さすが夫の浮気を長年黙認してきた妻は、言うことが違う。
「……こ、これからはもう我慢しないけどな。ちゃんと毎日愛してくれなきゃダメだぞ?」
アーニャは耳元でそんな事を囁いていた。
さすが毎日俺の子種を注ぎ込んだ人妻は、言うことが違う。
普通にエロい。
これからも毎日中出しせねば。
「お母様?」
「こほん、そ、それよりどうかな、アサギリくん? この馬車、急いで作らせた割にはなかなかの出来だろう?」
ルーナの手前、急に取り繕った事を言い出す人妻。
とは言え、普通に馬車の出来は素晴らしかった。
アーニャが作ってくれたらしい。
素直に頷いておく。
「ふふ、我がエリシフォン家の抱える腕利きのドワーフ職人に作らせたんだ。アサギリくんちにも同行させるから、楽しみにしているんだぞ!」
アーニャはそんな事を言いながら、馬車に乗り込んでいく。
どさくさに紛れて、そのデカい尻を撫でてみると、アーニャは嬉しそうに笑った。
「……アサギリくんの領地楽しみだな。そこでの暮らしも」
アーニャは色気たっぷりに微笑むと、馬車に乗り込んでいく。
そこでの暮らしでナニしてくれるんだろう、と期待に胸が膨らむ。
人妻の色気の凄まじさに、頭がくらくらした。
「……まったく。なんで妾まで行かねばならんのじゃ」
そんなアーニャの後ろを、ぶつぶつと文句を言ったエスメラルダさんが続く。
ばるんっばるんっとそのでかすぎるおっぱいを揺らしながら。
人妻以上に人婆の色気は凄まじかった。
とりあえず、エスメラルダさんのムッチムチの尻も撫でておいた。
「このスケベ!!」
普通に殴られた。
HPも減ったが、このアサギリ・コウに一片の悔い無し!
「おい!!! なんでお母様とお祖母様のお尻を触るんだ!? お前のお尻はこれなんだから、これを触らなきゃダメじゃないか!!!」
ルーナが泣きついてくる。
嫁尻を触れば、義母尻と義祖母尻を触ってもいい理屈がわからなかったが、小ぶりながらもさわり心地の良い嫁尻をギュムギュムと揉む。
さわり心地は相変わらず、極上だった。
「うんうん。上手だぞ、えへへ」
尻を揉むと、嫁はなぜか上機嫌になる。
可愛い嫁だった。
結構ふっくらしてきたお腹を持つ妊娠嫁だが、尻を触って良いのだろうか。
マリーババアが興奮させてもいけないって言ってたような。
そんな心配をしつつ、ルーナも馬車に乗せる。
これで馬車にはセレナ、カレリアさん、アーニャ、エスメラルダさん、ルーナと5人も乗っているが、まだまだ馬車には余裕があった。
どんだけデカい馬車なんだよ。
他にもエレインも乗せるつもりだった。
誰か忘れてないかな。
フィリスとフェルちゃんがいなかったが、まああの二人なら大丈夫だろう。
というか、フェルちゃんってどこ行ったんだろう。
しばらく見てない気がする。
どこで油売ってんだあのトカゲは。
フェルちゃんがいれば、馬車に乗って帰らなくてもひとっ飛びなのに。
いや、カレリア姉さまがいるか。
あのトカゲに乗るより、カレリア姉さまに頼めば一瞬である。
「ダメです。エルフ兵千騎と共に、アサギリ家の家紋がついた馬車で凱旋する。これはエリシフォン家の姫君を娶って、エルフの窮地を救った事を内外に報せる行事でもあるのです。時間かかってもいいので、ちゃんとセランディアまで凱旋してください!」
エレインにそんな事を言われてしまった。
言ってること1ミリも理解できなかったが、エレインに怒られそうなので従っておく。
「それより閣下はどうされます? 奥様方と一緒に馬車で行かれますか? それともご愛馬で先頭を行かれますか?」
はて、ご愛馬?
と首を捻っていると、パカパカとファラチオを連れたクッコロさんがやってきた。
愛馬ってあれだろうか。
あんなエロい触手の生えた馬が愛馬とか辞めてほしいのだが。
美女だらけの馬車に乗らないで、エロ馬に乗る選択肢などあろうはずがない。
「……馬車で行くわ。行こうぜ、エレイン」
「え? わ、私は臣下なので別の馬車で参ろうかと……」
なぜか遠慮しだすエレインの手を強引に取る。
臣下? 何言ってんだこの女は。
「お前は俺の女だろ? 俺の傍にいろ」
「か、閣下……」
真っ赤になって、しおらしくなるエレイン。
可愛かった。
そんなエレインの手を引いて、豪華な車内へ。
あ、そうだ。言い忘れた。
「ファラチオはクッコロさんに任せますから! 乗ってきていいっすよ」
「グギャ!!」
「ええええええ!? ちょ、ちょっと!? やめて! 触手で触らないで――! あっ、こら、くっ――殺せ!!!」
仲の良さそうな一頭と一人の声を聞きながら、俺は馬車に乗り込んだのだった。
馬車の旅は、びっくりするほど快適だった。
全然揺れないし。
ソファーは極上の座り心地だし。
美女だらけだし。
「……だんにゃしゃま」
俺は目にハートマークを浮かべたセレナを片手で抱きしめ、もう片方の手ではルーナ――。
「もう、アサギリくんったらあ」
――の母親であるアーニャを抱きしめていた。
「って、なんで母上を抱きしめているんだ!? 妻は私なのに!!!」
「こら!! よそ見をするでない! まだお説教は終わっておらぬぞ!!」
なぜならルーナはエスメラルダさんにお説教をされている最中だったから。
「……ごめんなさい、お祖母様」
旅の最中。
身重の体を物ともせず、ガンガンルーナは迫ってきた。
理性に定評のある俺を迷わせるほどに。
いえね、寝室が別だったエリシフォン邸ならまだしも、一日中馬車の中でいちゃつき放題だったら、誰だって夜にセックスしようとしちゃうのである。
そんなわけで、こっそりとセックスしようとした俺とルーナはエスメラルダさんに見つかり、こっぴどく怒られた。
俺の顔面にはエスメラルダさんの拳の形がくっきりと残っている。
普通にグーで殴られた。
そして、ルーナは現在、正座しながらお説教を受けている最中である。
頭にでっかいたんこぶを作りながら。
「これから母になろという女が、エロいことばっかりしおって!! お前は昔からポンコツじゃったが、今日という今日は……」
「エロいことばっかりしてごめんなさい、お祖母様。うう、ぐすっ」
なんだろう。
エスメラルダさんの説教は迫力があるのだが、エロエロ言ってるとなんか微笑ましく見える。
「……ところで、アサギリくんの領地はどんなところなんだ?」
孫婆のせいで妙な雰囲気になりつつある車内で、アーニャがそんな世間話を始める。
ここはアーニャに乗っかるべきだろう。
しかし、領地か。
ふむ。
「そうだな。何もないところだけど……」
一月ぶりに帰るセランディア村。
残してきた奴らは元気だろうか。
ミレイ、カンナさん、メグに、リュディア達。
ヴァンダレイ爺とアン、ソフィさんと筋肉、ケイトさんや、ニャン子とピョン吉。
その他の村人達の顔が思い浮かぶ。
カー坊なんてエロガキもいた。
あとなんつったけかな、あの冴えない男。
ぴ? ピ? ピンサロ大好きオナニー太郎みたいな名前の……。
まあ。
「なんだかんだで良い奴らだよ。きっとアーニャも気にいると思うな」
「そうか……アサギリくんは、きっと良い領主なんだろうな。えへへ」
アーニャは俺を見て目を細める。
いや、良い領主っていうか領主っぽい事をしたことないが。
「だんにゃしゃま……かっこいい」
とろっとろのセレナが抱きついてくる。
そんな時だった。
「て、敵襲ーーー!!」
馬車の外からそんな声が聞こえる。
はあ!?
もうそろそろセランディア村につこうかという場所で、敵襲?
んな馬鹿な。
馬車の窓から顔を出すと、慌てて戦闘隊形を整えようとするエルフ兵の姿が見えた。
エルフ兵たちは皆、一様に空を眺めていた。
怯えたように。
俺も思わず空を眺める。
曇天の空だった。
ゴロゴロと雷まで鳴っている。
そんな空にバサバサと。
百騎の竜騎士の姿。
そして、その中心に浮かぶのは黒いマントをはためかせた女。
「あーっははは! 怖いもの知らずのエルフ共が!!」
高笑いを浮かべるその女は、俺のよく知るメイドさんで。
――なんだかんだで良い奴らだよ。きっとアーニャも気にいると思うな。
そんなセリフをほざいた数秒前の俺を殴りたくなるほど。
カンナさんは板についた悪役っぷりを発揮していたのだった。
■あとがき
第三回キャラクター総選挙開催中です。10月いっぱいまで!
https://forms.gle/Hu2SsQkkPghJVzBZ8
中間発表!
セレナ(嫁吸血鬼) 707
カレリア(タクシー吸血鬼) 320
エスメラルダ(ルーナババおっぱい) 296
アーニャ(ルーナママ完堕ち) 290
ルーナ(嫁エルフ) 270
ソフィ(お色気人妻) 194
カンナ(お姉ちゃん吸血鬼) 142
スライム(漫画版で活躍) 137
野球バカ達(無職) 123
ピョン吉(ウサギ少女) 112
エレイン(説教セックス担当) 107
クリスティーナ(くっころエルフ騎士) 103
レッドアイズホワイトビースト(序盤最大の敵) 92
レティシア(不幸の権化) 90
ダン(筋肉) 71
ゼービア(剣聖なんちゃって彼女) 64
ヴァンダレイ(銃刀法違反) 58
メグ(おバカ元奴隷) 57
マリー(錬金老婆) 56
ステファニー(セレナ家庭師骸骨嫁) 52
シェイラ(出張中) 50
フェルミー(狂犬プリンセス) 42
オーガ(故) 38
フィリス(う○こ吸血鬼) 35
コウ(主人公) 32
アイリーン(王都の娼婦) 32
ジミー(セレナ家庭師骸骨) 25
ジャマール(軍人勇者) 24
鬼娘ちゃん(囚われのおっぱい) 23
リュディア(マゾダークエルフ) 22
ミレイ(嫁シスター) 21
王様(苦労人) 20
アン(天才幼女) 20
ダナン(乳ダークエルフ) 18
フェルちゃん(古龍だった女体化トカゲ) 16
キリア(ヒラババア汚名返上) 14
ラッセルズ(家族総出) 13
魔将グラーフ(チート魔族) 11
ダークエルフさんたち(アサギリハーレム) 11
エルフ王エクセリオン(人格者) 8
ニャン子(猫娘) 8
ロビン(農民反乱ジジイ) 7
ノリコ(ゴッド) 7
ヒルダ(絶賛サボり中) 7
中村巴(JK勇者) 6
ピート(ざこ) 6
クラウス(王国指輪職人 アサギリ恐怖症発動中) 5
グロッグ(エルベ山山賊頭※メグとミレイを捕まえてた人) 4
ケイト(コンビニのきれいなお姉さん) 4
カービン(カー坊) 3
スミス(セレナ家グール ベッドをぽんぽんしてくれる) 3
イーデ(ルーナNTR疑惑エルフ騎士) 3
ギルバート(ルーナパパ) 3
マンセル(ヴァンダレイジジイをヨイショしたオッサン友達) 2
アントニオ(セレナ家幽霊料理人) 2
オスカー(優しき木こりのエルダーリッチ) 2
ハンス(ケイトのエア夫) 1
アダルフィン(宮廷魔術師兼宰相 報われない) 1
王国魔術師協会員たち(セクハラが得意) 1
フィガロ・フィンデル(ガマガエル子爵) 1
イーノック・フィンデル(息子ガエル) 1
イーサン・デロニア(うざい男爵DV) 1
服屋のオネエ親父(意外と強キャラ) 1
グラード(セレナ家執事) 1
チャンピオン勇者(無口……URY) 0
この国に来てから色々あった。
ルーナとも、セレナとも結婚できたし。
カーチャンとエッチできたし、バーチャンの乳も揉めたし。
エッチな鬼娘ちゃんも捕まえることが出来た。
下半身的には大満足な旅であった。
満足したので、そろそろ家に帰ろう。
そんなこんなで帰り支度を済ませて、女達を連れて、ルーナ邸のバカでっかい玄関を開いた。
そこには1台のバカでっかい馬車が停まっていた。
真紅の光沢を放つボディ。
ずらりと並んだ体躯の良い馬が8頭も繋がれている。
ばくんと開かれた大きな入口からは、綺羅びやかな車内が覗ける。
なんか高そうな革張りのソファーと天井から下がったシャンデリアが見えた。
馬車と言うには、でかすぎるし、豪華すぎた。
外見の大きさから見て、多分うちの居間より車内である。
なんだろう。
このバブリーな馬車は。
紅くてかっこいいけど。
これもルーナんちの馬車なんだろうか。
金持ちすぎて引くわ。
ただ、車体に書かれた紋章が前と違うような気もする。
前に見たルーナんちの紋章は、某池袋にある有名大学の校章みたいなユリっぽいマークだった。
目の前の紅い馬車に描かれているのは、ギザギザの花びらを五枚つけた花のマーク。
紅いボディに銀色で描かれたその花のマークは際立った存在感を醸し出していた。
「なんだろう。あのマーク。お前んちの家紋じゃないよな?」
「うん。私も初めて見たな。可愛いけど」
とりあえず隣のルーナに聞いてみたが、知らないみたいだった。
そんな俺達の後ろに立つエレイン。
エレインからメラっと嫌なオーラが立ち上る。
あれ? なんか怒ってる!?
「……そうですか。知りませんか、お二人共。あの家紋に見覚えはございませんか……」
なぜかワナワナと肩を震わせてキレる寸前のエレイン。
なんか当たり前の事を言っていたので。
「「うん」」
ルーナと二人で頷いてみたら、ブチッとエレインのこめかみが音を立ててた。
あ、マジギレのやつだこれ。
「アサギリ家の家紋ですよ!!!」
「「えええ!?」」
ナ、ナンダッテー!
ブチギレたエレインは人差し指を突き立て、ルーナのぷにぷにとしたほっぺたをぐりぐりとえぐっている。
初めて見たわ。
つうか家紋あったのかアサギリ家。
と、思ったが、エレインが怒っていて怖かったので黙っておく。
「ふががが! 妻である私でさえ知らなかったんだぞ!」
ほっぺをぐりぐりされて喋りづらそうなルーナが必死にそんな事を言っていた。
「ちゃんとお二人にお見せしましたし、許可も頂きました!!! ……お二人共アレの最中か、直後だったので、私の話なんて聞いてなかったのかもしれませんが」
え、かけらも覚えてないわ。
アレ。
そう言われて思い当たることはセックスしかないので、思わずルーナと顔を見合わせてしまった。
そりゃまあエレインの話を聞いてなかったんだろう。
ルーナは頬を赤らめて照れていた。
かわいい。
「ア、アレしてる時だったら仕方ないな。私、コウのことしか考えられなくなっちゃうし……えへへ」
照れながら俺を上目遣いで見つめる妻。
可愛すぎて押し倒したくなる。
「あなたはいつも閣下のことしか考えてないでしょうが!!!」
「あうっあううううっ! ほ、ほっぺたをつんつんしちゃダメじゃないか!!」
ルーナが泣きべそをかき始めたので、とりあえず抱きしめておく。
まあアサギリ家の家紋があったのは驚きだが、それはいいとして。
「なんで花なんだ?」
紅い馬車に描かれていたのは見たことのない花だった。
自分の家紋なのに、俺と縁もゆかりもなさすぎた。
「え? そ、それはその……」
ふとした疑問を聞いたつもりだったが、ブチギレていたエレインが途端にモジモジしだす。
「閣下に家紋どうしますか?って聞いたら、お前の好きにしていいって言ってくださったので……」
エレインは垂れ下がったこめかみの金髪をテレテレと弄りながら、頬を桜色に染めていた。
妙に可愛かった。
「家紋を任せてくれるほど私のこと好きなのかなと思って……私の好きな撫子の花をモチーフにしてみました」
「なんでお前の好きな花になるんだ!?」
ぼそっと漏らしたエレインに、秒でつっこむルーナ。
「なんか文句ありますか? だったら正妻のあなたがもっとしっかり家紋を選べば良かったじゃないですか!?」
「あうううっ! つんつんダメって言ってるのに!」
そして秒で返り討ちにあっていた。
イラッとした顔でルーナのほっぺたをぐりぐりしていたエレインは、しかし、俺と目が合うと頬を赤らめる。
「わ、私の大好きな閣下の家紋なんですから……私の好きな花にしたっていいじゃないですか」
え、かわいい。
ルーナに説教しながらの照れ告白とかずるい。
「そうか。ありがとうな、エレイン」
「閣下……」
とりあえず俺には可愛いエレインを抱きしめることしか出来なかった。
「えええええ!?」
ルーナはうるさかったが。
まあ、家紋はこれでいいだろう。
俺になんか好きなマークを考えろって言われていたら、高確率でおっぱいのマークとかにしただろうから。
「ちなみに、家紋は撫子の花ですが、アサギリ家の色は閣下の鎧をモチーフに真紅にしてみました。真紅に銀地のダイアンサス。アサギリ家は今後この家紋を使用していきます。ちゃんとラグニード王国、エルフィニア王国ともに紋章として登録済みです!」
腕の中に収まったエレインが、メガネをキラリとさせながら説明してくれる。
なるほど。
この馬車の真紅のボディは俺の鎧の色だったのか。
俺の鎧の色という事は、セレナの血の色である。
一見派手にも見えるが、落ち着いた深みのある赤。
俺の好きな色だった。
馬車の前方には、垂れ幕のような、縦長の旗を掲げたエルフ兵の姿も見えた。
真紅の垂れ幕に銀色の撫子の花のマーク。
結構かっこいいかもしれない。
旗なんか作ってどうするんだろうっていう気もするが。
「戦場に行く時や、王都へ行く時なんかにアサギリ家をアピールするんです! 民達や、他の貴族たちも、やがてこの旗に敬意や畏怖を覚えるようになります。ちなみに、真紅の色については、ちゃんとセレナ様の許可も頂いております。ねえ、セレナ様?」
「え、ええ……」
話を振られて、ルーナと同じく俺の隣にいたセレナがぼーっとしながら答える。
俺の鎧はメイドインセレナなので許可を貰うのはいいとして。
結婚してからというもの、セレナはずっとこんな調子だった。
なんというか、いつもふわふわしている。
熱でもあるかのように頬を上気させて。
吸血鬼が体調を崩すわけないのだが、心配である。
「大丈夫か、セレナ?」
「はわっ! だ、だんにゃしゃま……!」
頬に触れると、瞬間湯沸かし器のように沸騰していくセレナ。
顔がどんどん真っ赤になっていって心配である。
はわって。
そんなセリフ今までセレナから聞いたことなかったのだが。
「もう!!」
そんなセレナの様子を見ていたルーナが、バシッとセレナの頬に触れた俺の手を払った。
突然、何を。
「お前はいつまで目をハートマークにしているんだ!?」
「ええ!?」
ルーナに指摘されて、はっと我に返るセレナ。
そんな目がハートマークなんて、漫画じゃないんだから。
「べ、別にハートマークなんて浮かべてないわよ! わ、私はただ妻として旦那様の……だ、旦那しゃまの……だんにゃしゃま……」
一瞬キリッとしたセレナ。
俺を見つめると、途端に口元が歪み、目が潤んできて。
紅い瞳の奥にピンク色の……あれ? ハートマークだ。ハートマークだなこれ。
「だんにゃしゃま、かっこいい……私のだんにゃしゃま……」
目にハートマーク浮かべる女、エロ漫画以外で初めて見た。
ちょっと感動モノである。
「私、だんにゃしゃまにぎゅーってしてほしい……してくれないなら……もう死ぬ」
なんか妙な事を言っているので不安になるが。
ちょっと毎日激しく抱きすぎただろうか。
まあ、ぎゅーっとしてやるが。
「!!!!! ふわっ! うっううううう―――!!!」
抱きしめた瞬間、セレナはびくんびくんと震えると、ふにゃーっと全身の力を抜いてしまった。
え、何この反応。
「……だんにゃしゃまいい匂い……しあわせ……」
また妙な事を言いながら、セレナはクタッと目を閉じる。
どうしよう。
冷や汗が出てくる。
この女、これから大丈夫なんだろうか。
「つ、疲れてるのかな? 先に馬車に入って休め? な?」
「ルーナお嬢様、私が」
いつもだったら嫉妬に狂うルーナにまで優しく介抱されていた。
カレリアさんと一緒にクタッとしたセレナを馬車に運んでやっている。
馬車のタラップのようなところにカツっと足をかけたカレリアさん。
くるっと振り返って、その切れ長の瞳で俺を睨んだ。
「アサギリ様。その圧倒的なお力で大陸に敵なしだったセレナお嬢様をこんな風にしたケジメ。ちゃんと取ってもらいますからね! ゆめゆめお忘れなく!」
ええ!?
なんかカレリア姉さま怒ってる?
ケジメて。
ちゃんと結婚したのにこれ以上どうケジメをとれというのか。
無理難題を言う金髪メイドさんだった。
「はっ!! 今きづいた!!」
そんな時、ルーナがそんな事を言いながら長耳をピンとさせていた。
「エレインの家紋に、セレナの色。……アサギリ家の紋章なのに私の要素が1個も入ってない!!! 私、妻なのにー!!!」
ものすごくどうでもいい事だった。
「まあまあ、正妻がそんなことで文句を言っちゃダメだ。度量が疑われるぞ」
「お母様……」
そんな事を言いながら玄関から出てきたのは、アーニャだった。
プラチナブロンドの美しい人妻エルフ。
さすが夫の浮気を長年黙認してきた妻は、言うことが違う。
「……こ、これからはもう我慢しないけどな。ちゃんと毎日愛してくれなきゃダメだぞ?」
アーニャは耳元でそんな事を囁いていた。
さすが毎日俺の子種を注ぎ込んだ人妻は、言うことが違う。
普通にエロい。
これからも毎日中出しせねば。
「お母様?」
「こほん、そ、それよりどうかな、アサギリくん? この馬車、急いで作らせた割にはなかなかの出来だろう?」
ルーナの手前、急に取り繕った事を言い出す人妻。
とは言え、普通に馬車の出来は素晴らしかった。
アーニャが作ってくれたらしい。
素直に頷いておく。
「ふふ、我がエリシフォン家の抱える腕利きのドワーフ職人に作らせたんだ。アサギリくんちにも同行させるから、楽しみにしているんだぞ!」
アーニャはそんな事を言いながら、馬車に乗り込んでいく。
どさくさに紛れて、そのデカい尻を撫でてみると、アーニャは嬉しそうに笑った。
「……アサギリくんの領地楽しみだな。そこでの暮らしも」
アーニャは色気たっぷりに微笑むと、馬車に乗り込んでいく。
そこでの暮らしでナニしてくれるんだろう、と期待に胸が膨らむ。
人妻の色気の凄まじさに、頭がくらくらした。
「……まったく。なんで妾まで行かねばならんのじゃ」
そんなアーニャの後ろを、ぶつぶつと文句を言ったエスメラルダさんが続く。
ばるんっばるんっとそのでかすぎるおっぱいを揺らしながら。
人妻以上に人婆の色気は凄まじかった。
とりあえず、エスメラルダさんのムッチムチの尻も撫でておいた。
「このスケベ!!」
普通に殴られた。
HPも減ったが、このアサギリ・コウに一片の悔い無し!
「おい!!! なんでお母様とお祖母様のお尻を触るんだ!? お前のお尻はこれなんだから、これを触らなきゃダメじゃないか!!!」
ルーナが泣きついてくる。
嫁尻を触れば、義母尻と義祖母尻を触ってもいい理屈がわからなかったが、小ぶりながらもさわり心地の良い嫁尻をギュムギュムと揉む。
さわり心地は相変わらず、極上だった。
「うんうん。上手だぞ、えへへ」
尻を揉むと、嫁はなぜか上機嫌になる。
可愛い嫁だった。
結構ふっくらしてきたお腹を持つ妊娠嫁だが、尻を触って良いのだろうか。
マリーババアが興奮させてもいけないって言ってたような。
そんな心配をしつつ、ルーナも馬車に乗せる。
これで馬車にはセレナ、カレリアさん、アーニャ、エスメラルダさん、ルーナと5人も乗っているが、まだまだ馬車には余裕があった。
どんだけデカい馬車なんだよ。
他にもエレインも乗せるつもりだった。
誰か忘れてないかな。
フィリスとフェルちゃんがいなかったが、まああの二人なら大丈夫だろう。
というか、フェルちゃんってどこ行ったんだろう。
しばらく見てない気がする。
どこで油売ってんだあのトカゲは。
フェルちゃんがいれば、馬車に乗って帰らなくてもひとっ飛びなのに。
いや、カレリア姉さまがいるか。
あのトカゲに乗るより、カレリア姉さまに頼めば一瞬である。
「ダメです。エルフ兵千騎と共に、アサギリ家の家紋がついた馬車で凱旋する。これはエリシフォン家の姫君を娶って、エルフの窮地を救った事を内外に報せる行事でもあるのです。時間かかってもいいので、ちゃんとセランディアまで凱旋してください!」
エレインにそんな事を言われてしまった。
言ってること1ミリも理解できなかったが、エレインに怒られそうなので従っておく。
「それより閣下はどうされます? 奥様方と一緒に馬車で行かれますか? それともご愛馬で先頭を行かれますか?」
はて、ご愛馬?
と首を捻っていると、パカパカとファラチオを連れたクッコロさんがやってきた。
愛馬ってあれだろうか。
あんなエロい触手の生えた馬が愛馬とか辞めてほしいのだが。
美女だらけの馬車に乗らないで、エロ馬に乗る選択肢などあろうはずがない。
「……馬車で行くわ。行こうぜ、エレイン」
「え? わ、私は臣下なので別の馬車で参ろうかと……」
なぜか遠慮しだすエレインの手を強引に取る。
臣下? 何言ってんだこの女は。
「お前は俺の女だろ? 俺の傍にいろ」
「か、閣下……」
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そんなエレインの手を引いて、豪華な車内へ。
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「ファラチオはクッコロさんに任せますから! 乗ってきていいっすよ」
「グギャ!!」
「ええええええ!? ちょ、ちょっと!? やめて! 触手で触らないで――! あっ、こら、くっ――殺せ!!!」
仲の良さそうな一頭と一人の声を聞きながら、俺は馬車に乗り込んだのだった。
馬車の旅は、びっくりするほど快適だった。
全然揺れないし。
ソファーは極上の座り心地だし。
美女だらけだし。
「……だんにゃしゃま」
俺は目にハートマークを浮かべたセレナを片手で抱きしめ、もう片方の手ではルーナ――。
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「……ごめんなさい、お祖母様」
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普通にグーで殴られた。
そして、ルーナは現在、正座しながらお説教を受けている最中である。
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「これから母になろという女が、エロいことばっかりしおって!! お前は昔からポンコツじゃったが、今日という今日は……」
「エロいことばっかりしてごめんなさい、お祖母様。うう、ぐすっ」
なんだろう。
エスメラルダさんの説教は迫力があるのだが、エロエロ言ってるとなんか微笑ましく見える。
「……ところで、アサギリくんの領地はどんなところなんだ?」
孫婆のせいで妙な雰囲気になりつつある車内で、アーニャがそんな世間話を始める。
ここはアーニャに乗っかるべきだろう。
しかし、領地か。
ふむ。
「そうだな。何もないところだけど……」
一月ぶりに帰るセランディア村。
残してきた奴らは元気だろうか。
ミレイ、カンナさん、メグに、リュディア達。
ヴァンダレイ爺とアン、ソフィさんと筋肉、ケイトさんや、ニャン子とピョン吉。
その他の村人達の顔が思い浮かぶ。
カー坊なんてエロガキもいた。
あとなんつったけかな、あの冴えない男。
ぴ? ピ? ピンサロ大好きオナニー太郎みたいな名前の……。
まあ。
「なんだかんだで良い奴らだよ。きっとアーニャも気にいると思うな」
「そうか……アサギリくんは、きっと良い領主なんだろうな。えへへ」
アーニャは俺を見て目を細める。
いや、良い領主っていうか領主っぽい事をしたことないが。
「だんにゃしゃま……かっこいい」
とろっとろのセレナが抱きついてくる。
そんな時だった。
「て、敵襲ーーー!!」
馬車の外からそんな声が聞こえる。
はあ!?
もうそろそろセランディア村につこうかという場所で、敵襲?
んな馬鹿な。
馬車の窓から顔を出すと、慌てて戦闘隊形を整えようとするエルフ兵の姿が見えた。
エルフ兵たちは皆、一様に空を眺めていた。
怯えたように。
俺も思わず空を眺める。
曇天の空だった。
ゴロゴロと雷まで鳴っている。
そんな空にバサバサと。
百騎の竜騎士の姿。
そして、その中心に浮かぶのは黒いマントをはためかせた女。
「あーっははは! 怖いもの知らずのエルフ共が!!」
高笑いを浮かべるその女は、俺のよく知るメイドさんで。
――なんだかんだで良い奴らだよ。きっとアーニャも気にいると思うな。
そんなセリフをほざいた数秒前の俺を殴りたくなるほど。
カンナさんは板についた悪役っぷりを発揮していたのだった。
■あとがき
第三回キャラクター総選挙開催中です。10月いっぱいまで!
https://forms.gle/Hu2SsQkkPghJVzBZ8
中間発表!
セレナ(嫁吸血鬼) 707
カレリア(タクシー吸血鬼) 320
エスメラルダ(ルーナババおっぱい) 296
アーニャ(ルーナママ完堕ち) 290
ルーナ(嫁エルフ) 270
ソフィ(お色気人妻) 194
カンナ(お姉ちゃん吸血鬼) 142
スライム(漫画版で活躍) 137
野球バカ達(無職) 123
ピョン吉(ウサギ少女) 112
エレイン(説教セックス担当) 107
クリスティーナ(くっころエルフ騎士) 103
レッドアイズホワイトビースト(序盤最大の敵) 92
レティシア(不幸の権化) 90
ダン(筋肉) 71
ゼービア(剣聖なんちゃって彼女) 64
ヴァンダレイ(銃刀法違反) 58
メグ(おバカ元奴隷) 57
マリー(錬金老婆) 56
ステファニー(セレナ家庭師骸骨嫁) 52
シェイラ(出張中) 50
フェルミー(狂犬プリンセス) 42
オーガ(故) 38
フィリス(う○こ吸血鬼) 35
コウ(主人公) 32
アイリーン(王都の娼婦) 32
ジミー(セレナ家庭師骸骨) 25
ジャマール(軍人勇者) 24
鬼娘ちゃん(囚われのおっぱい) 23
リュディア(マゾダークエルフ) 22
ミレイ(嫁シスター) 21
王様(苦労人) 20
アン(天才幼女) 20
ダナン(乳ダークエルフ) 18
フェルちゃん(古龍だった女体化トカゲ) 16
キリア(ヒラババア汚名返上) 14
ラッセルズ(家族総出) 13
魔将グラーフ(チート魔族) 11
ダークエルフさんたち(アサギリハーレム) 11
エルフ王エクセリオン(人格者) 8
ニャン子(猫娘) 8
ロビン(農民反乱ジジイ) 7
ノリコ(ゴッド) 7
ヒルダ(絶賛サボり中) 7
中村巴(JK勇者) 6
ピート(ざこ) 6
クラウス(王国指輪職人 アサギリ恐怖症発動中) 5
グロッグ(エルベ山山賊頭※メグとミレイを捕まえてた人) 4
ケイト(コンビニのきれいなお姉さん) 4
カービン(カー坊) 3
スミス(セレナ家グール ベッドをぽんぽんしてくれる) 3
イーデ(ルーナNTR疑惑エルフ騎士) 3
ギルバート(ルーナパパ) 3
マンセル(ヴァンダレイジジイをヨイショしたオッサン友達) 2
アントニオ(セレナ家幽霊料理人) 2
オスカー(優しき木こりのエルダーリッチ) 2
ハンス(ケイトのエア夫) 1
アダルフィン(宮廷魔術師兼宰相 報われない) 1
王国魔術師協会員たち(セクハラが得意) 1
フィガロ・フィンデル(ガマガエル子爵) 1
イーノック・フィンデル(息子ガエル) 1
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