ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記

油揚メテオ

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第六章 エルフ王国編

第240話 助っ人参戦

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 戦の準備はとんとん拍子で進んでいった。

「婿殿にはエリシフォン家の有する精鋭8万を預ける。副官にはナーシャをつけよう。それで、南のコレート砦を攻めてほしい。妾は王国騎士団を率いて北を攻める。軍団の編成に1週間ほどかかる。それまで英気を養われよ」

 エスメラルダさんにそんな事を言われて、8万の軍団の指揮官になってしまった。
 8万て。
 俺が部下を率いたことがあるのは、社畜時代に20人ほどのチームのリーダーをやった時くらいだ。
 30人月の仕事だった。
 上司に人手を出してくれと頼んだたら、20人の新人を出してくれた。
 計算が合わない上に新人とか舐めんてんのかと思った。
 案の定、地獄を見た。
 まあ、そんな過去のトラウマは置いておいてである。
 俺に8万人の指揮なんて出来るわけないよね。
 よしキリアに全部ぶん投げよう。
 脳裏に便利なババアの顔を思い浮かべていたら。

「残念ながら、キリアさんたちを出撃させることはできません」

 エレインにそんな事を言われしまった。
 なんで??

「今回の戦が終わるまでは、アサギリ家とエリシフォン家の同盟は結ばれないからです。同盟が結ばれる前に、アサギリ家がエルフの戦に助力したらまずいのです。そんな事をしたら、閣下がエルフ王国で傷害・器物損壊・セクハラ事件を起こして、罰として戦に出ることがバレてしまうじゃないですか。伯爵家になることが内定しているアサギリ家にとって、そんな醜聞はまずいんです。キリアさん達竜騎士なんて出したら一発でアサギリ家だとわかってしまいます。駄目でしょう? ていうか、セクハラってなんですか? よその女にセクハラするなら私にすればいいじゃないですか! 閣下のバカ!」

 ややキレ気味のエレインにそうまくしたてられては、何も言い返すことができなかった。
 ただ、ごめんなさいとしか言えない。
 ていうか、セクハラなんてしてないのに。
 ちょっとおっぱい見ただけなのに。

 じゃあ、俺一人で参戦しなきゃいけないんだろうか。
 なにそれ寂しい。
 しかも、つまんない。
 ダークエルフの皆さんと暇なときにセックスをする。
 それだけが戦争の楽しみだったのに。

 そんな事を考えて、俺がしょんぼりしていると。

「あるじ! あるじー!!」

 上空からぱたぱたと脳天気な羽音が聞こえてくる。
 やってきたのはフェルちゃんだった。
 青色のボサボサ髪にやたら整った顔立ち。
 白い布切れに穴を開けましたみたいな杜撰な貫頭衣を身にまとっている。
 ひらひらとした裾からは、健康的なしましまパンツがチラチラと見える。
 今日のフェルちゃんは15歳位の見た目のややロリモードだった。
 見る度に年齢が変わるのはどうかと思うのだが、トカゲなので仕方ない。
 というか、気になるのはその胸が慎ましやかなCカップくらいである事。

「お前、あの爆乳はどうしたんだよ? それだけがお前の取り柄だと言うのに」

「ええ!? 久しぶりに会ったのに、最初に言うことがそれ!?」

 フェルちゃんはなぜか戸惑っていた。

「あ、あのおっぱいでいると吸血鬼がすぐにケンカを売ってくるから……」

 セレナか。
 そう言えば、フェルちゃんの爆乳を見て気絶していたっけ。
 気にすることないのに。

「吸血鬼には内緒だぞ……?」

 もじもじとそんな事を言ったフェルちゃんの胸部がズガンと膨れる。
 これだよ、これ。

「ふふ、可愛い奴め」

 とりあえず揉みしだく。
 柔らかい。
 乳首ないのが腹立つが。

「あっ! あるじ!! あるじが我を愛してくれてる!!」

 フェルちゃんはなぜか涙を浮かべて喜んでいた。
 なんか哀れである。
 ていうか、何しに来たんだろう、このトカゲ。
 暇なんだろうか。

「コウ様のお手伝いに来たんです。この私と、その古龍でー」

 何やら聞き覚えのある声に振り向くと、がしょんがしょんと黒い全身鎧を来た小柄な騎士が歩いてくる。
 やたらでかい黒い馬の手綱を引いて。

「まったく! 一緒にカレリア姉様に転移させてもらったのに、一人で飛んでいっちゃうんですからー!」

 全身鎧さんはプンスカ怒っていた。
 その声の人物を、俺は知っていた。

「……フィリス?」

「はい! コウ様の公衆便所フィリスです! お手伝いにきましたよー!」

 自ら公衆便所を名乗るとか頭がおかしい。
 このキ○ガイさは、フィリスに違いない。

「……なんでそんな鎧着てんの?」

「赤月の盟約のせいで、吸血鬼が魔族と戦ってるってバレちゃまずいですからねー! セレナお嬢様と姉様たちと相談して、私が変装してコウ様のお手伝いをすることになったんです。筋肉のみで戦う私ならバレないだろうってー」

 まあ、深淵魔法をガンガン使うセレナたちに比べたらバレにくいだろうが。
 ていうかその全身鎧は変装なのかよ。

「我もこの姿なら、正体が崇高なるエンシェントドラゴンだとは誰も思わないだろうからな!」

 フェルちゃんがバカでかい胸をズドンと張って、偉そうにしていた。
 まあ確かにトカゲには見えないかなあ?
 羽根としっぽがピコピコ動いているけど。

「私が着ているこの鎧は、動く鎧リビングアーマーのマクレガーさんです。荒野をさまようのが趣味のアウトドア派のいなせな鎧さんなんですよー!」

「……自分、不器用っすから」

 ちょこちょこと可愛らしく動くフィリスから、急に渋いおっさんの声が聞こえた。
 今のが動く鎧リビングアーマーのマクレガーさんなんだろうか。
 セレナんとこのびっくり人間にしては喋れるだけマシなのだが、今、不器用って言う必要があったのか疑問である。
 本当に不器用なんだろうな。

「……で? お前が連れているその馬は?」

 フィリスが手綱を握った黒い馬。
 馬にしてはバカでかく3メートルはありそうな巨体。
 足が8本な時点で、正体はなんとなくわかるのだが。
 なんか尻からうにょうにょと触手みたいなのが生えているのが気になった。

「ファラチオですよー! 私が鍛え上げた結果、魔獣として見事に進化しました!」

「誰が触手を生やせと言った」

「あいたー!!」

 とりあえず、フィリスにチョップで突っ込んでおいた。
 兜に当たって、手がガキンとなったのだが痛覚耐性のお蔭で痛くはなかった。

「GRUUUUUU!」

 ファラチオが邪悪に唸っている。
 真っ赤な瞳で、牙をむき出しながら。
 その尻からは卑猥な黒い触手が2本、うにょうにょと。
 この触手。
 なんかサキッチョがちんこみたいな形で、白い粘液をぷしゃぷしゃと吹き出している。
 なにこれエロい。
 ファラチオ……。
 ゼービアさんにもらった時は、白い綺麗な馬だったのにな。
 もう絶対にゼービアさんに見せられないじゃん。

「私達が来たからには、大船に乗った気持ちでいてくださいねー!」

「我に全て任せるがいい! あっはは!」

 背格好の似たフィリスとフェルちゃんがドヤ顔をしていた。
 2人とも小柄なので、全然頼りになりそうにない。
 まあ、中身がぶっ飛んでんのはわかってるんだけどさ。
 戦にはこの3人で臨むことになりそうだ。
 なんとかなるだろう、きっと。


 そういえば、没収されていたセレナ鎧とかラグニードを返してもらった。
 一応持ってきた荷物も一緒に。
 それは、高そうな小箱だった。
 中に入っているのは、ルーナとの結婚指輪。

「あ、ルーナ。これ出来たんだ」

「ん? なんだー?」

 さっそくルーナに見せる。
 楽しみにしていたから。

 小箱を開けると、溢れ出す光。
 至宝と言っても良いブルーダイヤモンドの輝き。
 ルーナの瞳によく似ている。

「こ、これ……」

 指輪を見たルーナが震えていた。
 予想以上の完成度だったらしい。
 わかるよ。
 俺も震えたもん。

「つけてやるよ。左手を出せ」

「う、うん……ぐすっ」

 感極まったのか、涙を浮かべるルーナのほっそりした左手を取る。
 長く美しい薬指をさすり、指輪を――。

「待て待て! そういうのをこんな場所で渡すんでないわ!」

 ――つけようとしたら、エスメラルダさんに止められてしまった。
 今良いところだったのに。

「戦が済んだら、ちゃんと結婚式を執り行う。エルフィニア大聖堂でな。それまで待つんじゃ」

 エルフィニア大聖堂。
 あそこで結婚式とかすげえ気まずいんだけど。
 俺が大暴れした場所じゃんね。
 殴り飛ばした新郎さん大丈夫だろうか。

「お祖母様……ぐすっ、ありがとう」

 ルーナが嬉しそうに笑顔を浮かべる。
 花が満開に咲いたような、美しい笑顔だった。
 幸せそうで、嬉しい。

「……良かったわね」

 セレナがそう言って、ルーナの頭を撫でている。
 こっちも笑顔だったが、ややぎこちないと言うか。
 複雑そうな顔をしているのが気になった。
 心なしか、その顔はいつもより青白い気がする。
 血が足りていないんだろうか。
 まあ、戦までやることないし、セレナとセックスでもして過ごすか。
 ふふふ。楽しみである。



 夜更け。
 皆が寝静まり、広間にはエスメラルダとギルバートだけが残されていた。
 エルフの英雄と入婿の当主。
 2人は、静かに酒盃を重ねる。

「……時に義母上」

「なんじゃ、ギルバートよ」

 義理の息子に、エスメラルダは煙管をふかしながら切れ長の瞳を送る。

「前回、ナーシャさんが10万の兵で失敗した戦に、たった8万で向かわせるのはあのチンパンには酷なのでは……?」

「なんじゃ、婿殿が心配なのかえ? あんなに嫌っておったのに」

「い、いえ。ナーシャさんも出陣しますし、ルーナちゃんが悲しみますし……」

「……仕方ないのじゃ。今出せる兵力は8万で精一杯。妾など3万の王国軍を率いて北の砦を攻略するのじゃぞ?」

「いえ、義母上の心配はしておりませんが」

「ほう。言うようになったな。妾がどうなってもいいと?」

「い、いえ! 義母上ならお一人でも砦を落とせそうですので……」

 エスメラルダの鋭い視線に、ギルバートは酷く怯えた。

「そこじゃ、ギルバートよ。問題は兵力ではない。仮に、であるが、10万の兵で妾を討てと命じられたら、お主はやるかえ?」

「全力で断ります!!!」

「……そういうことよ」

「……あのチンパンが10万の兵に匹敵すると?」

「少なくともセレナは100万の兵にも匹敵する。……婿殿がどれほどかは、知らぬが、あのセレナが懸想する相手。只者ではあるまい」

「……賭け、ですな」

「うむ。賭けじゃな。今、8万の兵力を失ったら、少なくともエリシフォン家は破滅じゃ」

「あのチンパンに賭けるのは甚だ不安ですが」

「なんなら、お主が婿殿の代わりに出撃してもよいのじゃぞ?」

「全力で断ります!!!」

 清々しいまでにあっさりと首を振るギルバート。
 エスメラルダはやれやれと思いながら、酒盃を煽った。
 夜は更けていく。
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