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第五章 領地発展編
第167話 エレインの猛威 ④
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エレインさんが、今度は農場が見たいと言い出したので、ミレイに案内を頼むことにした。
「丁度、種付けをしようとしてましたので、いいですよ」
「……なぜこんな真冬に種付けを?」
2人の美女が種付けとか言っているので、俺は興奮した。
なぜ突然、下ネタを言い出したのだろうか。
いや、大変結構なのだが。
「それでは、行きましょうか」
ミレイが俺の腕を取って歩きだす。
腕が柔らかい感触に包まれて気持ちよかった。
そんな俺達からだいぶ離れて、エレインさんがついてくる。
まだ警戒されているようだ。
俺はこんなに人畜無害なのに。
「あんっ、もう……コウさんのエッチ!」
ミレイの乳を揉みながら、そんな事を考えた。
「……ところで、コウさん。新しい女の子を作るのは構いませんけど……そ、その、私の事もちゃんと可愛がってくださいね?」
ミレイはそう言って、エレインさんをチラチラ見ながら不安そうな顔を浮かべる。
俺としたことが。
ミレイにこんな顔をさせてしまうとは……。
なんたることだっ!!
日々の抱き方が足りなかっただろうか。
今後は子宮が破裂するくらい中出ししてやらねば。
「い、いえ……その……今は私に夢中になってくれているのはわかります。でも、10年後とかが心配なんです。だって、ルーナさんもセレナさんもリュディアさんもずっと若いままだっていうじゃないですか……私だけどんどん老けちゃって、その上、コウさんが女の子をどんどん増やしていったら、私なんか飽きられちゃうじゃないですか……」
そして、ミレイは深くため息をついた。
チートなルーナ達は置いておいて。
ふむ。
10年後か。
今、確かミレイは24だって言ってたから、10年後は34か。
え、全然抱けるよ?
色気が増していい感じだと思う。
更に10年後は44だけど、余裕で抱ける。
熟女らしさが少し出てきた頃だろう。
むしろ美味しそうだ。
更に更に10年後は、54だ。
普通ならきついけど、五十路ミレイなら絶対に抱ける。
一体、何を不安に思うことがあろうか。
「……今、54歳になったミレイまで想像してみた。さあ、触ってごらん?」
そして、ミレイの手をとって俺の股間に当てさせる。
「……あっ、か、固いです」
ミレイの声は嬉しそうで、そのまま俺の息子をすりすりしてくれた。
ちょっと尋常じゃなく変な気分になってきた。
「ミレイがどんなにババアになっても毎日抱いてやるから覚悟しろ」
「……はい。ふふっ、毎日抱いて下さいね?」
そう言って、ミレイが嬉しそうに抱きついて来る。
可愛かった。
もうこのまま押し倒そうかな。
「……なんか今のセリフ、一緒に歳を取ろうねって言ってくれたみたいで……すごく嬉しかったです。……そ、その、ずっと一緒にいてくださいね?」
そう言って、照れながら俺を見つめるミレイ。
もう堪らなかった。
「ミレイ!!」
「きゃっ!」
ミレイを強引に抱き寄せて、スカートの中に手を滑り込ませた。
ぷりっとした生尻を揉みながら、パンツの紐に手をかける。
もう挿れちゃうしかないと思うんだ。
ここは外だし、普通に人の目もあるけど、ミレイが可愛すぎるので仕方ない。
「……コウさん」
ミレイもまんざらじゃない顔をしていたのだが。
「……私、お婆ちゃんになるまでに、コウさんの赤ちゃんいっぱい産みますね」
恥ずかしそうに顔を赤らめたミレイ。
可愛いので結構なのだが。
突然、そんな萎える事を言われても……。
いつも元気な息子がしゅんとしてしまう。
こういう時に赤ちゃんとかリアルな言葉は禁句だと思うんだ。
マナー的に。
「……あ、あの、脱がせてくれないんですか?」
パンツの紐に手をかけたまま、ピタッと止まってしまった俺を急かすように、ミレイが尻をふりふりと振る。
くそ、エロいことしやがって。
ミレイが変な事を言い出したせいなのに。
ここは一つ、言っておかなければなるまい。
「ミレイ? エッチの前に赤ちゃんとか言っちゃダメだ。それが大人のルールだぞ?」
大人というか、俺が所属する日本クズ連盟(ヒモ、女衒ホスト、博打狂などが所属)のルールだが。
「ええ!? そ、そうだったんですか? ごめんさい……でも、そろそろコウさんにもパパになる準備をしてもらわないといけないですし……」
ミレイが更に怖いことを言い出した。
俺の息子が萎むどころの騒ぎじゃなく、ミイラ化しそうだった。
え? 今、なんて?
そろそろ?
こ、この俺にパパになる準備など必要であろうか、いやない。
だいたい、アレだもん。
俺そんな危険を犯してないもん。
中出しはしているが。
ルーナじゃないが、俺だって一応大卒だ。
危険日の計算くらいできる。
そう、危険日を避ければ中出しは安心安全の行為なのだ!
「……あ、あの……昨日、私、危険日だったって知ってます?」
自分に言い聞かせるような思考が言葉に出ていたようで、不安そうな顔をしたミレイがそんな事を言っていた。
昨日はいつものようにミレイをタプタプにした。
そんな日が危険日とか、何をバカな事を言っているんだろう。
ええと、ミレイのあの日が終わったのがだいたい1週間くらい前だから……。
…………。
あれ。
昨日は危険日ですな。
アウトじゃね?
…………。
というか、物凄く摩訶不思議な事に気づいた。
危険日だからって中出しを控えた記憶が全くない。
というか、ミレイを抱いて、中出しをしなかった日がない。
もっと言うと、ルーナもセレナもリュディアもカンナさんもダークエルフたちも中出しをキメてない日がない。
あれ?
俺って結構ヤバイんじゃ……。
「だ、大丈夫ですよ! コウさんはあんまり難しい事を考えないほうがいいです! ほ、ほら、パンツ脱ぎましたよ? エッチしましょう?」
思わずしょんぼりしていたら、スルスルとパンツを脱いだミレイが、優しく抱きしめてくれた。
ミレイは柔らかくて、暖かくて、いい匂いがした。
そんなミレイの感触に、ミイラ化していた息子がメキメキと復活する。
まあ、そうだよね!
難しい事、考える必要ないよね!
今日も危険日な気もするけど、このままミレイを押し倒して中出ししよう。
今まで大丈夫だったのだ。
きっとこれからも大丈夫だろう。
アレだ。
過酷な社畜SE生活を送っていたから、電磁波で子種が死滅しちゃったんだろう。きっと。
ミレイの豊満な胸元に顔を押し付けながら、そんな科学的分析をしてみた。
きっと当たっているだろう。
「…………ご、ごほん! ……そろそろ私もいることに気づいて頂けますか?」
ミレイの服を剥ぎ取ろうとしていたら、後ろからそんな声をかけられた。
後ろに立っていたのは、真っ赤な顔で気まずそうにしていたエレインさんだった。
そういえば、エレインさんもいたんだった。
「……エレインさんも混ざりますか?」
「バカですか!? 混ざるわけ無いでしょう!? というか、こんな道端で何をしているんですか!? 変態変態!! 女の敵!!! あと、変態!!」
とりあえず誘ってみただけなのに、変態を連呼された。
たしかにここは道端だが、まだ挿入もしてないのに。
それなのに変態とかマジ遺憾なんだけど。
「だ、大丈夫です! コウさんはちょっとエッチなだけで、変態なんかじゃないですよ?」
ミレイがそう言って胸元に俺の顔を抱き寄せたまま、頭をなでなでしてくれた。
だよな?
俺はちょっとエッチなだけなのに……。
しょんぼりしながら、顔を挟んでくれているミレイの乳を揉む。
ふにふにしたミレイの乳の感触は良い。
柔らかさでいったら俺の女たちの中でも随一だ。
「だから! なんでそこで……じょ、女性のアソコを揉むんですか!? 公序良俗に反します! ……というか、この村に来てから、あなたが公序良俗に反していない姿を一度も見てないのはどういうことなんですか!?」
エレインさんが真っ赤になりながら怒っていた。
というか、女性のアソコは乳じゃないと思うのだが。
「と、とにかく、今は農地の視察に行くところなんです! そ、そういうことは夜になさってください!」
そういえばそうだった。
エレインさんをミレイ農園に案内するところだったのだ。
というか、夜はルーナを抱くので、ミレイを抱くのは今しかないのだが、エレインさんは何を言っているのだろう。
まあ、今はミレイ農園に案内するのが先かなあ。
名残惜しいが、ミレイの胸元から顔を起こす。
その時、ミレイの脱いだパンツが地面に落ちているのが目についたので、拾ってポッケにしまっておいた。
こんな所に放置していたらまたカー坊にパクられてしまうからな。
「いえ、スースーするので返して頂きたいのですが……」
ミレイが不安そうな顔でそんな事を言っていた。
ノーパンミレイとかそそる。
後でめちゃくちゃに犯してやろうと思う。
そんなわけで3人でミレイ農園にやってきた。
先日、収穫を終えたばかりの畑は空っぽだった。
野菜を収穫した後は、茎や葉っぱなどが残るが、最近は火魔法で全部燃やしている。
燃えカスは1日もすれば、土に戻り、今は黒々とした土が見渡す限り広がっていた。
本当に農業って案外楽だ。
「コウさん、何か食べたい野菜はありますか?」
畑の傍に作った倉庫で、ミレイが野菜の種を物色していた。
「うーん、トマトかな」
倉庫には様々な種類の野菜の種が保管されている。
最近はコンビニ店主のケイトさんが珍しい種も仕入れてくれるので、育てられる野菜がぐっと増えた。
「トマトですね。ええと、あとはダンさん希望のニンニクと、メグさんが好きなバナナと……」
ミレイがひょいひょいと種を見繕っていく。
ふとバナナって畑で取れるのだろうかと思ったが、ミレイ農園はなんでも育つので大丈夫だろう。
やっぱり美人が育てると野菜もよく育つらしい。
「……ツッコミどころが満載すぎて、つい呆然としてしまいましたが、作物の季節って理解されてます? というか、バナナって南国でしかとれない高級フルーツですよね?」
エレインさんがそんなことを言っていた。
でも、バナナなんて南国じゃない日本のコンビニにも売ってるじゃんか。
きっとどこでも育つんだって。
「じゃあ、種を撒いちゃいますね」
カゴいっぱいの種を抱えたミレイが、畑に向かう。
そして、種を無作為に掴むと。
「えいっ! えいっ!」
ぽいぽいと畑に種を撒き始める。
うーむ。
何度見ても、ミレイの種まきは豪快な上に可愛らしくていい。
見ていてほのぼのする。
しかし、そんなミレイの愛くるしい種まきを見て、エレインさんは肩をわなわなさせていた。
「農業を舐めるんじゃありません!!!」
そして、大声で一喝。
全然舐めてないのに。
舐めているのはミレイの身体だけなのに。
「そんな適当に種を撒いたら、土の栄養が作物に行き渡らないでしょうが! ちゃんと綺麗に撒きなさい!!」
なぜかはわからないが、エレインさんはかなり怒っていた。
とりあえず、ミレイを背中で庇う。
任せろ、ここは社畜謝罪の出番だ。
「……お気持ちはわかりますが、これでもちゃんと育つんですよ? それはもう、気持ち悪いくらいにムクムクと」
背中越しにミレイの声が聞こえた。
社畜に口答えは厳禁なのに。
そういえば、前はちゃんと綺麗に種を撒いていた気がする。
最近は畑が広くなったので、適当に撒くようになったのだ。
でも、ミレイの言うとおり、普通に作物は育つので問題ないと思っていたのだが。
無秩序にメキメキと育つので、見た目はあまりよろしくないが。
「育つわけ無いでしょう!? だいたい、真冬にトマトだのバナナだのが育ちますか!? 本当に全てがいい加減な村ですね。畑仕事もいい加減なのがわかりましたから、きっと食料の備蓄も心許ないんでしょうね!」
「……食料の備蓄、見ます?」
プンスカと怒るエレインさんに、ミレイがちょっとムッとしながら答えた。
ミレイのそんな顔は初めて見たが、それはそれで可愛かった。
そんなわけで、3人で食料倉庫に向かうことにした。
まだ種まきの途中だったが、後はその辺にいたラッセルに任せる事にした。
まあ、多分ラッセルじゃなくて妹の誰かなんだろうが。
「え? 僕はラッセルだよ?」
本人なのかよ。
というか、ラッセル本人と会うのは久しぶりな気がした。
とはいえ興味はないので、種撒いとけと命令してその場を後にした。
現在、我が村の食料倉庫は3号棟まで建設してある。
ダークエルフさん達が狩ってきてくれたマンモスなどを格納してある肉倉庫。
キュウリやトマトなど足の早い野菜が格納してある新鮮野菜倉庫。
そして、今俺たちが立っているのは、最も巨大な穀物倉庫だった。
ちなみに倉庫の前にはミレイに書いてもらった看板が立てられていて、そこには「ご自由にお持ち下さい」と書かれていた。
以前は村人に毎日食糧を配っていたのだが、人が増えてめんどくさくなったのでセルフサービスにしたのだ。
「やっぱりヤキュの後はキュウリにかぎるべ!」
「だべなー」
丁度、野球バカ達がキュウリを齧りながら倉庫から出てくるところだった。
ビールではなく、キュウリで満足できちゃう30男というのは如何なものか。
健全なのかな?
「おう、領主様でねか。領主様もキュウリ食うべか?」
「ああ、じゃあ貰おうかな」
そう答えると、キュウリをポイッと投げてくれた。
一口かじると、じわーっと瑞々しい水分が口の中に広がって、たしかに美味い。
うーん。
でも、やっぱり味噌が欲しいところだな。
「村の食料庫から勝手に食べ物を取ってきた挙句に、領主様に向かって食べ物を投げるとは……この村の規律はどうなっているんですか……」
エレインさんはなぜか呆れていた。
穀物倉庫の扉を開けると、小麦が小山のようにうず高く積まれていた。
小麦の他にも大量のジャガイモや大麦などが格納されている。
黄金色の輝きを放つ小麦の山は、ちょっとした見ものだった。
おそらく何トンとかのレベルの小麦が保存してある。
その大量の小麦は、泳げるんじゃなかろうかと錯覚する程だ。
実際に以前泳ごうとして、ミレイに怒られた事がある。
「こ、こんなバカな……なんですかこの莫大な小麦は……」
エレインさんは小麦の山を見て驚愕していた。
わなわなと震えながら、目を丸くして口をポカンと開けている。
「いい加減な畑仕事でもこれくらいの収穫があるんですよ? コウさんの畑はすごいんですから」
俺の腕に抱きついたミレイが誇らしげな表情を浮かべていた。
可愛い。
俺の畑というか、もはや完全にミレイの畑なのだが。
「これだけの食糧があれば、戦続きで疲弊した王国の食糧事情が一気に改善するかもしれません……」
エレインさんはミレイの言葉を全く聞いていないようで、何かをブツブツと呟いていた。
「王国がどうのって言ってますけど、あの人なんなんですか?」
怪訝な顔をしたミレイがそんなことを聞いてきた。
そういえば、ミレイにはエレインさんの出自を話していなかった。
「エレインさんは王国から派遣された……ええと……なんだっけかな……オナニー的な……ナイ……ナイ……」
「もしかして内政官ですか?」
「それだ!」
さすがミレイだ。
内政官だよ。
一体、どの辺がオナニー的なのかわからなかった。
というか、ミレイすごいな。
「…………」
そんなミレイは顔を真っ青にしていた。
「内政官って色々まずいですよ……」
「何が?」
あれほどの美人であるエレインさんが不味いわけない。
絶対に美味だって。
顔を青くしたミレイは不安そうに俺の服の裾を掴む。
「……ええと、まず、私、この前の徴税の時に、適当な量の小麦しか納めてないんです。うちの村が普通に納められるくらいの量しか……実際に収穫した小麦の量から言うと、本当に申し訳程度の微々たる量しか納めてません……」
ふーむ。
なんだろう。
ボソボソと話すミレイの言葉を聞いていると、まるで脱税しているように聞こえる。
「……ミレイさん、脱税しちゃった?」
とりあえず、確認してみた。
「悪い言い方をすると、そうなりますね……」
相変わらず真っ青な顔をしたミレイが答えた。
えええええ!?
だだだだだ脱税て!
犯罪やないか!!!
いや、待て。
落ち着け。
「……ば、バレなきゃいいか!」
そう。
バレなきゃ犯罪じゃないって昔の偉い人も言っていた。
「いえ、今まさに王国の内政官にバレてるじゃないですか……絶対に税として納めた量が少ないのバレちゃいますよ……」
ミレイがエレインさんを見ながら、ガタガタ震えていた。
エレインさんは大量の小麦に夢中で、俺たちのことなんて眼中にないっぽいが。
というか、ヤバイじゃん!
俺のミレイが捕まっちゃうよう!!
「いえ、私も捕まるかもしれませんが、まず領主であるコウさんが捕まると思います……ごめんなさい……」
え? 俺!?
俺なんもしてないのに!?
まあミレイと一緒なら捕まってもいいけど。
牢屋の中でセックスしててもいいんだろうか。
それはそれで楽しそうだ。
「というかですね。脱税はどうでもいいんです。一番、マズいのはそこではなく……そもそもなんで私が脱税したかという話につながるんですが……」
結構な重罪な気がする脱税をどうでもいいとか言い出したミレイ。
すごく嫌な予感がする。
「いいですか? コウさんはあまり農業に詳しくなさそうなので、黙ってましたが……そもそも小麦は1週間では収穫できません」
ゴクリと生唾を飲み込みながら、真剣な表情でミレイは言った。
しかし、だから何? という感想しか浮かばない。
「小麦って普通は育つまで1年位かかるんですよ! それをコウさんの畑では大した苦労もせずに1週間で収穫できちゃうんです。これがどれだけすごいことかわかりますか!?」
「それは……すごいな……」
1年が1週間てどんだけの作業効率アップだよ。
たとえば、それが実現可能なツールなんかを開発したら一生遊んで暮らせるヒット商品になるだろう。
「おそらくうちの畑はコウさんが魔法で作ったから異常な成長をするんだと思いますが、魔法で作れば誰でもあの畑が作れるのか、コウさんが作った畑だけが特別なのかはわからないんです。そもそも魔法で畑を作るだなんて誰も思いつきませんし。……以前、実験してみようと思って、同じく土魔法を使えるカンナさんに畑を作って頂けないか頼んでみたのですが、汚れるから嫌と断られてしまって……。でも、エインヘリヤルであるコウさんだけに備わった力である可能性が高いと思うんです!」
うーん。
俺がそんなに特殊な存在だとは思えないのだが。
そもそも畑を作った土魔法レベル1って土を生成するだけという無能魔法だったのだ。
実はノリコさんが植物生成増進なんていう特殊アビリティをつけていてくれたのかもしれないが。
とはいえですよ。
仮に俺が作った畑だけが異常に作物を成長させるとして、だから何? としか言えないのだが。
「わからないんですか? 慢性的に食糧不足の続いている王国にコウさんの特殊さがバレちゃったら……」
そこで言葉を切ったミレイは、ぐすぐすと涙を流し始めた。
「きっと王国各地で畑を作らされ続けますよ!? きっと土を作りすぎて干からびちゃいますよ……ううっ」
嗚咽を手で隠すミレイ。
それは……嫌だな……。
土を作りすぎると干からびるのかという問題はさておき、王国各地でという部分がすごく嫌だった。
そんなに各地に連れて行かれたら引きこもりは死んでしまう。
というか、知らず知らずのうちにミレイは俺を庇っていてくれたらしい。
脱税までして庇ってくれるなんて。
「今までありがとうな。ミレイ」
ミレイをそっと抱き寄せる。
「いえ……コウさんはもう他人じゃないですから……」
ミレイはそう言って抱き返してくれた。
なかなか可愛いことを言う。
というかですよ。
「……それで、どうしよっか?」
とりあえず、今の問題は小麦の山を見ながらブツブツ言っている内政官のエレインさんだった。
エレインさんにミレイ農園の秘密がバレたらヤバイのだ。
「……ととととりあえず、口封じをするしかないと思いますが……」
思い切りガタガタと震えながら、ミレイが怖いことを言っていた。
その目が座りきっているのが気になる。
内政官がオッサンならば、そうだねと火魔法で消し炭にしてやるのだが。
「……この小麦で次回の魔族侵攻戦の糧食を賄えれば、各地に余剰が生まれて……」
相変わらずブツブツ言っているエレインさんに目をやる。
そのサラッとした金髪がスっと引き締まった頬にかかっている。
何度見ても。
眩いばかりの美人だった。
あんな美人に手荒な事はできない。
くそ!
なんで俺は王様にオッサンを派遣してくれと言わなかったんだ!
「……コウさんは手を出さないで下さい。汚れ仕事は私が……」
そんな事を考えていたら、いつの間にかミレイが覚悟を決めていた。
何怖いこと言ってんだよ!?
その時だった。
「困っているなら、お姉ちゃんが助けてあげましょうか?」
倉庫の入り口から入ってきたのは、メイド姿のカンナさんだった。
カンナさんはニコニコと機嫌の良さそうな笑みを浮かべているのだが。
どうしよう。
ミレイが怖いことばかり言うから、この辺で一番ヤバイ人が出てきちゃった。
「丁度、種付けをしようとしてましたので、いいですよ」
「……なぜこんな真冬に種付けを?」
2人の美女が種付けとか言っているので、俺は興奮した。
なぜ突然、下ネタを言い出したのだろうか。
いや、大変結構なのだが。
「それでは、行きましょうか」
ミレイが俺の腕を取って歩きだす。
腕が柔らかい感触に包まれて気持ちよかった。
そんな俺達からだいぶ離れて、エレインさんがついてくる。
まだ警戒されているようだ。
俺はこんなに人畜無害なのに。
「あんっ、もう……コウさんのエッチ!」
ミレイの乳を揉みながら、そんな事を考えた。
「……ところで、コウさん。新しい女の子を作るのは構いませんけど……そ、その、私の事もちゃんと可愛がってくださいね?」
ミレイはそう言って、エレインさんをチラチラ見ながら不安そうな顔を浮かべる。
俺としたことが。
ミレイにこんな顔をさせてしまうとは……。
なんたることだっ!!
日々の抱き方が足りなかっただろうか。
今後は子宮が破裂するくらい中出ししてやらねば。
「い、いえ……その……今は私に夢中になってくれているのはわかります。でも、10年後とかが心配なんです。だって、ルーナさんもセレナさんもリュディアさんもずっと若いままだっていうじゃないですか……私だけどんどん老けちゃって、その上、コウさんが女の子をどんどん増やしていったら、私なんか飽きられちゃうじゃないですか……」
そして、ミレイは深くため息をついた。
チートなルーナ達は置いておいて。
ふむ。
10年後か。
今、確かミレイは24だって言ってたから、10年後は34か。
え、全然抱けるよ?
色気が増していい感じだと思う。
更に10年後は44だけど、余裕で抱ける。
熟女らしさが少し出てきた頃だろう。
むしろ美味しそうだ。
更に更に10年後は、54だ。
普通ならきついけど、五十路ミレイなら絶対に抱ける。
一体、何を不安に思うことがあろうか。
「……今、54歳になったミレイまで想像してみた。さあ、触ってごらん?」
そして、ミレイの手をとって俺の股間に当てさせる。
「……あっ、か、固いです」
ミレイの声は嬉しそうで、そのまま俺の息子をすりすりしてくれた。
ちょっと尋常じゃなく変な気分になってきた。
「ミレイがどんなにババアになっても毎日抱いてやるから覚悟しろ」
「……はい。ふふっ、毎日抱いて下さいね?」
そう言って、ミレイが嬉しそうに抱きついて来る。
可愛かった。
もうこのまま押し倒そうかな。
「……なんか今のセリフ、一緒に歳を取ろうねって言ってくれたみたいで……すごく嬉しかったです。……そ、その、ずっと一緒にいてくださいね?」
そう言って、照れながら俺を見つめるミレイ。
もう堪らなかった。
「ミレイ!!」
「きゃっ!」
ミレイを強引に抱き寄せて、スカートの中に手を滑り込ませた。
ぷりっとした生尻を揉みながら、パンツの紐に手をかける。
もう挿れちゃうしかないと思うんだ。
ここは外だし、普通に人の目もあるけど、ミレイが可愛すぎるので仕方ない。
「……コウさん」
ミレイもまんざらじゃない顔をしていたのだが。
「……私、お婆ちゃんになるまでに、コウさんの赤ちゃんいっぱい産みますね」
恥ずかしそうに顔を赤らめたミレイ。
可愛いので結構なのだが。
突然、そんな萎える事を言われても……。
いつも元気な息子がしゅんとしてしまう。
こういう時に赤ちゃんとかリアルな言葉は禁句だと思うんだ。
マナー的に。
「……あ、あの、脱がせてくれないんですか?」
パンツの紐に手をかけたまま、ピタッと止まってしまった俺を急かすように、ミレイが尻をふりふりと振る。
くそ、エロいことしやがって。
ミレイが変な事を言い出したせいなのに。
ここは一つ、言っておかなければなるまい。
「ミレイ? エッチの前に赤ちゃんとか言っちゃダメだ。それが大人のルールだぞ?」
大人というか、俺が所属する日本クズ連盟(ヒモ、女衒ホスト、博打狂などが所属)のルールだが。
「ええ!? そ、そうだったんですか? ごめんさい……でも、そろそろコウさんにもパパになる準備をしてもらわないといけないですし……」
ミレイが更に怖いことを言い出した。
俺の息子が萎むどころの騒ぎじゃなく、ミイラ化しそうだった。
え? 今、なんて?
そろそろ?
こ、この俺にパパになる準備など必要であろうか、いやない。
だいたい、アレだもん。
俺そんな危険を犯してないもん。
中出しはしているが。
ルーナじゃないが、俺だって一応大卒だ。
危険日の計算くらいできる。
そう、危険日を避ければ中出しは安心安全の行為なのだ!
「……あ、あの……昨日、私、危険日だったって知ってます?」
自分に言い聞かせるような思考が言葉に出ていたようで、不安そうな顔をしたミレイがそんな事を言っていた。
昨日はいつものようにミレイをタプタプにした。
そんな日が危険日とか、何をバカな事を言っているんだろう。
ええと、ミレイのあの日が終わったのがだいたい1週間くらい前だから……。
…………。
あれ。
昨日は危険日ですな。
アウトじゃね?
…………。
というか、物凄く摩訶不思議な事に気づいた。
危険日だからって中出しを控えた記憶が全くない。
というか、ミレイを抱いて、中出しをしなかった日がない。
もっと言うと、ルーナもセレナもリュディアもカンナさんもダークエルフたちも中出しをキメてない日がない。
あれ?
俺って結構ヤバイんじゃ……。
「だ、大丈夫ですよ! コウさんはあんまり難しい事を考えないほうがいいです! ほ、ほら、パンツ脱ぎましたよ? エッチしましょう?」
思わずしょんぼりしていたら、スルスルとパンツを脱いだミレイが、優しく抱きしめてくれた。
ミレイは柔らかくて、暖かくて、いい匂いがした。
そんなミレイの感触に、ミイラ化していた息子がメキメキと復活する。
まあ、そうだよね!
難しい事、考える必要ないよね!
今日も危険日な気もするけど、このままミレイを押し倒して中出ししよう。
今まで大丈夫だったのだ。
きっとこれからも大丈夫だろう。
アレだ。
過酷な社畜SE生活を送っていたから、電磁波で子種が死滅しちゃったんだろう。きっと。
ミレイの豊満な胸元に顔を押し付けながら、そんな科学的分析をしてみた。
きっと当たっているだろう。
「…………ご、ごほん! ……そろそろ私もいることに気づいて頂けますか?」
ミレイの服を剥ぎ取ろうとしていたら、後ろからそんな声をかけられた。
後ろに立っていたのは、真っ赤な顔で気まずそうにしていたエレインさんだった。
そういえば、エレインさんもいたんだった。
「……エレインさんも混ざりますか?」
「バカですか!? 混ざるわけ無いでしょう!? というか、こんな道端で何をしているんですか!? 変態変態!! 女の敵!!! あと、変態!!」
とりあえず誘ってみただけなのに、変態を連呼された。
たしかにここは道端だが、まだ挿入もしてないのに。
それなのに変態とかマジ遺憾なんだけど。
「だ、大丈夫です! コウさんはちょっとエッチなだけで、変態なんかじゃないですよ?」
ミレイがそう言って胸元に俺の顔を抱き寄せたまま、頭をなでなでしてくれた。
だよな?
俺はちょっとエッチなだけなのに……。
しょんぼりしながら、顔を挟んでくれているミレイの乳を揉む。
ふにふにしたミレイの乳の感触は良い。
柔らかさでいったら俺の女たちの中でも随一だ。
「だから! なんでそこで……じょ、女性のアソコを揉むんですか!? 公序良俗に反します! ……というか、この村に来てから、あなたが公序良俗に反していない姿を一度も見てないのはどういうことなんですか!?」
エレインさんが真っ赤になりながら怒っていた。
というか、女性のアソコは乳じゃないと思うのだが。
「と、とにかく、今は農地の視察に行くところなんです! そ、そういうことは夜になさってください!」
そういえばそうだった。
エレインさんをミレイ農園に案内するところだったのだ。
というか、夜はルーナを抱くので、ミレイを抱くのは今しかないのだが、エレインさんは何を言っているのだろう。
まあ、今はミレイ農園に案内するのが先かなあ。
名残惜しいが、ミレイの胸元から顔を起こす。
その時、ミレイの脱いだパンツが地面に落ちているのが目についたので、拾ってポッケにしまっておいた。
こんな所に放置していたらまたカー坊にパクられてしまうからな。
「いえ、スースーするので返して頂きたいのですが……」
ミレイが不安そうな顔でそんな事を言っていた。
ノーパンミレイとかそそる。
後でめちゃくちゃに犯してやろうと思う。
そんなわけで3人でミレイ農園にやってきた。
先日、収穫を終えたばかりの畑は空っぽだった。
野菜を収穫した後は、茎や葉っぱなどが残るが、最近は火魔法で全部燃やしている。
燃えカスは1日もすれば、土に戻り、今は黒々とした土が見渡す限り広がっていた。
本当に農業って案外楽だ。
「コウさん、何か食べたい野菜はありますか?」
畑の傍に作った倉庫で、ミレイが野菜の種を物色していた。
「うーん、トマトかな」
倉庫には様々な種類の野菜の種が保管されている。
最近はコンビニ店主のケイトさんが珍しい種も仕入れてくれるので、育てられる野菜がぐっと増えた。
「トマトですね。ええと、あとはダンさん希望のニンニクと、メグさんが好きなバナナと……」
ミレイがひょいひょいと種を見繕っていく。
ふとバナナって畑で取れるのだろうかと思ったが、ミレイ農園はなんでも育つので大丈夫だろう。
やっぱり美人が育てると野菜もよく育つらしい。
「……ツッコミどころが満載すぎて、つい呆然としてしまいましたが、作物の季節って理解されてます? というか、バナナって南国でしかとれない高級フルーツですよね?」
エレインさんがそんなことを言っていた。
でも、バナナなんて南国じゃない日本のコンビニにも売ってるじゃんか。
きっとどこでも育つんだって。
「じゃあ、種を撒いちゃいますね」
カゴいっぱいの種を抱えたミレイが、畑に向かう。
そして、種を無作為に掴むと。
「えいっ! えいっ!」
ぽいぽいと畑に種を撒き始める。
うーむ。
何度見ても、ミレイの種まきは豪快な上に可愛らしくていい。
見ていてほのぼのする。
しかし、そんなミレイの愛くるしい種まきを見て、エレインさんは肩をわなわなさせていた。
「農業を舐めるんじゃありません!!!」
そして、大声で一喝。
全然舐めてないのに。
舐めているのはミレイの身体だけなのに。
「そんな適当に種を撒いたら、土の栄養が作物に行き渡らないでしょうが! ちゃんと綺麗に撒きなさい!!」
なぜかはわからないが、エレインさんはかなり怒っていた。
とりあえず、ミレイを背中で庇う。
任せろ、ここは社畜謝罪の出番だ。
「……お気持ちはわかりますが、これでもちゃんと育つんですよ? それはもう、気持ち悪いくらいにムクムクと」
背中越しにミレイの声が聞こえた。
社畜に口答えは厳禁なのに。
そういえば、前はちゃんと綺麗に種を撒いていた気がする。
最近は畑が広くなったので、適当に撒くようになったのだ。
でも、ミレイの言うとおり、普通に作物は育つので問題ないと思っていたのだが。
無秩序にメキメキと育つので、見た目はあまりよろしくないが。
「育つわけ無いでしょう!? だいたい、真冬にトマトだのバナナだのが育ちますか!? 本当に全てがいい加減な村ですね。畑仕事もいい加減なのがわかりましたから、きっと食料の備蓄も心許ないんでしょうね!」
「……食料の備蓄、見ます?」
プンスカと怒るエレインさんに、ミレイがちょっとムッとしながら答えた。
ミレイのそんな顔は初めて見たが、それはそれで可愛かった。
そんなわけで、3人で食料倉庫に向かうことにした。
まだ種まきの途中だったが、後はその辺にいたラッセルに任せる事にした。
まあ、多分ラッセルじゃなくて妹の誰かなんだろうが。
「え? 僕はラッセルだよ?」
本人なのかよ。
というか、ラッセル本人と会うのは久しぶりな気がした。
とはいえ興味はないので、種撒いとけと命令してその場を後にした。
現在、我が村の食料倉庫は3号棟まで建設してある。
ダークエルフさん達が狩ってきてくれたマンモスなどを格納してある肉倉庫。
キュウリやトマトなど足の早い野菜が格納してある新鮮野菜倉庫。
そして、今俺たちが立っているのは、最も巨大な穀物倉庫だった。
ちなみに倉庫の前にはミレイに書いてもらった看板が立てられていて、そこには「ご自由にお持ち下さい」と書かれていた。
以前は村人に毎日食糧を配っていたのだが、人が増えてめんどくさくなったのでセルフサービスにしたのだ。
「やっぱりヤキュの後はキュウリにかぎるべ!」
「だべなー」
丁度、野球バカ達がキュウリを齧りながら倉庫から出てくるところだった。
ビールではなく、キュウリで満足できちゃう30男というのは如何なものか。
健全なのかな?
「おう、領主様でねか。領主様もキュウリ食うべか?」
「ああ、じゃあ貰おうかな」
そう答えると、キュウリをポイッと投げてくれた。
一口かじると、じわーっと瑞々しい水分が口の中に広がって、たしかに美味い。
うーん。
でも、やっぱり味噌が欲しいところだな。
「村の食料庫から勝手に食べ物を取ってきた挙句に、領主様に向かって食べ物を投げるとは……この村の規律はどうなっているんですか……」
エレインさんはなぜか呆れていた。
穀物倉庫の扉を開けると、小麦が小山のようにうず高く積まれていた。
小麦の他にも大量のジャガイモや大麦などが格納されている。
黄金色の輝きを放つ小麦の山は、ちょっとした見ものだった。
おそらく何トンとかのレベルの小麦が保存してある。
その大量の小麦は、泳げるんじゃなかろうかと錯覚する程だ。
実際に以前泳ごうとして、ミレイに怒られた事がある。
「こ、こんなバカな……なんですかこの莫大な小麦は……」
エレインさんは小麦の山を見て驚愕していた。
わなわなと震えながら、目を丸くして口をポカンと開けている。
「いい加減な畑仕事でもこれくらいの収穫があるんですよ? コウさんの畑はすごいんですから」
俺の腕に抱きついたミレイが誇らしげな表情を浮かべていた。
可愛い。
俺の畑というか、もはや完全にミレイの畑なのだが。
「これだけの食糧があれば、戦続きで疲弊した王国の食糧事情が一気に改善するかもしれません……」
エレインさんはミレイの言葉を全く聞いていないようで、何かをブツブツと呟いていた。
「王国がどうのって言ってますけど、あの人なんなんですか?」
怪訝な顔をしたミレイがそんなことを聞いてきた。
そういえば、ミレイにはエレインさんの出自を話していなかった。
「エレインさんは王国から派遣された……ええと……なんだっけかな……オナニー的な……ナイ……ナイ……」
「もしかして内政官ですか?」
「それだ!」
さすがミレイだ。
内政官だよ。
一体、どの辺がオナニー的なのかわからなかった。
というか、ミレイすごいな。
「…………」
そんなミレイは顔を真っ青にしていた。
「内政官って色々まずいですよ……」
「何が?」
あれほどの美人であるエレインさんが不味いわけない。
絶対に美味だって。
顔を青くしたミレイは不安そうに俺の服の裾を掴む。
「……ええと、まず、私、この前の徴税の時に、適当な量の小麦しか納めてないんです。うちの村が普通に納められるくらいの量しか……実際に収穫した小麦の量から言うと、本当に申し訳程度の微々たる量しか納めてません……」
ふーむ。
なんだろう。
ボソボソと話すミレイの言葉を聞いていると、まるで脱税しているように聞こえる。
「……ミレイさん、脱税しちゃった?」
とりあえず、確認してみた。
「悪い言い方をすると、そうなりますね……」
相変わらず真っ青な顔をしたミレイが答えた。
えええええ!?
だだだだだ脱税て!
犯罪やないか!!!
いや、待て。
落ち着け。
「……ば、バレなきゃいいか!」
そう。
バレなきゃ犯罪じゃないって昔の偉い人も言っていた。
「いえ、今まさに王国の内政官にバレてるじゃないですか……絶対に税として納めた量が少ないのバレちゃいますよ……」
ミレイがエレインさんを見ながら、ガタガタ震えていた。
エレインさんは大量の小麦に夢中で、俺たちのことなんて眼中にないっぽいが。
というか、ヤバイじゃん!
俺のミレイが捕まっちゃうよう!!
「いえ、私も捕まるかもしれませんが、まず領主であるコウさんが捕まると思います……ごめんなさい……」
え? 俺!?
俺なんもしてないのに!?
まあミレイと一緒なら捕まってもいいけど。
牢屋の中でセックスしててもいいんだろうか。
それはそれで楽しそうだ。
「というかですね。脱税はどうでもいいんです。一番、マズいのはそこではなく……そもそもなんで私が脱税したかという話につながるんですが……」
結構な重罪な気がする脱税をどうでもいいとか言い出したミレイ。
すごく嫌な予感がする。
「いいですか? コウさんはあまり農業に詳しくなさそうなので、黙ってましたが……そもそも小麦は1週間では収穫できません」
ゴクリと生唾を飲み込みながら、真剣な表情でミレイは言った。
しかし、だから何? という感想しか浮かばない。
「小麦って普通は育つまで1年位かかるんですよ! それをコウさんの畑では大した苦労もせずに1週間で収穫できちゃうんです。これがどれだけすごいことかわかりますか!?」
「それは……すごいな……」
1年が1週間てどんだけの作業効率アップだよ。
たとえば、それが実現可能なツールなんかを開発したら一生遊んで暮らせるヒット商品になるだろう。
「おそらくうちの畑はコウさんが魔法で作ったから異常な成長をするんだと思いますが、魔法で作れば誰でもあの畑が作れるのか、コウさんが作った畑だけが特別なのかはわからないんです。そもそも魔法で畑を作るだなんて誰も思いつきませんし。……以前、実験してみようと思って、同じく土魔法を使えるカンナさんに畑を作って頂けないか頼んでみたのですが、汚れるから嫌と断られてしまって……。でも、エインヘリヤルであるコウさんだけに備わった力である可能性が高いと思うんです!」
うーん。
俺がそんなに特殊な存在だとは思えないのだが。
そもそも畑を作った土魔法レベル1って土を生成するだけという無能魔法だったのだ。
実はノリコさんが植物生成増進なんていう特殊アビリティをつけていてくれたのかもしれないが。
とはいえですよ。
仮に俺が作った畑だけが異常に作物を成長させるとして、だから何? としか言えないのだが。
「わからないんですか? 慢性的に食糧不足の続いている王国にコウさんの特殊さがバレちゃったら……」
そこで言葉を切ったミレイは、ぐすぐすと涙を流し始めた。
「きっと王国各地で畑を作らされ続けますよ!? きっと土を作りすぎて干からびちゃいますよ……ううっ」
嗚咽を手で隠すミレイ。
それは……嫌だな……。
土を作りすぎると干からびるのかという問題はさておき、王国各地でという部分がすごく嫌だった。
そんなに各地に連れて行かれたら引きこもりは死んでしまう。
というか、知らず知らずのうちにミレイは俺を庇っていてくれたらしい。
脱税までして庇ってくれるなんて。
「今までありがとうな。ミレイ」
ミレイをそっと抱き寄せる。
「いえ……コウさんはもう他人じゃないですから……」
ミレイはそう言って抱き返してくれた。
なかなか可愛いことを言う。
というかですよ。
「……それで、どうしよっか?」
とりあえず、今の問題は小麦の山を見ながらブツブツ言っている内政官のエレインさんだった。
エレインさんにミレイ農園の秘密がバレたらヤバイのだ。
「……ととととりあえず、口封じをするしかないと思いますが……」
思い切りガタガタと震えながら、ミレイが怖いことを言っていた。
その目が座りきっているのが気になる。
内政官がオッサンならば、そうだねと火魔法で消し炭にしてやるのだが。
「……この小麦で次回の魔族侵攻戦の糧食を賄えれば、各地に余剰が生まれて……」
相変わらずブツブツ言っているエレインさんに目をやる。
そのサラッとした金髪がスっと引き締まった頬にかかっている。
何度見ても。
眩いばかりの美人だった。
あんな美人に手荒な事はできない。
くそ!
なんで俺は王様にオッサンを派遣してくれと言わなかったんだ!
「……コウさんは手を出さないで下さい。汚れ仕事は私が……」
そんな事を考えていたら、いつの間にかミレイが覚悟を決めていた。
何怖いこと言ってんだよ!?
その時だった。
「困っているなら、お姉ちゃんが助けてあげましょうか?」
倉庫の入り口から入ってきたのは、メイド姿のカンナさんだった。
カンナさんはニコニコと機嫌の良さそうな笑みを浮かべているのだが。
どうしよう。
ミレイが怖いことばかり言うから、この辺で一番ヤバイ人が出てきちゃった。
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