ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記

油揚メテオ

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第五章 領地発展編

第165話 エレインの猛威 ②

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 寒空の下をエレインさんと二人きりで歩く。
 出来る女風のメガネ美女と連れだって歩いているのだ。
 それはもうキャッキャウフフなラッキースケベな展開がドカンドカンと――。

「…………」

「…………」

 ――起こることはなく、家を出てから50メートルほど歩いた今、俺達は無言で気まずい雰囲気に包まれていた。
 そもそも俺には会って間もない相手と会話を盛り上げるようなリア充スキルは持っていない。
 しかし、そこは房中術レベル3という手練手管でカバーしたいのだが。

「…………」

「…………」

 エレインさんが俺のはるか後方から、恐る恐ると言った具合についてくるせいで、房中術の出番がないのだ。
 そして、もう一度言うが、無言で気まずい。

 一瞬でもいいからま○こ辺りを触らせてくれれば、即座にアヘらせて良好な関係が築けるというのに!
 ふと、出会って間もない相手のま○こを触るのは、犯罪じゃなかろうかと思ったが気のせいだろう。

 まあ、まずは俺に危険がないのを判ってもらって少しずつ距離を縮めようと思う。

「そんなに離れなくても、いきなり殴ったりはしませんよ?」

「それは人として当たり前です! 突然、怖いことを言わないで下さい! ……それよりもアサギリ卿の近くに行くと、そ、その……エッチないたずらをされそうで怖いです。失礼ですが、あなたはそういう顔をしています」

 本当に失礼な事を言われた。
 そういう顔て。
 恥ずかしそうにエッチないたずらとか言ったエレインさんを見て、不覚にも息子をバキバキにしてしまった俺のような顔の事だろうか。
 まあ、エッチないたずらはする気まんまんだが、そこはピートのような童貞小僧とは違うのだ。
 本音を隠した大人の嘘くらいつける。

「エッチないたずらなんてしませんよ。せいぜいおっぱいを触るくらいです」

 両手を挙げて、爽やかに無害をアピールしながら言ってみた。

「それをエッチないたずらと言うんです!! ……そ、そんな部分を触られるなんていまだかつてされたことのない最悪のいたずらです! この変態!!」

 真っ赤になったエレインさんに一気にまくしたてられた。
 ウブな感じで可愛いのだが。
 そう言えばそうだった。
 いつの間にか、乳を揉むくらい軽い挨拶のようなものだという錯覚に陥っていた。
 俺の周りには乳を揉んでも怒らない女しかいないせいだ。
 ルーナ、セレナ、ミレイ、カンナさん、フィリス、メグ、リュディア達ダークエルフは言うに及ばず。
 カレリアさんも、私の胸なんて触って楽しいのですか? とか無表情で言われるだけだし。
 ソフィさんなんかはこっそりと触っているのでバレていないと思う。
 なので、おっぱいを触っちゃダメだという謎のルールをすっかり失念していた。
 うっかり! うっかり!

「……ぜ、絶対にあなたの傍には近づきませんからね……!」

 うーうーと唸りながら距離を取り続けるエレインさんにため息をつきながら、俺は村の中をとぼとぼと歩いた。


 しばらく歩くと、みんな大好きエロい人妻ソフィさん宅に到着した。

「ふんぬ……! ふんぬ……! ぬぐわああああ!」

 だから何を脱ぐんだよと思うような掛け声で、夫の筋肉が家の外にある鉄棒で懸垂をしていた。
 いつだったか土魔法で作ってやったぶらさがり健康器具のパクリだ。
 気に入ってくれたようなので良かったのだが、相変わらず真冬にタンクトップ姿なのは引く。
 それどころか、気持ち悪いくらいに吹き出した汗が辺りに飛び散って、小さな虹を作ってる辺りが更に引く。

「あら、領主様、こんにちは」

 陽の当たる縁側で、子供をおんぶ紐で背負いながら野菜を弄っていたソフィさんが挨拶してくれた。
 相変わらずおっとりとしたタレ目に泣きぼくろ、そして豊満な体つきがたまらない。
 今日もこっそりとおっぱい触りたい。

「こんにちは。美味しそうな野菜ですね」

 こみ上げる劣情は押し殺して、そんな当たり障りのない挨拶を返しておいた。
 俺はちゃんと我慢のできる男なのだ。

「ええ。先日ミレイ様が植えて下さったえんどう豆が見事に実りました。あとで塩ゆでにしますので、出来たらおすそ分けしますね」

 そう言ってくれたソフィさんは、えんどう豆をぽこぽことサヤから出して、木の容器に入れていた。
 まるまると実った豆は確かに塩ゆでにしたら美味しそうだ。
 さすがにビールが飲みたくなってくるな。

 そんなソフィさんを微笑ましく見ていた俺とは違って、背後に立っていたエレインさんはわなわなと震えながらビシっと筋肉を指差した。

「あなた! 奥さんだけに働かせて、あなたは昼間っから働きもせずに何をしているのですが!?」

 物凄い正論だった。
 筋肉がこんなんなのは会った時からなので、思わずスルーしていたのだが。
 確かに昼間から働きもせず何してんだ、このバカ。

「広背筋、僧帽筋、上腕二頭筋、そして大胸筋を鍛えているのですが?」

 ピタッと懸垂を止めた筋肉が真顔で答えた。
 相変わらず科学的でうぜえ。

「そんな事を聞いているのではありません! 奥さんと子供を養うためにちゃんと働きなさい! そして税収を上げなさい! だいたいなんですか、その裸みたいな格好は!? わいせつです!!」

 理路整然とエレインさんは正論を指摘する。
 局部を出しているわけでもないのにわいせつとか言われる筋肉に同情しないでもないが、ここはエレインさんの好感度を上げるために俺も援護射撃をしよう。

「そうだそうだ! 暑苦しいんだよ! ソフィさんに釣り合ってないぞ! 汗臭えし! ワキガ野郎!」

 ここぞとばかりに筋肉をディスっておいた。

「ははっは! コレは一本取られましたな! ははっははは!」

 エレインさんと俺にダブルで攻められたのに、なぜか筋肉は大爆笑していた。
 さすが脳筋は打たれ強い。
 そして、普通に懸垂を再開した筋肉を見て、エレインさんは呆然としていた。

「……釣り合ってないなんて、そんな……あれでも結構、素敵なところはあるんですよ。ふふっ」

 そんな意味のわからない事を照れながら言ったソフィさんを見て、俺も呆然とした。



 次に俺達がやってきたのは、ラッセルズマンションだった。
 ちょうど昼飯を食べていたようで、マンション1階の食堂にラッセルズが全員集合していた。

「「「「「「「「「「「「「こんにちは。アサギリ卿!」」」」」」」」」」」」」

 家族全員で挨拶してくれた。
 久しぶりに全員集合しているのを見たが、物凄い違和感を感じる。

「なぜ全員同じ顔をしているんですか!? ど、どういうことなんですか!?」

 エレインさんが至極ごもっともなツッコミを入れていた。
 そうなんだよ。
 画像を貼り付けようとしたら、コピペミスって大量に貼り付けちゃった的な錯覚を覚える。

「あはは、家族なんだから似ているのは当然ですよ!」

 ラッセルズの一人が脳天気なセリフを吐いたのだが。
 似ているとかいうレベルじゃなくて全く同じなのが問題なのだ。
 今、喋っているお前の雌雄の区別すらつかないのに。
 ヒヨコか!

「食事を終えたら、家族みんなで缶蹴りでもして遊ぼうかと話していたのですが、よろしかったらアサギリ卿もいかがですかな?」

 一番奥に座ったラッセルがそんな誘いをしてくれた。
 席の位置と口調から多分ラッセル父なのだろうが。
 缶蹴りとか、勝てる気がしないんだけど。
 ポコペンの前に名前言えるわけないから。

「缶蹴りなんかしてないで、働きなさい! 子供ですか!! 税収を上げなさい!」

 エレインさんは相変わらずまっとうな事を言う。
 ポコペンうんぬんを気にしてないで、働けと突っ込むべきだった。

「……私は子供ですが」

 ラッセルズの一人がそんなことをぼそっと言った。
 妹の誰かだろうか。
 というか、年齢すら判別できないんだよ。
 プラナリアか!

「働かなくても食べ物貰えるから、最近は家業のキノコ栽培も適当にやってるよ」

 適当にやってんじゃねえよ。
 とはいえ、遺伝子兵器みたいなラッセルズが育てる菌糸類ってちょっと怖いので、適当でいいのかもしれない。

「物乞いなんてして恥ずかしくないんですか! ちゃんとキノコを育てなさい!!」

「……どなたかは知りませんが、お嬢さんの言うことはわかりました。……それでは缶蹴りは諦めて、だるまさんが転んだをするというのはどうですかな? お嬢さんも一緒に」

 だから、勝てるわけねえって!
 誰が動いたのか指摘できねえから!!
 ずっと鬼になっちゃったら泣いちゃうだろうが。

「遊んでないで働けと言っているのに、なんでだるまさんが転んだになるんですか!? まっとうに働いてきっちり税収を上げなさい!!」

 そうだった。
 勝てるかどうかはさておいて、先にそっちを突っ込むべきだった。
 エレインさんすげえわ。
 なんというかちゃんとしてる。
 ここはリスペクトの意味を込めて援護射撃をすべきだろう。

「そうだそうだ! このラクガキ一家め! 遺伝子がバグってんだよ! でべそ共が!」

 そんなわけで、ここぞとばかりにディスっておいた。

「……そういえば、先日、わたくしアサギリ様におへそを見られてしまいましたわ。……もうお嫁に行けない」

 ラッセルズの一人がそんな事を呟いて、よよよと泣き崩れだした。
 こいつはこないだ一緒に森に行った♀だろうか。
 あのだるんとした色気皆無の裸体が脳裏に浮かんだ。

「それはまことですかな!? でかしたジョディー! では当然、責任を取って頂くとして、早速結納の日取りを!」

 ガタンと立ち上がった一番奥のラッセルズに続いて全員が立ち上がって万歳三唱を始めた。
 なぜあんな1970年台の漫画みたいなでべそを見ただけで責任を取らされなきゃいけないのか。

 そんなわけで、またしても呆然としているエレインさんを促して、無言でラッセル宅を後にしようとした。

「お待ちを! せっかくですから、このままうちのジョディーを連れて帰っていいですぞ! 思う存分好きにしてくだされ!」

 スケベな笑みを浮かべたラッセルが、恥ずかしそうにモジモジと恥じらうラッセルを差し出してきた。
 ややこしい。

「いらん!」

「ひどい!!」



 ラッセルズマンションを後にすると、変な棒を片手に持ったカー坊に出会った。

「……またコウ兄ちゃんがエロいお姉ちゃんつれてる……」

 カー坊がエレインさんを見て、羨ましそうに言った。
 10歳のくせに綺麗なお姉ちゃんじゃなくて、エロいお姉ちゃんとか言う辺り、カー坊の非凡さが滲み出ていた。
 末恐ろしいガキだ。
 確かにエレインさんのツンとした胸や張りのある尻はエロい。

「キミ、鼻水垂らしてるじゃないの!? 寒いのに半ズボンでお外を走り回っちゃダメでしょう!?」

 そう言いながらエレインさんはカー坊の青い鼻水をハンカチで拭いてあげている。
 青い鼻水も半ズボンもカー坊のバカガキとしての個性なのだが。
 バカだから風邪引かないだろうし。
 あれ、そういえばこないだルーナが風邪引いたのはなぜだろう。

「うへへ、お姉ちゃんのハンカチいい匂いがする」

 往年のスケベ親父のようなエロい目をしたカー坊がエレインさんのハンカチをくんかくんかしていた。
 くそ、俺もくんかくんかしたいのに。
 カー坊の鼻水がついたせいで出来ないじゃないか!
 ちょっとイラッとしたので、カー坊の頭に拳骨を落とした。

「あでっ!」

「ちょ……!? なんで今、叩いたんですか!? 子供を叩くなんて最低ですよ!?」

 え、カー坊って殴っちゃダメなの……?
 普通にポコポコ殴ってたのだが。

「痛いよ、お姉ちゃん……うへへ」

 頭にたんこぶを作りながらも、エレインさんに抱きつくカー坊は物凄く幸せそうだった。
 殴っていいだろう、これ。
 カー坊はエレインさんのスーツの胸元に顔をスリスリさせている。
 果敢に乳を狙うとは、カー坊、恐ろしい子……!


 次に出会ったのはヴァンダレイジジイ&アンの爺孫だった。
 2人で散歩していたらしくジジイの枯れ木のような手をアンがちょこんと握っている。

「あっ、お兄ちゃんだー!」

「……貴様、また昼間っから女人を連れおって……歩く公衆わいせつ物め……斬るべし!」

 アンの手を離したヴァンダレイジジイがそんなことを言いながら剣をすちゃりと抜く。
 斬るべしじゃねえから。
 孫娘の前でボッコボコにしてやろうか。
 そう思いながら、俺も土の剣を生成しようとした時。

「だから、なんで剣を抜くんですか!? 危ないでしょうが! 子供の目の前なんですよ!? あと、さっきは道を教えてくれてありがとうございました!」

 突っ込みながらもお礼を言うという高等テクを見せたエレインさんのせいで、ジジイとのタイマンが中断されてしまった。

「……むう。確かにアンの目の前で剣を抜くのは教育に悪いが……」

 あのヴァンダレイジジイが言い負かされそうになっている!?
 ここはチャンスだ!!
 エレインさんに加勢せねば!

「そうだそうだ! アンの事を考えろ! 老害め! 耄碌ジジイ! ヤクザジジイ!」

 ここぞとばかりにヴァンダレイジジイをディスっておいた。

「……あの、先程から、私に続いて悪口を言うのはやめてもらえませんか?」

 軽く引いたエレインさんに注意されてしまった。
 お手伝いをしているつもりだったのに。

「……むう、アンの事を考えろ、か……。確かにのう。今日のところは帰るとするかのう。儂は老害じゃから……」

 そんな事を言いながら、すちゃっと剣を納めたヴァンダレイジジイはトボトボと帰っていった。
 あ、あれ?
 なんて傷つきやすい70代。

「そもそも、これでも、一応、アサギリ卿は領主様です。仮にも領主様に向かって剣を向けるとは言語道断です。規律が乱れます!」

 そんな事を言いながらエレインさんはプンプンと怒っていた。
 軽くバカにされている気がするのは気のせいだろうか。
 というか、ヴァンダレイジジイは肩透かしにも程がある。
 毎日のジジイとのケンカはいい運動になっていたのだが。
 べ、別に寂しいわけじゃないんだからねっ!

「……ひとりになっちゃった。お兄ちゃん、いっしょにあそぼう?」

 ジジイに置いて行かれたアンが俺の裾をくいくいしていた。
 可愛い。
 邪魔なジジイもいなくなったので、将来の為にここはアンの好感度を上げるとしよう。

「いいぞ。何して遊ぶ?」

「えーとね、わたしアレであそびたい」

 可愛らしく考え込んだアンは、何かを思いついたようで、てててと近くの木に駆けていった。
 そして、木に手をついて俺にちょこんと尻を向ける。
 一体、何の遊びだろうか。

「よくお兄ちゃんがミレイお姉ちゃんとかセレナお姉ちゃんにしてるパンパンするやつ。ふたりともすごくたのしそうだったから、わたしにもしてほしいの」

 そう言いながら、可愛らしく小さな尻をふりふりするアン。
 俺の意識は軽く宇宙空間を彷徨っていた。
 ええと、あれ、パンパンするやつってアレのことだろうか。
 ミレイとセレナを木に手をつかせてパンパンするといったらアレしか思い浮かばない。
 アンに見られていたらしい。
 さっきヴァンダレイジジイに偉そうな事を言っておいてなんだが、俺の方がよっぽどアンの教育に悪いことをしている気がしてきた。
 まあ、気のせいだろうが。
 うん、気のせいだと思うことにしよう。
 大体、10年位たったらアンにもしようと思っていたし。
 問題ないな!

「……あ、あの……あの子はなんの遊びをしようとしているのでしょうか?」

 完全にドン引きしているエレインさんが真っ青な顔をしていた。
 いかんいかん。
 エレインさんにロリコンだと思われたら俺の沽券に関わる。

「さ、さあ? ちょっと自分にはわからないです。それよりも村の視察を続けましょう。じゃあな、アン。お兄ちゃん忙しいから、その遊びはまた今度な! 具体的には10年後くらいに」

「え? う、うん。またね、お兄ちゃん……」

 寂しそうなアンを残して、そそくさとその場を後にする。

 エレインさんは真っ青な顔のまま俺の後に付いてくる。
 心なしかエレインさんに更に距離を置かれた気がした。
 ま、まあこれからだ。
 既に9回の裏2アウト2ストライクくらいまで来ている気がするが、最後に逆転サヨナラホームランを撃てばよいのだ。
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