ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記

油揚メテオ

文字の大きさ
上 下
136 / 299
第四章 竜騎士編

第135話 ハイランダー

しおりを挟む
「王国騎士コウ・アサギリ卿、その妻、ルシアリーナ殿、並びに、ダーグリュン女伯爵ご入来!」

 王宮に着くなり、待ち時間ゼロで俺たちは謁見の間まで通された。
 半日程待たれた前回とは偉い違いだ。

 謁見の間には、騎士に叙せられた時と同じように、大勢の人間がいた。
 多分、王国に仕える家来たちなのだろう。
 皆、真剣な表情で俺たちを見つめている。
 正直、注目されるのは拷問に等しい苦痛を覚える。
 先程から胃が悲鳴を上げまくって、吐きそうだ。

 謁見の間は石造りの荘厳な馬鹿でかい広間で、真ん中には長大な赤い絨毯が敷かれている。
 その赤絨毯を挟むようにして、両側に家臣たちが並ぶ。
 広間の奥には、精緻な作りの巨大な飾り窓があった。
 そこから差し込む陽光が厳かな雰囲気を醸し出している。
 そして、そんな陽光に照らされるようにして王様が長大な背もたれの玉座についていた。

 相変わらず精悍な顔つきをした王様は、俺に穏やかな笑みを向けている。

 王様の両脇には、ゼービアさんと黒いローブを着た陰湿な男が立っていた。
 ゼービアさんだ!
 ゼービアさんは豊かで美しい紺色の髪に凛とした表情を湛え、真っ白な鎧に身を包んでいる。
 相変わらず美人だ。
 なんかテンションが上がってきた。

 俺たちは王様の前で跪いた。
 俺とセレナが並んで跪き、ルーナは俺のやや後方に跪く。

「久しいな、アサギリ卿。息災であったか?」

 王様はにこやかな笑みを浮かべながら口を開く。

「はあ、まあ」

 とりあえずそう答えると、ルーナに尻をギュッと抓られた。
 何かまずかっただろうか。

「ふはは! 相変わらずそなたは女房の尻に敷かれておるな」

 王様が楽しそうに笑う。
 女房の尻に敷かれる?
 下ネタ?

「ダーグリュン女伯爵もわざわざのご足労痛み入る」

「とんでもございませんわ。陛下」

 セレナと王様がそんな挨拶を交わしていた。

「さて、アサギリ卿。此度の戦働き、誠に見事であった。そなたがいなければ、我が国は滅亡する所だった。全国民に成り代わり、余から礼を言わせて貰おう。ありがとう」

 王様は頭こそ下げなかったものの、真剣な眼差しを俺に向けている。
 王様は威厳というか、偉い人オーラが半端ない。
 そんな人にお礼を言われてしまっては、俺のノミの心臓は早鐘を打つようにドクンドクンと鼓動した。
 ついでにブワッと脂汗も吹き出す。

「ど、どういたしまして?」

 とりあえず、そう答えておくと、ルーナに背中をバシッと叩かれてしまった。
 何なんだよ、さっきから。
 以前もそうだったが、謁見の間に来るとルーナは突然ドメ子と化す。
 DVダメ、絶対!

「……恐悦至極に存じます、と言え」

 ルーナが小声でそんな事を言った。
 えーやだよ、そんな時代劇みたいな。
 第一、そんなの。

「恥ずかしいじゃないか」

「陛下にどういたしましてとか言う方がよっぽど恥ずかしいだろ!!」

 ルーナがくわっと目を見開いて怒鳴る。
 こんな大勢の前で怒られてしまった。
 ものすごい精神的ダメージだ。
 今後、3年くらい引きこもりたくなる。

「ちょっと、お前たち……」

 セレナが俺とルーナにドン引きしていた。
 王様の目の前なのだ。
 突然、怒鳴ったルーナが真赤な顔をして俯いてしまう。

「ふふ、良いのだ。ルシアリーナ殿。アサギリ卿の武勲は、言葉遣いくらいでは揺らぎはせぬ。楽にして良いぞ、アサギリ卿」

 王様がそんな事を言ってくれた。
 言葉遣いは気にしないらしい。
 やっぱり王様、結構話せるヤツ。

「それよりも褒賞の話をしよう。アダルフィン」

 王様はチラリと横に立つ黒ローブの男を見る。
 黒ローブの男は、小さく頭を下げると手に持った羊皮紙を読み上げ始めた。

「コウ・アサギリ卿には、此度の褒賞として子爵の爵位を授ける。また領地をセラン荒野全域に拡張し、金貨1000枚、宝物を授ける。以上」

 黒ローブの男の声はボソボソとした陰鬱な感じだったが、その言葉にその場にいた家臣たちがどよめいた。

「……男爵位を飛び越えて子爵とは……」

「セラン荒野……王国直轄地をまるごと与えるとは、しかも、あそこは広いぞ」

「金貨1000枚とは……また太っ腹な」

 周囲からそんな言葉が聞こえてきた。
 ふむ。
 いまいち実感がないが、すごい事っぽい。
 まあ、少なくとも一杯奢ってくれただけの以前勤めていた会社の社長に比べたら雲泥の違いだろう。
 そういえば、奢ってくれた店は笑○だった。
 ほんとあいつなんなんだろう……。

「すまぬな、アサギリ卿。卿の戦功を鑑みれば、伯爵にしてやっても良かったのだが、さすがに騎士爵から伯爵と言うのは前例がなくてな。近いうちに伯爵にはするので、今回は子爵で我慢してくれ」

 かつての雇用主への憎しみをつのらせていたら、王様が申し訳なさそうにそんな事を言っていた。
 伯爵と子爵の違いがよくわからないので、正直どうでもいい。

「ただ、大活躍した卿への褒賞がこれだけでは少なすぎると、ゼービアを筆頭に戦に参加した者たちから非難が殺到してな」

「へ、陛下っ! わ、私は別に……」

 王様の言葉に、ゼービアさんが血相を変えて慌てている。
 ふふふ。
 その恥ずかしそうな表情には俺への隠しきれぬ好意があると見た。
 早く処女を貰ってやらねば。
 俺はそんな事を考えながらゼービアさんを視姦した。

「なので、余個人で与えられる権限において、卿にある称号を授けようと思う」

 王様はそう言うと、一層の威厳を放ちながら俺を見た。
 自然と背筋が伸びてしまう。

「コウ・アサギリ。これよりそなたを王国最高の騎士ハイランダーに任ずる!」

 王様の言葉にその場のどよめきが更に大きくなった。

「ハイランダーは大将軍と同等の権限、待遇が与えられる。とは言っても、そなたに軍を率いろと言っているわけではない。そなたはこれまで通りに過ごしてもらって構わん。これは余個人からの褒美だと思ってくれ。そして、コウよ、そなたにはハイランダーの証として、剣を授ける。近う寄れ」

 王様がそう言うので、立ち上がって王様の下にてくてくと歩いていった。
 俺が近づくのと同時に、王様の下に厳かな佇まいの騎士達が一振りの剣を運んでくる。

 その剣は、ため息が漏れる程、美しい剣だった。

 柄や鍔には精緻な意匠が刻まれ、柄頭には咆哮する獅子が彫り込まれている。
 1メートル弱はある刀身を納められた鞘は透き通るような純白で所々に金の意匠が入っていた。

「この剣は国剣ラグニードという。この王国の名を冠したこの剣は、まさにこの国の威信だ。この剣をそなたに与える意味を、重く噛み締めて欲しい」

 そう言いながら、王様は俺に向かって剣を差し出す。
 思わず跪いて、両手で剣を受け取った。

『[国剣ラグニード]を装備しました。攻撃力補正+634』

 おお。
 すげえなこの剣。
 剣をくれた意味を噛みしめる気はないが、素直に嬉しい。
 見た目かっこいいし、攻撃力も月光魔剣の数倍だ。
 思わぬ所で新しい剣をゲットできてしまった。

「あ、ありがとうございます」

 ボソボソとそんなお礼を口に出した。
 手に持ったラグニードは生きてでもいるかのように熱を帯びていた。
 そういえば、さっきこの王国の名を冠したとか言っていたが、ラグニード王国って名前なんだろうか、この国。
 初めて知った。

「うむ。これからも頼むぞ、ハイランダー」

 王様はそう言って俺に頷く。
 ハイランダーか。
 なんかいまいちピンとこない。
 かっこいいけど。
 暗黒騎士っていう称号が良かったなー。
 ハイランダーには厨二の心意気が感じられない。

「そうそう、それとそなたの領地に一人、文官を派遣しようと思う。そなたは武官であるし、領地も急拡大したのだ。何かと不便であろう。内政などに是非役立てて欲しい」

 王様はついでと言った感じで言った。
 俺が武官だったのは今初めて知ったが、確かに内政とかは良くわかんない。
 詳しい人を派遣してくれるならありがたい。
 ただなー。

「……あの、派遣してくれるんなら、美人がいいです」

 ダメ元でそんな事を言ってみた。
 どうせならできる女風のキャリアウーマンがいい。
 三角メガネを掛けちゃうような。
 異世界だけど、オフィスラブ的なプレイがしたい。
 ちなみに、オッサンが派遣されてくることだけはNGだ。
 俺は対人恐怖症なので、オッサンが派遣されてくるならストレスで王国に反旗を翻してしまいそうだ。
 まあ、多分オッサンなんだろうけど……やだな……。

「ふはは! そなたは本当に女好きだな! 良かろう。とびっきりの美女を派遣してやろう。丁度、美しい能吏に心当たりがあるのでな」

 しかし、王様は大爆笑しながらそんな事を言ってくれた。
 王様、なんていいヤツなんだ。
 ふふふ。
 楽しみだ。

「あざーっす! いやあ、なかなか話せますなあ、王様! わはは」

 とりあえず、俺も王様に愛想笑いをしてから、ルーナ達の下に戻ろうとした。

 ルーナは歯をギリギリ言わせながら俺を睨みつけていた。

 なぜだろう。
 なんか怒られる気がする。
 心当たりがまったくないのだが。

#############################################
【ステータス】
 名前:コウ
 LV:28
 称号:悲哀なる社畜、色事師、村長
 立場:龍神王、子爵、ハイランダー(New!)
 HP:1337/1337
 MP:255/255
 筋力:145
 防御:44
 敏捷:49
 器用:45
 知能:87
 精神:70
 スキルポイント:5

【装備品】
 [国剣ラグニード]:攻撃力補正+634(New!)
 [土の剣]:攻撃力補正+30
 [真祖のブラッドチェーンメイル]:防御力補正+500
 [真祖のブラッドアーマー]:防御力補正+500
 [真祖のブラッドガントレット]:防御力補正+500
 [真祖のブラッドレッグス]:防御力補正+500

【スキル一覧】
 ・初期スキル
  根性:LV7
  睡眠耐性:LV10(MAX)
  疲労耐性:LV10(MAX)
  孤独耐性:LV10(MAX)
  精神耐性:LV5
  痛覚耐性:LV10(MAX)
  病気耐性:LV8
  飢餓耐性:LV3
  房中術:LV2

 ・強化スキル
  筋力:LV1

 ・魔法スキル
  回復魔法:レベル2:《体力回復》《傷治療》

  属性魔法
   土魔法:LV3:《土生成》《土形成》《石形成》 
   水魔法:LV2:《水生成》《水形成》
   火魔法:LV2:《火生成》《火形成》
   風魔法:LV2:《風生成》《風形成》

  属性魔法
   重力魔法:LV1:《自己重力変動》

 ・武器スキル
  剣:LV3:《達人剣術》
  二刀流:LV3:《達人二刀流》

 ・体術スキル
  打撃:LV2:《応用打撃》

 ・騎乗スキル
  馬:LV1:《基礎馬術》

 ・生産スキル
  裁縫:LV2:《下級糸生成》《下級布生成》
  木工:LV2:《下級丸太生成》《下級木材生成》

【取得可能スキル一覧】
 使用可能スキルポイント:1
 ・武器スキル
  槍/弓/根/斧/拳

 ・強化スキル
  防御/敏捷/器用/知能/精神

 ・盗賊スキル
  解錠

 使用可能スキルポイント:3
 ・騎乗スキル
  飛竜

 使用可能スキルポイント:10
 ・種族スキル
  吸血鬼

 ・魔法スキル
  深淵魔法
   時間魔法/空間魔法/精神魔法

 ・騎乗スキル
  古竜エンシェントドラゴン

 ・生産スキル 
   鍛冶/革細工/錬金術/彫金
############################################
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

貞操逆転世界の男教師

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が世界初の男性教師として働く話。

処理中です...