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第四章 竜騎士編
第133話 再び王都へ
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王宮からの使者が来たのは、一週間程前だった。
前回の蛮族戦、二度に渡る魔族侵攻戦の論功行賞の準備ができたので、王都に来て欲しいそうだ。
論功行賞って言葉は聞き慣れなかったが、ルーナ曰くご褒美をくれる場らしい。
王都までは確か馬車で5日くらいの行程だったはずだ。
なので、使者が来てからすぐに出発しないと間に合わないのだが、幸いうちには自家用ジェットならぬ自家用ドラゴンのフェルさんがいる。
フェルさん曰く、王都まで半日で着くそうなので今回はゆっくりと準備をすることが出来た。
準備と言っても、ルーナのドレスを仕立てるくらいしかないのだが。
今回は俺もルーナのドレス作りには大いに口を出した。
前回のドレスルーナも素晴らしかったのだが、胸の辺りに結構不満があった。
もっと寄せれば谷間が出来てエロくなると思うのだ。
「なんでエロくしようとするのかわからないんだが……」
ルーナはそんな文句を言っていたが無視した。
なんでとか野暮なことは聞くな。
そこに山があるから登るのだ。
理由なんて無い。
「……かしこまりました。出来るだけアサギリ様のおっしゃるようにしてみます」
俺の細かい注文に応えてくれたのはカレリアさんだった。
物凄く嫌そうにしながらも、ルーナのドレスに裁縫スキルを掛けていく。
カレリアさんも裁縫スキルを使えるらしい。
ちなみに、俺もルーナのドレスに裁縫魔法を掛けてみたのだが。
『警告:この生地には《下級服飾生成》を使用することは出来ません』
そんなログが出てしまった。
ドレスの生地はスベスベしていて肌触りが良かった。
シルク? サテン? 良くはわからないが多分高そうな生地だろう。
《下級服飾生成》ではダメらしい。
下級があるということは上級があるのだろう。
裁縫スキルを上げて、上級服飾生成を取得したい。
シルクを加工できるようにしてチャイナルーナを楽しむのだ。
そんなこんなで、準備万端な状態で俺たちは王都に向かって旅立った。
たった半日のフライトではあるが。
今回は特に連れて行く人数を指定されなかったのもあるし、前回王都で買い物をしたと言ったらミレイが羨ましがったので、希望者は全員連れて行くことにした。
今、フェルさんの背中には、俺、ルーナ、セレナ、ミレイ、メグ、アン、カンナさんにフィリスの8名が乗っている。
俺の女はほぼ全員連れてきた事になる。
さすがに王宮に連れて行くのはルーナとセレナだけだと思うが、他の面子にも王都観光を楽しんでもらおうと思うのだ。
フェルさんの背中は広いので8人乗ってもまだまだ余裕がある。
100人乗っても大丈夫! なノリだ。
物置かと言いたくなる。
アンが付いてくることに関しては、ヴァンダレイジジイが酷く難色を示した。
「貴様と一緒に王都に行くじゃと……? 心配じゃ、すごく心配じゃ。主に孫の貞操が」
失礼な。
俺が7歳の子供に手を出すわけ無いだろうに。
「……でも、おじいちゃん。わたしおねいちゃんにあいたい」
アンは愚図るようにヴァンダレイジジイにしがみつく。
王都にはアンの姉が住んでいるらしい。
なんでも優秀な姉らしく王宮で働いているそうだ。
ヴァンダレイジジイには孫がもう一人いるみたいだ。
美幼女であるアンの姉だ。
さぞかし美少女なのだろう。
姉妹丼。
なぜだろう。
そんな単語が脳裏に浮かんだ。
ぜひアンを王都に連れて行かねばと使命感に燃えた。
「うむぅ。まあ、あやつも久しぶりにアンに会いたいじゃろうし、よしここは儂も同行するとしようかのう」
空気を読めないヴァンダレイジジイがそんな事を言い出した。
このうるさいジジイまでついてきては、姉妹丼どころか王都観光にも支障を来しそうだ。
それだけは阻止したい。
「……ジジイ。ここは俺を信頼して、アンを預けてはくれないか? 俺が責任を持って、アンを姉に会わせてやる」
未だかつて無いほど真摯な眼差しをヴァンダレイジジイに向けてみた。
ヴァンダレイジジイは真剣に俺の眼差しを見つめ返す。
「……目が腐っておる。信頼できん。貴様はクソ野郎じゃ」
このクソジジイ!
というか、最後のクソ野郎って言う必要ある?
ただの悪口じゃん!
「まあまあ、ヴァンダレイ。私もいるから。アンの面倒は私がちゃんと見る」
ルーナがそんなフォローをしてくれた。
とはいえ、この老害丸出しジジイがルーナの言葉に頷くわけないのだが。
この徳の高い俺ですら信用できないらしいのだ。
もはやローマ法王すら信用できないと言っているに等しい。
「ルーナ殿、頼みますぞ! 貴女だけが頼りですじゃ。儂の可愛い孫を、あのクソ野郎の魔の手から守ってくだされ」
「あ、ああ。任せろ」
しかし、あっさりヴァンダレイジジイはルーナにアンを託した。
どうしよう。
本気でこのジジイ殺したい。
そんなわけで、無事にアンもついてくることになったのだ。
今、アンはフェルさんの背中の上で、ルーナが作ってきたおやつを美味しそうに頬張っている。
背中に背負った小さなリュックが可愛らしい。
そういえば、今回はメイドであるカンナさんとフィリスも同行している。
二人は最初、行かないと言っていたのだが、普段メイド仕事で疲れているだろうから、たまには王都観光もどうかと思って無理やり誘ってみたのだ。
「姉想いの良い弟ですね、コウくんは。来てください、お姉ちゃんが抱っこしてあげます」
出発前にカンナさんがそう言って抱っこしてくれたので、そのまま押し倒した。
包容力のある姉プレイは何度しても格別だ。
カンナさんみたいな実姉がいたら、俺の人生も変わっていたと思うのだ。
主に禁断の方向に。
そんなわけで、今回は二人ともオフなので、普段のメイド服ではなくカレリアさん作のよそ行きの衣装を着ている。
ちょっとおめかしした普通の町娘のような格好をした二人は、男なら誰もが振り向くような美人だった。
普段は綺麗に纏めている黒髪を下ろしたカンナさんはドキドキする程色っぽかった。
「……カンナ姉様はいいですけど、私は変じゃないですか? こんな私が人間たちの街なかに行っても、怖がらせちゃうだけだと思うんですけど……」
フィリスはそんな事を言って、目深に被った帽子を更に深く被る。
確かに、フィリスはカンナさんに比べると顔色が悪くて吸血鬼っぽい。
吸血公(ヴァンパイアロード)と上位吸血鬼(デイライトウォーカー)という種族の違いらしい。
とはいえ、ピンク色の袖付き襟付きワンピースを着たフィリスは少し病弱な深層のご令嬢にしか見えない。
誰も吸血鬼だとは思わないだろう。多分。
「そんなことない。可愛いぞ、フィリス」
とりあえず、そう声をかけるとフィリスは感動したようにわなわなと震えだした。
「はあはあ、コウ様!!」
そのままフィリスがしがみついてくる。
抱きしめてやろうとしたのだが、フィリスはレスリングのタックルのように俺の股間辺りにしがみついてきて、そのまま肛門辺りを触りだした。
「フィリス! ステイ! フィリース!」
咄嗟にフィリスを引き剥がし、その頭をわしゃわしゃと抱えた。
とある動物王国のアノ老人が猛獣を扱うのを真似てみた。
執拗に肛門を狙ってくる猛獣みたいなものだからだ。
本当にフィリスは気を抜くとすぐに下に走って困る。
「ああっ! なんで止めるんですか!? ちょっとくらいお尻の穴をペロペロさせてくれてもいいじゃないですか!」
全然、ちょっとくらいじゃないし、女の子がそんな事を言ってはいけないと思うのだ。
「お、おい! 妻をほったらかしてフィリスといちゃいちゃしちゃダメじゃないか!!」
涙をいっぱいに溜めたルーナがやってきた。
必死に肛門を守っただけなのに、いちゃいちゃとか心外なんだけど。
「……悪かったよ。ほら、来い、ルーナ」
仕方なくフィリスをポイして、ルーナに向かって両手を拡げる。
「えへへ! お前がいちゃいちゃしていいのは私だけなんだからな! このまま王都までずっと私を可愛がるんだぞ?」
胸に飛び込んできたルーナが嬉しそうに顔を擦り寄せる。
可愛い。
「……ね、ねえ。私もいるのだから、私のことも、その、もっと構って欲しいのだけれど……」
そわそわしながらセレナがそんな事を言ってきたので、ルーナと一緒に抱き寄せた。
「うふふ、コウ!」
セレナは嬉しそうに俺の首筋に顔を埋める。
こっちも可愛い。
「な、なんで、お前までくっついてくるんだ!? こいつは私の夫だぞ!?」
「うるさい小娘ね。お前のケチ臭さはなんなの? そんなんだから、いつまでたっても胸が薄っぺらいままなのよ」
「い、いま胸のことは関係ないじゃないか!? うわーん、コウ! セレナが、セレナがあ」
いつものように二人が喧嘩を始めたので心配になったが、ルーナがあっさり泣かされた。
早かったなー、今日も。
そのままギャーギャーとうるさいルーナとセレナを両手で抱きしめ続けた。
離れた所でメグと話していたミレイが不安そうにこっちをチラチラと見ていた。
そんな顔をしないで欲しい。
わかっている。
後でミレイも可愛がってやる。
それにしても、予想はしていたが女達との旅行は物凄く楽しい。
フェルさんの背中は相変わらず乗り心地がいいし。
全然揺れないし、ここが空の上だと言うことを忘れてしまいそうだ。
この時代は移動にいちいち時間がかかるので、辟易していたが、フェルさんのおかげでだいぶ改善された。
しかも、うちには最終兵器のカレリアさんもいるのだ。
いざとなったらカレリアさんの空間魔法で瞬間移動も出来る。
今回は旅行感を味わうためにフェルさんに乗ってきた。
そういえば、一応カレリアさんにも声を掛けてみたのだが。
「私は留守を守っています。呼んで頂けたらすぐに参りますし。セレナお嬢様と妹たちをよろしくお願いします」
そんな事を言われてしまった。
呼べばすぐに来てくれるらしい。
さすが、出来るメイドは言うことが違う。
というか、ルーナとセレナを抱きしめていたら、なんかムラムラしてきた。
ここにベッドがあれば二人まとめて抱いてやるのだが。
ルーナがうるさいから先に気絶させるけど。
今度、フェルさんの背中にベッドを設置しようかと思う。
(主ヨ、我ノ背デ何ヲスルツモリダ……)
フェルさんの不安そうな声が脳内に響いた。
うるせえな。
俺に文句でもあるのだろうか。
せっかく移動型ラブホテルにしてやろうとしているのに。
(……ソレハ嫌ダ)
なんかまだ文句があるっぽいので、フェルさんの背中をバシッと叩いておいた。
(……痛イ)
というか、周囲を見渡してみてふと気づいた。
ピートとカー坊がいない。
そういえば、あいつらもついてきたいとか言って旅支度を進めていた気がするのだが。
置いてきてしまったらしい。
まあいいか。
あの馬鹿兄弟の存在理由(レーゾンデートル)がわからないし、いてもいなくても変わらないだろう。
そんなわけで、二人の存在はきれいさっぱり俺の脳内からデリートされた。
前回の蛮族戦、二度に渡る魔族侵攻戦の論功行賞の準備ができたので、王都に来て欲しいそうだ。
論功行賞って言葉は聞き慣れなかったが、ルーナ曰くご褒美をくれる場らしい。
王都までは確か馬車で5日くらいの行程だったはずだ。
なので、使者が来てからすぐに出発しないと間に合わないのだが、幸いうちには自家用ジェットならぬ自家用ドラゴンのフェルさんがいる。
フェルさん曰く、王都まで半日で着くそうなので今回はゆっくりと準備をすることが出来た。
準備と言っても、ルーナのドレスを仕立てるくらいしかないのだが。
今回は俺もルーナのドレス作りには大いに口を出した。
前回のドレスルーナも素晴らしかったのだが、胸の辺りに結構不満があった。
もっと寄せれば谷間が出来てエロくなると思うのだ。
「なんでエロくしようとするのかわからないんだが……」
ルーナはそんな文句を言っていたが無視した。
なんでとか野暮なことは聞くな。
そこに山があるから登るのだ。
理由なんて無い。
「……かしこまりました。出来るだけアサギリ様のおっしゃるようにしてみます」
俺の細かい注文に応えてくれたのはカレリアさんだった。
物凄く嫌そうにしながらも、ルーナのドレスに裁縫スキルを掛けていく。
カレリアさんも裁縫スキルを使えるらしい。
ちなみに、俺もルーナのドレスに裁縫魔法を掛けてみたのだが。
『警告:この生地には《下級服飾生成》を使用することは出来ません』
そんなログが出てしまった。
ドレスの生地はスベスベしていて肌触りが良かった。
シルク? サテン? 良くはわからないが多分高そうな生地だろう。
《下級服飾生成》ではダメらしい。
下級があるということは上級があるのだろう。
裁縫スキルを上げて、上級服飾生成を取得したい。
シルクを加工できるようにしてチャイナルーナを楽しむのだ。
そんなこんなで、準備万端な状態で俺たちは王都に向かって旅立った。
たった半日のフライトではあるが。
今回は特に連れて行く人数を指定されなかったのもあるし、前回王都で買い物をしたと言ったらミレイが羨ましがったので、希望者は全員連れて行くことにした。
今、フェルさんの背中には、俺、ルーナ、セレナ、ミレイ、メグ、アン、カンナさんにフィリスの8名が乗っている。
俺の女はほぼ全員連れてきた事になる。
さすがに王宮に連れて行くのはルーナとセレナだけだと思うが、他の面子にも王都観光を楽しんでもらおうと思うのだ。
フェルさんの背中は広いので8人乗ってもまだまだ余裕がある。
100人乗っても大丈夫! なノリだ。
物置かと言いたくなる。
アンが付いてくることに関しては、ヴァンダレイジジイが酷く難色を示した。
「貴様と一緒に王都に行くじゃと……? 心配じゃ、すごく心配じゃ。主に孫の貞操が」
失礼な。
俺が7歳の子供に手を出すわけ無いだろうに。
「……でも、おじいちゃん。わたしおねいちゃんにあいたい」
アンは愚図るようにヴァンダレイジジイにしがみつく。
王都にはアンの姉が住んでいるらしい。
なんでも優秀な姉らしく王宮で働いているそうだ。
ヴァンダレイジジイには孫がもう一人いるみたいだ。
美幼女であるアンの姉だ。
さぞかし美少女なのだろう。
姉妹丼。
なぜだろう。
そんな単語が脳裏に浮かんだ。
ぜひアンを王都に連れて行かねばと使命感に燃えた。
「うむぅ。まあ、あやつも久しぶりにアンに会いたいじゃろうし、よしここは儂も同行するとしようかのう」
空気を読めないヴァンダレイジジイがそんな事を言い出した。
このうるさいジジイまでついてきては、姉妹丼どころか王都観光にも支障を来しそうだ。
それだけは阻止したい。
「……ジジイ。ここは俺を信頼して、アンを預けてはくれないか? 俺が責任を持って、アンを姉に会わせてやる」
未だかつて無いほど真摯な眼差しをヴァンダレイジジイに向けてみた。
ヴァンダレイジジイは真剣に俺の眼差しを見つめ返す。
「……目が腐っておる。信頼できん。貴様はクソ野郎じゃ」
このクソジジイ!
というか、最後のクソ野郎って言う必要ある?
ただの悪口じゃん!
「まあまあ、ヴァンダレイ。私もいるから。アンの面倒は私がちゃんと見る」
ルーナがそんなフォローをしてくれた。
とはいえ、この老害丸出しジジイがルーナの言葉に頷くわけないのだが。
この徳の高い俺ですら信用できないらしいのだ。
もはやローマ法王すら信用できないと言っているに等しい。
「ルーナ殿、頼みますぞ! 貴女だけが頼りですじゃ。儂の可愛い孫を、あのクソ野郎の魔の手から守ってくだされ」
「あ、ああ。任せろ」
しかし、あっさりヴァンダレイジジイはルーナにアンを託した。
どうしよう。
本気でこのジジイ殺したい。
そんなわけで、無事にアンもついてくることになったのだ。
今、アンはフェルさんの背中の上で、ルーナが作ってきたおやつを美味しそうに頬張っている。
背中に背負った小さなリュックが可愛らしい。
そういえば、今回はメイドであるカンナさんとフィリスも同行している。
二人は最初、行かないと言っていたのだが、普段メイド仕事で疲れているだろうから、たまには王都観光もどうかと思って無理やり誘ってみたのだ。
「姉想いの良い弟ですね、コウくんは。来てください、お姉ちゃんが抱っこしてあげます」
出発前にカンナさんがそう言って抱っこしてくれたので、そのまま押し倒した。
包容力のある姉プレイは何度しても格別だ。
カンナさんみたいな実姉がいたら、俺の人生も変わっていたと思うのだ。
主に禁断の方向に。
そんなわけで、今回は二人ともオフなので、普段のメイド服ではなくカレリアさん作のよそ行きの衣装を着ている。
ちょっとおめかしした普通の町娘のような格好をした二人は、男なら誰もが振り向くような美人だった。
普段は綺麗に纏めている黒髪を下ろしたカンナさんはドキドキする程色っぽかった。
「……カンナ姉様はいいですけど、私は変じゃないですか? こんな私が人間たちの街なかに行っても、怖がらせちゃうだけだと思うんですけど……」
フィリスはそんな事を言って、目深に被った帽子を更に深く被る。
確かに、フィリスはカンナさんに比べると顔色が悪くて吸血鬼っぽい。
吸血公(ヴァンパイアロード)と上位吸血鬼(デイライトウォーカー)という種族の違いらしい。
とはいえ、ピンク色の袖付き襟付きワンピースを着たフィリスは少し病弱な深層のご令嬢にしか見えない。
誰も吸血鬼だとは思わないだろう。多分。
「そんなことない。可愛いぞ、フィリス」
とりあえず、そう声をかけるとフィリスは感動したようにわなわなと震えだした。
「はあはあ、コウ様!!」
そのままフィリスがしがみついてくる。
抱きしめてやろうとしたのだが、フィリスはレスリングのタックルのように俺の股間辺りにしがみついてきて、そのまま肛門辺りを触りだした。
「フィリス! ステイ! フィリース!」
咄嗟にフィリスを引き剥がし、その頭をわしゃわしゃと抱えた。
とある動物王国のアノ老人が猛獣を扱うのを真似てみた。
執拗に肛門を狙ってくる猛獣みたいなものだからだ。
本当にフィリスは気を抜くとすぐに下に走って困る。
「ああっ! なんで止めるんですか!? ちょっとくらいお尻の穴をペロペロさせてくれてもいいじゃないですか!」
全然、ちょっとくらいじゃないし、女の子がそんな事を言ってはいけないと思うのだ。
「お、おい! 妻をほったらかしてフィリスといちゃいちゃしちゃダメじゃないか!!」
涙をいっぱいに溜めたルーナがやってきた。
必死に肛門を守っただけなのに、いちゃいちゃとか心外なんだけど。
「……悪かったよ。ほら、来い、ルーナ」
仕方なくフィリスをポイして、ルーナに向かって両手を拡げる。
「えへへ! お前がいちゃいちゃしていいのは私だけなんだからな! このまま王都までずっと私を可愛がるんだぞ?」
胸に飛び込んできたルーナが嬉しそうに顔を擦り寄せる。
可愛い。
「……ね、ねえ。私もいるのだから、私のことも、その、もっと構って欲しいのだけれど……」
そわそわしながらセレナがそんな事を言ってきたので、ルーナと一緒に抱き寄せた。
「うふふ、コウ!」
セレナは嬉しそうに俺の首筋に顔を埋める。
こっちも可愛い。
「な、なんで、お前までくっついてくるんだ!? こいつは私の夫だぞ!?」
「うるさい小娘ね。お前のケチ臭さはなんなの? そんなんだから、いつまでたっても胸が薄っぺらいままなのよ」
「い、いま胸のことは関係ないじゃないか!? うわーん、コウ! セレナが、セレナがあ」
いつものように二人が喧嘩を始めたので心配になったが、ルーナがあっさり泣かされた。
早かったなー、今日も。
そのままギャーギャーとうるさいルーナとセレナを両手で抱きしめ続けた。
離れた所でメグと話していたミレイが不安そうにこっちをチラチラと見ていた。
そんな顔をしないで欲しい。
わかっている。
後でミレイも可愛がってやる。
それにしても、予想はしていたが女達との旅行は物凄く楽しい。
フェルさんの背中は相変わらず乗り心地がいいし。
全然揺れないし、ここが空の上だと言うことを忘れてしまいそうだ。
この時代は移動にいちいち時間がかかるので、辟易していたが、フェルさんのおかげでだいぶ改善された。
しかも、うちには最終兵器のカレリアさんもいるのだ。
いざとなったらカレリアさんの空間魔法で瞬間移動も出来る。
今回は旅行感を味わうためにフェルさんに乗ってきた。
そういえば、一応カレリアさんにも声を掛けてみたのだが。
「私は留守を守っています。呼んで頂けたらすぐに参りますし。セレナお嬢様と妹たちをよろしくお願いします」
そんな事を言われてしまった。
呼べばすぐに来てくれるらしい。
さすが、出来るメイドは言うことが違う。
というか、ルーナとセレナを抱きしめていたら、なんかムラムラしてきた。
ここにベッドがあれば二人まとめて抱いてやるのだが。
ルーナがうるさいから先に気絶させるけど。
今度、フェルさんの背中にベッドを設置しようかと思う。
(主ヨ、我ノ背デ何ヲスルツモリダ……)
フェルさんの不安そうな声が脳内に響いた。
うるせえな。
俺に文句でもあるのだろうか。
せっかく移動型ラブホテルにしてやろうとしているのに。
(……ソレハ嫌ダ)
なんかまだ文句があるっぽいので、フェルさんの背中をバシッと叩いておいた。
(……痛イ)
というか、周囲を見渡してみてふと気づいた。
ピートとカー坊がいない。
そういえば、あいつらもついてきたいとか言って旅支度を進めていた気がするのだが。
置いてきてしまったらしい。
まあいいか。
あの馬鹿兄弟の存在理由(レーゾンデートル)がわからないし、いてもいなくても変わらないだろう。
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