ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記

油揚メテオ

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第四章 竜騎士編

第119話 ピート帰還

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 家でルーナとイチャついていたら、泣きべそをかいたカー坊がやってきた。

「コウ兄ちゃん! うちのあんちゃんが、帰ってこないんだ」

 カー坊の叫びは悲痛だった。
 というか。

「お前に兄なんていたか?」

「ええ!?」

 カー坊はひどく驚いた気がする。
 はて。解せぬ。
 カー坊の兄?
 …………。
 ああ!
 いたいた!
 なんかモブっぽいのがいた。

「おいらのあんちゃんはピートって言って、コウ兄ちゃんと一緒に戦に行ったんだ、けど……」

 そうだ。
 ピートだ。
 そういえば、あいつどうしたっけな。
 うーん。

 俺は両手を組んで悩んだ。
 必死に脳内HDDにサーチをかける。

 辛うじて1件ヒットした。

「……ピートは……囚人の才能がある……。悪い、これしか思い出せないわ」

「ど、どういうこと!?」

 愕然とした表情で涙を浮かべるカー坊。
 どういうことかは俺にもわからない。

「お、おい! 可哀想じゃないか! ピートのこともっと良く思い出せないのか!? よしよし、可哀想に」

 見かねたルーナがカー坊を抱きしめている。

「……べ、べつにどうってこと無いよ。うへへ」

 こ、この糞ガキ!!
 ルーナに抱きしめてもらって、物凄くエロい目をしてやがる。
 それは俺の女だ!
 10歳とは言え許せん。

 おもむろに立ち上がると、カー坊の頭をぎりぎりと掴む。

「あがっ! あががが!」

 苦悶の表情を浮かべるカー坊。
 バカのくせに調子に乗るからだ。

「こら! 子供になんて事をするんだ!? そんなことで良いパパになれると思っているのか?」

 ルーナに怒られてしまった。
 というか、サラッと怖いことを言うのはやめて欲しい。
 え、まだだよね?
 まだセーフだよね?

 とりあえず。

「だってカー坊が、エロガキのくせに生意気に……」

 そんな言い訳をしてみると、ルーナがはっとした表情をする。

「お前……もしかしてカー坊に妬いているのか?」

「なんでだよ!?」

「えへへ! そんなに嫉妬するなら、ちゃんと捕まえておけばいいじゃないか! ほらほら」

 ルーナが嬉しそうに抱きついてくる。
 何言ってんだこいつ。
 俺がカー坊に嫉妬なんてするわけ……したんだろうか。
 自分の3分の1も生きてない子供に嫉妬するのってどうなんだろう。
 いや、さっきのカー坊のエロ目は子供のそれではなかった。
 まるでキャバクラ狂いの中年オヤジのような。
 10歳でその境地に達するとは。
 カー坊、恐ろしい子。

「うう、ずるいや、コウ兄ちゃんばっかり」

 ルーナとイチャついていたら、カー坊が悔しそうにしていた。
 とりあえず、渾身のドヤ顔をカー坊に見せつけておく。

「……大人げない」

 カー坊がぼそっと言う。
 うるせ!
 カー坊のくせに生意気な。

「ねえ、これでも食べてげんきだして?」

 その時、うちに遊びにきていたアンがカー坊にクッキーを渡す。
 カー坊が来るまでは、アンとルーナと3人でクッキーを食べていたのだ。
 ちなみに、アンはヴァンダレイジジイの孫だ。

「あ、ありがとう」

 クッキーを渡されたカー坊はアンをぽーっと見つめている。
 なんか嫌な予感がする。

「……かわいい」

 ボソッとカー坊がつぶやいた。
 アンはよくわかっていないのかニコニコ笑っている。

 10歳の少年が7歳の少女に恋をした瞬間だった。

 確かにアンは美少女だ。
 あと10年もすれば美しい娘に成長するだろう。
 ついでに邪魔なジジイは死んでいるはずだ。
 そうなったら美味しく頂こうと思って、こうして毎日クッキーで餌付けしていたのに。

「お、おいらカービンっていうんだ。い、いっしょにお外であそぼうよ?」

「うん、いいよー。わたしアンっていうの」

 そして、ロリの化身とショタの化身は仲良く手を繋いで外に遊びに行った。

 あの糞ガキ!!
 俺の光源氏計画を邪魔するとは……許せん。

 絶対にカー坊とアンが仲良くなるのだけは阻止せねば。
 俺の心はメラメラと燃えた。

「な、なあ、二人きりになっちゃったな。な、何しよっか?」

 ルーナがチラチラと上目遣いをしてくる。
 白々しいけど可愛かったので、とりあえずルーナを押し倒した。



 ルーナをきっちり気絶させた後、俺は糞ガキの後を追った。

 カー坊とアンは俺の作った砂場(畑)で楽しそうに泥んこ遊びをしていた。
 うう、俺が作った砂場でよくも。

 とりあえず、アンを取り返すことにした。

「アン、おじさんが飴玉をあげよう。こっちにおいで」

「わーい! アメすきー!」

 アンが嬉しそうに駆けてくるので、ルーナ作の飴玉を渡して頭を撫でる。
 そして、すかさず置いてけぼりになったカー坊にドヤった。

「ぐぬぬぬー! コウ兄ちゃんにはルーナ姉ちゃんとかミレイ姉ちゃんがいるのに、なんでおいらのアンちゃんにまで手を出すんだよ!?」

 カー坊は悔しそうな顔で地団駄を踏んでいる。
 ふふ、良いザマだ。
 さりげなくおいらのアンちゃんとか言っているのがイラッとするが。
 まあ、ここは大人としてひとつレクチャーしてやるか。

「いいか、カー坊。傍にどれだけいい女がいても、他にいい女がいたら迷わず手を出す。それが俺の生き方だ」

「……くそう、くやしいけどあこがれる」

「ふふ、努力を怠るなよ。才能あるぜ、お前」

 そう言い残して、アンを家に連れ帰った。
 今日は俺の勝ちだな。

 この日から、俺とカー坊の壮絶なアン争奪戦が幕を開けた。


 ちなみに、数日後、ピートは誰に祝福されるでもなく普通に帰ってきた。
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