ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記

油揚メテオ

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第四章 竜騎士編

第116話 ゲルニア要塞の戦い

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 純白のドラゴンに乗って空を駈ける。
 流れる景色を眺めていると、かなりの速度が出ていた。
 相変わらず風圧は感じず、快適な乗り心地だ。

 俺のドラゴンを中心に数百騎の竜騎士達が見事な編隊飛行を組んでいる。
 先頭を行くのは、王国の危機を知らせてくれた斥候さんだった。

 竜騎士達の編隊は、こうして見てみるとなかなか壮観だ。
 しかも、操っているのは麗しきダークエルフなのだぜ。
 たまらんとです。

 しばらくして、横を見てみると、赤い飛竜に乗ったリュディアが飛んでいた。
 いつかの全身スケイルメイル姿だ。
 リュディアは何やら手を小まめに動かし、俺にハンドサインのようなものを送ってくる。
 正直言って、全然理解できなかったが、前方を執拗に指しているのはわかった。

 前方に向き直って、よく目を凝らしてみると山岳地帯に建造された砦のような物が見えてきた。
 あれが王国軍とオークが戦っているというなんとか要塞だろうか。

 というか、もうついたの???

 ダークエルフの村を出発してまだ一日くらいしか経っていない。
 本当に航空戦力ってチートである。
 そりゃ王国軍も負けますわ。
 今は俺に従ってくれているようなのでいいのだが。


 上空から見たなんとか要塞は雲霞の如く、何かに群がられていた。
 ここから見ると黒い点にしか見えないが、あれが全部オークなのだろうか。
 だとしたら、オークは凄まじい数になる。
 というか、要塞の内部にもオークに侵入されているように見える。
 もう手遅れなのだろうか。
 既にあの要塞は陥ちていて、他のオークが王国に進行中とかだったら笑えない。


 要塞の上空で、全騎停止して滞空する。
 ドラゴンはヘリコプターのように空中で停止することができる。
 風の音やら、飛竜の羽ばたく音やらがうるさいが、こうすれば会話できないこともない。

「要塞内部にも多数のオークが侵入しているようですが、まだ辛うじて王国軍の兵士の姿も見えました」

 要塞の様子を偵察してきた斥候さんが教えてくれた。
 まだ王国軍が生きているのならば、ギリギリセーフだろうか。
 なんとかここでオーク共を足止めしてくれていたらしい。

「あのオーク共を追い払えるか?」

 リュディアに聞いてみた。

「数が多すぎるな。飛竜は撹乱などは得意だが、殲滅には向かない。我の火竜ならブレスである程度の範囲攻撃ができるが」

 ふーむ。
 リュディアの火竜にボーボー火を吐いてもらえばそのうち追い払えるかもしれないが、時間は掛かりそうだ。
 時間がかかってもオーク共を追い払えればいいのだが、その頃には要塞の王国軍兵士は全滅しているだろう。
 どうせなら助けたい。

「おい、トカゲ。お前あれなんとかできないか?」

 以前このドラゴンは山を吹き飛ばす程の何かを口から出していた。
 アレをやってくれればオーク共を殲滅できるのではないかと思ったのだ。

(承知シタ。下ニイル虫ケラ共ヲ消セバ良イノダナ?)

「そうそう。要塞内に味方もいるからその人達には当てるなよ」

(承知! 下ガッテイルノダ。我ガ眷属タチヨ)

 ドラゴンがそう言うと、周囲の飛竜達が勝手に距離を取り出した。
 飛竜に乗る竜騎士達が勝手に動き出した飛竜に慌てている。

 ドラゴンはバサッと大きく羽ばたくと、上昇していった。
 そして、上体を起こして要塞を俯瞰する。
 思わず転げ落ちそうになったので、慌ててドラゴンのたてがみを掴んでしがみついた。

 ドラゴンは大口を開けると、キュイーンと何かを吸引する音が聞こえてきた。
 尋常じゃない魔力の収束を感じる。
 なんか以前よりチャージ時間が長い気がした。

 そして、ドラゴンの口から閃光が放たれた。

 まるでレーザービームのようなそれは直線を描いて、要塞の外に着弾する。
 周囲にいた数体のオークが吹き飛んだ。

 え、たったそれだけ?

 あれだけチャージしといて数体のオークを仕留めるだけとか。
 がっかりなんですけど。

 そう思った瞬間。

 地面に着弾しても全く弱まる気配のないレーザービームが、ギュンッと要塞周辺をなぞるように一周する。

 そして、大地が爆ぜた。

 巨大な火柱が立ち上る。
 かなり上空にいる俺にまで熱気が届く。

 火柱が消え去った後、パラパラと何かが地面に落下した。
 恐らくかつてオークだったものだろう。

 巨○兵ですやん。

 ふとそんな感想が出てきた。

 地面を見下ろすと、黒煙が立ち上っていた。
 そのせいで、よく見えないが、要塞周辺に動いているものの姿は確認できない。

(コレデ良イカ、主ヨ。アノ箱ノ中ニハ当テテイナイ)

「お、おう」

 とりあえず、曖昧に頷いておいた。

 なんとなく。
 そんな気はしていたが。
 もしかして、このドラゴンさんってめちゃくちゃ強いんじゃないだろうか。
 リュディアを寝取られそうになった怒りから、チンピラみたいに喧嘩を売ったのが無謀に思えてならない。
 俺ってちょっとやばいんだろうか。
 まあ今は俺に従っているのだ。
 強力な召喚獣を手に入れたと思うことにする。
 召喚獣とか。
 ちょっとみなぎってきた!

「コウ! フェルナノーグ様のお陰で後は要塞内部の敵だけだ。あれくらいなら我らで十分殲滅できる。やるか?」

「頼む」

 リュディアがそんな提案をしてくれたので、頷いておいた。

 リュディアを先頭に、竜騎士達が次々に降下していく。
 要塞は本丸を中心に周囲を壁に囲まれた形状をしていて、本丸と壁の間は中庭になっていた。
 中庭にはオーク共がひしめいているが、空がぽっかり開いてるため、上空からの攻撃も問題なく行えそうだった。

(主ヨ。我モ降下シテ殲滅ニ加ワルカ?)

「いや、俺だけ下ろしてくれればいい。お前はでかすぎて却って邪魔だ」

 かなり巨大な要塞だったが、このドラゴンが暴れらるほどの広さはない。
 俺が一人で剣を振り回したほうが効率的だろう。

(……承知)

 邪魔呼ばわりされたドラゴンはちょっとしょんぼりしていた。
 少しも可愛くなかった。



 ドラゴンにギリギリまで低空に近づいて貰って、要塞内部に飛び降りる。
 壁際ギリギリに着地して、辺りを見渡した。
 辺り一面、オークだらけだった。
 完全に囲まれている。
 ちょっと降りる場所を間違えただろうか。
 ただ、オーク達は俺を見て怯えていた。
 俺の乗っていたドラゴンにびびったらしい。

「……アサ、ギリ卿?」

 不意に近くから若い女性の声が聞こえた。
 振り返れば、そこにいたのは美女だった。
 艶やかな紺色の髪はぐちゃぐちゃにほつれ、顔は泥と血に汚れている。
 それでも、その美しさは曇ることがない。
 しかも、俺はこの美女を知っている。

「ゼービアさん!」

 いつか王宮で会ったゼービアさんだった。
 たしか近衛騎士団長で剣聖とか言っていた。
 あのときの会話は一文字も漏らすことなく記憶している。
 なぜなら、ゼービアさんが美女だから!

「まさか、こんな所でゼービアさんに会えるなんて」

「ここの防衛司令官は私だ。卿こそどうして……あれは南の蛮族じゃない? なんでオークを攻撃しているの?」

 ゼービアさんは上空から投げやりを落としている竜騎士達を見ている。

「あれは味方です。それよりも、下がってください」

 言いながらゼービアさんを背中で庇う。

「なっ!? この私に下がれですって!? どきなさい! オーク共を屠っている最中なのよ?」

 ゼービアさんは見るからにボロボロなのでどく気はない。
 というか、ここにゼービアさんがいると知っていたらもっと急いだのに。

 ゼービアさんを壁際に押しのけて、両手に土の剣を生成する。

「周囲に味方は?」

 一匹のオークが怯えながらも棍棒を振り下ろしてくる。
 振り下ろされる前に、オークの喉笛を切り裂いた。
 喉から血を拭き上げたオークが仰向けに斃れる。

「……もう、いないわ」

 周囲のオークを斬り殺しながら、ゼービアさんの弱々しい声を聞いた。
 まあ、どう見てもいないのはわかっているのだが。
 ならば。

 両手で剣を振り回しながらオーバロードさせた《火形成》を発動させる。
 イメージはさっきドラゴンがやってたアレだ。

 多大なMPが消費された瞬間。
 俺とゼービアさんの周囲に炎の壁が出現する。
 炎の壁はオーク共を飲み込んで勢い良く燃え上がった。
 そして、辺りにはオークの消し炭だけが残される。

 うーん。
 倒した数は百体強といった所だろうか。
 あのドラゴンには遠く及ばない。
 多分、あいつは数万を皆殺しにしていた。
 チートすぎんだろ!

「……あ、あれほどのオークが、一瞬で」

 ゼービアさんのそんな呟きが聞こえた。
 もしかして、好感度を上げるチャンスなのでないかと気づいた。
 ここで頑張れば後でチューくらいさせてくれるかもしれない!

「そこで大人しくしててくださいね」

 ゼービアさんを壁際に残して、俺は残ったオークを殲滅していった。
 この前の地竜と比べると、オークは信じられないくらい弱かった。
 入ってくる経験値も1とか2ポイントだ。
 もうすぐオークは卒業なのかもしれない。

 とはいえ、ゼービアさんのチューのためにがんばる!

 未だかつてないくらい張り切った!


 それからは一方的な展開だった。
 要塞内部のオーク共は俺や竜騎士達によってどんどん殲滅されていった。
 城壁に取り付いていたオークはリュデュアの火竜に燃やされていた。

 本丸内部に侵入したオークは、飛竜を降りたリュディア達と制圧することにした。
 リュディアは普通に槍を使っても強かった。
 とても尻を叩くと喜ぶ女には見えない。



 要塞から全てのオークを殲滅した頃には日が暮れていた。
 今、要塞内部は歓声に包まれている。
 若干名だが、生き残った王国軍の兵士もいたのだ。
 兵士たちは声高に俺の名前を連呼してくれていた。
 物凄く恥ずかしいので止めてほしかった。

 ここで籠城戦が始まったのは4日前らしい。
 ここの兵士たちが苦しんでいる中、俺はダークエルフと乱交していたのかと考えるとちょっと胸が痛くなる。
 後悔する気はないが。

「この要塞も、王国も貴卿に守られた。……感謝する。王宮に貴卿の活躍は報告しておくわ。莫大な報奨を期待していなさい」

 ゼービアさんは、なぜか俺の顔を一度も見てくれなかった。
 そして、そのまま立ち去ろうとする。
 え、それだけ?

「ゼービアさん!」

 思わず呼び止めてしまった。
 ゼービアさんが振り返る。

 せめてキスくらいしてほしい。あわよくばやらせて欲しい。
 そんな事を考えたが、さすがに口にだすのは憚られ――。

「せめてキスくらいさせてください! あわよくばやらせて下さい!」

 って、うおおおおい!
 憚ることなく、俺は素直な気持ちを口にしていた。
 本当に腹芸って苦手だ。

「…………」

 ゼービアさんは顔を真赤にして硬直している。
 やがて硬直が解けると、つかつか歩いてきて、思い切り俺の頬を張った。

「バカじゃないの!? このスケベ!」

 そして肩を怒らせながら立ち去ってしまう。

 こ、この俺がビンタされた!?
 女にビンタされるなんて転生してから初めてだ!
 よく考えたら、今までよくビンタされなかったなとも思うが。

 というか、なんとなくゼービアさんのビンタからは処女臭がした。
 プロ? である俺にはわかるのだ。
 処女は面倒くさいので嫌だが、ゼービアさんのはそのうち俺が貰ってやろうじゃないか。
 ふふふ。
 去りゆくゼービアさんの華奢な背中を眺めながら、俺は謎の上から目線をした。

「……普通、近衛騎士団長にあんなこと言ったら死罪ですよ」

 近くにいた王国軍の兵士がそんな事を教えてくれた。
 死罪にされなかったということは脈はあると言うことだ。
 ゼービアさんが俺の女になる日は近い。
 というかホントすぐに死罪にしすぎだから!


 リュディアが竜騎士達の被害状況を報告してくれた。
 軽傷を負った者が数人出ただけで、死者はいないらしい。
 まあ、ほぼワンサイドゲームだったしな。
 なんか全部あのドラゴンに持ってかれた気がする。

「そろそろ村に戻らないか?」

 確かにもうここですることはないだろう。
 ゼービアさんは処理しなきゃいけないことがたくさんあるとか言っていたが。
 俺には関係ないので、帰ってダークエルフを抱くか。
 まだ抱いていないダークエルフが数百人いる。
 いや、それよりも。

「俺は俺んちに帰るわ。……長い事世話になったな」

 さすがにルーナが恋しい。
 いい機会なので、ここでダークエルフ達とは一旦別れよう。
 また恋しくなったら抱きに行くが。

 とりあえず、リュディアを抱きしめてお別れのキスをする。

「わ、我らを見捨てる気か? 貴様は竜神王なんだぞ!?」

 リュディアは泣きそうな顔をしていた。

「誰も見捨てるなんて言ってないだろう? またしばらくしたら会いに行く。それまでは浮気しないで待っていろよ? お前は俺の女だ」

 リュディアの耳元でそう呟くと、リュディアの頬が赤くなる。

「う、うむ。浮気なんて絶対にしない。我はお前だけのものだ」

 そんな可愛ことを言うリュディアにもう一度キスをする。
 そして、とりあえず乳を2、3回揉んでから、リュディアを離して歩きだす。

 あ、そういえば、他にも言っておかなきゃいけないことがあった。

「あと、他の女達にも浮気すんなって言っとけよ。お前らは俺の女だって」

 数百人のダークエルフは全員俺のものだ。
 誰にも渡す気はない。

「……我だけを愛して欲しいんだが」

 リュディアがボソッと無理難題を言っている。
 人には出来ることと出来ないことがあるのだ。
 察しろ。

 さて、そろそろルーナの所に帰ろう。
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