104 / 299
第四章 竜騎士編
第103話 子供達
しおりを挟む
一人で散歩していると、地面が喋った。
「あう」
下を見てみると、ヴァンダレイジジイのとこのロリっ子が地面に棒でお絵かきをしている所だった。
恐らく花の絵であろう上に俺の足がある。
無意識のうちに踏んでしまっていたようだ。
とはいえ、ここは天下の往来だ。
こんな所で絵を描いていれば、そりゃ誰かに踏まれる。
「ふえ……」
そうは思うが、ロリっ子の目にはじわじわと涙が浮かんでいく。
こんな場所で絵を描いていたのが悪いと思うのだが、なぜ泣くのか。
当たり屋なんだろうか。
ただ、泣きそうなロリっ子を見ていると、罪悪感が物凄い込み上げてくる。
どちらかというと残念な気持ちになるルーナの涙とは威力が全然違う。
「わ、悪かったな」
とりあえず、謝罪してニコっと作り笑いを浮かべてみた。
作り笑いに失敗して、ニコっと言うよりニヤっという感じだった。
いかんいかん、そこはかとない変態臭がしてしまう。
30男が小さな女の子に話しかける時は、常に容疑者として扱われる危険を孕むのだ。
なので、絶対に知らない女の子に話しかけてはいけないし、見てもいけないのだがこの場合仕方ない。
ロリっ子は俺の笑顔を見ると、ビクッとして立ち上がると、タッタとその辺の木の裏に隠れた。
明らかに怯えている。
お巡りさんここですと、自首してしまいそうな勢いだ。
ロリっ子は、木の裏からひょっこり顔を覗かせると、俺をじーっと見つめている。
こんな時、どうすればいいんだろうか。
もう立ち去っていいんだろうか。
結構な社会人経験を経ても、幼女に木陰から見つめられた場合の対処案が思いつかない。
「……あそぶ?」
「俺とか?」
そう聞き返すと、ロリっ子はこくっと頷いた。
まじか。
自分で言うのも何だが、俺って性犯罪者スレスレな気がするのだが。
そんな俺と遊ぼうとするなんて。
この子の将来が心配になる。
「な、何して遊ぶんだ?」
「おえかき」
そう言うとロリっ子はとてとてと歩いてきて、俺の足元にしゃがむ。
そして、再び地面に花の絵を描き始めた。
とりあえず、俺も横にしゃがみ込んで、ロリっ子の書く花の近くに蝶々を描いてみた。
そして思った。
びっくりするほどつまらない。
「じょうずだね」
ロリっ子は俺の蝶々を見て、楽しそうに笑っている。
うう、哀れな。
まあ、テレビゲームも何もない世界だ。
子供が遊ぶと言ったらこんな事くらいしか出来ないのだろうが。
ふと俺は子供の頃、何をして遊んでいたんだっけと思った。
遥か昔すぎて、全然覚えていない。
公園とかで遊んでいたんだったか。
ふむ。公園か。
「名前は何ていうんだ?」
そう言えばまだ名前を聞いていなかったのだ。
「アン」
「よし、アン。公園を作ってやろう」
「こうえん?」
そんなわけで、アンの為に公園を作ることにした。
今、俺たちがいるのはジジイの家とメグの家の中間くらいの場所だった。
ちょうど空き地がある。
家を建てるには狭いが、小さな公園くらい作れるだろう。
ちなみに、ジジイの家の近くだとジジイが出てきそうで怖いが、アン曰くジジイは疲れ果てて寝ているらしい。
今朝、洗濯物を干すルーナにエロい悪戯をしていたら、怒り狂ったジジイが喧嘩を売ってきた。
今日こそ返り討ちにしてやると思ったが、結局今日もボコボコにされてしまった。
ジジイはぜえぜえ言いながら帰っていった。
そして、しばらく経った今、若い俺はこうして完全に回復し、老いたジジイは今だに倒れているらしい。
結果的には俺の勝利と言えなくもない。
まあ、ジジイの事は置いておいて、今はアンの公園を作るのだ。
空き地を見渡して、まず何を作ろうか考える。
公園といえば、滑り台だろうか。
《石形成》をオーバーロードさせて、黒曜石の滑り台を作る。
遊具は耐久力が重要そうなので、俺史上最高硬度を誇る黒曜石で作ってみたのだ。
幼児向けという事も考えて、象さんが鼻を伸ばしたような形になっている。
象の鼻にあたる部分が、滑る部分だ。
黒光りした象さんはちょっと禍々しい感じがするが、気にしない。
「いま、なにしたの??」
アンは目を丸くして驚いていた。
まだまだ驚くのは早い。
次はブランコを作ってみた。
同じく黒曜石で三角形の枠を2つ作り、その頂点を1メートルくらいの棒で連結する。
三角柱の線画を横に倒したような形だが、こうした方が安定性が高いと思ったのだ。
そして、棒からブランコを吊るせばいいのだが、ブランコを何で吊るすかで迷った。
黒曜石で鎖を作ってみたのだが、ガチャガチャとうるさいし、擦れて、すり減っている感が半端なかったのでやめた。
そんなわけで、王都でルーナが服を作る為に買った大量の生地の中から麻布を貰ってきて、麻縄を作ってみた。
覚えたばかりの《下級服飾生成》で作ってみた。
何本もの麻糸を撚り合わせるようなイメージだ。
布から縄を作る過程では、一旦糸に戻ってしまっている気がするが、《下級服飾生成》は問題なく発動した。
魔法って本当に不思議だ。
麻縄でブランコを吊るして完成だ。
アンは次々と出ていく遊具を見て目を輝かせている。
早く遊びたくて仕方ないといった感じだ。
とはいえ、元SEとしてはちゃんとしたテスト工程を挟みたい。
滑り台もブランコも黒光りしていて、見るからに丈夫そうだが、万が一アンが遊んでいる最中に壊れたら大変だからだ。
そんなわけで、再びフィリスを呼んできて思い切りぶん殴ってもらった。
ブランコも滑り台もびくともしなかった。
「あのう、またご褒美を頂きたいんですけど」
フィリスがウキウキと近づいてきたのでキスをした。
というか、幼女の目の前で何をやっているんだと思ったが、アンは俺とフィリスのキスを見てもポカンとした顔をするだけだった。
幼すぎてよくわからないらしい。
フィリスのお陰で丈夫なのはわかったが、今回は念を入れてランニングテストもやってみようかと思う。
暇そうにしていたピートを呼んできた。
「今からあの滑り台を100回滑れ。そのあとはブランコに1時間乗り続けろ」
「……そりゃ、俺はお前の子分だから、言われたとおりなんでもやるけどさ」
ピートは不満そうにしながらも、滑り台に登っていく。
ランニングテストとして、100回は少なすぎるだろうか。
何よりも数字の根拠がないのが不安だ。
一万回くらいにしたほうがいいかなと思ったが、キコキコと死んだ魚の目でブランコを漕ぐピートが哀れだったのでやめた。
ピートがキコキコしている横で砂場を作る。
といっても、30センチくらいの深さの穴を掘って、《土生成》で土を盛っただけだ。
砂場っていうか畑じゃんと思ったが、要は泥遊びできればいいのでこれで良しとする。
最初は、砂って極小サイズの石なんじゃないかと思って《石形成》で作ろうとした。
しかし、砂粒レベルの石を作るのはかなり精度の高い魔力コントロールが必要だということがわかったのだ。
砂粒を一粒だけ作って諦めた。
もうちょっと魔力制御が上手くなったらリトライしてみるか。
そんなこんなで、滑り台、ブランコ、砂場(畑)が完成した。
とりあえずは、こんなもんだろう。
アンがこれらに飽きてきたら、ジャングルジムとかも作ってみようと思う。
「ありがとう、お兄さん」
楽しそうにブランコを漕ぐアンがそんな事を言っていた。
ちょっと可愛いと思ってしまった。
ガコンとゲート・オブ・ロリコンの扉が開く音が聞こえた気がして焦った。
その日の夕暮れ、セレナ邸の風呂を立てて帰る時だった。
ちょっと離れた茂みから、人のうめき声が聞こえてきた。
不審に思って、近づいてみるとカー坊が股間を抑えて倒れ込んでいた。
「どうした? 痛むのか?」
カー坊はこくこく頷いている。
なんかの病気だろうか。
大変だ。どうしよう。
軽く慌てていたら、遠くで水音が聞こえた。
振り返ると、セレナが露天風呂に入っていた。
条件反射的に茂みに隠れてしまう。
そういえば、あの風呂は外から丸見えだったのだ。
「うう、あのお姉ちゃんの裸を見てたら、ここが痛くなってきた」
そう言いながらカー坊は股間を押さえてうずくまっている。
俺は全てを理解した。
カー坊、お前ってやつは……!!
思わずブワッと生暖かい涙が溢れてくる。
なんてバカで可愛いヤツ。
「ここにはよく来るのか?」
「うん」
うーむ。
エロガキだな。
叱ったほうがいいのだろうか。
大人としてそう思ったが、チラッと風呂に入るセレナを見つめたらいろいろ吹き飛んだ。
相変わらずけしからん乳をしている。
というか、丸見えじゃないか。
絶好の覗きスポットだった。
わずか10歳にして、こんな場所を見つけるとは……。
カー坊はバカだが非凡なものを持っている。
「よし俺も明日からここに来る事にする」
「ええ!? おいらが見つけたのに」
「うるさいだまれ殴るぞ」
カー坊はあっさりビビって黙った。
そんなわけで、2人で生唾を飲み込みながら、セレナの入浴をガン見した。
そんな時、セレナがギロッとこっちを見た気がした。
バレたのだろうか。
いやいや、バカな。
結構な距離が離れているし、辺りは薄暗くなっている。
バレる訳がない。
しかし、セレナはザバーッと風呂から立ち上がると、乳をぶるんぶるん言わせてこっちに歩いてくる。
「あ、ああ、あああああ!」
カー坊は奇声を上げると、鼻血をブバッと吹いて白目を向いた。
亀仙○みたいな奴だ。
「何をしているの!? あなたは!」
完全にバレていたようで、セレナに問い詰められる。
やばい。どうしよう。
覗いてたなんて言ったら怒られてしまうかもしれない。
「いや、なんか、カー坊がセレナの入浴を覗いていたから、叱ってたっていうか」
そんなわけで、俺はあっさりカー坊を売ることにした。
背に腹は変えられない。
「その子はいいわよ。子供の悪戯くらい大目に見てあげるわ。問題は、なんであなたも一緒になって覗いてているのかって話よ! 私の裸なんていつも見ているでしょう!?」
ええ!?
カー坊はいいのかよ。
あれだろうか。
子供なら男で女湯に入っても大丈夫という、男の本質を理解していない誤認識のことだろうか。
カー坊はただのエロガキなのに。
というか、覗いてたのは完全にバレているらしい。
そういえばセレナサンは夜目の効く吸血鬼だった。
「とにかく! 男の子なら堂々としなさい。王都でも着替えを覗こうとしてたけど、そういう卑屈なの本当にやめなさい? 罰として背中を流してもらうわよ」
セレナに手を引かれて風呂に向かう。
確かにセレナの裸なんて見慣れているが、こっそり覗く時の背徳感と興奮は別腹というかなんというか。
わかんないかなー。
侘び寂びに通じるものがあると思うのだが。
その後は、露天風呂でセレナとしっぽりしたが、カー坊を完全に忘れていた。
冬に外で気絶とか結構ヤバイ気がしたが、次の日、元気に外で遊ぶカー坊を見かけて安心した。
バカは風邪を引かないというが、本当らしい。
それにしても、カー坊への好感度が上がって仕方ない。
「あう」
下を見てみると、ヴァンダレイジジイのとこのロリっ子が地面に棒でお絵かきをしている所だった。
恐らく花の絵であろう上に俺の足がある。
無意識のうちに踏んでしまっていたようだ。
とはいえ、ここは天下の往来だ。
こんな所で絵を描いていれば、そりゃ誰かに踏まれる。
「ふえ……」
そうは思うが、ロリっ子の目にはじわじわと涙が浮かんでいく。
こんな場所で絵を描いていたのが悪いと思うのだが、なぜ泣くのか。
当たり屋なんだろうか。
ただ、泣きそうなロリっ子を見ていると、罪悪感が物凄い込み上げてくる。
どちらかというと残念な気持ちになるルーナの涙とは威力が全然違う。
「わ、悪かったな」
とりあえず、謝罪してニコっと作り笑いを浮かべてみた。
作り笑いに失敗して、ニコっと言うよりニヤっという感じだった。
いかんいかん、そこはかとない変態臭がしてしまう。
30男が小さな女の子に話しかける時は、常に容疑者として扱われる危険を孕むのだ。
なので、絶対に知らない女の子に話しかけてはいけないし、見てもいけないのだがこの場合仕方ない。
ロリっ子は俺の笑顔を見ると、ビクッとして立ち上がると、タッタとその辺の木の裏に隠れた。
明らかに怯えている。
お巡りさんここですと、自首してしまいそうな勢いだ。
ロリっ子は、木の裏からひょっこり顔を覗かせると、俺をじーっと見つめている。
こんな時、どうすればいいんだろうか。
もう立ち去っていいんだろうか。
結構な社会人経験を経ても、幼女に木陰から見つめられた場合の対処案が思いつかない。
「……あそぶ?」
「俺とか?」
そう聞き返すと、ロリっ子はこくっと頷いた。
まじか。
自分で言うのも何だが、俺って性犯罪者スレスレな気がするのだが。
そんな俺と遊ぼうとするなんて。
この子の将来が心配になる。
「な、何して遊ぶんだ?」
「おえかき」
そう言うとロリっ子はとてとてと歩いてきて、俺の足元にしゃがむ。
そして、再び地面に花の絵を描き始めた。
とりあえず、俺も横にしゃがみ込んで、ロリっ子の書く花の近くに蝶々を描いてみた。
そして思った。
びっくりするほどつまらない。
「じょうずだね」
ロリっ子は俺の蝶々を見て、楽しそうに笑っている。
うう、哀れな。
まあ、テレビゲームも何もない世界だ。
子供が遊ぶと言ったらこんな事くらいしか出来ないのだろうが。
ふと俺は子供の頃、何をして遊んでいたんだっけと思った。
遥か昔すぎて、全然覚えていない。
公園とかで遊んでいたんだったか。
ふむ。公園か。
「名前は何ていうんだ?」
そう言えばまだ名前を聞いていなかったのだ。
「アン」
「よし、アン。公園を作ってやろう」
「こうえん?」
そんなわけで、アンの為に公園を作ることにした。
今、俺たちがいるのはジジイの家とメグの家の中間くらいの場所だった。
ちょうど空き地がある。
家を建てるには狭いが、小さな公園くらい作れるだろう。
ちなみに、ジジイの家の近くだとジジイが出てきそうで怖いが、アン曰くジジイは疲れ果てて寝ているらしい。
今朝、洗濯物を干すルーナにエロい悪戯をしていたら、怒り狂ったジジイが喧嘩を売ってきた。
今日こそ返り討ちにしてやると思ったが、結局今日もボコボコにされてしまった。
ジジイはぜえぜえ言いながら帰っていった。
そして、しばらく経った今、若い俺はこうして完全に回復し、老いたジジイは今だに倒れているらしい。
結果的には俺の勝利と言えなくもない。
まあ、ジジイの事は置いておいて、今はアンの公園を作るのだ。
空き地を見渡して、まず何を作ろうか考える。
公園といえば、滑り台だろうか。
《石形成》をオーバーロードさせて、黒曜石の滑り台を作る。
遊具は耐久力が重要そうなので、俺史上最高硬度を誇る黒曜石で作ってみたのだ。
幼児向けという事も考えて、象さんが鼻を伸ばしたような形になっている。
象の鼻にあたる部分が、滑る部分だ。
黒光りした象さんはちょっと禍々しい感じがするが、気にしない。
「いま、なにしたの??」
アンは目を丸くして驚いていた。
まだまだ驚くのは早い。
次はブランコを作ってみた。
同じく黒曜石で三角形の枠を2つ作り、その頂点を1メートルくらいの棒で連結する。
三角柱の線画を横に倒したような形だが、こうした方が安定性が高いと思ったのだ。
そして、棒からブランコを吊るせばいいのだが、ブランコを何で吊るすかで迷った。
黒曜石で鎖を作ってみたのだが、ガチャガチャとうるさいし、擦れて、すり減っている感が半端なかったのでやめた。
そんなわけで、王都でルーナが服を作る為に買った大量の生地の中から麻布を貰ってきて、麻縄を作ってみた。
覚えたばかりの《下級服飾生成》で作ってみた。
何本もの麻糸を撚り合わせるようなイメージだ。
布から縄を作る過程では、一旦糸に戻ってしまっている気がするが、《下級服飾生成》は問題なく発動した。
魔法って本当に不思議だ。
麻縄でブランコを吊るして完成だ。
アンは次々と出ていく遊具を見て目を輝かせている。
早く遊びたくて仕方ないといった感じだ。
とはいえ、元SEとしてはちゃんとしたテスト工程を挟みたい。
滑り台もブランコも黒光りしていて、見るからに丈夫そうだが、万が一アンが遊んでいる最中に壊れたら大変だからだ。
そんなわけで、再びフィリスを呼んできて思い切りぶん殴ってもらった。
ブランコも滑り台もびくともしなかった。
「あのう、またご褒美を頂きたいんですけど」
フィリスがウキウキと近づいてきたのでキスをした。
というか、幼女の目の前で何をやっているんだと思ったが、アンは俺とフィリスのキスを見てもポカンとした顔をするだけだった。
幼すぎてよくわからないらしい。
フィリスのお陰で丈夫なのはわかったが、今回は念を入れてランニングテストもやってみようかと思う。
暇そうにしていたピートを呼んできた。
「今からあの滑り台を100回滑れ。そのあとはブランコに1時間乗り続けろ」
「……そりゃ、俺はお前の子分だから、言われたとおりなんでもやるけどさ」
ピートは不満そうにしながらも、滑り台に登っていく。
ランニングテストとして、100回は少なすぎるだろうか。
何よりも数字の根拠がないのが不安だ。
一万回くらいにしたほうがいいかなと思ったが、キコキコと死んだ魚の目でブランコを漕ぐピートが哀れだったのでやめた。
ピートがキコキコしている横で砂場を作る。
といっても、30センチくらいの深さの穴を掘って、《土生成》で土を盛っただけだ。
砂場っていうか畑じゃんと思ったが、要は泥遊びできればいいのでこれで良しとする。
最初は、砂って極小サイズの石なんじゃないかと思って《石形成》で作ろうとした。
しかし、砂粒レベルの石を作るのはかなり精度の高い魔力コントロールが必要だということがわかったのだ。
砂粒を一粒だけ作って諦めた。
もうちょっと魔力制御が上手くなったらリトライしてみるか。
そんなこんなで、滑り台、ブランコ、砂場(畑)が完成した。
とりあえずは、こんなもんだろう。
アンがこれらに飽きてきたら、ジャングルジムとかも作ってみようと思う。
「ありがとう、お兄さん」
楽しそうにブランコを漕ぐアンがそんな事を言っていた。
ちょっと可愛いと思ってしまった。
ガコンとゲート・オブ・ロリコンの扉が開く音が聞こえた気がして焦った。
その日の夕暮れ、セレナ邸の風呂を立てて帰る時だった。
ちょっと離れた茂みから、人のうめき声が聞こえてきた。
不審に思って、近づいてみるとカー坊が股間を抑えて倒れ込んでいた。
「どうした? 痛むのか?」
カー坊はこくこく頷いている。
なんかの病気だろうか。
大変だ。どうしよう。
軽く慌てていたら、遠くで水音が聞こえた。
振り返ると、セレナが露天風呂に入っていた。
条件反射的に茂みに隠れてしまう。
そういえば、あの風呂は外から丸見えだったのだ。
「うう、あのお姉ちゃんの裸を見てたら、ここが痛くなってきた」
そう言いながらカー坊は股間を押さえてうずくまっている。
俺は全てを理解した。
カー坊、お前ってやつは……!!
思わずブワッと生暖かい涙が溢れてくる。
なんてバカで可愛いヤツ。
「ここにはよく来るのか?」
「うん」
うーむ。
エロガキだな。
叱ったほうがいいのだろうか。
大人としてそう思ったが、チラッと風呂に入るセレナを見つめたらいろいろ吹き飛んだ。
相変わらずけしからん乳をしている。
というか、丸見えじゃないか。
絶好の覗きスポットだった。
わずか10歳にして、こんな場所を見つけるとは……。
カー坊はバカだが非凡なものを持っている。
「よし俺も明日からここに来る事にする」
「ええ!? おいらが見つけたのに」
「うるさいだまれ殴るぞ」
カー坊はあっさりビビって黙った。
そんなわけで、2人で生唾を飲み込みながら、セレナの入浴をガン見した。
そんな時、セレナがギロッとこっちを見た気がした。
バレたのだろうか。
いやいや、バカな。
結構な距離が離れているし、辺りは薄暗くなっている。
バレる訳がない。
しかし、セレナはザバーッと風呂から立ち上がると、乳をぶるんぶるん言わせてこっちに歩いてくる。
「あ、ああ、あああああ!」
カー坊は奇声を上げると、鼻血をブバッと吹いて白目を向いた。
亀仙○みたいな奴だ。
「何をしているの!? あなたは!」
完全にバレていたようで、セレナに問い詰められる。
やばい。どうしよう。
覗いてたなんて言ったら怒られてしまうかもしれない。
「いや、なんか、カー坊がセレナの入浴を覗いていたから、叱ってたっていうか」
そんなわけで、俺はあっさりカー坊を売ることにした。
背に腹は変えられない。
「その子はいいわよ。子供の悪戯くらい大目に見てあげるわ。問題は、なんであなたも一緒になって覗いてているのかって話よ! 私の裸なんていつも見ているでしょう!?」
ええ!?
カー坊はいいのかよ。
あれだろうか。
子供なら男で女湯に入っても大丈夫という、男の本質を理解していない誤認識のことだろうか。
カー坊はただのエロガキなのに。
というか、覗いてたのは完全にバレているらしい。
そういえばセレナサンは夜目の効く吸血鬼だった。
「とにかく! 男の子なら堂々としなさい。王都でも着替えを覗こうとしてたけど、そういう卑屈なの本当にやめなさい? 罰として背中を流してもらうわよ」
セレナに手を引かれて風呂に向かう。
確かにセレナの裸なんて見慣れているが、こっそり覗く時の背徳感と興奮は別腹というかなんというか。
わかんないかなー。
侘び寂びに通じるものがあると思うのだが。
その後は、露天風呂でセレナとしっぽりしたが、カー坊を完全に忘れていた。
冬に外で気絶とか結構ヤバイ気がしたが、次の日、元気に外で遊ぶカー坊を見かけて安心した。
バカは風邪を引かないというが、本当らしい。
それにしても、カー坊への好感度が上がって仕方ない。
1
お気に入りに追加
1,238
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる