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第四章 竜騎士編
第101話 ほぼ充実した一日
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エプロンの処分を諦めて、散歩しているとミレイにばったり出くわした。
「よお、ミレイ」
「あっ……コウさん、おはようございます」
ミレイはなんか顔を赤らめてもじもじしている。
なんだろう。
「……あの、ここ数日はルーナさんばっかりで、ちょっとさみしいです。そ、その、私のこともちゃんと可愛がって欲しいんですけど」
顔を真赤にして、ミレイはボソボソと言った。
俺の方を全く見ないのが、また可愛らしい。
ちょっとくらっときてしまう。
とりあえず、ミレイの腰に手を回して抱き寄せる。
「悪かった。とりあえず、今から可愛がってもいいかな?」
耳元でそんな事囁いてみると、ミレイは耳まで真赤にしながらコクっと頷いてくれた。
ふふ、可愛い奴め。
そんなわけでミレイの尻を撫で回しながら、ミレイ家に向かうことにした。
「喝―――――!!!!」
突然の馬鹿でかい声に耳がキーンとした。
振り向けば、ヴァンダレイジジイが目を血走らせている。
そういえば、引っ越してきたんだった。
「なんか用か? ジジイ」
「……貴様、ここ数日は家に引きこもって何をしておった!?」
突然、人のプライバシーを漁りだした。
まあ、別に人に聞かれて困るような事をしていたつもりはないので普通に答えるが。
「ルーナを抱いていた」
「ぬあんだとう!?」
ヴァンダレイジジイはビキビキと青筋を立て始める。
どう見てもジジイは怒っているが、理由がわからない。
俺のルーナを俺が抱いてなんの文句があるのか。
「そ、それで、今から何をしに行くつもりじゃ?」
「ミレイを抱きに行く」
そう言いながら、ミレイの尻を撫で回す。
「ぬあにいいい!?」
ジジイは更に怒り始めた。
これまた意味がわからない。
俺のミレイを俺が抱いて(略)
というか、しまった。
「そういえば、この事はルーナには言うなよ。浮気がバレるから」
思わず目撃者を作ってしまう所だった。
プロである俺はこまめな口止めを欠かさないのである。
「う、うわあきだとう!?」
ジジイはぷるぷる震え始める。
そして、歯をギリッと噛み締めた。
どうでもいいけど、ジジイのくせに入れ歯とかじゃないのは凄いな。
「腐っておると前々から思っておったが、これほどとは……。剣士のくせに放蕩三昧を繰り返し、あまつさえ他の女人と浮気をする。剣士の、いや人間の風上に置けぬ奴! もう辛抱ならん。叩き切ってくれる! 剣を抜けい!」
そんな長い口上を言って、ヴァンダレイジジイはあのかっこいい黒い剣を抜いた。
なんか知らないが、殺る気らしい。
思わず、ぷーくすくすと笑ってしまう。
片目を失ったジジイが俺に勝てるとでも思っているのだろうか。
そういえば、このジジイには随分痛い目に遭わされた。
あの時の恨みを晴らすチャンスかもしれない。
「ミレイ、先に行っててくれ。すぐに追いかける」
「ええ!? でも……」
ミレイは心配そうだ。
「大丈夫だって。俺があんなスルメジジイに負けるわけ無いだろ?」
そう言っても尚、心配するミレイをなんとかなだめて先に行かせた。
ミレイはなんだかんだでちゃんと空気を読んでくれる。
「待たせたな。軽くボコってやんよ」
そう言いながら、土の剣を両手に生成した。
「いつでもかかってこい」
ヴァンダレイジジイは剣を低く構えている。
……相変わらず強そうだ。
俺が勝つのは当然だけど、ここは念を入れようと思う。
ジジイの塞がった右目の方向にすすすっと移動する。
こうすると、片目の相手は俺の動きを把握できないはずだ。
漫画で読んだ!
「むう、姑息なやつめ」
案の定、ジジイは焦っている。
完全に死角に回り込むと、俺は思い切り踏み込んだ。
さらばジジイ!
ジジイの頭上目掛けて剣を振り下ろす。
しかし、こっちを視認できていないはずのジジイの剣に弾かれてしまった。
バカな。
次の瞬間、頬にジジイの裏拳がめり込んだ。
痛覚耐性のお陰で痛みはないが、思わずたたらを踏んでしまう。
「ふん、貴様の禍々しい殺気なぞ、見ずともわかるわ。両目を瞑ってても倒せるわい」
そんな事を言いながら、ジジイは残った左目を瞑る。
むうう、バカにしやがって!
思わずムカッと来てしまう。
ジジイ虐待になってしまうが仕方ない。
近所に引っ越してきた事もあるし、ここでの立場ってヤツを思い知らせてやろうと思う。
そんなわけで、全ての視界を閉ざすといった奇行に走ったジジイに向かって剣を振りかざした。
そして、2時間後。
ボコボコにされていたのは俺だった。
今は俺は地面に倒れ伏している。
痛みはないが、体中が熱を発して思うように動かない。
ば、ばかな。
「ぜえぜえ、み、見たか! 貴様の濁った剣では、わ、儂にはまだまだ勝てぬのじゃ!」
ジジイは肩で息をつきながら、ダラダラと汗を流していた。
かなり必死だった。
それなのに、一撃も入れられなかった。
全部、殺る気でいったのに。
セレナにすら勝てた俺が、一撃も入れられないとかどういうこと??
「き、今日のところは、これで勘弁してやる。これに懲りたら、淫行を控え、鍛錬に務めることじゃ! はあはあ」
ジジイはそんな捨て台詞を残すと、かっこいい剣を杖のように使いながら、よろよろと帰っていった。
あんな今にも死にそうなジジイなのに、手も足も出なかった。
ジジイに全ての攻撃をかわされた挙句に、反撃は剣ではなく全て拳だった。
まだまだ手加減されている。
くそ、底の見えない妖怪ジジイである。
それでも、かなり消耗させることは出来た。
まあ、俺もボロボロで起き上がることは出来ないが。
体の回復を待って、ジジイにリベンジしようかと思った。
しかし、俺にはやるべきことがあるのだ。
俺は思うように動かない体に苦労しながらも、這うようにしてミレイ家に向かった。
くそ、ジジイのせいで思わぬ時間を食ってしまった。
ミレイ家のドアにしがみつくようにして、ノックをする。
「きゃあ!? コウさん、どうしたんですか? そんなに怪我をして」
出てきたミレイは俺を見て驚いていた。
くそ、ジジイのせいでかっこ悪い姿を見せてしまった。
「俺の事なんてどうでもいい。それよりもミレイを抱かせてくれ」
「コウさん……そんなに私のことを……」
ミレイはじーんと感動していた。
なんか知らないが好都合だ。
そんなわけで、動かし辛い体に苦労しながらもミレイを抱いた。
女を抱くのは久しぶり(数時間ぶり)なので、物凄く張り切ってしまった。
「あへぇ」
気絶したミレイがベチャッと倒れる。
うむ。やっぱりミレイのむちっとした体はいい。
結構な時間ミレイを堪能してしまった。
今日のミレイはいつもより情熱的だった。
しばらく抱かなかったせいだろうか。
そういえば、セレナもしばらく抱いていない。
そろそろあの巨乳を味わいたくなってきた。
そんなわけでセレナ邸にやってきた。
ジジイにやられた体は全快している。
体を動かすのになんの支障もない。
これで思う存分セレナを抱けるというものだ。
見知らぬメイドさんに案内されて、セレナの部屋の前にやってきた。
「お嬢様、アサギリ様をお連れしました」
「……帰ってもらってちょうだい!」
部屋の中からそんな声が聞こえてくる。
声はもちろんセレナのものだったが、帰れなんて言われたのは初めてだ。
取り込み中なのだろうか。
「どうかしたのか?」
「……ふ、ふん! 何よ、3日もほったらかして! 私のことなんてどうだっていいんでしょう? もう帰ってよ」
セレナは怒っていた。
うーむ。なぜだ。
「コウくんが悪いんですよ?」
そう言ったのは、いつの間にか来ていたカンナさんだった。
「3日前、いつもならコウくんがやってくる時間にセレナお嬢様は、それはもう嬉しそうに待ってらしたのですが、コウくんはやって来ず、次の日も、その次の日も来なかったじゃないですか。お嬢様はひどく落ち込んで、嫌われちゃったのかしらとか、飽きちゃったのかしらとか――」
「ちょっとカンナ! だ、誰もそんなこと言ってないでしょう!」
真っ赤な顔をしたセレナが部屋から顔を出す。
久しぶりに顔が見れて良かったが、セレナは俺と目が合うとプイッと顔を反らせた。
これはアレだろうか。
王都の時と同じように、また拗ねているのだろうか。
可愛い奴め。
とはいえ、ここは王都の時と同じようにしばらく時間を置くべきだと思った。
機嫌が治った頃にまた来よう。
「都合が悪いみたいだから、また後にするわ」
そう言い残して立ち去ろうとした。
不意に服の裾を掴まれる。
見れば、セレナが湯気が出そうなほど顔を赤らめて、俺の服の裾を掴んでいる。
「……一応聞くけど、何しに来たの?」
「え、セレナを抱きたいなと思って」
「ふ、ふーん」
セレナはまんざらでもなさそうな顔している。
あれ、意外といけるのだろうか。
とはいえ。
「でも、帰れって言うなら一旦帰るわ」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
セレナにぐいっと引き寄せられた。
「ちょっと帰れって言われたくらいで、あっさり帰らないでよ! 男の子でしょう? もっと食い下がりなさい」
そんな事を言われても。
食い下がるほど会話スキルが高くないので困ってしまう。
どうしようか。
しばらく無言で考えていたら、じれたセレナが抱きついてきた。
「もういいからさっさと抱きなさい。寂しかったんだからね、バカ」
だったら、最初から抱かせてくれればいいのに。
ただ、拗ねるセレナは可愛い。
吸血鬼の真祖としてそれでいいのかと思ってしまうが。
一体、セレナはどこに向かっているのだろう。
そんな事を考えながらも、セレナを抱きまくった。
セレナを抱いた後は、いつものようにカンナさんを抱いた。
セレナ邸を出た頃には日が沈もうとしていた。
今日も充実した一日だった。
途中でヴァンダレイジジイにボコられなかったらもっと良い一日だったのだが。
そういえば、ジジイが去り際にこれに懲りたらなんとかと言っていた気がするが、なんだっただろうか。
まあジジイはロクな事を言わないのでどうでもいい。
家に帰ると、復活したルーナが晩御飯を作っていてくれた。
HPはほぼ全快していたので、一安心だ。
晩御飯を一緒に食べながら、裸エプロンの危険性をこんこんと語った。
我が家ではしばらく裸エプロンは封印しようと思ったのだが。
「……裸エプロンなしでも、同じくらい激しくしてくれるなら我慢する」
ルーナは不満そうにそんなことを言った。
この女は今朝死にかけたのがわからないのだろうか。
とはいえ、これは俺に対する挑戦だと思う。
こうなったら房中術スキルがレベルアップするくらい激しくしてやる。
そんな事を考えながら、食事中のルーナを押し倒すのだった。
「よお、ミレイ」
「あっ……コウさん、おはようございます」
ミレイはなんか顔を赤らめてもじもじしている。
なんだろう。
「……あの、ここ数日はルーナさんばっかりで、ちょっとさみしいです。そ、その、私のこともちゃんと可愛がって欲しいんですけど」
顔を真赤にして、ミレイはボソボソと言った。
俺の方を全く見ないのが、また可愛らしい。
ちょっとくらっときてしまう。
とりあえず、ミレイの腰に手を回して抱き寄せる。
「悪かった。とりあえず、今から可愛がってもいいかな?」
耳元でそんな事囁いてみると、ミレイは耳まで真赤にしながらコクっと頷いてくれた。
ふふ、可愛い奴め。
そんなわけでミレイの尻を撫で回しながら、ミレイ家に向かうことにした。
「喝―――――!!!!」
突然の馬鹿でかい声に耳がキーンとした。
振り向けば、ヴァンダレイジジイが目を血走らせている。
そういえば、引っ越してきたんだった。
「なんか用か? ジジイ」
「……貴様、ここ数日は家に引きこもって何をしておった!?」
突然、人のプライバシーを漁りだした。
まあ、別に人に聞かれて困るような事をしていたつもりはないので普通に答えるが。
「ルーナを抱いていた」
「ぬあんだとう!?」
ヴァンダレイジジイはビキビキと青筋を立て始める。
どう見てもジジイは怒っているが、理由がわからない。
俺のルーナを俺が抱いてなんの文句があるのか。
「そ、それで、今から何をしに行くつもりじゃ?」
「ミレイを抱きに行く」
そう言いながら、ミレイの尻を撫で回す。
「ぬあにいいい!?」
ジジイは更に怒り始めた。
これまた意味がわからない。
俺のミレイを俺が抱いて(略)
というか、しまった。
「そういえば、この事はルーナには言うなよ。浮気がバレるから」
思わず目撃者を作ってしまう所だった。
プロである俺はこまめな口止めを欠かさないのである。
「う、うわあきだとう!?」
ジジイはぷるぷる震え始める。
そして、歯をギリッと噛み締めた。
どうでもいいけど、ジジイのくせに入れ歯とかじゃないのは凄いな。
「腐っておると前々から思っておったが、これほどとは……。剣士のくせに放蕩三昧を繰り返し、あまつさえ他の女人と浮気をする。剣士の、いや人間の風上に置けぬ奴! もう辛抱ならん。叩き切ってくれる! 剣を抜けい!」
そんな長い口上を言って、ヴァンダレイジジイはあのかっこいい黒い剣を抜いた。
なんか知らないが、殺る気らしい。
思わず、ぷーくすくすと笑ってしまう。
片目を失ったジジイが俺に勝てるとでも思っているのだろうか。
そういえば、このジジイには随分痛い目に遭わされた。
あの時の恨みを晴らすチャンスかもしれない。
「ミレイ、先に行っててくれ。すぐに追いかける」
「ええ!? でも……」
ミレイは心配そうだ。
「大丈夫だって。俺があんなスルメジジイに負けるわけ無いだろ?」
そう言っても尚、心配するミレイをなんとかなだめて先に行かせた。
ミレイはなんだかんだでちゃんと空気を読んでくれる。
「待たせたな。軽くボコってやんよ」
そう言いながら、土の剣を両手に生成した。
「いつでもかかってこい」
ヴァンダレイジジイは剣を低く構えている。
……相変わらず強そうだ。
俺が勝つのは当然だけど、ここは念を入れようと思う。
ジジイの塞がった右目の方向にすすすっと移動する。
こうすると、片目の相手は俺の動きを把握できないはずだ。
漫画で読んだ!
「むう、姑息なやつめ」
案の定、ジジイは焦っている。
完全に死角に回り込むと、俺は思い切り踏み込んだ。
さらばジジイ!
ジジイの頭上目掛けて剣を振り下ろす。
しかし、こっちを視認できていないはずのジジイの剣に弾かれてしまった。
バカな。
次の瞬間、頬にジジイの裏拳がめり込んだ。
痛覚耐性のお陰で痛みはないが、思わずたたらを踏んでしまう。
「ふん、貴様の禍々しい殺気なぞ、見ずともわかるわ。両目を瞑ってても倒せるわい」
そんな事を言いながら、ジジイは残った左目を瞑る。
むうう、バカにしやがって!
思わずムカッと来てしまう。
ジジイ虐待になってしまうが仕方ない。
近所に引っ越してきた事もあるし、ここでの立場ってヤツを思い知らせてやろうと思う。
そんなわけで、全ての視界を閉ざすといった奇行に走ったジジイに向かって剣を振りかざした。
そして、2時間後。
ボコボコにされていたのは俺だった。
今は俺は地面に倒れ伏している。
痛みはないが、体中が熱を発して思うように動かない。
ば、ばかな。
「ぜえぜえ、み、見たか! 貴様の濁った剣では、わ、儂にはまだまだ勝てぬのじゃ!」
ジジイは肩で息をつきながら、ダラダラと汗を流していた。
かなり必死だった。
それなのに、一撃も入れられなかった。
全部、殺る気でいったのに。
セレナにすら勝てた俺が、一撃も入れられないとかどういうこと??
「き、今日のところは、これで勘弁してやる。これに懲りたら、淫行を控え、鍛錬に務めることじゃ! はあはあ」
ジジイはそんな捨て台詞を残すと、かっこいい剣を杖のように使いながら、よろよろと帰っていった。
あんな今にも死にそうなジジイなのに、手も足も出なかった。
ジジイに全ての攻撃をかわされた挙句に、反撃は剣ではなく全て拳だった。
まだまだ手加減されている。
くそ、底の見えない妖怪ジジイである。
それでも、かなり消耗させることは出来た。
まあ、俺もボロボロで起き上がることは出来ないが。
体の回復を待って、ジジイにリベンジしようかと思った。
しかし、俺にはやるべきことがあるのだ。
俺は思うように動かない体に苦労しながらも、這うようにしてミレイ家に向かった。
くそ、ジジイのせいで思わぬ時間を食ってしまった。
ミレイ家のドアにしがみつくようにして、ノックをする。
「きゃあ!? コウさん、どうしたんですか? そんなに怪我をして」
出てきたミレイは俺を見て驚いていた。
くそ、ジジイのせいでかっこ悪い姿を見せてしまった。
「俺の事なんてどうでもいい。それよりもミレイを抱かせてくれ」
「コウさん……そんなに私のことを……」
ミレイはじーんと感動していた。
なんか知らないが好都合だ。
そんなわけで、動かし辛い体に苦労しながらもミレイを抱いた。
女を抱くのは久しぶり(数時間ぶり)なので、物凄く張り切ってしまった。
「あへぇ」
気絶したミレイがベチャッと倒れる。
うむ。やっぱりミレイのむちっとした体はいい。
結構な時間ミレイを堪能してしまった。
今日のミレイはいつもより情熱的だった。
しばらく抱かなかったせいだろうか。
そういえば、セレナもしばらく抱いていない。
そろそろあの巨乳を味わいたくなってきた。
そんなわけでセレナ邸にやってきた。
ジジイにやられた体は全快している。
体を動かすのになんの支障もない。
これで思う存分セレナを抱けるというものだ。
見知らぬメイドさんに案内されて、セレナの部屋の前にやってきた。
「お嬢様、アサギリ様をお連れしました」
「……帰ってもらってちょうだい!」
部屋の中からそんな声が聞こえてくる。
声はもちろんセレナのものだったが、帰れなんて言われたのは初めてだ。
取り込み中なのだろうか。
「どうかしたのか?」
「……ふ、ふん! 何よ、3日もほったらかして! 私のことなんてどうだっていいんでしょう? もう帰ってよ」
セレナは怒っていた。
うーむ。なぜだ。
「コウくんが悪いんですよ?」
そう言ったのは、いつの間にか来ていたカンナさんだった。
「3日前、いつもならコウくんがやってくる時間にセレナお嬢様は、それはもう嬉しそうに待ってらしたのですが、コウくんはやって来ず、次の日も、その次の日も来なかったじゃないですか。お嬢様はひどく落ち込んで、嫌われちゃったのかしらとか、飽きちゃったのかしらとか――」
「ちょっとカンナ! だ、誰もそんなこと言ってないでしょう!」
真っ赤な顔をしたセレナが部屋から顔を出す。
久しぶりに顔が見れて良かったが、セレナは俺と目が合うとプイッと顔を反らせた。
これはアレだろうか。
王都の時と同じように、また拗ねているのだろうか。
可愛い奴め。
とはいえ、ここは王都の時と同じようにしばらく時間を置くべきだと思った。
機嫌が治った頃にまた来よう。
「都合が悪いみたいだから、また後にするわ」
そう言い残して立ち去ろうとした。
不意に服の裾を掴まれる。
見れば、セレナが湯気が出そうなほど顔を赤らめて、俺の服の裾を掴んでいる。
「……一応聞くけど、何しに来たの?」
「え、セレナを抱きたいなと思って」
「ふ、ふーん」
セレナはまんざらでもなさそうな顔している。
あれ、意外といけるのだろうか。
とはいえ。
「でも、帰れって言うなら一旦帰るわ」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
セレナにぐいっと引き寄せられた。
「ちょっと帰れって言われたくらいで、あっさり帰らないでよ! 男の子でしょう? もっと食い下がりなさい」
そんな事を言われても。
食い下がるほど会話スキルが高くないので困ってしまう。
どうしようか。
しばらく無言で考えていたら、じれたセレナが抱きついてきた。
「もういいからさっさと抱きなさい。寂しかったんだからね、バカ」
だったら、最初から抱かせてくれればいいのに。
ただ、拗ねるセレナは可愛い。
吸血鬼の真祖としてそれでいいのかと思ってしまうが。
一体、セレナはどこに向かっているのだろう。
そんな事を考えながらも、セレナを抱きまくった。
セレナを抱いた後は、いつものようにカンナさんを抱いた。
セレナ邸を出た頃には日が沈もうとしていた。
今日も充実した一日だった。
途中でヴァンダレイジジイにボコられなかったらもっと良い一日だったのだが。
そういえば、ジジイが去り際にこれに懲りたらなんとかと言っていた気がするが、なんだっただろうか。
まあジジイはロクな事を言わないのでどうでもいい。
家に帰ると、復活したルーナが晩御飯を作っていてくれた。
HPはほぼ全快していたので、一安心だ。
晩御飯を一緒に食べながら、裸エプロンの危険性をこんこんと語った。
我が家ではしばらく裸エプロンは封印しようと思ったのだが。
「……裸エプロンなしでも、同じくらい激しくしてくれるなら我慢する」
ルーナは不満そうにそんなことを言った。
この女は今朝死にかけたのがわからないのだろうか。
とはいえ、これは俺に対する挑戦だと思う。
こうなったら房中術スキルがレベルアップするくらい激しくしてやる。
そんな事を考えながら、食事中のルーナを押し倒すのだった。
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