ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記

油揚メテオ

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第三章 戦争編

第89話 論功行賞 ①

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 最近、結構寒くなってきた。
 ルーナ曰く、そろそろ冬らしい。
 スライムオイルの暖炉のお陰で、一応暖はとれている。
 とれているのだが、寒いことには変わりないので、ルーナを抱きしめて温まる。
 ルーナは温かくていい。
 本格的に冬になってもこうしてお互いに温めあっていれば乗り切れるはずだ。
 ただ不思議な事にルーナを抱きしめていると、その服を剥ぎ取りたくなってしまう。
 寒いから抱きしめあっているのに、なぜ服を脱がそうとするのか。
 物凄く矛盾していているのだが、俺はルーナのチュニックを肌蹴させて、乳首を弄くりまわしていた。
 本能的にやってしまうのだ。
 仕方ない。

「頼もう! コウ殿はご在宅だろうか?」

 不意に外からそんな声が聞こえて、ドアが激しくノックされた。
 ひっ! ニンゲンだ!
 ニンゲンが俺になんの用だろうか。
 というか、最近来客多くない?

 とりあえず、ルーナに出てもらって俺はその辺に隠れていようと思った。
 しかし、ルーナを見て驚いた。
 ルーナは全裸でピクピクと痙攣していたのだ。
 一体、何が……。

「この寒いのに、全裸で何をしているんだ?」

「……お、お前が脱がせて、触りまくったんだろ」

 バカな……!?
 俺は乳首を弄ってただけのはずなのに。
 無意識のうちに、それだけではなく全裸に剥いてイカせまくっていたらしい。
 軽くいちゃついていただけのつもりだったのに。
 房中術スキルの効果だろうか。
 というか、無意識って恐ろしいですね。

「コウ殿! おられぬか? コウ殿!」

 ドアが激しくノックされる。
 しかし、ルーナはこんな状態だ。
 これはアレだろうか。
 俺が出なきゃいけないパターンだろうか。
 え、絶対出たくない。
 なんで俺がそんな罰ゲームを受けなきゃいけないのか。
 一体、俺が何をしたっていうんだ!?

 まあ、何をしたも何も、俺がルーナをイカせまくったせいなので、大人しくドアに向かう。
 そして、渋々とドアを2センチほど開けた。
 わずかな隙間から、外に立っている人物を観察する。

「おお! コウ殿! いらっしゃったか」

 外に立っていたのは、見知らぬオッサンだった。
 オッサンなら、もういいかなと思った。
 ドアを勢い良く閉める。

 さて、せっかくなのでこのままルーナを抱こう。

「来客なんの用だったんだ?」

「さあ? オッサンだったから無視した」

「もー! お前はまったく!」

 ルーナはよろよろしながら服を身につけていく。
 え、着ちゃうの? もったいない。
 俺はぷりぷり怒りながら服を着ていくルーナをしょんぼりと眺めた。


「待たせて悪いな」

 ルーナがそんな事を言いながら、ドアを開け放つ。
 他者を隔絶する最終防壁たるドアをあんなに全開にするなんて……。
 ルーナはなんという度胸の持ち主なのだろうか。
 ヘラクレスなのだろうか。

 とりあえず、あとはルーナに任せて俺は壁際に隠れた。

「お、奥方殿であるか。コウ殿はいかがされた? 何か某が失礼を働いてしまっただろうか」

 オッサンの声は弱気だった。
 さっきチラッと見た感じでは、ドアの前に立っているオッサンはいつかの徴税官と同じような服装をしていた。
 おそらく役人だと思う。
 ただ、以前の徴税官とは随分雰囲気が違う。
 徴税感は高圧的でムカつく態度だったのだが。

「いや、主人はちょっとアレでな。気にしないでくれ」

 アレってなんだ!?
 まるで俺がどこかおかしいみたいじゃないか。
 壁にベッタリと張り付いて息をひそめている俺は、たしかにちょっとおかしいような気もするが。


「……ええと、おほん、王都からの使者が来たので報せに参った。急で申し訳ないが、明日の朝、馬車が迎えに来る。それに乗って王都まで向かわれたし。我が主、フィンデル子爵とは王都で合流するようにとの事だ」

「……はあ」

 ルーナがとりあえず頷いている。
 王都からの使者とか言っていたが、以前、戦争に参加した時に大将軍が言っていた件だろうか。
 確か王様がご褒美をくれるとか言っていた。
 そういえば、ルーナにはその辺、あんまり詳しく説明していなかった。
 まあ、俺もよくは判っていないので説明のしようがないのだが。

「お供の者は2名まで許可されている。以上!」

「……はあ。よくわからないが、ご苦労様。寒かっただろう、今、お茶を入れるから」

「いえ、某は急使故、これで失礼する。フィンデル家の手配した馬車はもうサーガットの街を出発しておるのだ。急な事で申し訳ないが、急いで準備されるがよろしかろう」

 そう言い残して、オッサンは帰っていった。
 馬蹄の音が聞こえたので、馬で来ていたのだろうか。
 忙しないオッサンだった。


「なあ、今の使者が言っていたのは、以前、お前が言っていた王様の慰安というやつか?」

 そういえば、前ルーナにはそんな説明していたのだった。

「そうだな」

 だいたいルーナの認識であっていると思う。
 大将軍はご褒美をくれるとか言っていたが、騙されてはいけない。
 かつて社畜だった頃に、難易度の高いプロジェクトを成功させて、社長直々にご褒美をくれると言われたことがあった。
 これはボーナスを上げてくれるか、最低でも金一封だろうかと期待していたのだが、社長からは「よくがんばったね」という激励の言葉と、一杯奢ってくれただけだった。
 多分、王様からのご褒美も同じようなものだろう。
 期待してはいけないのである。
 というか、思い出したら腹が立ってきた。
 社長に隕石が直撃しますように、と心のなかで祈った。

「……明日ここを発って、この国の王様に会う? どうしよう、私、ドレスとか持ってないぞ!」

 ルーナが途端に慌てだした。
 はて、何を慌てることがあろうか。

「いいんじゃないか? その服で。よく似合っているし」

 ルーナのエルフっぽい緑のチュニックと、太ももがよく見えるホットパンツは最高のコーデだと思う。
 そういえば、今朝、そろそろ暖かいズボンか厚手のスカートに履き替えようかとか言っていた。
 全力で阻止せねばならない。
 ルーナの太ももが見れなくなるとか、この世から太陽が消滅するのと同じだ。

「良い訳あるか! こんな服で王の前に立ったら首を刎ねられるぞ! だいたい、お前の妻として恥ずかしくない格好をしないと、お前が舐められてしまう!」

 はあ、そういうものだろうか。
 別に俺は舐められてもいいのだが。
 というか、さも当然のようにルーナがついてくる気でいるのが気になる。
 さっきの使者はお供は2名までとか言っていたので、ついてきてもいいんだろうけど。
 そもそも、俺は王都になんて行きたくない。
 バックレるというのはダメなのだろうか。

「ダメに決まっているだろう! 王からの呼び出しを無視したりしたら、それこそ縛り首だ」

 ダメらしい。
 というか、王様すぐに死刑にしすぎなんだけど。

「コウさん! いますか? 入りますよ?」

 そんな時、ミレイが家に入ってきた。
 ミレイに続いて、メグにピート、セレナまで入ってくる。
 突然どうした。

「さっきまた役人らしき人が来るのを見たんですけど、もしかして、また徴兵ですか?」

 ミレイはなんか焦っている上に、青ざめていた。
 心配をかけてしまったらしい。

「いや、違うよ。王様から激励の言葉を貰うために、ちょっと王都まで来いって言われたんだ。まあ、慰安みたいなものだよ」

「慰安……ですか? 陛下がわざわざそんな事するでしょうか」

「コウなら当然ですよ!」

 不思議そうな顔をしているミレイに、なぜか自慢げなピートが答える。

「なあ、セレナ、ドレスを貸してくれないか? 私、公式の場に立つ服を持ってきてないんだ」

 ルーナがセレナに懇願している。

「別にいいけれど。私のドレスはお前みたいな貧乳用には作られていないわよ?」

「だ、誰が貧乳だ!?」

 言っておくがルーナは決して貧乳ではない。
 揉み応えのあるいい乳をしている。
 多分、Dカップはあると思う。
 ただ、セレナから見たら遍く全ての女性は貧乳になってしまうというだけだ。

「あの、ルーナさんも行くんですか?」

 口を挟んだのはミレイだった。

「ああ、お供は2人まで来ていいって使者が言っていたからな。妻の私は当然ついていく」

「2人まで!? じゃあ、私も行きます」

 ミレイはついてきたいらしい。
 ボソッと物凄く小さい声で、私も妻としてとか言っていたが、残念ながら俺には聞こえてしまった。
 ルーナの前でなんてことを口走るんだろうか。
 幸いルーナには聞こえていないようだが。
 浮気がバレてしまう所だった。

「わ、わたしが行きます! コウさまのお嫁さんとして!」

 片手を勢い良くあげたメグは思い切り嫁とか言っていた。
 こいつ……。
 あれほどルーナの前では言うなと言っておいたのに!
 ミレイのように小声で言うならまだ可愛げがあるが。

「……なあ、よくメグがお前の嫁だって言い張るんだが、お前の嫁は私じゃないのか?」

 ルーナがギロリと睨みつけながら顔を寄せてくる。
 というか、よく言い張るのか。
 そういえば、ルーナとメグはよく2人で勉強している。
 メグのことだ、簡単に誤爆しまくっているんだろう。
 ルーナとメグを2人っきりにするんじゃなかった。

「いやあ、ルーナさんに決まっているじゃないですか」

「なんで敬語なんだ! ……まあ、決まっているならいいけど」

 ルーナはそんな事を言いながら、きゅっと手を握ってくる。
 顔が少し赤い。
 もっと怒られると思ったのだが、そもそもメグには本当に手を出していないのだ。
 事実無根の罪で怒られたら堪ったものではない。
 こんなもので済んでよかった。

「いや、ここは子分である俺が行くべきだと思う!」

 ピートまでそんな事を言い出した。
 うーん。
 ミレイもメグもピートも行きたいらしい。
 3人はそれぞれ自分が行くべきだとギャーギャー主張し始めた。

 王都なんて、間違いなくたくさん人がいるので、行っても吐き気を催すだけだと思うのだが。
 なんで皆がそんなに行きたがるのかわからない。
 とはいえ、使者は2人しか連れてきちゃいけないと言っていた。
 ルーナは確定っぽいので、行けるのはあと1人だけだ。
 ピートは論外として、ミレイとメグのどちらを連れて行くべきか。

「……私が行くわ」

 そんなセレナの言葉にメグもミレイもピートも言葉を失う。

「何か文句ある?」

「「「ないです」」」

 3人とも声を被らせて、首を振る。
 この辺りには、世界最強の吸血鬼であるセレナサンに逆らえる者はいないのだ。

「そう、良かったわ。それで、王都にはいつ行くの?」

「ええと、明日迎えの馬車が来るって言ってたかな」

「明日!? 大変じゃないの。すぐにカレリアを呼ぶから、うちに来なさい。小娘のドレスを仕立てなくちゃ」

「うん。悪いな」

 そう言って、ルーナとセレナは出ていった。
 ルーナのドレス姿か。
 ちょっと楽しみである。
 俺の目指していたルーナコスプレ計画の一環と言えなくもない。

「……コウさん」

 ミレイが近寄って来る。

「私さみしいです」

 ミレイを抱き寄せて頭を撫でた。
 よしよし。
 寂しくないように今からたっぷり抱いてやるからな。
 ちょうどルーナもいないし。

 そんな事を考えていたら、目を血走らせたメグと目があった。
 その横では、ピートが顔を真赤にして目を反らせている。

 そういえば、2人もいたな。
 子どもたちには刺激が強すぎただろうか。

「コウ! 何をしているの!? あなたも来るのよ。燕尾服を出してあげるから合わせなさい」

 セレナに呼ばれてしまった。
 俺も行かなきゃいけないらしい。
 燕尾服ってアレだろうか?
 あのマジシャンが着るような服だろうか。
 絶対に着たくないんだけど。

 とはいえ、セレナに怒られるのも嫌なので、ミレイの乳を2、3回揉んでから、とぼとぼついていく。
 ミレイは後で夜這いしようと思う。
 いつも夜這いしている気がするが、気のせいだろう。
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