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第三章 戦争編
第88話 剣の稽古
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ピートが気合とともに剣を振り下ろしてくる。
「せやああああ!」
難なく躱して、剣を弾く。
ピートの剣はあっさりと宙を舞った。
「ぐっ、参った!」
ピートは悔しそうに地面に膝をついた。
ピート達が近所に越してきてから数日が経っていた。
今日は朝からピートが剣の稽古をつけてくれというので仕方なく付き合っているのだ。
使っている剣は、土魔法で生成した刃を潰した練習用の剣だ。
ちなみに、今ので俺の20連勝だったかな。
ピートはちょっと心配になるくらい弱い。
こんなに弱くて、日常生活に支障が出ないのだろうかというレベルだ。
「くそ、どこが悪いのか教えてくれ!」
「なんか遅いんだよな。剣を振るうスピードが」
ピートが剣を振り下ろす速度は、欠伸が出そうなほど遅い。
スロー再生でもしているのかというくらいのレベルだ。
あんなのが当たるわけない。
「どうすれば早く振れるんだ?」
「だから、ビュッと勢い良くだな……」
さっきから何度も繰り返しているやり取りだった。
何度言ってもピートは判ってくれないのだ。
バカなんじゃなかろうか。
「勢い良く剣を振るって、速度が上がるんなら誰も苦労しないと思うぞ」
そばで見ていたルーナに呆れながら言われてしまった。
ピートと訓練をしてくると言ったら、ルーナとミレイもついてきたのだ。
最初は俺たちの稽古をキャーキャー言いながら見ていたのだが、一方的な展開すぎて飽きてきたらしい。
「お前がどうやって剣術を上達させたのかを教えてあげればいいんじゃないか?」
普段、メグに読み書きを教えているルーナ先生はそんなアドバイスをくれた。
とはいえ、どうやって上達したかと言われても、スキルが上がると同時に勝手に上達したので、何も言うことが出来ない。
速く剣を振るおうと思えば、自然と速く振れるのだ。
立ち回りとかはなんとなく言葉には出来るのだが。
「だから、ビャーっと振れば」
「……さっきと擬音が違うじゃないか」
「恐らく、コウさんは天才肌なのではないでしょうか」
ミレイが物凄くいい事を言った。
そう、俺は天才なのだ。
天才は人に教えるのが下手なものだ。
ミスタープロ野球的なあの人を見ていればわかる。
「うーん、確かに物凄い勢いで剣術上手くなったしな。最初は私のほうが剣術は上だったのに」
ルーナが聞き捨てならないことを言っている。
俺史上、ルーナより弱かった時期なんてあろうか、いやない。
「は、初めて戦った時は、絶対に私のほうが強かったもん! お前は変な棒を振り回してたし」
「そうだったか?」
初めてって本当に初めて会った時の事を言っているのだろうか。
もうかなり前だ。
そういえば、あの時は確かにルーナに苦戦したような気がする。
というか、あの頃はその辺のウサギにすら苦戦していたのだ。
そう考えると、俺も強くなったものだ。
「試してみるか? 今だってそんなに遅れは取らないぞ?」
ルーナが生意気な事を言っている。
まあ、ピートと稽古するの飽きてたし、たまにはいいけど。
ルーナ用に練習用のレイピアを生成してやった。
ルーナが距離を取ってレイピアを構える。
ふむ。
確かにピートよりは雰囲気がある。
そういえば、以前、俺が枝にカラドボルグとかって名付けて呼んでいた時に、その枝を叩き切られたのを思い出した。
枝に魔剣の名前をつけるとか。
思い出すと、恥ずかしくてのたうち回りたくなるな。
「私のお母様は軍の剣術教導官なんだからな」
途端に小物っぽい事を言い出した。
お母様がすごくても、ルーナが凄い理由にはならないだろうに。
「いくぞ!」
ルーナが踏み込んでレイピアを突き出してくる。
おお、なかなか良い突きだ。
ルーナのレイピアに合わせるように剣を突き出す。
レイピアと剣が鋭く交差する。
刹那。
手首を返して、レイピアを巻き取った。
金属音を響かせながら、ルーナのレイピアが宙を舞う。
「くうっ」
ルーナが手首を押さえている。
ダメージがないようにレイピアだけを弾き飛ばしてみたが、痺れくらいは感じているかもしれない。
「大丈夫か?」
ルーナに駆け寄って、手首の具合を確かめてみる。
捻ったりはしていないようだが。
「うん。ちょっと痺れただけだ。……凄いな。もう私じゃ全然敵わない」
「そうだろう? だから、俺に大人しく守られていろよ?」
「……うん。えへ」
ルーナが嬉しそうに額を寄せてくる。
あれ、結構恥ずかしいセリフを言ってしまっただろうか。
「なあなあ、さっきので手がビリビリってしたんだ」
途端にルーナは甘えてくる。
とりあえず、痺れた手首をさすってやると、くすぐったそうにしていた。
かわいい。
「こ、コウさん! 私にも稽古をつけて下さい!」
ルーナとイチャついていたら、ミレイまでそんな事を言い出した。
ピートから奪い取ったのか、その手には練習用の剣が握られている。
いや、さすがに無理があるだろう。
「これでも退魔師(エクソシスト)として、剣の修練は積んできました。恐らく、その辺の兵士よりも剣の腕は上のはずです!」
そういえば、ミレイは戦うシスターさんだった。
初めて会った時も剣を握っていたような気がする。
フィリスにビビりまくっていたが。
まあ、相手をしてあげてもいいんだけど。
ミレイは剣を両手で握って構えを取る。
おお、結構本格的だ。
なんか隙がない感じがする。
修練を積んだというのも、あながち嘘じゃないかもしれない。
「参ります! いやああああ!」
裂帛の気合とともに、ミレイが踏み込んでくる。
鋭い打ち込みだ。
咄嗟に剣を合わせて弾く。
そのままミレイは弾かれた剣を振り下ろした。
だが、これも弾ける。
ミレイは素早く剣を返して、薙ぎ払いを放つ。
鮮やかな連続攻撃だった。
躱せるけど。
しかし、ミレイは下段を突いてくる。
咄嗟に身を捩って避けた。
まさかの4連続攻撃。
咄嗟にミレイの小手を払っていた。
「あうっ」
ミレイが剣を落とす。
思わず攻撃してしまった。
「痛いです……」
ミレイが手の甲を抑えている。
やばい、やりすぎた。
慌てて駆け寄る。
「大丈夫か?」
「はい……あの、私のことも守ってくれますか?」
手の甲を抑えながら、上目遣いでミレイはそんな事を聞いてくる。
さっきのルーナとの会話を意識しているのだろうか。
というか。
「当たり前だろうが!」
思い切りミレイを抱きしめていた。
何を当然の事を言っているのか。
「はい、ふふ」
腕の中でミレイが嬉しそうに笑っている。
というか、手の甲は大丈夫だろうか。
結構強く払ってしまった気がするが。
ミレイの手を確認して見て、俺は目玉が飛び出そうになった。
ミレイの美しくも真っ白な手の甲に血が滲んでいる。
ミレイを傷つけてしまった。
やり過ぎにも程がある。
「あ、あの、すごく痛いです。な、舐めて下さい」
なぜか照れながらミレイがそんな事を言ってくる。
舐めるくらいいくらでもしてやる。
「あ、すごい! ……上手です」
上手ってなんだ。
思い切りミレイの手にむしゃぶりついていたが、冷静に考えたら傷口を舐めるなんてバイ菌が入るからダメなんじゃないだろうか。
ミレイが感じているので、舐め続けるのだが。
「お、おい! 私の目の前で何してるんだ!」
しかし、当然の如くルーナに止められた。
そりゃそうなのだが。
「舐めるなんてずるいぞ! わ、私なんてさっきので唇を痛めちゃったんだ」
さすがに無理があるのはわかっている。
わかっているのだが、涙目になりながら唇を突き出してくるルーナは可愛かった。
吸い込まれるように、その唇を舐め回していた。
「あん、コウ、コウ、ちゅばちゅば」
物凄く自然にルーナが舌を絡めてくる。
もはやただのキスになっている気がする。
とはいえ、ルーナとキスをしたくないわけがないのでそのまま唇を吸い続けた。
「ええ!? そんなのありなんですか? それなら、私も!」
ミレイもしがみついてくる。
このままドサクサに紛れてミレイともキスしてしまおうか。
そんな事を考えていた時だった。
「真っ昼間から何をやっているの! あなた達は!」
急に現れたセレナに怒られてしまった。
いつのまにか来ていたらしい。
「コウが新しく来た子と剣の稽古をしているっていうから来てみれば、なんで3人で痴態を繰り広げているの!?」
セレナに改めて聞かれると、首を傾げてしまう。
そういえば、なんでだっけ。
物凄く自然な流れでこうなったような気がするが。
「……せっかくなので、コウさんに剣の稽古をつけてもらおうとして」
ミレイがバツが悪そうに説明している。
「それがなんでイチャイチャとキスする事に繋がるのかしら」
それは俺にもわからない。
世の中は不思議で満ち溢れているのである。
「はあ、まあいいわ。コウ、せっかくなら私ともお稽古しない?」
セレナが挑戦的な目を向けてくる。
ほう。
それはちょっとやってみたいかも。
以前、セレナと戦った時は《達人剣術》も《達人二刀流》も習得していなかった。
あの時は、全く歯が立たなかったが、今ならどうだろうか。
とはいえ、ステータス的には全く敵わないし、魔法を使われたらアウトなのだが。
「……時間止めたりしない?」
「しないわ。単純に剣術だけのお稽古よ」
セレナはそう言いながら、いつかの血の剣を生成する。
俺の練習用の剣と同じように、その刃は丸められているようだ。
「本気で行くぞ?」
「望むところだわ」
そう言ってくれたので、もう一本の剣を生成して二刀流になる。
2本の剣を構えて、セレナと相対する。
セレナは以前と同じように血の剣をだらしなく構える。
それなのに物凄い迫力だった。
ルーナやミレイとは全然違う。
強者特有の雰囲気をビシビシ感じる。
心臓が高鳴ってしまう。
「いつでもどうぞ?」
俺は全力で踏み込んだ。
一瞬でセレナの懐に入り込む。
左右の剣を十字になるように、セレナに斬りつけた。
しかし、セレナにあっさり防がれてしまう。
セレナの持つ血の剣が高速で動き、俺の2本の剣を払い落としたのだ。
これだ。
前回もこの高速の剣にやられて、セレナに傷をつける事ができなかったのだ。
しかし、あの時とは違う。
《達人剣術》と《達人二刀流》を得た今、俺の速度も上がっているはずだ。
俺は両腕を全力で振るい続けた。
止まることのない連続攻撃。
繰り出される剣撃はみるみる速度を上げ、やがて視界に捉えるのすら難しくなっていく。
それでも、俺の攻撃はセレナに撃ち落とされてしまう。
撃ち交わされる剣撃の鋭い金属音が辺りに響く。
まだセレナには届かないのだろうか。
思えばヴァンダレイジジイの時もそうだった。
いや、ヴァンダレイジジイの方が僅かに速いか。
いけるかもしれない。
俺は剣撃の速度を上げ続けた。
速く。
もっと速く。
前の一撃よりも、更に速く。
剣を振るう速度はみるみる上がっていき、未体験の領域に突入する。
やがて――。
キンッという乾いた金属音を残して。
セレナの赤い剣が空高く舞い踊って、地面に突き刺さる。
そして、俺の土の剣がセレナの喉元に触れるか触れないかの所で止まっていた。
もう片方の剣は無残にも崩れ落ちてしまう。
セレナの喉元に突き立てた剣もボロボロだった。
それでも。
「私の負けね」
セレナはどこか晴れ晴れとした表情で言った。
勝った、のだろうか。
俺があのセレナに。
え、まじで?
「うおおおおお!」
思わずセレナを抱きしめてしまった。
ちょっと言葉にできないくらい嬉しい。
「強くなったわね」
セレナが優しく背中を撫でてくれる。
多分、セレナは手加減してくれていた。
手加減と言っても、手を抜かれたという意味ではなく、速度で挑んだ俺に付き合ってくれたという意味だ。
強引に力で押し切られていたら、ステータスで劣る俺にはどうしようもなかったし、フェイントなどの駆け引きもなかった。
だから、単純にセレナよりも強いというわけではないのはわかっている。
それでも、速度の面でセレナを上回れたというのは、ちょっとどころじゃなく嬉しい。
「このままどんどん強くなっていって、いつの日か私もあなたに守ってもらえる日が来るのかしら?」
冗談めかしてセレナは言うが、恐らくそんな日はしばらく来ない。
まだまだ俺とセレナの間には、超えられない壁が何枚もあると思うのだ。
ステータスとか魔法とか戦闘経験とか。
特にステータスはなー、800倍だもんなー。
「ちょ、ちょっとくっつきすぎだぞ? 気持ちはわからないでもないけど」
ルーナがずいずいっと俺とセレナの間に割り込んでくる。
セレナが忌々しそうにルーナを見た。
「お、おほん、ところで」
そして、セレナはわざとらしく咳払いをした。
「私もさっきので手を擦りむいてしまったのだけれど」
そう言いながら、セレナが手の平を見せてくる。
言われてみれば、たしかにちょっと擦り剥けているような、いないような。
「はあ? だからなんだ?」
「なんだって……私もコウに、その……」
ルーナの問いかけに、セレナが恥ずかしそうにごにょごにょと答えた。
まあ、セレナの手を舐めるくらいなんともない、というか、むしろありがとうございます、というか。
とりあえず、セレナの手をとる。
セレナの手は思いの外華奢で、スラリと伸びた指が美しい。
この手でどうやったら、あんなに激しく剣を振り回せるのだろうか。
ホントに吸血鬼はチートである。
とりあえず、いただきます。
セレナの手に舌を伸ばす。
「だ、ダメだ! だいたい全然擦り剥けていないじゃないか! 仮に擦り剥けていたって、お前ならすぐに治るだろ! フィリスみたいにしゅーって」
しかし、ルーナに止められてしまった。
わかってはいたが、残念だ。
「はあ? コウと剣のお稽古をした後に手を舐め回してもらえる遊びをしていたんじゃないの?」
「そんな遊びはしていない!」
「お前なんかさっきキスしてもらっていたじゃないの」
「わ、私はこいつの妻なんだから、キスをするのは当たり前じゃないか!」
ルーナとセレナが胃の痛くなる喧嘩を始めた。
というか、セレナに喧嘩を売るだけルーナは根性あると思う。
恐らく数秒後に泣かされるんだろうけど。
「……なあ、俺の稽古は?」
そんな時、ピートが話しかけてきた。
というか、いたのかこいつ。
「こんな所で何をしているんだ? 暇ならカー坊とその辺で遊んでろ」
「え、ひどくない?」
ピートは傷ついた顔をしている。
なぜそんな顔をするのか。
解せぬ。
いや、なんか引っかかる。
ああ!
そうだった。
そういえば、もともとピートの剣の稽古をしていたんだった。
ピートの存在感が薄すぎてすっかり忘れていた。
これだからモブキャラは。
「悪い悪い、ちょっと忘れてたんだ」
とりあえず、言い訳してみた。
「……そうか。忘れられてたのか」
それなのに、ピートは更に傷ついた顔をしていた。
せっかく言い訳したのに。
ふむ、ピートの稽古か。
多分、俺は人に教えるのに向いていない。
ミレイとかルーナに教わった方がいいと思うのだが。
さっき剣を合わせた感じだと、それぞれの剣の腕の順番はこんな感じだ。
セレナ>ミレイ>ルーナ>ピート
言うまでもなくピートが最弱である。
恐らくミレイあたりに習うのがベストなのだろうが。
ピートはこれでいてなかなかのイケメンである。
できればミレイとの個人レッスンなんて受けさせたくない。
嫉妬のあまりピートを抹殺してしまうかもしれない。
うーん。
「あっちの森にオークが住んでるから、あいつらに剣を習ってくるっていうのはどうだ?」
確かあそこに住んでいたオークは剣っぽいものを振り回していた。
いや、あれは棍棒だっただろうか。
まあ似たようなものだろう。
「……できれば人間に教わりたいな」
わがままなやつである。
「ピート君の場合は、まずは素振りから始めるのがいいと思いますよ」
ミレイがそんなアドバイスをしてくれた。
ピートが嬉しそうにお礼を言っている。
まあ、たしかに素振りをするのがいいかもしれない。
なんか稽古っぽいし、一人でできるし。
とはいえ、ピートに剣を教えてくれる適任者はいないだろうか。
剣術に明るくて、かつ、俺の女ではない人間がいいのだが。
この辺には、俺の女とピート兄弟しか住んでいないので、絶望的だった。
「せやああああ!」
難なく躱して、剣を弾く。
ピートの剣はあっさりと宙を舞った。
「ぐっ、参った!」
ピートは悔しそうに地面に膝をついた。
ピート達が近所に越してきてから数日が経っていた。
今日は朝からピートが剣の稽古をつけてくれというので仕方なく付き合っているのだ。
使っている剣は、土魔法で生成した刃を潰した練習用の剣だ。
ちなみに、今ので俺の20連勝だったかな。
ピートはちょっと心配になるくらい弱い。
こんなに弱くて、日常生活に支障が出ないのだろうかというレベルだ。
「くそ、どこが悪いのか教えてくれ!」
「なんか遅いんだよな。剣を振るうスピードが」
ピートが剣を振り下ろす速度は、欠伸が出そうなほど遅い。
スロー再生でもしているのかというくらいのレベルだ。
あんなのが当たるわけない。
「どうすれば早く振れるんだ?」
「だから、ビュッと勢い良くだな……」
さっきから何度も繰り返しているやり取りだった。
何度言ってもピートは判ってくれないのだ。
バカなんじゃなかろうか。
「勢い良く剣を振るって、速度が上がるんなら誰も苦労しないと思うぞ」
そばで見ていたルーナに呆れながら言われてしまった。
ピートと訓練をしてくると言ったら、ルーナとミレイもついてきたのだ。
最初は俺たちの稽古をキャーキャー言いながら見ていたのだが、一方的な展開すぎて飽きてきたらしい。
「お前がどうやって剣術を上達させたのかを教えてあげればいいんじゃないか?」
普段、メグに読み書きを教えているルーナ先生はそんなアドバイスをくれた。
とはいえ、どうやって上達したかと言われても、スキルが上がると同時に勝手に上達したので、何も言うことが出来ない。
速く剣を振るおうと思えば、自然と速く振れるのだ。
立ち回りとかはなんとなく言葉には出来るのだが。
「だから、ビャーっと振れば」
「……さっきと擬音が違うじゃないか」
「恐らく、コウさんは天才肌なのではないでしょうか」
ミレイが物凄くいい事を言った。
そう、俺は天才なのだ。
天才は人に教えるのが下手なものだ。
ミスタープロ野球的なあの人を見ていればわかる。
「うーん、確かに物凄い勢いで剣術上手くなったしな。最初は私のほうが剣術は上だったのに」
ルーナが聞き捨てならないことを言っている。
俺史上、ルーナより弱かった時期なんてあろうか、いやない。
「は、初めて戦った時は、絶対に私のほうが強かったもん! お前は変な棒を振り回してたし」
「そうだったか?」
初めてって本当に初めて会った時の事を言っているのだろうか。
もうかなり前だ。
そういえば、あの時は確かにルーナに苦戦したような気がする。
というか、あの頃はその辺のウサギにすら苦戦していたのだ。
そう考えると、俺も強くなったものだ。
「試してみるか? 今だってそんなに遅れは取らないぞ?」
ルーナが生意気な事を言っている。
まあ、ピートと稽古するの飽きてたし、たまにはいいけど。
ルーナ用に練習用のレイピアを生成してやった。
ルーナが距離を取ってレイピアを構える。
ふむ。
確かにピートよりは雰囲気がある。
そういえば、以前、俺が枝にカラドボルグとかって名付けて呼んでいた時に、その枝を叩き切られたのを思い出した。
枝に魔剣の名前をつけるとか。
思い出すと、恥ずかしくてのたうち回りたくなるな。
「私のお母様は軍の剣術教導官なんだからな」
途端に小物っぽい事を言い出した。
お母様がすごくても、ルーナが凄い理由にはならないだろうに。
「いくぞ!」
ルーナが踏み込んでレイピアを突き出してくる。
おお、なかなか良い突きだ。
ルーナのレイピアに合わせるように剣を突き出す。
レイピアと剣が鋭く交差する。
刹那。
手首を返して、レイピアを巻き取った。
金属音を響かせながら、ルーナのレイピアが宙を舞う。
「くうっ」
ルーナが手首を押さえている。
ダメージがないようにレイピアだけを弾き飛ばしてみたが、痺れくらいは感じているかもしれない。
「大丈夫か?」
ルーナに駆け寄って、手首の具合を確かめてみる。
捻ったりはしていないようだが。
「うん。ちょっと痺れただけだ。……凄いな。もう私じゃ全然敵わない」
「そうだろう? だから、俺に大人しく守られていろよ?」
「……うん。えへ」
ルーナが嬉しそうに額を寄せてくる。
あれ、結構恥ずかしいセリフを言ってしまっただろうか。
「なあなあ、さっきので手がビリビリってしたんだ」
途端にルーナは甘えてくる。
とりあえず、痺れた手首をさすってやると、くすぐったそうにしていた。
かわいい。
「こ、コウさん! 私にも稽古をつけて下さい!」
ルーナとイチャついていたら、ミレイまでそんな事を言い出した。
ピートから奪い取ったのか、その手には練習用の剣が握られている。
いや、さすがに無理があるだろう。
「これでも退魔師(エクソシスト)として、剣の修練は積んできました。恐らく、その辺の兵士よりも剣の腕は上のはずです!」
そういえば、ミレイは戦うシスターさんだった。
初めて会った時も剣を握っていたような気がする。
フィリスにビビりまくっていたが。
まあ、相手をしてあげてもいいんだけど。
ミレイは剣を両手で握って構えを取る。
おお、結構本格的だ。
なんか隙がない感じがする。
修練を積んだというのも、あながち嘘じゃないかもしれない。
「参ります! いやああああ!」
裂帛の気合とともに、ミレイが踏み込んでくる。
鋭い打ち込みだ。
咄嗟に剣を合わせて弾く。
そのままミレイは弾かれた剣を振り下ろした。
だが、これも弾ける。
ミレイは素早く剣を返して、薙ぎ払いを放つ。
鮮やかな連続攻撃だった。
躱せるけど。
しかし、ミレイは下段を突いてくる。
咄嗟に身を捩って避けた。
まさかの4連続攻撃。
咄嗟にミレイの小手を払っていた。
「あうっ」
ミレイが剣を落とす。
思わず攻撃してしまった。
「痛いです……」
ミレイが手の甲を抑えている。
やばい、やりすぎた。
慌てて駆け寄る。
「大丈夫か?」
「はい……あの、私のことも守ってくれますか?」
手の甲を抑えながら、上目遣いでミレイはそんな事を聞いてくる。
さっきのルーナとの会話を意識しているのだろうか。
というか。
「当たり前だろうが!」
思い切りミレイを抱きしめていた。
何を当然の事を言っているのか。
「はい、ふふ」
腕の中でミレイが嬉しそうに笑っている。
というか、手の甲は大丈夫だろうか。
結構強く払ってしまった気がするが。
ミレイの手を確認して見て、俺は目玉が飛び出そうになった。
ミレイの美しくも真っ白な手の甲に血が滲んでいる。
ミレイを傷つけてしまった。
やり過ぎにも程がある。
「あ、あの、すごく痛いです。な、舐めて下さい」
なぜか照れながらミレイがそんな事を言ってくる。
舐めるくらいいくらでもしてやる。
「あ、すごい! ……上手です」
上手ってなんだ。
思い切りミレイの手にむしゃぶりついていたが、冷静に考えたら傷口を舐めるなんてバイ菌が入るからダメなんじゃないだろうか。
ミレイが感じているので、舐め続けるのだが。
「お、おい! 私の目の前で何してるんだ!」
しかし、当然の如くルーナに止められた。
そりゃそうなのだが。
「舐めるなんてずるいぞ! わ、私なんてさっきので唇を痛めちゃったんだ」
さすがに無理があるのはわかっている。
わかっているのだが、涙目になりながら唇を突き出してくるルーナは可愛かった。
吸い込まれるように、その唇を舐め回していた。
「あん、コウ、コウ、ちゅばちゅば」
物凄く自然にルーナが舌を絡めてくる。
もはやただのキスになっている気がする。
とはいえ、ルーナとキスをしたくないわけがないのでそのまま唇を吸い続けた。
「ええ!? そんなのありなんですか? それなら、私も!」
ミレイもしがみついてくる。
このままドサクサに紛れてミレイともキスしてしまおうか。
そんな事を考えていた時だった。
「真っ昼間から何をやっているの! あなた達は!」
急に現れたセレナに怒られてしまった。
いつのまにか来ていたらしい。
「コウが新しく来た子と剣の稽古をしているっていうから来てみれば、なんで3人で痴態を繰り広げているの!?」
セレナに改めて聞かれると、首を傾げてしまう。
そういえば、なんでだっけ。
物凄く自然な流れでこうなったような気がするが。
「……せっかくなので、コウさんに剣の稽古をつけてもらおうとして」
ミレイがバツが悪そうに説明している。
「それがなんでイチャイチャとキスする事に繋がるのかしら」
それは俺にもわからない。
世の中は不思議で満ち溢れているのである。
「はあ、まあいいわ。コウ、せっかくなら私ともお稽古しない?」
セレナが挑戦的な目を向けてくる。
ほう。
それはちょっとやってみたいかも。
以前、セレナと戦った時は《達人剣術》も《達人二刀流》も習得していなかった。
あの時は、全く歯が立たなかったが、今ならどうだろうか。
とはいえ、ステータス的には全く敵わないし、魔法を使われたらアウトなのだが。
「……時間止めたりしない?」
「しないわ。単純に剣術だけのお稽古よ」
セレナはそう言いながら、いつかの血の剣を生成する。
俺の練習用の剣と同じように、その刃は丸められているようだ。
「本気で行くぞ?」
「望むところだわ」
そう言ってくれたので、もう一本の剣を生成して二刀流になる。
2本の剣を構えて、セレナと相対する。
セレナは以前と同じように血の剣をだらしなく構える。
それなのに物凄い迫力だった。
ルーナやミレイとは全然違う。
強者特有の雰囲気をビシビシ感じる。
心臓が高鳴ってしまう。
「いつでもどうぞ?」
俺は全力で踏み込んだ。
一瞬でセレナの懐に入り込む。
左右の剣を十字になるように、セレナに斬りつけた。
しかし、セレナにあっさり防がれてしまう。
セレナの持つ血の剣が高速で動き、俺の2本の剣を払い落としたのだ。
これだ。
前回もこの高速の剣にやられて、セレナに傷をつける事ができなかったのだ。
しかし、あの時とは違う。
《達人剣術》と《達人二刀流》を得た今、俺の速度も上がっているはずだ。
俺は両腕を全力で振るい続けた。
止まることのない連続攻撃。
繰り出される剣撃はみるみる速度を上げ、やがて視界に捉えるのすら難しくなっていく。
それでも、俺の攻撃はセレナに撃ち落とされてしまう。
撃ち交わされる剣撃の鋭い金属音が辺りに響く。
まだセレナには届かないのだろうか。
思えばヴァンダレイジジイの時もそうだった。
いや、ヴァンダレイジジイの方が僅かに速いか。
いけるかもしれない。
俺は剣撃の速度を上げ続けた。
速く。
もっと速く。
前の一撃よりも、更に速く。
剣を振るう速度はみるみる上がっていき、未体験の領域に突入する。
やがて――。
キンッという乾いた金属音を残して。
セレナの赤い剣が空高く舞い踊って、地面に突き刺さる。
そして、俺の土の剣がセレナの喉元に触れるか触れないかの所で止まっていた。
もう片方の剣は無残にも崩れ落ちてしまう。
セレナの喉元に突き立てた剣もボロボロだった。
それでも。
「私の負けね」
セレナはどこか晴れ晴れとした表情で言った。
勝った、のだろうか。
俺があのセレナに。
え、まじで?
「うおおおおお!」
思わずセレナを抱きしめてしまった。
ちょっと言葉にできないくらい嬉しい。
「強くなったわね」
セレナが優しく背中を撫でてくれる。
多分、セレナは手加減してくれていた。
手加減と言っても、手を抜かれたという意味ではなく、速度で挑んだ俺に付き合ってくれたという意味だ。
強引に力で押し切られていたら、ステータスで劣る俺にはどうしようもなかったし、フェイントなどの駆け引きもなかった。
だから、単純にセレナよりも強いというわけではないのはわかっている。
それでも、速度の面でセレナを上回れたというのは、ちょっとどころじゃなく嬉しい。
「このままどんどん強くなっていって、いつの日か私もあなたに守ってもらえる日が来るのかしら?」
冗談めかしてセレナは言うが、恐らくそんな日はしばらく来ない。
まだまだ俺とセレナの間には、超えられない壁が何枚もあると思うのだ。
ステータスとか魔法とか戦闘経験とか。
特にステータスはなー、800倍だもんなー。
「ちょ、ちょっとくっつきすぎだぞ? 気持ちはわからないでもないけど」
ルーナがずいずいっと俺とセレナの間に割り込んでくる。
セレナが忌々しそうにルーナを見た。
「お、おほん、ところで」
そして、セレナはわざとらしく咳払いをした。
「私もさっきので手を擦りむいてしまったのだけれど」
そう言いながら、セレナが手の平を見せてくる。
言われてみれば、たしかにちょっと擦り剥けているような、いないような。
「はあ? だからなんだ?」
「なんだって……私もコウに、その……」
ルーナの問いかけに、セレナが恥ずかしそうにごにょごにょと答えた。
まあ、セレナの手を舐めるくらいなんともない、というか、むしろありがとうございます、というか。
とりあえず、セレナの手をとる。
セレナの手は思いの外華奢で、スラリと伸びた指が美しい。
この手でどうやったら、あんなに激しく剣を振り回せるのだろうか。
ホントに吸血鬼はチートである。
とりあえず、いただきます。
セレナの手に舌を伸ばす。
「だ、ダメだ! だいたい全然擦り剥けていないじゃないか! 仮に擦り剥けていたって、お前ならすぐに治るだろ! フィリスみたいにしゅーって」
しかし、ルーナに止められてしまった。
わかってはいたが、残念だ。
「はあ? コウと剣のお稽古をした後に手を舐め回してもらえる遊びをしていたんじゃないの?」
「そんな遊びはしていない!」
「お前なんかさっきキスしてもらっていたじゃないの」
「わ、私はこいつの妻なんだから、キスをするのは当たり前じゃないか!」
ルーナとセレナが胃の痛くなる喧嘩を始めた。
というか、セレナに喧嘩を売るだけルーナは根性あると思う。
恐らく数秒後に泣かされるんだろうけど。
「……なあ、俺の稽古は?」
そんな時、ピートが話しかけてきた。
というか、いたのかこいつ。
「こんな所で何をしているんだ? 暇ならカー坊とその辺で遊んでろ」
「え、ひどくない?」
ピートは傷ついた顔をしている。
なぜそんな顔をするのか。
解せぬ。
いや、なんか引っかかる。
ああ!
そうだった。
そういえば、もともとピートの剣の稽古をしていたんだった。
ピートの存在感が薄すぎてすっかり忘れていた。
これだからモブキャラは。
「悪い悪い、ちょっと忘れてたんだ」
とりあえず、言い訳してみた。
「……そうか。忘れられてたのか」
それなのに、ピートは更に傷ついた顔をしていた。
せっかく言い訳したのに。
ふむ、ピートの稽古か。
多分、俺は人に教えるのに向いていない。
ミレイとかルーナに教わった方がいいと思うのだが。
さっき剣を合わせた感じだと、それぞれの剣の腕の順番はこんな感じだ。
セレナ>ミレイ>ルーナ>ピート
言うまでもなくピートが最弱である。
恐らくミレイあたりに習うのがベストなのだろうが。
ピートはこれでいてなかなかのイケメンである。
できればミレイとの個人レッスンなんて受けさせたくない。
嫉妬のあまりピートを抹殺してしまうかもしれない。
うーん。
「あっちの森にオークが住んでるから、あいつらに剣を習ってくるっていうのはどうだ?」
確かあそこに住んでいたオークは剣っぽいものを振り回していた。
いや、あれは棍棒だっただろうか。
まあ似たようなものだろう。
「……できれば人間に教わりたいな」
わがままなやつである。
「ピート君の場合は、まずは素振りから始めるのがいいと思いますよ」
ミレイがそんなアドバイスをしてくれた。
ピートが嬉しそうにお礼を言っている。
まあ、たしかに素振りをするのがいいかもしれない。
なんか稽古っぽいし、一人でできるし。
とはいえ、ピートに剣を教えてくれる適任者はいないだろうか。
剣術に明るくて、かつ、俺の女ではない人間がいいのだが。
この辺には、俺の女とピート兄弟しか住んでいないので、絶望的だった。
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