ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記

油揚メテオ

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第三章 戦争編

第78話 初めての戦場 ⑧

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 それは、異様な何かだった。
 突如として、遠くの丘から出現した何か。
 ものすごい轟音を響かせて、大地を揺らせている。
 漆黒の巨大な馬。
 馬の頭部からは二股に別れた角が見える。
 そして、そんな馬に跨る屈強なオーク。
 今まで戦っていたオークとは違う。
 見事な鎧と槍で武装し、顔つきは精悍だ。

「ば、バイコーンに乗ったオークだと!?」

 誰かがそんな事を呟く。
 あの黒い馬はバイコーンというらしい。

「……魔物に魔物が乗るなんて」

 突如として出現したそれは、所謂、騎馬隊だった。
 ものすごい数だ。
 数百体とかいうレベルじゃない。

「……五千と言ったところかのう」

 ヴァンダレイジジイがそう呟くのが聞こえる。

 五千体らしいオークの騎馬隊は、丘の上から勢いをつけるように降りてくる。
 遠目に見ていても、物凄い速度が出ているのがわかる。

 そして、オーク騎馬隊は領主軍に襲いかかった。
 爆発。
 それはまるで爆発だった。
 騎馬隊と領主軍が衝突した瞬間。
 人間がバラバラに千切れて宙を舞う。
 オーク騎馬隊は領主軍を文字通り吹き飛ばした。
 そのまま、どんどん領主軍の中に食い込んでくる。
 領主軍は為す術もなく蹂躙されていく。
 オークの槍が一振りされる毎に、人間は頭や腕などの部品になって空中に撒き散らされる。
 圧倒的だった。
 アレが相手では人間が何人いようと関係ない。
 人数を武器にオーク達に競り勝っていた人間の有利は失われた。
 オーク騎馬隊の出現で、戦局はひっくり返ったのだ。
 あの騎馬隊相手では戦うだけ無駄な気がする。

 オーク騎馬隊に蹂躙されていた領主軍も同じ事を思ったのだろう。
 どんどん武器を捨てて逃げ出している。
 しかし、徒歩が殆どの領主軍は、逃げ出してもオーク騎馬隊にすぐに追いつかれて討ち取られていた。
 運良くオーク騎馬隊から逃れても、あたりにいた普通のオークに殺されている。

 戦場が瓦解していく。
 最前線にいた領主軍は完全に潰走し始めていた。

「見ろ! 王国軍の遊撃隊が突っ込むぞ!」

 装備の整った人間の騎馬隊が、オーク騎馬隊に向かっていった。
 王国軍は後方で集結中らしいが、出撃している騎馬隊もいたらしい。
 遊撃隊と言っていたので、崩れかけた味方のサポートでもしていたのだろうか。

 王国軍の騎馬隊とオーク騎馬隊が接近する。
 数は王国軍の方が僅かに多いくらいだ。
 騎馬隊同士だったら、数が多いほうが有利のはず――。

「……おい、嘘だろ」

 衝突間近の王国軍遊撃隊とオーク騎馬隊を見て、背筋が凍った。
 近づいていたので、その差がよく分かる。
 騎馬の大きさがぜんぜん違うのだ。
 オークの乗っているバイコーンという黒い馬は、王国軍の馬の2倍近い大きさだった。

 王国遊撃隊とオーク騎馬隊が衝突する。
 辺りに轟く轟音と土埃。

 完全に王国遊撃隊は押し負けていた。

 馬はバイコーンに騎士ごと踏み潰され、無事だった馬も棹立ちになって乗せていた騎士を振り落としている。
 王国軍遊撃隊は次々に討ち取られていった。

 オーク騎馬隊の中にあって、特に先頭を行くオークが凄まじい。
 一際見事な鎧を身に着けたそのオークは、王国遊撃隊の騎士たちを次々に槍で串刺しにしていく。
 オークの槍には何人もの騎士達が積み上がるように串刺しにされている。
 その槍は何人もの騎士の重みがかかっているはずだが、オークは物ともせずに槍を振り回し、新たな獲物が犠牲になっていく。

 あれが指揮官だろうか。
 すげえ強そうなんだけど。
 絶対に戦いたくない。
 こっちに来たら迷わず逃げようと心に誓った。

 王国軍の遊撃隊があっさりと破れて、戦場はますます人間に不利になってきた。
 殆どの領主軍が悲鳴を上げて潰走し始めている。
 かなり後方にいる俺達の傍にも逃げてくる領主軍の姿が目についた。
 これは完全に負けたなと思った。
 俺達も逃げたほうがいいと思う。

「……頭の悪いオークが騎馬隊じゃと? 悪い夢を見ているようじゃ」

 ヴァンダレイジジイはそう呻いた。
 そして、目をつむると何かを考えだした。
 いやいや、そんな事してないで早く逃げないと。
 オーク騎馬隊は今もなお人間達を弾き飛ばしながら、ガンガン進んでくる。
 何かを目指して直進している。

 というか、今俺達がいる場所って、オーク騎馬隊の進路上な気がするんだけど。
 このままじゃ踏み潰されるじゃん。

「……なあ、俺達も逃げたほうがいいんじゃないか?」

 相変わらず何かを考えているヴァンダレイジジイに声をかけてみた。
 俺達はジジイばっかりだ。
 早く逃げないと足の遅いジジイどもは逃げ切れない気がする。

 その時、ジジイの目が開かれた。

「全員傾注!」

 その場の全員が縋り付くようにヴァンダレイジジイを見る。
 皆不安そうだった。

「この場にて待機。全力であのオーク騎馬隊を止める」

「えええええ!?」

 驚きすぎて声を出してしまった。
 何いってんのこのジジイ。
 ボケたのだろうか。
 平均年齢が恐らく還暦を過ぎている俺達があの騎馬隊を止められるわけ無い。
 最前線を張るようなやる気ある領主軍とか王国の騎馬隊が木っ端微塵にされたんだぞ。

「……儂らには無理じゃ」

 近くにいたジジイもそんな声を上げている。
 他のジジイ達も呻くように不満を言い始めた。
 辺りがざわつき出す。

「無理でもやるんじゃ!」

 ヴァンダレイジジイが一括すると、その場が静まり返る。
 物凄い剣幕だった。

「良いか? あの騎馬隊の進路上には、集結中の王国軍がいる」

 確かに王国軍が陣取っているのは、俺達の背後だった。

「オーク共は王国軍を突くつもりじゃ。もたもたと集結している最中の王国軍なぞ、あの騎馬隊の攻撃を受けたらひとたまりもないわい。王国軍は壊滅するじゃろう」

「……開戦しているのに、なんでまだ集結中なんだよ」

 俺達が遅刻したとかってレベルじゃない大失態な気がしてきたので、口に出してみた。
 開戦する前にちゃんと集まっとけよっていう。

「ふん、司令官が能無しなんじゃろう。それが今の王国軍じゃ。嘆かわしいのう。とはいえ、それでもこの国最強の軍隊じゃ。装備も練度も領主軍なんかとは比べ物にならんわい。その王国軍がこの戦で壊滅してみろ。オーク共が国中になだれ込んでくるぞ。止めるべき軍隊が壊滅しておるからのう」

 そこで言葉を切ると、ヴァンダレイジジイはその場にいる全員の目を見渡した。

「そうなれば、あっという間に魔族の支配下じゃ。この国の民は皆殺しにされるか、良くて奴隷じゃろう。そして、そうなるのは、貴様達の家族、妻や子供、孫達じゃ」

 その言葉に、ルーナやミレイ、メグの顔が浮かんだ。
 思わず歯を噛み締めてしまう。
 まあ、セレナ達は置いておいて。

 周りにいたジジイ達も槍を握りしめたり、低く呻いたりしている。
 皆、思う所があるのだろう。

「わかったか? ここで儂らが引くわけにはいかん。なんとしてもここで奴らを食い止めるのじゃ。おそらく食い止められんじゃろうが、時間は稼ぐ。王国軍も今頃慌てて、出撃の準備をしておるじゃろう。それまで、持ちこたえるんじゃ。……すまんが、貴様らの命をかけて貰うぞ」

 その言葉に、ジジイ達が頷く。
 不満を言うものは誰もいなかった。

 これは、俺も付き合わなきゃいけない流れなのだろうか。
 この国がヤバイのなら、さっさと帰ってルーナ達を連れて逃げたいのだが。

 そんな事を考えていたら、ジジイと目があった。
 全てを見透かしてそうな目だ。
 やばい、怒られる気がする。

「コウ、ピート、ラッセル。貴様ら3人だけは逃げろ。ここで死ぬのは儂ら老骨だけじゃ」

 意外にもそんな事を言われた。
 逃げていいらしい。
 俺は良かったと、素直にそう思った。
 とはいえさすがに、ラッキー! とか言って踵を返すのは気が引ける。
 いくらなんでも、俺達だけ逃げるなんて周りが許すはずがない。

 しかし、周りのジジイ達は俺達に笑顔を向けて頷いている。
 ポンと誰かに肩を叩かれた。
 そこにいたのはオーククラッシャーのジジイだった。

「……達者でな」

 そんな事を言われてしまった。
 なんなのだろう。
 今から死ねと言われたようなもんなのに。
 なぜこのジジイどもは。
 笑顔を、浮かべているのか。
 頭がおかしいんじゃないだろうか。

 人間にとっての第一命題は自分の安全であるべきだ。
 現に俺は、俺以外の人間なんて死滅すればいいと思っている。
 それなのにこのジジイどもは何なのだろう。
 理解できない。
 できないけど……。

「早く行かんか!」

 ヴァンダレイジジイに叱咤された。
 俺は踵を返した。
 何かを振り払うように。

「コウ!」

 走り去ろうとしたら、ヴァンダレイジジイに呼び止められた。
 さっき行けって言ったのに。

「……儂との稽古を忘れるな。貴様が知るべきは痛みじゃ。人の痛みを知れ。そうすれば、貴様はきっと素晴らしい剣士になれる」

 痛みって。
 散々殴られただけの気がするが。
 だいたい剣士になんてなりたくないっての。
 とはいえ、これでヴァンダレイジジイともお別れかと思うと。
 俺は悪態も付かずに素直に頷いた。
 そして、ピートとラッセルを促す。
 三人で逃げるのだ。
 しかし、ピートが動こうとしない。

「お、お嬢様も!」

 ピートはそう言ってお嬢様に手を伸ばす。
 そういえば、ピートはお嬢様が好きだった。
 一緒に連れて行こうとするのは当たり前か。

「ピート、私は残ります。これでも一応指揮官ですから」

 そう言って、レティシアお嬢様は諦めたような笑みを浮かべた。
 お嬢様の言葉に、ヴァンダレイジジイが静かに頷く。
 若いのにお嬢様は対象外らしい。
 そういえば、ヴァンダレイジジイは最初からお嬢様の名前は呼ばなかった。
 貴族の責任ってやつだろうか。

 オーク騎馬隊の馬蹄の音が、すぐそばで聞こえる。
 もうあまり時間はない。
 今すぐに逃げなければ、あの黒い馬に蹂躙されてしまう。

 しかし、ピートは動こうとしない。
 それどころか。

「悪いな。お嬢様が残るなら、俺も残るわ」

 そう言って、下手くそな笑みを浮かべる。
 全然笑えてない。顔がひきつってる。
 しかし、ピートは剣を抜くと、お嬢様を守るようにして立つ。
 何やってんだあいつは。
 ピートはがくがくと震えていた。
 怖いんじゃないか。

「ピート、私のことはいいの。あなただけでも逃げなさい」

「いいえ。お嬢様は俺が守ります。守らせて下さい」

 まだ若い男女がそう言い合いながら、ガタガタと震えていた。
 俺からしたら完全に子供の年齢の2人が。
 
 オーク騎馬隊は目の前に迫っている。
 踏み潰された人間の悲鳴が聞こえてくる。
 もうダメだ。
 今すぐ逃げよう。
 ピートの馬鹿なんてほっといて、ラッセルと逃げるのだ。

 ヴァンダレイジジイが剣を抜く。
 他のジジイ達も武器を構えて、オーク騎馬隊に立ち向かおうとしている。

 俺はラッセルの手を引いて駆け出した。
 ピートも、お嬢様も、ヴァンダレイジジイも、他のジジイ達も。
 どいつもこいつも。
 馬鹿で反吐が出そうになる。
 なぜそんなに死にたがるのか。

 不思議なことに、足が止まっていた。

 背中で迫りくる馬蹄の音を聞く。
 あの騎馬隊は異常だ。
 すぐに殺される。
 時間稼ぎだってできないだろう。
 あの馬鹿たちは、瞬殺だろう。

 くそが!

 「あ、コウ!」

 ラッセルを置いて、走り出す。
 反対方向へ。

 オーク騎馬隊に向かって。

 自分でもわかってる。
 俺は酷く馬鹿な事をしている。
 この場は逃げて、さっさと帰ってルーナ達を連れて逃げるべきだ。
 それが正解だ。
 大切なものが何かを履き違えてはいけない。
 それでも。

 ビビりながらお嬢様を守ろうとするピートの横をすれ違う。
 粗末な武器を懸命に構えて、死を覚悟するジジイどもの間を抜けていく。
 最後に、すれ違ったヴァンダレイイジジイは、俺を見て、目を丸くしていた。

 くそが!
 何度目になるかわからない悪態をつきながら思うのだ。
 どいつもこいつも。

 かっこいいじゃないか。

 迫りくるオーク騎馬隊を眼前に捉えた。
 誰よりも最前列で。

 巨大な漆黒の騎馬、バイコーンは白目を向いて、泡を吹きながら、狂ったように走っている。
 そんなバイコーンに跨るオーク。
 あの見事な鎧を着た司令官らしき奴だ。
 奴は邪悪で無慈悲な目で俺を見た。
 その目には一欠片の感情も浮かんでいない。
 俺なんて数秒後に死体となる肉の塊くらいにしか思っていないのだろう。
 ゾッとした。

 それでも、俺は地面に手をつく。

 ありったけの魔力を込めて。

 全てのオークを魔法で殲滅なんて無理だ。

 いくらなんでも五千は多すぎる。

 だから、重要なのはタイミングだ。

 オーク騎馬隊の速度に合わせろ。

 オーク騎馬隊が目と鼻の先まで迫る。

「今だ!!!」

 全魔力を開放した。

 地面が勢い良く隆起する。
 先端を思い切り尖らせて。

 バイコーンが串刺しになった。
 耳をつんざくような悲鳴が聞こえる。

 俺は魔力を込め続ける。
 地面が次々に隆起し、棘となってバイコーンを串刺しにしていく。

「ぐうっ!」

 突如として、視界が歪んだ。
 MP枯渇だ。
 地面の隆起が止まってしまう。
 串刺しに出来たのは、先頭の100体くらいだ。
 しかし、先頭が潰されて、オーク騎馬隊は混乱していた。
 前進を止めている。

 俺は歪む視界を堪えながら、探した。
 一番先頭走っていた指揮官のオーク。
 奴は串刺しにされたバイコーンを蹴飛ばして、立ち上がろうとしている所だった。

 見つけた。

 月光魔剣を抜いて、走り出す。
 MP枯渇のせいで、上手く走れない。
 くそ、耐えろ。
 たかがこれしき。
 社畜時代にインフルエンザを押して出社した時のことを思い出せ。

『根性:レベル7が発動しました。』

 俺はふらつきながらも駆け出した。
 目指すは、指揮官の首のみ。

 オーク指揮官が俺に気づいて牙を剥く。
 その首目掛けて、月光魔剣を振り下ろす。

「グガッ!」

 しかし、指揮官の剣に弾かれた。
 簡単には殺らせてくれないらしい。

 オーク指揮官の剣撃。
 咄嗟に躱す。

 指揮官は、その剣も見事だった。
 しかも、強い。

 指揮官は次々に剣を繰り出す。
 それを辛うじて弾く。

 くそ、MP枯渇のせいで足がふらつく。
 思わず、バランスを崩してしまった。

 しまった。

 そう思った瞬間。

 脇腹にオーク指揮官の剣が食い込んだ。

 鉄の鎧が弾き飛ぶ。
 脇腹の骨が折れる嫌な音がした。
 オーク指揮官の顔が喜悦に歪む。
 俺はその顔を冷静に見ていた。

 隙だらけじゃないか。

 そして。
 集中しすぎてスローモーションのようになった視界の中で、月光魔剣がゆっくりとオーク指揮官の首筋に吸い込まれていくのが見えた。
 そのままオーク指揮官の首を跳ね飛ばす。

 首はスローモーションのようにゆっくり宙を舞った。
 周りのオーク達が呆然とその首を見つめている。
 信じられないものを見るように。

「うがあああああ!」

 叫び声をあげた。
 獣のように叫んだ。

 俺に出来るのはここまでだ。
 騎馬隊の足を少し止めて、指揮官を討つくらいだ。
 もうすぐ俺はオーク共になぶり殺しになるだろう。
 頭を討たれて怒り心頭のオーク達に。

 あとは。

「うおおおおおお!」

 死ぬまで剣を振り回すだけだ。
 デタラメに。
 最後のあがきだ。
 斬られた脇腹に違和感を感じたが、この際どうでもいい。
 こうなったら、少しでも多くのオークを道連れにしてやる。

 無我夢中でオークを斬った。
 片っ端から。
 オーク達の抵抗は思ったよりも少なかった。
 呆然としながら、俺に斬られている。
 不思議とバイコーンに騎乗したままのオーク達も襲い掛かってくる気配はなかった。
 それでも、完全に囲まれている。
 俺は死角からの気配を感じた。
 オークが剣を振りかぶっているのを視界の端に捉えた。
 いつかの山賊の時と同じだ。
 ああ、殺られる。
 あの時は、ルーナに庇ってもらったが。
 ルーナ。
 最期に一目だけでも――。

「何しとるか! 馬鹿者が!」

 突然、ヴァンダレイジジイの声が聞こえた。
 死角にいたオークを斬り伏せている。

「ラッセル! その大将首を掲げて味方に見せつけるのじゃ! 背の高いお前が適任じゃ!」

 ラッセル逃げてなかったのかよ。
 ラッセルは慌てながらも、俺が斬り飛ばしたオーク指揮官の首を槍に指す。
 そして、天高く掲げた。

「皆の者、よく聞け! 敵将は討ち取られた! 騎馬の足も止まっておる! 今が好機ぞ! 押し返すのじゃ!!!」

 ヴァンダレイジジイは異常なほど良く通る声で叫んだ。
 その声にジジイどもが呼応する。
 ジジイどもは雄叫びを上げて、オーク騎馬隊に襲いかかった。
 完全に足の止まっていたバイコーンが、腹を突かれて棹立ちになる。
 乗っていたオークは振り落とされ、そこにジジイ達が殺到していく。
 あ、オーククラッシャーがオークの頭を潰した。

 ジジイ達の勢いは凄まじかった。
 いや、ジジイ達だけじゃない。
 潰走していた他の領主軍も参戦している。
 ピートもいた。
 俺と目が合うと、潤んだ目を向けてくる。
 なんで泣いてんの、あいつ……。

 なんか知らんけど、好機だ。
 勢いは完全にこっちにある。
 オーク達は最初の勢いはどこへやら、なんか完全に怯えている。
 とりあえず、俺は剣を振り回した。
 オーク共を次々に斬り飛ばしていく。
 しばらく、そんな事をしていたらMPが回復してきたので、土の剣を生成をして二刀流にした。
 オークの殲滅速度がぐんっと上がる。
 こうなったらとことんやってやる。


 どれくらいの時間が経ったのだろうか。
 突然、場違いな角笛の音が聞こえた。
 それはやっと準備が整ったらしい王国軍の参戦を告げるものだった。

 そして、この戦の趨勢が決まった。
 王国軍はさすがの強さでオーク達を殲滅していく。
 オーク達が完全に敗走するまで、そう長くは掛からなかった。
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