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第三章 戦争編
第65話 ログハウスを作る! 完結編
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ある日の夜、俺はルーナと風呂に入っていた。
あれからセレナの別荘の建築は進んで、外壁や内壁は完成。
その後は、丸太を《下級木材生成》で板にして、屋根や床を作った。
ちなみに屋根や床は黒曜石で作った釘で打ち付けてみた。
「じゃあ、別荘はほとんど完成しているじゃないか」
「ああ、そうなんだけど、風呂をまだ作ってないんだ。別荘の中に風呂場がなくてな。外に露天風呂を作ろうと思ってるんだ」
「露天? この風呂みたいにか?」
ルーナの言う通り、うちの風呂は天井がなく夜空が見える。
風呂に入りながら、夜空が見えてなかなか素敵なのだが、この風呂は雨が降った後の掃除が物凄く面倒くさい。
「いや、屋根は作る。だけど壁は作らない」
なので、家の風呂とは逆に、屋根だけあって壁のない風呂を外に作ろうと思う。
壁はないと言っても、土魔法で外壁は作ろうと思っているが。
その壁の中に、簡単な庭を作って、風呂から眺められるようにするのだ。
目指すは老舗旅館のような露天風呂だ。
風呂自体も香りの良いシダーの木で作るし。
きっと素敵な風呂になるはずだ。
というか、俺も入りたくなってきた。
今作ろうとしているのはセレナの別荘の風呂であって、俺の風呂ではないのだ。
「うーん、上手く想像できないな」
「完成したら見せてやるよ。ついでにセレナが良いって言ったら俺達も入らせて貰おうか」
「うん。楽しみだ」
「というか、家も改築するか。セレナの別荘を作り終えたらだけど」
いつだったか、メグに俺んちよりメグの家の方がでかいと言われたのを思い出す。
俺の匠としての技術は日進月歩だ。
なので必然的に、一番最初に作った俺の家が一番しょぼいと言う事になってしまう。
一番小さいし。
匠のジレンマだ。
天井だけはノリコさんの力を借りているので、再現不可能な素敵天井だけど。
「改築? 私はこの家、結構好きだぞ?」
ルーナはきょとんとした表情で、そんな事を言う。
「この家、2人で住むには狭いだろう?」
この家はもともと一人暮らし用に作ったのだ。
ルーナが完全に居着いた今となっては、さすがに狭すぎる。
風呂だけは2人で入れるように拡張したが。
「そこがいいんじゃないか」
狭いのが良い意味がわからない。
「……私の実家は広くてな」
そう言えば、そんな事を言っていたな。
東京ドーム何個分とかってレベルだった気がする。
「家族で顔を合わせない日なんて普通だった。子供の頃はそれが寂しかったんだ」
ルーナは昔を思い出しているのか、どこか遠い目をする。
というかどんだけ広いんだよ。
「だからこの家は好きだ。どこにいたって、すぐにお前の顔が見える。憧れてたんだ。普通の家で、愛する人と慎ましく暮らすのに」
言いながらルーナが身を寄せてくる。
そのまま俺達はキスをした。
まあ、ルーナがいいならいいけど。
俺も別に広い家に住みたいわけではない。
「ただなあ。寝室と居間が同じ部屋って言うのもな」
我が家は1LKだ。
せめてD(ダイニング)が欲しい。
「何か問題があるのか?」
「いや、この前もセレナに怒られたじゃないか。ベッドが臭いって」
何度もマットレスを変えてもらっているのだが、すぐに淫臭まみれになるとセレナに怒られたのだ。
元凶である俺達はあまり気づかないのだが。
そんなベッドの近くで食事をするのもどうかと思う。
「お前が毎晩激しくするのが悪いんだ……ばか」
「今夜から激しくするのやめようか?」
意地悪くそう聞いてみる。
ルーナは顔を真赤にして目を反らした。
「……それは嫌」
長い耳まで真赤にしたルーナが可愛すぎて、俺はお湯をバシャバシャ跳ね上げながらルーナに飛びついた。
そのままいつものように夜を過ごした。
ちなみに、そのうち我が家を拡張してダイニングを作ろうと思う。
次の日、俺は別荘の風呂作りに取り掛かっていた。
別荘の裏手に、4つの穴を掘って、そこに丸太を刺して固定して柱とする。
更に天井を木の板で作り、その上に屋根を作る。
屋根は別荘の屋根とくっつける形で作った。
別荘の屋根が裏手に伸びて、その下に柱だけの部屋ができた形だ。
部屋の中央には、シダーの木で作った風呂を設置する。
広さは5メートル四方にしておいた。
さすがにこれだけ広ければ文句ないだろう。
立派な大浴場だ。
風呂桶は、ログハウスを組み立てた応用で、ジグソーパズルのように凸凹にした厚手の木板のパーツを筋力ブーストした馬鹿力で強引にはめ込んでいる。
普通に触ったくらいじゃびくともしないくらい強固に組み合わせる事ができたが、試しに水を注いでみたら、盛大に水漏れした。
仕方がないので、木板と木板の接合面は黒曜石で溶接するように埋めておいた。
ちょっと妥協しちゃった感じがするが、黒い縁取りの装飾に見えなくもないので良しとする。
というか総檜造りの浴槽とかってどうやって作ってるんだろうか。
匠の道はまだまだ奥が深い。
「シダーの木のいい香りがするわね。素敵なお風呂だわ」
いつの間にか、セレナが隣に立っていた。
今日はセレナの吸血日なのだ。
「別荘の中はどうだった?」
先程から、完成した別荘の中をチェックしてもらっていた。
「素晴らしい出来だったわ。部屋の間取りは指定した通りだったし、ちゃんと陽の光も入らないようにしてくれたのね」
セレナの要望である陽の光が入らないようにするのは結構苦労した。
丸太の壁は凸凹のパーツをピッタリと積み上げたつもりだったが、どうしても僅かな隙間ができてしまう。
そんな隙間を、土魔法でチマチマ埋めていったのだ。
ちなみに、屋根は三角形にしてみたが、屋根と壁の境目は丸太の長さを変えて、出来るだけ三角形になるように積み上げてみた。
そして、どうしても出来てしまう隙間を土魔法で埋めた。
ぱっと見は全て丸太で出来ているように見えるはずだ。
あと、ドアは木造で黒曜石の蝶番を付けている。
ドアと壁が設置する部分は、家の内側のみに縁取りを付けて、光が入るのを防いでみた。
光を遮断しすぎたせいで、別荘の中にいる時は火魔法で灯りを灯さないと何も見えない程だ。
「ただ、せっかく作ってくれた暖炉なのだけれど」
そうそう、吸血鬼って寒さを感じるのだろうかとも思ったが、一応リビングに大きな暖炉を作っておいた。
暖炉は圧縮土壁製で、天井の煙突と繋がるようにしてある。
「素材がちょっと無粋だわ。レンガで作って欲しいのだけれど」
「ぐはっ」
自慢の圧縮土壁を無粋とか言われた。
ちょっとどころじゃなく凹む。
というか、レンガ?
レンガって土を燃やして作ればいいんだっけか。
土魔法と火魔法で作れるじゃないか。
「……わかった。後で作り直しておく」
さすがセレナは容赦ない。
俺の匠としてのポテンシャルをグイグイ引き伸ばしてくれる。
1万超えのステータスは伊達じゃないぜ。
そういえば、セレナのステータスがヤバイって事に気づいた後、セレナを呼び捨てにするのはいかがなものかと思っていたのだった。
「セレナサン」
ちょっとビビってしまって、フィリピンパブみたいな呼び方になってしまった。
「なあに、その呼び方? 他人みたいですごく不快だわ。次そう呼んだら殺すわよ」
「……ごめんなさい」
他人みたいも何も、俺とセレナは立派な他人な気がするが、殺されては本末転倒なので二度と呼ばないことにする。
「それで、後はお風呂の壁を作って完成かしら?」
「あー、この風呂は壁は作らないんだ。この先に庭を作って、風呂に入りながら眺められるようにしようと思っている。壁がないから陽の光を遮れないけど、風呂は夜に入るから問題ないだろう?」
そう説明するとセレナは目を丸くして驚く。
「お風呂に入りながら、お庭を眺められるの? ……それ凄く素敵だわ。あなた天才じゃないの?」
「まあな!」
完全に老舗旅館とかのパクリだが、俺は思い切り鼻を高くした。
セレナみたいな美人に褒められると嬉しくて空も飛べそうな気分になる。
「一応、外壁を作って外からは見えないようにしとくから、安心してくれ」
庭と風呂を囲むように壁を作るつもりだったので、念のため補足しておく。
「あら、そんなの要らないわよ。無粋だわ」
「え、だって外から丸見えだぞ?」
「見られて困るような身体はしていないつもりよ?」
そう言って、セレナは見事な胸を張る。
ゴクリと喉が鳴ってしまった。
なんて凄まじい乳だ。
H、いやIはあるだろうか。
まあ、この辺に住んでいる男なんて俺くらいなので、問題ないかもしれないが。
要は紳士である俺さえ気をつければ良いのだ。
まあ、セレナの入浴中にたまたま近所でサッカーをしていて、不覚にもボールが風呂の方に飛んでいってしまって、すみませーんと入っていくこともあるかもしれないが。
とりあえず、一刻も早くサッカーボールをなんとかしなくてはならない。
さて、そろそろ庭を作ろうと思う。
庭と言っても、木とかを植えられるわけでもない。
土魔法で生成できるのは土と石だけだ。
なので、俺は学生時代に修学旅行で行った京都の龍安寺の石庭を再現してみることにした。
あれなら石だけで作れそうだ。
まずは小石を生成して地面に敷き詰めていく。
そして、適当に大きな石を生成してポンポンと並べてみた。
これで石庭の完成だ。
「…………」
ただなんだろう。
それっぽい雰囲気は出ているのだが。
物凄く微妙だ。
なんというか石庭というか、ただの石切り場というか。
「ねえ、なあに? それ」
隣でセレナが物凄く不機嫌な声を出している。
「え? いや、その侘び寂びを重視した幽玄で宇宙的な庭を、その……」
うろ覚えの石庭の特徴をボソボソと説明してみたが、自分でも何を言っているのかわからない。
よく考えたら、素人がぱっと再現できるような庭だったら、あんな観光名所になっていない気がしてきた。
どうしよう。
セレナが物凄く残念そうな目で見てくる。
美人にそんな目で見られたら切腹したくなってしまう。
「はあ、お風呂の発想は素晴らしかったのだけれど。お庭のセンスは全然ないわね。まあ、そのくらいの欠点があった方が可愛げがあっていいのだけれど」
セレナはため息を付きながら、フィリスを呼ぶ。
「何か御用でしょうか。セレナお嬢様」
「庭師のジミーを呼んでちょうだい。この子のお庭作りを手伝ってあげてって」
そして、しばらくして庭師のジミーさんがやってきた。
「…………」
なんだろう。
骨だ。
骸骨が立っている。
「こちらスケルトンのジミーさんです」
フィリスがそう紹介してくれると、骸骨はかしゃかしゃと歯を鳴らした。
かなり高レベルのホラー体験をしているはずなのだが、高レベル過ぎて冗談にしか見えない。
あんまり怖くない。
「ジミーさんは生前、王宮の庭師だったんですよ」
優秀な経歴なのだろうか。
というか生前て。
ジミーさんはカシャカシャ言いながら、手を差し出してくる。
一瞬考えて、握手を求められているんだと気づいた。
慌てて握手する。
ジミーさんの手はゴツゴツとしていてカルシウムっぽいというか、ただの骨だった。
当たり前だけど。
ちなみにセレナは家具の配置を考えるとか言って、ジミーさんと入れ違いに別荘の中に入っていってしまった。
美女であるセレナと骸骨であるジミーさんのギャップが激しすぎて泣きそうになる。
ジミーさんは凹んだ空虚な眼窩を俺に向けて、カシャカシャ言っていた。
そして、わずかな沈黙が訪れる。
「コウ様? ジミーさんがどんな庭を作ろうとしたんだと聞いてますけど?」
「ええっ!?」
今の喋っってたのか。
全然わからなかった。
「もしかしてコウ様って、スケルトン語はお詳しくないですか?」
「スケルトン語!?」
そんな言語聞いたことねえから。
とりあえず、フィリスに通訳してもらう事にした。
「ええと、詫び寂びを重視した幽玄で宇宙的な庭を……」
さっきと同じ説明を繰り返してみる。
相変わらず何を言っているのかわからない。
ジミーさんも俺の言葉を聞いて、いろいろとむき出しの顎に同じくむき出しの指を当てて考え込んでいる。
俺自信、自分で何を言っているのかわからないのだ。
他人で、ましてや骨であるジミーさんはさぞ混乱している事だろう。
どうしよう。
もう少し噛み砕いて説明すべきだろうが、言葉が上手く出てこない。
ぼんやりと石庭の画は浮かんでいるのだが。
説明のしようが……。
その時、ジミーさんに肩をカシャリと叩かれた。
そして、空虚な眼窩で親指の骨を立てられる。
まさかのサムズアップだった。
「え? わかったんですか? 今の説明で?」
かしゃかしゃ。
「おう、俺に任せときな、坊主! と言っています。……ジミーさん、コウ様に失礼ですよ?」
ただの擬音にしか聞こえないが、意外と多くの意味が含まれているらしい。
「まずはここに穴を掘りなと言っています」
ジミーさんは庭の一点を骨の指で示す。
とりあえず、言われるがまま土魔法で穴を掘った。
「もっと深くだ! と言っています」
言われたとおり深く穴を掘っていく。
どうでもいいけど、実働は俺がやるのか。
「もっともっと深くだ!」
「もっとだ! もっと熱くなれよ!」
だんだん腹が立ってきた。
かしゃかしゃ言ってるだけのくせに。
フィリスの可愛い声で通訳して貰っているお陰でちょっとはマシだが。
ジミーさんに言われるがまま、穴を掘り続けていたら地面の下に硬い感覚がした。
岩盤かなにかがあるのだろうか。
「ようし、もう少しだ。そこを掘り抜きな!」
言われるがまま岩盤を掘る。
《土形成》では掘り抜けなかっただろうが《石形成》を使用すれば岩盤も掘れる。
そして、突然水が吹き出した。
なん……だと……?
「この辺りは地下に流れの強い川が流れているのさ」
地下水脈の事だろうか。
昔、テレビで見たことがある気がする。
というか、なんで地下水脈の場所がわかったのか。
庭師の固有スキルだろうか。
「さあて、ここからが庭師の腕の見せどころだぜ!」
カシャカシャ言いながらジミーさんが眼窩を鋭くしたような錯覚に陥る。
くそ、いちいち言い方がムカつく。
その後もジミーさんに言われるがまま土を掘ったり、逆に土を盛ったり、岩石を置いたりを繰り返した。
更にはグール達が運んできた観賞用の木を植えたりもした。
ちなみにグール達はあうあうとイキまくった後のルーナみたいなセリフしか言わないが、アレもれっきとしたグール語らしい。
アンデッドの世界は思ったよりも多言語化しているようだ。
そして、日が暮れる頃。
「まあ、なんて素晴らしいのかしら。さすがジミーだわ」
戻ってきたセレナが感嘆の声を上げている。
それもそのはずで、目の前には見事な庭園が出現していた。
小高い苔むした山。
そこから小川がサラサラと流れ麓で小さな池を作っている。
池の畔には木が生えていて、紅葉した葉をはらはらと池に落としている。
池に浮いた紅葉は、悠然と水の上をたゆたう。
そんな自然の風景が、風呂の前の限定された空間に見事に再現されている。
つうか、川て!
ジミーさんに言われるがまま作業していたせいで、どんな原理なのか全然分からないが、とにかく庭に小川が流れている。
ポンプもないのにどうやって作ったんだよ。
「素敵だわ」
セレナが庭をうっとりと眺めているのが余計に腹立つ。
まさか骨に嫉妬する日が来ようとは。
そんな俺の肩を、ジミーさんがカシャッと叩く。
くそう、骨め。
ジミーさんの作った庭は確かに侘び寂びを感じさせて幽玄な感じがする。
宇宙はどこに行ったと思うが、俺も庭に宇宙が必要だとは思えないので良しとする。
悔しいけどジミーさんの庭は素晴らしかった。
なんか釈然としないが、とにかくセレナの別荘は完成したのだった。
あれからセレナの別荘の建築は進んで、外壁や内壁は完成。
その後は、丸太を《下級木材生成》で板にして、屋根や床を作った。
ちなみに屋根や床は黒曜石で作った釘で打ち付けてみた。
「じゃあ、別荘はほとんど完成しているじゃないか」
「ああ、そうなんだけど、風呂をまだ作ってないんだ。別荘の中に風呂場がなくてな。外に露天風呂を作ろうと思ってるんだ」
「露天? この風呂みたいにか?」
ルーナの言う通り、うちの風呂は天井がなく夜空が見える。
風呂に入りながら、夜空が見えてなかなか素敵なのだが、この風呂は雨が降った後の掃除が物凄く面倒くさい。
「いや、屋根は作る。だけど壁は作らない」
なので、家の風呂とは逆に、屋根だけあって壁のない風呂を外に作ろうと思う。
壁はないと言っても、土魔法で外壁は作ろうと思っているが。
その壁の中に、簡単な庭を作って、風呂から眺められるようにするのだ。
目指すは老舗旅館のような露天風呂だ。
風呂自体も香りの良いシダーの木で作るし。
きっと素敵な風呂になるはずだ。
というか、俺も入りたくなってきた。
今作ろうとしているのはセレナの別荘の風呂であって、俺の風呂ではないのだ。
「うーん、上手く想像できないな」
「完成したら見せてやるよ。ついでにセレナが良いって言ったら俺達も入らせて貰おうか」
「うん。楽しみだ」
「というか、家も改築するか。セレナの別荘を作り終えたらだけど」
いつだったか、メグに俺んちよりメグの家の方がでかいと言われたのを思い出す。
俺の匠としての技術は日進月歩だ。
なので必然的に、一番最初に作った俺の家が一番しょぼいと言う事になってしまう。
一番小さいし。
匠のジレンマだ。
天井だけはノリコさんの力を借りているので、再現不可能な素敵天井だけど。
「改築? 私はこの家、結構好きだぞ?」
ルーナはきょとんとした表情で、そんな事を言う。
「この家、2人で住むには狭いだろう?」
この家はもともと一人暮らし用に作ったのだ。
ルーナが完全に居着いた今となっては、さすがに狭すぎる。
風呂だけは2人で入れるように拡張したが。
「そこがいいんじゃないか」
狭いのが良い意味がわからない。
「……私の実家は広くてな」
そう言えば、そんな事を言っていたな。
東京ドーム何個分とかってレベルだった気がする。
「家族で顔を合わせない日なんて普通だった。子供の頃はそれが寂しかったんだ」
ルーナは昔を思い出しているのか、どこか遠い目をする。
というかどんだけ広いんだよ。
「だからこの家は好きだ。どこにいたって、すぐにお前の顔が見える。憧れてたんだ。普通の家で、愛する人と慎ましく暮らすのに」
言いながらルーナが身を寄せてくる。
そのまま俺達はキスをした。
まあ、ルーナがいいならいいけど。
俺も別に広い家に住みたいわけではない。
「ただなあ。寝室と居間が同じ部屋って言うのもな」
我が家は1LKだ。
せめてD(ダイニング)が欲しい。
「何か問題があるのか?」
「いや、この前もセレナに怒られたじゃないか。ベッドが臭いって」
何度もマットレスを変えてもらっているのだが、すぐに淫臭まみれになるとセレナに怒られたのだ。
元凶である俺達はあまり気づかないのだが。
そんなベッドの近くで食事をするのもどうかと思う。
「お前が毎晩激しくするのが悪いんだ……ばか」
「今夜から激しくするのやめようか?」
意地悪くそう聞いてみる。
ルーナは顔を真赤にして目を反らした。
「……それは嫌」
長い耳まで真赤にしたルーナが可愛すぎて、俺はお湯をバシャバシャ跳ね上げながらルーナに飛びついた。
そのままいつものように夜を過ごした。
ちなみに、そのうち我が家を拡張してダイニングを作ろうと思う。
次の日、俺は別荘の風呂作りに取り掛かっていた。
別荘の裏手に、4つの穴を掘って、そこに丸太を刺して固定して柱とする。
更に天井を木の板で作り、その上に屋根を作る。
屋根は別荘の屋根とくっつける形で作った。
別荘の屋根が裏手に伸びて、その下に柱だけの部屋ができた形だ。
部屋の中央には、シダーの木で作った風呂を設置する。
広さは5メートル四方にしておいた。
さすがにこれだけ広ければ文句ないだろう。
立派な大浴場だ。
風呂桶は、ログハウスを組み立てた応用で、ジグソーパズルのように凸凹にした厚手の木板のパーツを筋力ブーストした馬鹿力で強引にはめ込んでいる。
普通に触ったくらいじゃびくともしないくらい強固に組み合わせる事ができたが、試しに水を注いでみたら、盛大に水漏れした。
仕方がないので、木板と木板の接合面は黒曜石で溶接するように埋めておいた。
ちょっと妥協しちゃった感じがするが、黒い縁取りの装飾に見えなくもないので良しとする。
というか総檜造りの浴槽とかってどうやって作ってるんだろうか。
匠の道はまだまだ奥が深い。
「シダーの木のいい香りがするわね。素敵なお風呂だわ」
いつの間にか、セレナが隣に立っていた。
今日はセレナの吸血日なのだ。
「別荘の中はどうだった?」
先程から、完成した別荘の中をチェックしてもらっていた。
「素晴らしい出来だったわ。部屋の間取りは指定した通りだったし、ちゃんと陽の光も入らないようにしてくれたのね」
セレナの要望である陽の光が入らないようにするのは結構苦労した。
丸太の壁は凸凹のパーツをピッタリと積み上げたつもりだったが、どうしても僅かな隙間ができてしまう。
そんな隙間を、土魔法でチマチマ埋めていったのだ。
ちなみに、屋根は三角形にしてみたが、屋根と壁の境目は丸太の長さを変えて、出来るだけ三角形になるように積み上げてみた。
そして、どうしても出来てしまう隙間を土魔法で埋めた。
ぱっと見は全て丸太で出来ているように見えるはずだ。
あと、ドアは木造で黒曜石の蝶番を付けている。
ドアと壁が設置する部分は、家の内側のみに縁取りを付けて、光が入るのを防いでみた。
光を遮断しすぎたせいで、別荘の中にいる時は火魔法で灯りを灯さないと何も見えない程だ。
「ただ、せっかく作ってくれた暖炉なのだけれど」
そうそう、吸血鬼って寒さを感じるのだろうかとも思ったが、一応リビングに大きな暖炉を作っておいた。
暖炉は圧縮土壁製で、天井の煙突と繋がるようにしてある。
「素材がちょっと無粋だわ。レンガで作って欲しいのだけれど」
「ぐはっ」
自慢の圧縮土壁を無粋とか言われた。
ちょっとどころじゃなく凹む。
というか、レンガ?
レンガって土を燃やして作ればいいんだっけか。
土魔法と火魔法で作れるじゃないか。
「……わかった。後で作り直しておく」
さすがセレナは容赦ない。
俺の匠としてのポテンシャルをグイグイ引き伸ばしてくれる。
1万超えのステータスは伊達じゃないぜ。
そういえば、セレナのステータスがヤバイって事に気づいた後、セレナを呼び捨てにするのはいかがなものかと思っていたのだった。
「セレナサン」
ちょっとビビってしまって、フィリピンパブみたいな呼び方になってしまった。
「なあに、その呼び方? 他人みたいですごく不快だわ。次そう呼んだら殺すわよ」
「……ごめんなさい」
他人みたいも何も、俺とセレナは立派な他人な気がするが、殺されては本末転倒なので二度と呼ばないことにする。
「それで、後はお風呂の壁を作って完成かしら?」
「あー、この風呂は壁は作らないんだ。この先に庭を作って、風呂に入りながら眺められるようにしようと思っている。壁がないから陽の光を遮れないけど、風呂は夜に入るから問題ないだろう?」
そう説明するとセレナは目を丸くして驚く。
「お風呂に入りながら、お庭を眺められるの? ……それ凄く素敵だわ。あなた天才じゃないの?」
「まあな!」
完全に老舗旅館とかのパクリだが、俺は思い切り鼻を高くした。
セレナみたいな美人に褒められると嬉しくて空も飛べそうな気分になる。
「一応、外壁を作って外からは見えないようにしとくから、安心してくれ」
庭と風呂を囲むように壁を作るつもりだったので、念のため補足しておく。
「あら、そんなの要らないわよ。無粋だわ」
「え、だって外から丸見えだぞ?」
「見られて困るような身体はしていないつもりよ?」
そう言って、セレナは見事な胸を張る。
ゴクリと喉が鳴ってしまった。
なんて凄まじい乳だ。
H、いやIはあるだろうか。
まあ、この辺に住んでいる男なんて俺くらいなので、問題ないかもしれないが。
要は紳士である俺さえ気をつければ良いのだ。
まあ、セレナの入浴中にたまたま近所でサッカーをしていて、不覚にもボールが風呂の方に飛んでいってしまって、すみませーんと入っていくこともあるかもしれないが。
とりあえず、一刻も早くサッカーボールをなんとかしなくてはならない。
さて、そろそろ庭を作ろうと思う。
庭と言っても、木とかを植えられるわけでもない。
土魔法で生成できるのは土と石だけだ。
なので、俺は学生時代に修学旅行で行った京都の龍安寺の石庭を再現してみることにした。
あれなら石だけで作れそうだ。
まずは小石を生成して地面に敷き詰めていく。
そして、適当に大きな石を生成してポンポンと並べてみた。
これで石庭の完成だ。
「…………」
ただなんだろう。
それっぽい雰囲気は出ているのだが。
物凄く微妙だ。
なんというか石庭というか、ただの石切り場というか。
「ねえ、なあに? それ」
隣でセレナが物凄く不機嫌な声を出している。
「え? いや、その侘び寂びを重視した幽玄で宇宙的な庭を、その……」
うろ覚えの石庭の特徴をボソボソと説明してみたが、自分でも何を言っているのかわからない。
よく考えたら、素人がぱっと再現できるような庭だったら、あんな観光名所になっていない気がしてきた。
どうしよう。
セレナが物凄く残念そうな目で見てくる。
美人にそんな目で見られたら切腹したくなってしまう。
「はあ、お風呂の発想は素晴らしかったのだけれど。お庭のセンスは全然ないわね。まあ、そのくらいの欠点があった方が可愛げがあっていいのだけれど」
セレナはため息を付きながら、フィリスを呼ぶ。
「何か御用でしょうか。セレナお嬢様」
「庭師のジミーを呼んでちょうだい。この子のお庭作りを手伝ってあげてって」
そして、しばらくして庭師のジミーさんがやってきた。
「…………」
なんだろう。
骨だ。
骸骨が立っている。
「こちらスケルトンのジミーさんです」
フィリスがそう紹介してくれると、骸骨はかしゃかしゃと歯を鳴らした。
かなり高レベルのホラー体験をしているはずなのだが、高レベル過ぎて冗談にしか見えない。
あんまり怖くない。
「ジミーさんは生前、王宮の庭師だったんですよ」
優秀な経歴なのだろうか。
というか生前て。
ジミーさんはカシャカシャ言いながら、手を差し出してくる。
一瞬考えて、握手を求められているんだと気づいた。
慌てて握手する。
ジミーさんの手はゴツゴツとしていてカルシウムっぽいというか、ただの骨だった。
当たり前だけど。
ちなみにセレナは家具の配置を考えるとか言って、ジミーさんと入れ違いに別荘の中に入っていってしまった。
美女であるセレナと骸骨であるジミーさんのギャップが激しすぎて泣きそうになる。
ジミーさんは凹んだ空虚な眼窩を俺に向けて、カシャカシャ言っていた。
そして、わずかな沈黙が訪れる。
「コウ様? ジミーさんがどんな庭を作ろうとしたんだと聞いてますけど?」
「ええっ!?」
今の喋っってたのか。
全然わからなかった。
「もしかしてコウ様って、スケルトン語はお詳しくないですか?」
「スケルトン語!?」
そんな言語聞いたことねえから。
とりあえず、フィリスに通訳してもらう事にした。
「ええと、詫び寂びを重視した幽玄で宇宙的な庭を……」
さっきと同じ説明を繰り返してみる。
相変わらず何を言っているのかわからない。
ジミーさんも俺の言葉を聞いて、いろいろとむき出しの顎に同じくむき出しの指を当てて考え込んでいる。
俺自信、自分で何を言っているのかわからないのだ。
他人で、ましてや骨であるジミーさんはさぞ混乱している事だろう。
どうしよう。
もう少し噛み砕いて説明すべきだろうが、言葉が上手く出てこない。
ぼんやりと石庭の画は浮かんでいるのだが。
説明のしようが……。
その時、ジミーさんに肩をカシャリと叩かれた。
そして、空虚な眼窩で親指の骨を立てられる。
まさかのサムズアップだった。
「え? わかったんですか? 今の説明で?」
かしゃかしゃ。
「おう、俺に任せときな、坊主! と言っています。……ジミーさん、コウ様に失礼ですよ?」
ただの擬音にしか聞こえないが、意外と多くの意味が含まれているらしい。
「まずはここに穴を掘りなと言っています」
ジミーさんは庭の一点を骨の指で示す。
とりあえず、言われるがまま土魔法で穴を掘った。
「もっと深くだ! と言っています」
言われたとおり深く穴を掘っていく。
どうでもいいけど、実働は俺がやるのか。
「もっともっと深くだ!」
「もっとだ! もっと熱くなれよ!」
だんだん腹が立ってきた。
かしゃかしゃ言ってるだけのくせに。
フィリスの可愛い声で通訳して貰っているお陰でちょっとはマシだが。
ジミーさんに言われるがまま、穴を掘り続けていたら地面の下に硬い感覚がした。
岩盤かなにかがあるのだろうか。
「ようし、もう少しだ。そこを掘り抜きな!」
言われるがまま岩盤を掘る。
《土形成》では掘り抜けなかっただろうが《石形成》を使用すれば岩盤も掘れる。
そして、突然水が吹き出した。
なん……だと……?
「この辺りは地下に流れの強い川が流れているのさ」
地下水脈の事だろうか。
昔、テレビで見たことがある気がする。
というか、なんで地下水脈の場所がわかったのか。
庭師の固有スキルだろうか。
「さあて、ここからが庭師の腕の見せどころだぜ!」
カシャカシャ言いながらジミーさんが眼窩を鋭くしたような錯覚に陥る。
くそ、いちいち言い方がムカつく。
その後もジミーさんに言われるがまま土を掘ったり、逆に土を盛ったり、岩石を置いたりを繰り返した。
更にはグール達が運んできた観賞用の木を植えたりもした。
ちなみにグール達はあうあうとイキまくった後のルーナみたいなセリフしか言わないが、アレもれっきとしたグール語らしい。
アンデッドの世界は思ったよりも多言語化しているようだ。
そして、日が暮れる頃。
「まあ、なんて素晴らしいのかしら。さすがジミーだわ」
戻ってきたセレナが感嘆の声を上げている。
それもそのはずで、目の前には見事な庭園が出現していた。
小高い苔むした山。
そこから小川がサラサラと流れ麓で小さな池を作っている。
池の畔には木が生えていて、紅葉した葉をはらはらと池に落としている。
池に浮いた紅葉は、悠然と水の上をたゆたう。
そんな自然の風景が、風呂の前の限定された空間に見事に再現されている。
つうか、川て!
ジミーさんに言われるがまま作業していたせいで、どんな原理なのか全然分からないが、とにかく庭に小川が流れている。
ポンプもないのにどうやって作ったんだよ。
「素敵だわ」
セレナが庭をうっとりと眺めているのが余計に腹立つ。
まさか骨に嫉妬する日が来ようとは。
そんな俺の肩を、ジミーさんがカシャッと叩く。
くそう、骨め。
ジミーさんの作った庭は確かに侘び寂びを感じさせて幽玄な感じがする。
宇宙はどこに行ったと思うが、俺も庭に宇宙が必要だとは思えないので良しとする。
悔しいけどジミーさんの庭は素晴らしかった。
なんか釈然としないが、とにかくセレナの別荘は完成したのだった。
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