ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記

油揚メテオ

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第二章 吸血鬼編

第30話 土魔法LV3

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 俺の名前は、アサギリ・コウ。
 建築の匠だ。
 今日はワガママな顧客のおっぱいのために家を建てる。
 匠はまず、家を建てる場所を選ぶ所から始める。
 俺は、自宅の近くの適当な空き地まで歩いてきた。
 ここだ。ここに家を建てよう。
 理由は匠の勘だ。
 長年(一ヶ月半)も匠をやっているとどこに家を建てればよいのかだいたいわかる。
 俺は、とりあえず建築予定地の土を摘んで、ぺろりと舐めた。
 良い土だ。
 匠である俺にはわかる。

「なあ、それは畑を作る時とかにすることだぞ? だいたいそこ荒れ地なんだから、良い土のわけないじゃないか」

 せっかく雰囲気を出していたのに、ついてきたルーナに邪魔をされる。
 空気の読めない女だ。

「そもそも、なんでお前は捻ったタオルを頭に巻いているんだ? 何かの儀式なのか?」

 匠といえば、ねじり鉢巻だ。
 無粋な女だ。
 何もわかっていない。

 ただ、なんとなく恥ずかしくなってきたので俺はそっとねじり鉢巻をとった。

 とりあえず、建築予定地は家から森の方向にある空き地を選んでみた。

「なあ、屋敷ってどれくらいの広さが必要なのかな?」

 屋敷の定義がいまいちわからないので、ルーナに聞いてみる。

「うーん、私もよくわからないけど、私の実家は、ここから森くらいの広さだったかな」

「お前んち東京ドーム何個分だよ」

「なんだそれは?」

 ここから森までは、少なくとも1キロはある。
 やっぱりルーナってお嬢様なんだろうか。
 以前、聞いた時は隠そうとしていたから、詮索はしないけど。
 せめて隠すなら、もう少し上手に隠してほしい。

 ルーナの実家程はやりすぎだと思うので、とりあえず100メートル四方くらいをイメージしてみる。

 前回の土の家を作った時の反省点を活かして、今回はまず基礎から作ろうと思うのだ。

 俺は両手を地面につけると《土形成》を発動させて、100メートル四方の穴を作る。
 深さは3メートルくらいにしておいた。
 3メートルの根拠は勘である。

『土魔法LV3を取得しました。』
『土魔法LV3:《石形成》が使用可能になりました。』

 不意にそんなログが出力される。

「おおおおお!」

 土魔法使いまくってるのに上がらないなーと思っていたのだ。
 ついにこの時が来た。

「どうしたんだ?」

 突然叫び始めた俺に、ルーナが少し引いている。
 俺はそんなルーナに見せつけるように、《石形成》と念じてみた。

 パキパキと音を立てながら、手の平から石が出現していく。

「すごい。上級土魔法じゃないか」

 レベル3でもう上級とか言われた。
 え、ちょっと待って。
 土魔法レベル99を目指していたのに。

「どんどん強くなるんだな。お前は……」

 ルーナはどこか諦めたような、悲しそうな顔をする。
 また何かめんどくさい事を考えているのだろうか。

 確かに俺は結構強くなっている。

 この前、オークの群れを倒した時にレベルが2つも上がった。
 それに、セレナとの戦闘でもステータスが結構伸びていた。

 ちなみに今のステータスはこんな感じだ。

#############################################
【ステータス】
名前:コウ
LV:15
称号:悲哀なる社畜
HP:1262/1262
MP:112/147
筋力:17
防御:21
敏捷:22
器用:24
知能:53
精神:40
スキルポイント:8
#############################################

 筋力は相変わらず低いが、知能の伸びが凄い。

 というか、ルーナは心配するが、強くなることは悪いことではないと思うのだ。
 この前のセレナとの戦いを思い出す。
 あの時、俺はルーナを守れなかった。
 相手がセレナじゃなかったら、ルーナは死んでいてもおかしくなかった。
 あの時の絶望は忘れられそうにない。
 俺は知り合いの死なんて慣れていないのだ。
 別に俺TUEEEE! をしたいわけではない。
 いや、ちょっとはしたいが。
 ただ、せめて誰が相手でもルーナを守れるくらいには強くなりたい。

 なのにこの女は、俺が成長する度にいちいち不安そうな顔をする。
 一度はっきり言っておかないといけない。

「強くならないと、いざという時にお前を守れないだろ」

「…………」

 ぼそっとそんな事をつぶやくと、ルーナは目を見開いた。

「そうか、私の為に」

 ルーナは噛みしめるように呟く。

「……お前……そういう事……急に言うな」

 そして喋っている途中で、口に手を当てながら嗚咽を漏らし始める。

 そういう反応をされると途端に恥ずかしくなる。
 何言ってるんだろうか、俺は。
 あれ、俺結構クリティカルな事言ってる?
 いや、まだセーフだ。
 面倒くささの最後の一線は越えてないはずだ。

 俺はこの女の身体が目当てなのであって、この女に特別な感情を抱いているわけではない。

 とりあえず、自分のスタンスを再確認して、深呼吸をする。

 深呼吸をしながらも、泣いているルーナがかわいそうになってきたので、思わず抱きしめてしまった。

 俺の腕の中で、ルーナが口を開く。

「お前の言葉で救われた気がする。これからはお前がどんなに強くなっても落ち着いていられそうだ」

「そうか」

「……ありがとう」

 俺はとりあえず頷きながらも、お礼を言われることじゃないと思った。
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