ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記

油揚メテオ

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第一章 異世界転移編

第8話 筋トレ

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 緩やかな木漏れ日の中で、目を覚ました。

 俺は、どうやらクリンゴを3つ食べた所で、満腹感から、眠ってしまったらしい。
 陽はすでに西陽に差し掛かっている。
 物凄く、流れる時間が緩やかだった。
 空を見上げると、雲がゆっくりと流れている。
 こんな時間の過ごし方もいいものだ。

 さてと。
 俺は起きあがりながら辺りを見渡す。
 人気のない廃村。
 俺はここが少し気に入っていた。
 何がいいって、人がいないってところが気に入った。
 それでいて、人工物があるので、なんか落ち着く。

 ここに住もうかな。
 ふいにそんな事を思った。
 野宿なんて、1日だけでお腹いっぱいだったし。
 ホームレスはやだし。
 街に行くのもやだし。

 ただ、ここにある家は、どれもズタボロで、とても住めたものじゃない。

 そこで登場するのが、土魔法ですよ!
 火魔法や水魔法を例に考えると、きっと土魔法で取れるのは《土生成》と《土形成》だろう。

 《土生成》はきっと微妙だ。
 手からもりもりと土が生まれるのだろう。
 手を汚してるだけじゃんっていう。

 でも、土魔法レベル2で覚えられるであろう、《土形成》。
 これはきっと使えるはずだ。

 《火形成》のように、生み出した土の形を自由に変えられるに違いない。

 なので、土魔法で家を作ろうと思います!

 この廃村を俺だけのユートピアにするのだ。
 クリンゴの木があるので、自給自足ができる。
 水魔法で、水にも困らない。

 ここに完全なる自己完結した世界が誕生するのだ。

 一応、言っとくけど、俺は引きこもりじゃないよ? ちゃんと働いてた社会人だよ?
 ただ、あえて、どうしても、どちらかを選べと言われたら独りを選ぶかなって程度ですよ。
 ほんの少し、人混みが嫌いで、誰かと一緒に過ごすのが苦痛なだけだ。

 そういえば、《火形成》って自分で生み出した火に対して、形を変えたりしてたけど、既に存在する火とかも弄くれるんだろうか。
 例えば、マッチでつけた火を使って、フレアアローが打てるのかみたいな。
 残念ながら、今の俺には火魔法以外で火を起こす手段がないので、確かめようがない。
 《土形成》を覚えたら、実験してみよう。
 その辺にある土にも、作用できる魔法だったら結構使える気がする。

 そんなわけで、早速俺は土魔法を取得した。

『スキルポイントを1ポイント消費しました。』
『土魔法LV1を取得しました。』
『土魔法LV1:《土生成》が使用可能になりました。』
『使用可能スキルポイントは3ポイントです。』

土魔法とった!

 一切のサプライズもなく、取得できた魔法は《土生成》だった。

 いつから土魔法レベル1が《土生成》だと錯覚していた!?
 土魔法レベル1はメテオだ!

 みたいなサプライズがあってもいいと思うのだ。
 あー、メテオとか覚えたいなー。
 いつか覚えられるのだろうか。
 マクロスさん、オナシャッス!

 さて、何はともあれ、土魔法をレベル2に上げよう。

 ここからは、根性との戦いだ。
 今、俺の最大MPは29。
 このMPが尽きるまで《土生成》を使い続けてMP枯渇、回復した後、再び《土生成》を使い続けてMP枯渇。
 このサイクルを繰り返そうと思う。

 別にMP枯渇までやらなくても、残MP1とかで止めればいいじゃんとも思う。
 ただ、MP枯渇までやると、たまにMPが増えるので、やめられないのだ。
 すっごい嫌な感覚だけど、ステータスが増える。これプライスレス!

 右の手の平を開いて、《土生成》と念じる。

 もりもりと、手の平から土が生成されていく。
 真っ黒でふかふかした、栄養価の高そうな土だ。

 うむ、思ったとおり微妙!

 《水生成》といい勝負だ。
 いや、《水生成》は無料エビ○ンとして大活躍中だから、《土生成》の方が使えない。

 いつか、これが役に立つ日が来るのだろうか。

 そんな事を考えながら、徐々に減っていくMPを観察する。

『MP:28/29』

 まだ1ポイントしか減っていない。
 《水生成》と同じく、10秒に1ポイントくらいの速度で減っていくようだ。
 かなりだるい。

 左手も使ってみようか。
 ふと、そんな事を思った。

 そんなわけで、左手も広げながら、《土生成》と念じてみた。

「ぐうっ!」

 ぎゅーっと脳が締め付けられるような感じがする。
 なんかすごい負荷がかかっている気がする。
 CPUにオーバークロックをかけているような。

 次第に、左手からも土が生成されていく。

 どさどさ音を立てながら、左手から土が溢れ出ていく。
 MPの消費速度が2倍になった。
 みるみるMPが減っていく。

 右手に土。左手にも土。
 俺の両手から土が溢れていく。
 効果は抜群で、体中が泥だらけだ。
 ナニコレ。

 間もなくして、MP枯渇に襲われる。

「はぐっ!」

 心臓がドクンと高鳴る。
 体中が脈打つようにビクンビクンと震える。

 き、きましたわー!

 この感覚。何度体験しても慣れない。
 めちゃくちゃダウナーな気分になる。
 ついでに、ぐるぐる目眩がして、吐きそうになる。
 最悪の感覚だ。

 とりあえず、体育座りに移行して、ステータスを確認してみる。

#############################################
【ステータス】
名前:コウ
LV:7
称号:悲哀なる社畜
HP:1228/1236
MP:0/30(+1)
筋力:6
防御:8
敏捷:12
器用:12
知能:17(+1)
精神:19
スキルポイント:3
#############################################

 MPどころか、知能までも増えていた。
 両手で《土生成》をしたせいだろうか。
 あれ結構きつかったもんな。
 頭がちょっと痛かった。
 あれ、つまり、負荷をかければレベルアップ以外でもステータスが上がるって事だろうか。

 しばらくじっとして、MP枯渇の感覚が薄れていくのを待った。
 MPが1になれば、MP枯渇の嫌な感覚は収まるのだ。

 普段なら、このままボーっとしてMPの回復を待つのだが、今回は実験として、筋トレをする事にした。
 もしかしたら、筋力が上がるかもしれないからだ。

 まずは、腕立てを50回やってみる。
 腕立て伏せなんて、やるの15年ぶりくらいだ。
 普段の俺なら、2,3回やった所で、諦めてタバコを吸いに行くところだが、今の俺は全盛期の10代の身体だ。
 腕立て50回は、なんとかこなせた。

 ぜえぜえ息をしながら、ステータスを確認してみると、変化はなかった。

 なるほど。
 まだ足りないってか。
 俺を熱くさせやがるぜ!

 次に、腹筋を50回やってみることにした。
 普段の俺なら、同じく2,3回くらいやった所で、諦めてア○ゾンで、スレン○ートーンとか、アブ○ロニックとかを買うところだ。
 そうそう、あれ買ったんだ。買ったのにさ……。
 だが、今の俺は10代の身体!

 腹筋50回もなんとかこなせた。

 ステータスを確認してみると、あら不思議。
 防御が1ポイント増えていた。

 ちがう、嬉しいけどお前じゃないんだ。

 まだまだあああ!

 俺はスクワットを50回やることにした。
 普段の俺なら、1回もやらずにネットでエロ動画でも見てから寝て忘れるところだ。
 だが、今の俺なら!!!

 スクワットをやり終えた頃には、全身汗だくで、地面に仰向けで倒れてしまった。
 呼吸は大気圏を突破するくらい上がっている。

 ステータスを確認してみると、なんということだ。
 精神が1ポイント増えていた。

 うっしゃああ! 上等だこのヤラあああ!!

 その後、背筋、うさぎ跳び、拳立て腕立て等の様々な筋トレを気が狂ったかのようにやり続け、ついでに、MPの回復を待って両手で《土生成》を発動させ続けた。

 筋トレ、《土生成》、MP枯渇、そして再び筋トレといった暑苦しさの無限ループが始まった。

 日が暮れる頃には、土魔法はレベル2になり《土形成》を覚えられた。

 それでも、筋力が上がらなかった為、俺は血走った目で筋トレを続行し続けた。

 夜も更けきった頃に、ようやく筋力が1ポイント増えているのを確認すると、俺は燃え尽きたように眠りについた。

#############################################
【ステータス】
名前:コウ
LV:7
称号:悲哀なる社畜
HP:1228/1236
MP:0/33(+3)
筋力:7(+1)
防御:11(+3)
敏捷:12
器用:12
知能:18(+1)
精神:21(+2)
スキルポイント:3
#############################################

 次の日、目が覚めて、改めてステータスを確認してみると、あれ、レベルあがった? と錯覚するほどステータスが増えていたが、筋力だけが未だ一桁なのが物凄く悲しかった。
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