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第三章 セイクリア教国の歪み

第二百二十話 再び、入らずの祠(四)

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『現在、マギウス・オルビリオによって操られている。

『入らずの祠』の地下にある、生け贄の儀式を行っている場所で、自ら生け贄になるよう命じられている』


 その内容を知った瞬間、我輩、叫ぶ。


「ふしゃーっ(アウトーっ)」


 我輩がびっくりするくらいに真っ黒なマギウスの所業に、我慢ができなかった。しかし……。


 コツ、コツ、コツ、コツ。


 ローディは我輩に気づいた様子もなく、歩き続ける。それは、操られていることへの確信を深める行動だった。


 もっと詳しく調べるのだ。そして、必ずローディを助けるのだっ。


 まずは、マギウスに操られるに至った過程が知りたい。きっと、マギウスが何を企んでいるのかといった内容は、本人を調べない限り出てくることはないはずなので、ローディ自身が体験した内容に焦点を絞る。


『二日前、聖騎士達に窃盗の冤罪をかけられて教皇庁に連行された。そして、その場でマギウス・オルビリオの『操術』を受け、生け贄になるように命令を受けた』


 ううむ……窃盗の冤罪? どこかで聞いたような……? それに、なぜ二日前なのだ?


 そんな疑問が出てきたものの、それに対する解答は一つしか得られなかった。


『本来なら昨日に生け贄となる予定だったが、何らかの理由で聖騎士を動かせなかったため、本日になった』


 しかも、その答えは我輩が望むほどの情報がない。昨日といえば、何も収穫がなかった日であるため、余計に心当たりがない。


 ううむ、そういえば、今日はラーミアに会いに行ったものの、やけに人の気配が少なかったような……? ……むっ、ラーミア?


 ラーミアに会いに行った時のことを少しだけ思い出しながら考えていると、我輩、何かが頭の中に引っ掛かった。


 ラーミアは、確か……国宝の窃盗の容疑で、聖騎士に連行されたはず…………この、ローディと、一緒?


 もしかすると、ラーミアも生け贄にされていたかもしれないという可能性に思い至り、我輩、サァッと血の気が引く。そして、そうこうしているうちに、ローディはあの死体が積み重なっている場所へと出て、どこかに隠し持っていたらしいナイフを取り出していた。


 むむっ、いけないのだっ。


「にゃおーんっ! (猫流奥義、クルクルアタックっ!)」


 即座に『闇化』を解いた我輩は、ナイフを持った手に体をぶつけてナイフを落としてしまう。そして……。


「にゃ。にゃあ(しばらく眠るのだ。『眠りの霧』)」


 すぐに魔法の効果で倒れ込んだローディ。我輩、今は緊急事態だろうと思って、ラーミアのところに居るであろうバルディスへと念話をするのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


お気に入り登録が着々と増えていて、嬉しい今日この頃。

いつも読んでくださってありがとうございますっ。

明日からはバルディス視点の話になりますが、楽しく読んでいただけると嬉しいです。

それでは、また!
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