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第三章 セイクリア教国の歪み
第百七十話 再び迷子?
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ラーミアの捜索のため、情報収集を開始してから半日。我輩、バルディス達との待ち合わせ場所へと向かっていた。
「にゃあ(無念なのだ)」
結局、我輩が得られた情報はあやふやなものが多く、ラーミアだと確証を得られるものはなかった。これで少しでも捜索の助けになれば良いとは思うものの、さすがに難しいかもしれない。
我輩、人間の庭を横断し、ゴミ捨て場を横切り、市場をそっと通過すると、待ち合わせの場所へと到着する。
うむ、少し早かったようなのだ。
そこは、宿屋の真ん前。扉のすぐ隣。その場所で、我輩体を丸めると、少しだけと思いつつ目を閉じる。この国に来てから一度も眠っていない我輩は、もう眠くて眠くて仕方なかった。
「にゃむ……(少しだけ、なのだ……)」
きっと、バルディス達が来れば我輩を起こしてくれる。そう思って、我輩、ウトウトと眠るのだった。
「にゃー(うーむ、良く寝たのだ)」
随分と長く眠っていた我輩は、目を覚ますなり伸びをして、頭をすっきりさせる。
「……にゃ? (……うむ?)」
ただ、頭がすっきりしたところで、我輩、由々しき事態に気づく。
「……にゃあ? (……ここ、どこなのだ?)」
辺りはすっかり暗くなっている中、我輩、全く見覚えのないその場所に混乱する。
「にゃー? (室内、なのか?)」
我輩、外で寝ていたはずだ。バルディス達に見つけてもらえるように、ちゃんと宿の前の扉の横で眠っていたはずなのだ。それがなぜか、柵つきの箱の中に居る。
「……にゃ……(……これは、まさか……)」
外で眠っていたはずなのに、見覚えのない室内(?)に居るという状況。我輩、なんだか嫌な汗が出る。
「にゃあぁっ(また迷子なのだーっ)」
そう結論づけた我輩は、バルディスに怒られると思って叫び声を上げて嘆く。
きっと、寝ている間にフラフラと歩いてどこかに行ってしまったのだっ。
そう考える我輩の頭に、『誘拐』の二文字はない。ただただ自身の過失だとばかり思い込む。
「にゃっ(と、とにかく帰らないとなのだっ)」
そう思って立ち上がる我輩。しかし、その直後、何やら嫌な臭いがどこからかしてくることに気づく。
「にゃ? (この臭さはいったい?)」
それは、人間が不潔にしていると発生させる不快な臭いだった。そして、よくよく嗅いでみると、その臭いは我輩にも付着しているように思える。つまりは……。
「にゃふんっ(なるほど、我輩のプリティなボディはどんな人間でも誘惑するのだなっ)」
不潔な人間はできればお断りなのだが、我輩のボディに陥落したというのであれば許さないわけにもいかない。むしろ、寛大な心でもって対処するのが紳士として正しいことだろう。
「にゃあ(ならば、我輩、挨拶をしてここから出るのだ)」
そうと決まれば話は早い。我輩、グイッと柵を曲げて、チョコチョコと歩いて、その臭いの主の元へと向かうのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
天然、ここに極まれり。
いやいやいや、どう考えても誘拐でしょうよ、タロさんっ!?
と、突っ込みたくなった諸君。
無駄です。
タロは、我が道を行くなんです。
そこがタロのチャームポイントなんです。
と、いうか、バルディス達を出すつもりが、タロ視点でも全く出てこなかった……。
つ、次こそは、バルディスを出します。
はい、バルディス視点でお送りしますので、少々お待ちください。
それでは、また!
「にゃあ(無念なのだ)」
結局、我輩が得られた情報はあやふやなものが多く、ラーミアだと確証を得られるものはなかった。これで少しでも捜索の助けになれば良いとは思うものの、さすがに難しいかもしれない。
我輩、人間の庭を横断し、ゴミ捨て場を横切り、市場をそっと通過すると、待ち合わせの場所へと到着する。
うむ、少し早かったようなのだ。
そこは、宿屋の真ん前。扉のすぐ隣。その場所で、我輩体を丸めると、少しだけと思いつつ目を閉じる。この国に来てから一度も眠っていない我輩は、もう眠くて眠くて仕方なかった。
「にゃむ……(少しだけ、なのだ……)」
きっと、バルディス達が来れば我輩を起こしてくれる。そう思って、我輩、ウトウトと眠るのだった。
「にゃー(うーむ、良く寝たのだ)」
随分と長く眠っていた我輩は、目を覚ますなり伸びをして、頭をすっきりさせる。
「……にゃ? (……うむ?)」
ただ、頭がすっきりしたところで、我輩、由々しき事態に気づく。
「……にゃあ? (……ここ、どこなのだ?)」
辺りはすっかり暗くなっている中、我輩、全く見覚えのないその場所に混乱する。
「にゃー? (室内、なのか?)」
我輩、外で寝ていたはずだ。バルディス達に見つけてもらえるように、ちゃんと宿の前の扉の横で眠っていたはずなのだ。それがなぜか、柵つきの箱の中に居る。
「……にゃ……(……これは、まさか……)」
外で眠っていたはずなのに、見覚えのない室内(?)に居るという状況。我輩、なんだか嫌な汗が出る。
「にゃあぁっ(また迷子なのだーっ)」
そう結論づけた我輩は、バルディスに怒られると思って叫び声を上げて嘆く。
きっと、寝ている間にフラフラと歩いてどこかに行ってしまったのだっ。
そう考える我輩の頭に、『誘拐』の二文字はない。ただただ自身の過失だとばかり思い込む。
「にゃっ(と、とにかく帰らないとなのだっ)」
そう思って立ち上がる我輩。しかし、その直後、何やら嫌な臭いがどこからかしてくることに気づく。
「にゃ? (この臭さはいったい?)」
それは、人間が不潔にしていると発生させる不快な臭いだった。そして、よくよく嗅いでみると、その臭いは我輩にも付着しているように思える。つまりは……。
「にゃふんっ(なるほど、我輩のプリティなボディはどんな人間でも誘惑するのだなっ)」
不潔な人間はできればお断りなのだが、我輩のボディに陥落したというのであれば許さないわけにもいかない。むしろ、寛大な心でもって対処するのが紳士として正しいことだろう。
「にゃあ(ならば、我輩、挨拶をしてここから出るのだ)」
そうと決まれば話は早い。我輩、グイッと柵を曲げて、チョコチョコと歩いて、その臭いの主の元へと向かうのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
天然、ここに極まれり。
いやいやいや、どう考えても誘拐でしょうよ、タロさんっ!?
と、突っ込みたくなった諸君。
無駄です。
タロは、我が道を行くなんです。
そこがタロのチャームポイントなんです。
と、いうか、バルディス達を出すつもりが、タロ視点でも全く出てこなかった……。
つ、次こそは、バルディスを出します。
はい、バルディス視点でお送りしますので、少々お待ちください。
それでは、また!
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