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第二章 反撃のサナフ教国

第百三十話 暗躍と情報

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 リリナと話し、戻ってきたロッダは、渋々ながらもリリナの出立を許可してくれた。どうやら、上手く説得できたらしい。
 慈愛に満ちた表情でロッダを見るリリナと、それをどこか気恥ずかしげにしているロッダの様子は、とても微笑ましい。

 すぐに出立の準備は調えられ、そろそろ夜明けかという時間に、二人は出発した。リリナには、去り際に『あんた達のことはロッダに伝えておいた。協力してくれるそうだから、そっちもロッダのことを頼むぞ』と念を押され、ラーミアからは『バルがやらかさないよう、監視をお願いしますね。ディアム』と、非常に失礼なことを告げられた。心配されずとも、俺はロッダをしっかり守るし、何もやらかすつもりはない。

 複雑な気分になりながらも二人を見送った俺は、いつの間にか足元でぐっすり眠り始めていたタロを抱き上げ、ドームに戻る。
 ジルクが帰ってくる前に事を運べたのは僥倖ぎょうこうだった。もし、戻ってきていれば、ジルクのことはさっさと拘束する以外に道はなかっただろう。それでは、ジルクを泳がせて情報を得ることはできない。


「ディアム。ジルクを調べてくれるか?」

「御意」


 タロは眠りの中で、ディアムも動かすなら、俺はロッダの守護に当たることになる。本当なら、お互い、休息を取りたいところではあったが、仕方ない。

 音もなく目の前から姿を消すディアムを見て、俺もロッダの側へと『監視蟻』という蟻の姿をした複数の監視魔法を飛ばす。何かあれば、それは即座に俺に伝わってくる。転移は使えないが、このくらいの距離ならばタロも使っていた『闇化やみか』で一瞬にして駆けつけることは可能だ。

 後は、ディアムの報告を待って、ディアムと交代で休む体制を取れば良い。




 夜が明け、タロはモゾモゾと動いて、目を覚ます。


「ふにゃあぁ(良く寝たのだぁ)」

「おはようタロ」

「にゃ(おはようなのだ)」


 顔をゴシゴシと洗いながら、タロは俺の言葉に応える。ただ、そこで、タロはふと動きを止めて、俺をじっと見つめ出した。


「? どうした、タロ?」


 いつもと違うタロの様子に、俺はついつい声をかける。すると……。


「にゃにゃあっ(我輩、レディにもらった情報を話すのを忘れてたのだっ)」


 詳しく聞けば、タロは散歩に出掛けた時に猫の母娘から情報を引き出していたとのこと。ただ、猫の情報網は凄まじいものではあるが、くだらない情報も多い。これは、覚悟して聞かなければならなさそうだ。


「にゃー。にゃにゃ(大丈夫なのだ。我輩も情報を厳選してきているのだ)」


 タロの大丈夫は信用ならない。そう思いながら、俺はいくつの情報があるのかを先に尋ねる。


「にゃ……にゃあ(一つ……いや、二つなのだ)」

「分かった、聞こう」


 どうやら、厳選したというのは本当らしい。俺は、長々と話を聞かされるわけではないということにホッとして、タロの言葉へと耳を傾ける。

 その情報の内の一つが、この先、大きな火種になることなど知らないままに……。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


最近、ちょっと更新時間が遅れているのですが、どうやら、それが通常化しそうです。

生活時間が少しずれたせいで、21時半前後の更新は厳しくなりましたので……。

とりあえず、しばらくは22時頃の更新が普通になりますので、よろしくお願いします。

それでは、また!
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