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第二章 反撃のサナフ教国
第百二十六話 ロッダの過去(二)
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「とりあえず、自己紹介ね。私はリリナ。一応この店の店主で、男よ。よろしくね」
「……アーク・フィズ。マリー姉の息子。よろしく」
美女の姿をしたリリナは、なぜか自分が男だと言う。からかわれているのかとも思ったものの、そんな様子も見られない。良く分からないながらも、僕はリリナに応じて自己紹介をする。すると、席の隣からうるうるとした目でマリー姉が見つめてきた。
「アーク、アークは私のこと、好きよねっ」
「……うん、大好き」
そして、さすがに絡みが酷くなってきたマリー姉に対し、僕は投げやりに言葉を返す。すると……。
「え、えへへぇ、アークが『大好き』だってぇ」
「はい、ミルク」
「……ありがとう」
マリー姉の態度は一転して、落ち着いたものに……いや、気味が悪いくらいにご機嫌になった。
ミルクを受け取った僕は、初めて見るマリー姉のその様子に、対処法が分からず困惑する。
「ほら、マリーも壊れてないで、しっかりしなさい」
「ふふふ……んー? リリナ? 私は壊れてなんかないわよ」
ニコニコと微笑むマリー姉を見て、僕は『壊れてる』という表現になるほどと思う。確かに、この上機嫌な様子はそう評されてしかるべき状態だ。
「ほら、アークだっけ? その子が不安になっちゃうんじゃないの?」
「へっ? あっ、アーク、私は大丈夫だからね?」
慌てたように言い募るマリー姉を見て、僕はやっと元に戻ったと安心する。
「大丈夫なら、良い」
チビチビとミルクを飲みながらそう言えば、どうにか本来の落ち着いた雰囲気が戻ってくる。やはり、マリー姉はこうでなくてはいけない。
それにしても、何で、僕はここに誘われたんだろう?
落ち着いてみると、マリー姉はリリナと楽しく会話を始めてしまう。最近の事柄を中心に、国のことや、物価の上昇など、会話内容は多岐に渡る。
しかし、内容のほとんどを理解できない僕には、ただただ退屈な時間だった。しかも、マリー姉が取られたような気がして面白くない。
「あっ、随分時間が経っちゃったわね。そろそろ買い物に行かなきゃ」
「そう? なら、この子は少し預かっておいてあげるから、行ってきなさいよ。帰りにここに寄れば良いでしょ」
「ほんとっ!? それなら、ちょっとだけよろしくっ」
結局、時間を潰すだけ潰して、マリー姉は席を立つ。しかも、なぜか僕を置いていくことを決めてしまいながら。
「マリー姉、僕、荷物持ちする」
「まぁ、良い子ね。でも、ダメよ。マリーだって一人になりたい時はあるんだからね」
どうにか置いていかれないようにしようと提案すれば、それをリリナから却下されてしまう。それに、僕はついつい反抗的に睨み付けてしまう。
「あらあら、アークはマリーと一緒でなきゃ不安なのかしら?」
「……別に、そんなことは……」
まさか、『そうだ』とは言えない。結果、僕はブスッとした表情でリリナに反抗せざるを得ない。
「じゃあ、行ってくるわね。リリナ、アークをお願い」
「はいはい」
「あっ……」
そうこうしている間に、マリー姉は買い物へと行ってしまうのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回は、前回の話を修正して、その続きを書いています。
そのため、もし、話が通じないと思った方は、すみませんが、一話前に戻ってください。
明日もまた更新しますね。
それでは、また!
「……アーク・フィズ。マリー姉の息子。よろしく」
美女の姿をしたリリナは、なぜか自分が男だと言う。からかわれているのかとも思ったものの、そんな様子も見られない。良く分からないながらも、僕はリリナに応じて自己紹介をする。すると、席の隣からうるうるとした目でマリー姉が見つめてきた。
「アーク、アークは私のこと、好きよねっ」
「……うん、大好き」
そして、さすがに絡みが酷くなってきたマリー姉に対し、僕は投げやりに言葉を返す。すると……。
「え、えへへぇ、アークが『大好き』だってぇ」
「はい、ミルク」
「……ありがとう」
マリー姉の態度は一転して、落ち着いたものに……いや、気味が悪いくらいにご機嫌になった。
ミルクを受け取った僕は、初めて見るマリー姉のその様子に、対処法が分からず困惑する。
「ほら、マリーも壊れてないで、しっかりしなさい」
「ふふふ……んー? リリナ? 私は壊れてなんかないわよ」
ニコニコと微笑むマリー姉を見て、僕は『壊れてる』という表現になるほどと思う。確かに、この上機嫌な様子はそう評されてしかるべき状態だ。
「ほら、アークだっけ? その子が不安になっちゃうんじゃないの?」
「へっ? あっ、アーク、私は大丈夫だからね?」
慌てたように言い募るマリー姉を見て、僕はやっと元に戻ったと安心する。
「大丈夫なら、良い」
チビチビとミルクを飲みながらそう言えば、どうにか本来の落ち着いた雰囲気が戻ってくる。やはり、マリー姉はこうでなくてはいけない。
それにしても、何で、僕はここに誘われたんだろう?
落ち着いてみると、マリー姉はリリナと楽しく会話を始めてしまう。最近の事柄を中心に、国のことや、物価の上昇など、会話内容は多岐に渡る。
しかし、内容のほとんどを理解できない僕には、ただただ退屈な時間だった。しかも、マリー姉が取られたような気がして面白くない。
「あっ、随分時間が経っちゃったわね。そろそろ買い物に行かなきゃ」
「そう? なら、この子は少し預かっておいてあげるから、行ってきなさいよ。帰りにここに寄れば良いでしょ」
「ほんとっ!? それなら、ちょっとだけよろしくっ」
結局、時間を潰すだけ潰して、マリー姉は席を立つ。しかも、なぜか僕を置いていくことを決めてしまいながら。
「マリー姉、僕、荷物持ちする」
「まぁ、良い子ね。でも、ダメよ。マリーだって一人になりたい時はあるんだからね」
どうにか置いていかれないようにしようと提案すれば、それをリリナから却下されてしまう。それに、僕はついつい反抗的に睨み付けてしまう。
「あらあら、アークはマリーと一緒でなきゃ不安なのかしら?」
「……別に、そんなことは……」
まさか、『そうだ』とは言えない。結果、僕はブスッとした表情でリリナに反抗せざるを得ない。
「じゃあ、行ってくるわね。リリナ、アークをお願い」
「はいはい」
「あっ……」
そうこうしている間に、マリー姉は買い物へと行ってしまうのだった。
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今回は、前回の話を修正して、その続きを書いています。
そのため、もし、話が通じないと思った方は、すみませんが、一話前に戻ってください。
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