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第二章 反撃のサナフ教国

第百二十四話 互いの事情(四)

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「タロのことはどうやら片付いたようですし、まずは、リリナの返事を聞きましょうか」


 タロのとんでもない発言によって大いに脱線してしまっていたが、ラーミアの言葉でその軌道は修正される。


「あ、あぁ、そうだったな。俺は、協力しても良いと思ってる」


 戸惑いながらもうなずき、俺達への協力を表明するリリナに、俺は良く言ってくれたとばかりに笑顔で応じる。


「そうか、ありがとう」

「別に、俺はただ、あんた達には借りがあるからな」

「それでも、感謝する。俺達は種族が種族だから、中々信頼してもらえないと思っていたしな」

「まぁ、そりゃそうだよな」


 互いに、具体的な協力内容の取り決めまではしていないものの、まず協力してもらえるという意思が重要だ。もし、協力してもらえないとなれば、俺はリリナの記憶を消そうと思っていたため、色好い返事が聞けて安心した。


「んじゃあ、色々と取り決めが必要だな」

「あぁ、では、まずリリナの条件から聞こう」


 リリナが提示した条件は多岐に渡った。ロッダが危険にさらされた場合の守りはもちろんのこと、復讐心に囚われた場合の対処、復讐しないと決めた場合の対処など、どれもこれもロッダを思い遣ったものばかり。そこで、俺はリリナとロッダの関係を尋ねてみると……。


「ん、あぁ、あいつは、アーク・フィズである頃から、俺の友達なんだ。あっ、アークってのは、ロッダの前の名前な」


 リリナはなぜアークの名前がロッダに変わったのかまでは知らなかったが、名前が変わろうとも大切な友であることに変わりはないという態度を貫く。


「私やディアムがバルを思うのと似たようなものですかね」


 笑顔でサラリと言ってのけるラーミアに、俺はしばらくむず痒い思いをすることになったが、例えとしては悪くない。きっと、二人の間には色々なことがあったのだろう。


「んじゃあ、そっちの条件を頼む」

「あぁ、こちらとしては――――」


 俺達の目的は、ファルシス魔国が敵ではないことを証明したいというものだ。そうするには、なぜミルテナ帝国に魔族が荷担しているのかということを突き詰めなければならない。もちろん、その調査は俺達でやり遂げるつもりだが、例え、ファルシス魔国のことが冤罪だと分かったとしても伝える手段がない。


「俺達は、何がなんでもクーデターを成功させてみせよう。だから、その暁には、俺達が調べた証拠とともに、魔族が敵ではないことを民衆に宣言してもらいたいんだ」

「それは、ロッダを動かせってことか?」

「あぁ。もし、ロッダがこの国のトップに立つなら、そうしてもらいたい」


 俺達としては、ロッダでなくとも、この国で最も影響力のある人物であれば誰でも良い。とにかく、口利きをしてもらって、ファルシス魔国の冤罪が浸透してくれれば良いのだから。


「……分かった。やってみよう」

「頼む」


 そうして、俺達の密会は終わる。これからのことを思えば、どんなに忙しくなるだろうかと頭が痛くなりそうだったが、立ち止まるわけにもいかない。


「なら、ひとまず、リリナはタロが連れて帰ったということで良いな?」

「あぁ、俺一人で動いても意味がないからな。それで頼む」

「護衛にはラーミアをつける。ロッダの方は、ディアムとタロが同時に着くから安心しろ」

「了解だ」


 最後の確認を終えると、俺達はドームの外へと向かう。リリナの無事を報せ、ジルクへの注意を喚起すべく、ロッダとノルディが居るはずのドームへと向かうのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


お待たせしました。

本日の更新ですっ。

それにしても……何だか、最近上手く書けてないような……ある意味スランプ?

ちょっと、明日、もう一度プロットを良く見直して、話をしっかり練ってみようと思います。

それでは、また!
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