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第二章 反撃のサナフ教国

第百十八話 報告と急転

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 しばらく待っていると、ディアムが闇の中からヌッと出てくる。


「報告」

「うわっ!」


 一番近くに居たロッダが、気配もなく現れたディアムに悲鳴を上げていたが、俺とラーミアは慣れているため、驚くことはない。……いや、実は少しだけ驚いたが、悲鳴を上げるほどではない。


「あぁ、頼む」

「火事の原因。騎士達の一斉放火。目的。アジトの壊滅。この件、魔族が関わったとされるが、実際は、魔族の角に似せたもの、つけた騎士達が放火。また、タロとリリナの行方は不明」

「そう、か……」


 全ての報告を聞き終え、肝心のタロの行方が分からないことに落胆してしまう。ディアムは充分に役目を果たしてくれたというのに、これは不味い。


「魔族の角に似せたもの? それは、魔族が関わっていなかったということになるのかの?」

「是」

「ちょっと待て。それより、リリナはっ、リリナの情報は本当にないのかっ!」


 ディアムの報告に敏感に反応したのは、ノルディとロッダだった。特にロッダは、今にも掴みかからん勢いでディアムを問い詰める。


「現状、なし。ただし、敵に捕まったものと思われる。怪しい拠点、ある」

「ならっ、そこを調査すればっ」

「いけません。ロッダ様っ! 敵の手に落ちたとなれば、戦いは避けられぬのですぞっ」


 ディアムの言葉を聞きながら、少なくとも怪しい場所の特定まではすませてくれていたことに安堵する。俺達は、レジスタンスの仲間になったものの、タロの危機にじっとしているなんていう選択肢はない。レジスタンスの者に引き留められたとしても、俺はタロの救出に向かうだろう。


「俺が、タロと、ついでにリリナも見つけ出して連れ帰る。それで良いだろ?」


 問いかけるような言葉遣いをしながらも、その実、問いかけてなどいない。もう、これは決定事項だ。


「いや、しかし……」

「お兄さん、僕らはそう簡単にホイホイ動くわけにはいかないんですけど?」


 渋るノルディと眉を潜めるジルク。しかし、それを聞いたロッダは希望を見つけたとばかりに俺を見つめる。ロッダにとって、リリナはよっぽど大切な人間なのだろう。


「俺は、俺の仲間を助けたいだけだ。指図は受け付けない」


 そう言えば、ジルクの瞳に剣呑な光が宿る。


「勝手されちゃあ困るんですよ」


 剣に手をかけ、今にも抜き放とうとするジルク。緊迫した空気。しかし、そんな中、ふと、念話が入る。


《にゃあ(リリナを見つけて脱出したのだ)》


 それは、随分と呑気な声だった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


今日はちょっと更新が遅くなりました。

すみません。

次は、タロ視点に戻ります。

それでは、また!
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