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第二章 反撃のサナフ教国

第百七話 我輩の散歩(二)

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 少々精神的ダメージをくらうというハプニングはあったものの、我輩、どうにかマウマウ退治を終える。


「にゃあ(それにしても、ここはマウマウが多いのだ)」


 積み上がった三つの山を見ながら、我輩、呟く。

 アルトルム王国でもそれなりにマウマウは多かった。しかも、同胞を脅かすためにマウマウが意図的に増やされていたという背景もあった。ただ、それでも、一度の戦闘でマウマウの山が三つもできることはなかった。多くても二つまでだ。


「にゃーにゃ? (もしや、ここもアルトルムと同じことになっているのであろうか?)」


 何者かが、意図的にマウマウを増やし、同胞達を脅かしているかもしれない。それを考えると、早く何とかしなければと焦る心が生まれる。


「にゃ(バルディス達に確認なのだ)」


 きっと、バルディス達ならば調べてくれるはず。そう思って、歩き出そうとすると、ふいに、我輩を呼び止める声が聞こえた。


「みー(おじしゃん、だれ?)」


 振り向いてみると、物陰に、小さな小さな同胞が居た。雄にとっては殺害対象であろう、真っ黒でつぶらな瞳をした、小さな命が。


「っ、にゃあ。にゃにゃー(っ、幼子よ。むやみに知らない者へと声をかけるべきではないぞ)」


 我輩達猫は、レディに自分の子を残してもらうため、他の雄の子供を殺して強制的にレディを奪うことがある。だから、この幼子の行為は、とんでもなく危険なことだった。もちろん、我輩は紳士であるから、幼子を殺すようなことはしないが…………幼子を守るレディからしてみれば、我輩も幼子を襲う者と同じにしか見えないはずだ。

 そこまで考えて、我輩、ふと、ここに居るはずのレディの姿が見えないことや、つい先程までここにマウマウが居たということに思い至り、幼子に聞いてみることにする。


「にゃー。にゃにゃ? (我輩はタロなのだ。小さなレディ、あなたの名前を教えてもらえますかな?)」

「み? みみー。みー(う? みぃはみぃなの。おじしゃん、かか、おきないの)」

「にゃ? にゃあ。にゃー? (かか? あぁ、母親のことなのだな。ふむ、眠っているのか?)」

「みー。みーみー。みー? (かか、おきないの。しゃっきまでねむねむじゃなかったの。どーして?)」


 幼子とのやり取りで、我輩、どうにも最悪の事態が脳裏に過る。つい先程までマウマウが大量に居たこの場所で、果たして、この幼子が無事に生き残れる可能性はいかほどのものだったのだろうかと。


「にゃにゃあ(かかが眠っている原因を調べるから、かかの元へ案内してほしいのだ)」


 だから、我輩、自分でも固くなっている声に気づきながらも、事態の把握のために動く。どうか、生きていてくれと願いながら……。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


はい、今回は、わりとシリアスモード?

前回がちょっとギャグパートだっただけに、落差が激しい気もしますが……。

みぃちゃんの母親は無事なのでしょうか?

それでは、また!
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