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第二章 反撃のサナフ教国

第八十七話 リリナのバーにて(七)

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「わぉ、結界まで張るか。面倒だなぁ」

「大隊長、どういたしましょうか?」

「そうだね、結界の破壊に専念してくれる? この獲物を渡すつもりもないし」

「了解しました」


 うむ、結界を破れるものなら破ってみると良いのだっ。我輩、容赦はしないのだ。


 交わされる言葉に、我輩、戦意をたぎらせ、しっかりと研いでいる爪を準備する。


「にゃーっ(かぶとくらいなら、壊してみせるのだっ)」


 普通のガリガリでダメなら、もっと強力なガリガリを試せば良い。


「にゃおーんっ! (猫流奥義、ガリガリプラスっ!)」

「おわっ」


 勢い良く飛び上がった我輩は、顔面目掛けて魔力の爪を降り下ろす。甲冑の騎士は、一瞬、迎撃態勢を取ろうとしたものの、次の瞬間には離脱していた。
 残ったのは、地面に深々と刻まれた爪痕……というより、クレーター。


「にゃ(外したのだ)」

「あっぶなっ! 何この猫? 竜が化けてるとか?」

「にゃ? にゃあ(竜? 我輩、リツとは違うのだ)」


 我輩を猫以外のモノとして見る甲冑の騎士に反論しながら、我輩、次はかわされないようにしっかりと狙いを定める。


「にゃおーんっ! (猫流奥義、ガリガリプラスっ!)」

「チィッ」


 剣と爪がぶつかり合い、大きな金属音が鳴る。


「にゃおーんっ! (猫流奥義、クルクルアタックっ!)」


 鍔迫り合いは体の大きさからして無理があるため、我輩、爪の下の剣を踏み台代わりに甲冑の騎士の顔面に向かって体当たりを敢行する。


「ぐあっ」


 しかし、咄嗟に首を反らされ、我輩の体はかぶとを掠めるのみとなる。それでも、かぶとの側面を削ることには成功したが。


「大隊長っ!」

「来るなよ。これは、僕の獲物だ」


 即座に体勢を立て直し、甲冑の騎士へと向き合うと、結界を壊そうとしていた騎士の一人が信じられないとばかりに我輩を見て悲鳴を上げる。しかし、額を傷つけたのか、血を滲ませ、口角を吊り上げる甲冑の騎士は、どこか狂気じみた眼差しを我輩に向けてその騎士を押し止める。


 ううむ、人間の男にアプローチされても、我輩、全く嬉しくないのだ。


 むしろ、何だかゾワゾワしてしまう。この人間とはあまり関わりたくないと思ってしまう。

 そうして、さて、どうしたものか、と頭を悩ませていると、それは唐突に来た。


《タロっ、そこから引き上げろ。レジスタンス達は安全な場所に移動させたからっ》


 それは、バルディスからの念話だった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


今回も、ガリガリが大活躍!(ガリガリプラスだけども)

タロの爪にはどんどん研きがかかっていきますねっ。

更新が遅いと引っ掻かれないよう、注意しなければ(笑)

せめて、この反撃のサナフ教国は毎日更新できるように頑張りたいです(その次のプロットまではまだできていないので……)

それでは、また!
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