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第二章 反撃のサナフ教国
第七十話 行き先の現状(二)
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デイブの話では、元サナフ教国の現状は目も当てられないほどのものらしい。国民は皆、隠れて暮らし、ミルテナ帝国の騎士に怯える日々。逃げられる者は他国へ、逃げられない者は息を殺して隠れる生活。人としての尊厳を奪われた、暗闇の日常。
そして、それをもたらしたのが、よりにもよって、ファルシス魔国であるなどという噂が立っている。それは、ファルシス魔国の魔王であるバルディスにとっては、許容しがたい事実だろう。
実際、バルディスは表情にこそ出してはいないものの、拳に恐ろしいほどの力を籠めていた。
「なぜ、そんな噂が?」
「そうですね……恐らくは、ですが、何人もの人間が、魔族とともに居るミルテナ帝国の騎士を見たからなのではないかと思います」
「魔族が? ミルテナの騎士と?」
そんな情報を聞いて、真っ先に思い浮かぶのは、かつて敵対した仮面の魔族。もしもそいつが関わっているのであれば、そのファルシス魔国への誤解は意図的なものである可能性が高かった。
「はい。私が見たわけではないのではっきりとしたことは言えませんが……白い仮面を被った魔族だったらしいです」
その言葉で、きっとバルディスも確信したのだろう。小声で『またか』と呟くのを、我輩の耳が捉える。
「私どもも、本来であればすぐにでも逃げたかった。しかし、南西に下ろうとした者達は、どうやらミルテナ帝国の騎士に殺されたという情報を得て、南に……つまり、このルーグ砂漠を越えてアルトルム王国へ向かおうとした次第です」
「そんなことになっているのか。それに、南西といえば、セイクリア教国……元サナフ教国の同盟国だな」
「えぇ、恐らく、ミルテナ帝国としてはまだ、サナフの現状をセイクリア教国に知られたくはないのでしょう。それに比べ、アルトルムはルーグ砂漠を隔てた地。そもそも圧政のおかげで砂漠越えをすること事態が無謀な現状なら、警戒する必要もないと思ったのでしょうね。砂漠までなら、簡単に来れました」
「その後でジャイアントスコーピオンに追いかけられたみたいだがな」
「いやはや、バルディスさん達のおかげで本当に助かりました。このご恩は、決して忘れません。何か、私どもにできることがあれば、お申し付けください」
真剣な顔で頭を下げるデイブに、バルディスは居心地悪そうにする。なんたって我輩達、デイブのことは眼中になかったのだ。ただただ、食べ物がほしくて、ノコノコやってきたジャイアントスコーピオンを嬉々として狩っただけなのだ。そこまで感謝される謂れはない。
我輩、幼子にしては優しく撫でてくれるソフィアにゴロゴロ言いながら、話の行く末を見ていると、その話にラーミアが入ってくる。
「バル。彼もこう言っていますし、いくつか頼みごとをしても良いのではありませんか?」
「そう、だな。では、二つ……いや、三つほど頼みごとをしても良いか?」
「はいっ、なんなりと!」
そう言ったデイブは、頼られることをとても喜んでいて、つぶらな瞳を輝かせる。しかし、バルディスの言う頼みごとを聞いた瞬間、デイブは困惑することになる。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
とりあえず、今日はここまで。
ううむ、国家情勢がちょこちょこと出てきていますが、あまり複雑にすると私まで混乱しそうです(もうすでに複雑な設定を作ってますが……)
混乱しないように頑張っていきます。
そして、明日はもしかしたら更新できないかもしれません。
明後日は必ず更新しますので、少々お待ちください。
それでは、また!
そして、それをもたらしたのが、よりにもよって、ファルシス魔国であるなどという噂が立っている。それは、ファルシス魔国の魔王であるバルディスにとっては、許容しがたい事実だろう。
実際、バルディスは表情にこそ出してはいないものの、拳に恐ろしいほどの力を籠めていた。
「なぜ、そんな噂が?」
「そうですね……恐らくは、ですが、何人もの人間が、魔族とともに居るミルテナ帝国の騎士を見たからなのではないかと思います」
「魔族が? ミルテナの騎士と?」
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「はい。私が見たわけではないのではっきりとしたことは言えませんが……白い仮面を被った魔族だったらしいです」
その言葉で、きっとバルディスも確信したのだろう。小声で『またか』と呟くのを、我輩の耳が捉える。
「私どもも、本来であればすぐにでも逃げたかった。しかし、南西に下ろうとした者達は、どうやらミルテナ帝国の騎士に殺されたという情報を得て、南に……つまり、このルーグ砂漠を越えてアルトルム王国へ向かおうとした次第です」
「そんなことになっているのか。それに、南西といえば、セイクリア教国……元サナフ教国の同盟国だな」
「えぇ、恐らく、ミルテナ帝国としてはまだ、サナフの現状をセイクリア教国に知られたくはないのでしょう。それに比べ、アルトルムはルーグ砂漠を隔てた地。そもそも圧政のおかげで砂漠越えをすること事態が無謀な現状なら、警戒する必要もないと思ったのでしょうね。砂漠までなら、簡単に来れました」
「その後でジャイアントスコーピオンに追いかけられたみたいだがな」
「いやはや、バルディスさん達のおかげで本当に助かりました。このご恩は、決して忘れません。何か、私どもにできることがあれば、お申し付けください」
真剣な顔で頭を下げるデイブに、バルディスは居心地悪そうにする。なんたって我輩達、デイブのことは眼中になかったのだ。ただただ、食べ物がほしくて、ノコノコやってきたジャイアントスコーピオンを嬉々として狩っただけなのだ。そこまで感謝される謂れはない。
我輩、幼子にしては優しく撫でてくれるソフィアにゴロゴロ言いながら、話の行く末を見ていると、その話にラーミアが入ってくる。
「バル。彼もこう言っていますし、いくつか頼みごとをしても良いのではありませんか?」
「そう、だな。では、二つ……いや、三つほど頼みごとをしても良いか?」
「はいっ、なんなりと!」
そう言ったデイブは、頼られることをとても喜んでいて、つぶらな瞳を輝かせる。しかし、バルディスの言う頼みごとを聞いた瞬間、デイブは困惑することになる。
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とりあえず、今日はここまで。
ううむ、国家情勢がちょこちょこと出てきていますが、あまり複雑にすると私まで混乱しそうです(もうすでに複雑な設定を作ってますが……)
混乱しないように頑張っていきます。
そして、明日はもしかしたら更新できないかもしれません。
明後日は必ず更新しますので、少々お待ちください。
それでは、また!
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