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第二章 反撃のサナフ教国
第六十二話 ナージャ様の旅(一)
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タロ達がアルトルム王国を後にした頃、ファルシス魔国では、書類に埋もれて頭しか見えないが、一人の黒髪に紫色の角を持った女性らしき人物が、執務室で大量の書類を次々に処理していた。……高笑いしながら。
「おーほほほほほほっ。リリアンヌっ、こちらは財政課へっ、マリアンヌっ、こちらは生活課へ持って行きなさいっ」
「「ぎ、御意ーっ」」
リリアンヌ、マリアンヌと呼ばれた二人は、角の色以外は瓜二つで、百二十センチほどの背丈、黄色の短髪にパッチリとした赤い瞳、いかにもモチモチしていそうなふっくらとした頬をした、可愛らしいメイドだった。
彼女らは、二人して、書類を処理し続ける女性に従って、忙しなく移動を繰り返す。
「た、ただいま戻りましたっ」
戻ったのは、緑の角を持ったリリアンヌ。
「おーほほほっ、ではこちらを宰相に持って行きなさいっ」
「御意っ」
落ち着く間もなく、リリアンヌはまたしても遣いに出される。
「マリアンヌ、戻りましたぁ」
そして、入れ違いに入ってきたのは、茶色の角を持ったマリアンヌ。
「ならば、騎士団長に書類の訂正を求めてきなさいっ」
「ぎ、御意ー」
そして三時間後、今まで書類のせいで頭しか見えていなかった女性の全容があらわになる。
女性は、透き通るような白い肌に、彫りの深い顔、ミステリアスな紫紺の瞳に赤く蠱惑的な唇。真っ赤なドレスに、これでもかと主張する巨大な胸を持った、絶世の美女だった。
「おーほほほほほっ、これで終わりよっ! これで、バル様を探しに行けますわっ」
「全て準備は恙無く」
「ナージャ様のため、左大臣の幽閉も完了いたしましたっ」
リリアンヌとマリアンヌがナージャと呼ばれた人物に続き、現状報告を行う。
「バルディス様の弟君、アーディス様は、現在、バルディス様の代わりに執務を執り行っております」
「右大臣も政務に積極的に関わっていますので、ナージャ様が抜けても問題はないかと思われますっ」
「あぁ、あぁ、ならば、早く行って差し上げなくてはっ。今、私もそちらに行きますっ。バル様っ」
陶酔したような表情で告げたナージャは、スクッと立ち上がると、そのまま服を脱ぎ始める。
それに対して、リリアンヌもマリアンヌも慌てることなく、すぐさま新たな服を……町行き用の質素な服を持って、その着替えを手伝う。
「さぁ、リリアンヌは着いてきなさいっ。マリアンヌは、連絡係として留守番よ」
「「御意っ」」
町行き用の服を着ても隠しきれないその美貌と肉感的な体をさらし、それでも堂々と二人のメイドに言いつけたナージャは、そのままスタスタと歩き出してしまう。
「待っていてください。バル様。私、ナージャは、婚約者であるあなた様を必ず連れ戻して差し上げますわ。おーほほほほほほっ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
新章、始まりました!
いきなり濃いキャラをぶっこみましたが、このナージャ様、わりと作者のお気に入りです。
ちょいちょい出していきます。
……次もナージャ様のお話になりそうですしね。
というわけで、タロの登場は、もうちょっと待ってもらうことになりそうです。
それでは、また!
「おーほほほほほほっ。リリアンヌっ、こちらは財政課へっ、マリアンヌっ、こちらは生活課へ持って行きなさいっ」
「「ぎ、御意ーっ」」
リリアンヌ、マリアンヌと呼ばれた二人は、角の色以外は瓜二つで、百二十センチほどの背丈、黄色の短髪にパッチリとした赤い瞳、いかにもモチモチしていそうなふっくらとした頬をした、可愛らしいメイドだった。
彼女らは、二人して、書類を処理し続ける女性に従って、忙しなく移動を繰り返す。
「た、ただいま戻りましたっ」
戻ったのは、緑の角を持ったリリアンヌ。
「おーほほほっ、ではこちらを宰相に持って行きなさいっ」
「御意っ」
落ち着く間もなく、リリアンヌはまたしても遣いに出される。
「マリアンヌ、戻りましたぁ」
そして、入れ違いに入ってきたのは、茶色の角を持ったマリアンヌ。
「ならば、騎士団長に書類の訂正を求めてきなさいっ」
「ぎ、御意ー」
そして三時間後、今まで書類のせいで頭しか見えていなかった女性の全容があらわになる。
女性は、透き通るような白い肌に、彫りの深い顔、ミステリアスな紫紺の瞳に赤く蠱惑的な唇。真っ赤なドレスに、これでもかと主張する巨大な胸を持った、絶世の美女だった。
「おーほほほほほっ、これで終わりよっ! これで、バル様を探しに行けますわっ」
「全て準備は恙無く」
「ナージャ様のため、左大臣の幽閉も完了いたしましたっ」
リリアンヌとマリアンヌがナージャと呼ばれた人物に続き、現状報告を行う。
「バルディス様の弟君、アーディス様は、現在、バルディス様の代わりに執務を執り行っております」
「右大臣も政務に積極的に関わっていますので、ナージャ様が抜けても問題はないかと思われますっ」
「あぁ、あぁ、ならば、早く行って差し上げなくてはっ。今、私もそちらに行きますっ。バル様っ」
陶酔したような表情で告げたナージャは、スクッと立ち上がると、そのまま服を脱ぎ始める。
それに対して、リリアンヌもマリアンヌも慌てることなく、すぐさま新たな服を……町行き用の質素な服を持って、その着替えを手伝う。
「さぁ、リリアンヌは着いてきなさいっ。マリアンヌは、連絡係として留守番よ」
「「御意っ」」
町行き用の服を着ても隠しきれないその美貌と肉感的な体をさらし、それでも堂々と二人のメイドに言いつけたナージャは、そのままスタスタと歩き出してしまう。
「待っていてください。バル様。私、ナージャは、婚約者であるあなた様を必ず連れ戻して差し上げますわ。おーほほほほほほっ」
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新章、始まりました!
いきなり濃いキャラをぶっこみましたが、このナージャ様、わりと作者のお気に入りです。
ちょいちょい出していきます。
……次もナージャ様のお話になりそうですしね。
というわけで、タロの登場は、もうちょっと待ってもらうことになりそうです。
それでは、また!
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