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第六章 邪神
第五百七十話 ファルシス魔国へ
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ナージャによって発動された『転移』。それによって、我輩達はファルシス魔国へと着いた……はずだったのだが。
「ぐっ」
「うっ」
バルディス達は、次々に呻き声を上げて倒れていく。
「にゃっ!? (にゃにがっ!?)」
「っ、不味い! 『光源』っ!!」
暗く淀んだその場所に、飼い主が『光源』を発動させ、辺りの闇を払う。
……闇?
今の時刻は、昼前だ。海の底でもないファルシス魔国が闇に閉ざされているというのはおかしい。そう思ってよくよく観察してみれば、それは、ただの闇ではなかった。
「にゃ……(なぜ、瘴気が……)」
そう、それは、闇などという安全なものではない。『邪神の眼』が繰り出す瘴気そのものだった。
「原因追及は後なのだ! 今は、この瘴気を払って、皆を安全な場所に運ぶのだ!」
「承知した!」
「にゃっ! (分かったのだっ!)」
今動けるのは、飼い主と二号、そして、我輩の三人のみ。バルディス達はどうやら、完全に意識を失ってしまったようなのだ。
「タロが『光源』を用いてくれ。ケルトは、私と一緒に瘴気を弾く『結界』を張るのだ」
「にゃっ(分かったのだっ)」
「承知した」
飼い主の指示に従って、我輩は『光源』で辺りの瘴気を払う。飼い主と二号は、『光源』で払われた瘴気の範囲内に『結界』を張り、バルディス達の様子を確認している。
「タロ。もう良いのだ」
「にゃーにゃあ? (飼い主、バルディス達は大丈夫なのであろうか?)」
『結界』が安定したことで、我輩は魔法の発動を止める。そして、倒れたバルディス達の側に寄って、飼い主を見上げた。
「うむ、ただ気を失っているだけのようなのだ。しかし……ここがファルシス魔国で間違いないのであれば、相当に不味い事態になっていると思われるのだ」
「残念ながら、ここはファルシス魔国の城内で間違いない」
「ううむ、では、慎重に動かねばならなさそうなのだ」
飼い主が何を危惧しているのか、我輩には分からない。しかし、それでも、この状況が異常で、バルディス達を守らねばならないことだけは良く分かった。
「ふむ、あれを使うか」
「にゃ? (あれ?)」
何のことかと思って尋ねれば、飼い主はおもむろに、胸ポケットへと手を突っ込んで……前に見たことのある藁人形を取り出すのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さぁ、最終章に突入です。
そして、作者も忘れかけていた藁人形が登場ですよ~。
それでは、また!
「ぐっ」
「うっ」
バルディス達は、次々に呻き声を上げて倒れていく。
「にゃっ!? (にゃにがっ!?)」
「っ、不味い! 『光源』っ!!」
暗く淀んだその場所に、飼い主が『光源』を発動させ、辺りの闇を払う。
……闇?
今の時刻は、昼前だ。海の底でもないファルシス魔国が闇に閉ざされているというのはおかしい。そう思ってよくよく観察してみれば、それは、ただの闇ではなかった。
「にゃ……(なぜ、瘴気が……)」
そう、それは、闇などという安全なものではない。『邪神の眼』が繰り出す瘴気そのものだった。
「原因追及は後なのだ! 今は、この瘴気を払って、皆を安全な場所に運ぶのだ!」
「承知した!」
「にゃっ! (分かったのだっ!)」
今動けるのは、飼い主と二号、そして、我輩の三人のみ。バルディス達はどうやら、完全に意識を失ってしまったようなのだ。
「タロが『光源』を用いてくれ。ケルトは、私と一緒に瘴気を弾く『結界』を張るのだ」
「にゃっ(分かったのだっ)」
「承知した」
飼い主の指示に従って、我輩は『光源』で辺りの瘴気を払う。飼い主と二号は、『光源』で払われた瘴気の範囲内に『結界』を張り、バルディス達の様子を確認している。
「タロ。もう良いのだ」
「にゃーにゃあ? (飼い主、バルディス達は大丈夫なのであろうか?)」
『結界』が安定したことで、我輩は魔法の発動を止める。そして、倒れたバルディス達の側に寄って、飼い主を見上げた。
「うむ、ただ気を失っているだけのようなのだ。しかし……ここがファルシス魔国で間違いないのであれば、相当に不味い事態になっていると思われるのだ」
「残念ながら、ここはファルシス魔国の城内で間違いない」
「ううむ、では、慎重に動かねばならなさそうなのだ」
飼い主が何を危惧しているのか、我輩には分からない。しかし、それでも、この状況が異常で、バルディス達を守らねばならないことだけは良く分かった。
「ふむ、あれを使うか」
「にゃ? (あれ?)」
何のことかと思って尋ねれば、飼い主はおもむろに、胸ポケットへと手を突っ込んで……前に見たことのある藁人形を取り出すのだった。
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さぁ、最終章に突入です。
そして、作者も忘れかけていた藁人形が登場ですよ~。
それでは、また!
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