559 / 574
第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇
第五百五十八話 巨大魚探索(二)
しおりを挟む
「ふにゃあっ!? (うわぁっ!?)」
いきなり目の前の世界が大爆発を起こして、我輩、びっくぅと全身の毛を逆立てて悲鳴を上げる。
「――――――」
「――――――」
そして、その爆発の後、飼い主と二号が何か会話をしているようだったのだが、生憎、今は耳がバカになっていて全く聞き取れない。
幸い、爆発に巻き込まれないように飼い主が『結界』を張ってくれていたらしく、我輩は無傷のままではあったが……視界はあまりに悪過ぎて、何がどうなっているのかさっぱりだった。
「にゃ……(怖いのだ……)」
耳も聞こえない、視界も悪い。そんな状況に泣き言を言った我輩に反応したのか、次の瞬間、目の前を覆う赤いものが一気に収束し、バスケットボールくらいの大きさの玉になって視界の先で浮かんだ。
「……にゃ? (……あれは?)」
「ふむ、タロ、聞こえているか?」
「にゃっ(飼い主っ)」
赤い玉が何かは分からないが、飼い主の声が聞こえたことで、我輩、一気に不安が解消される。
「とりあえず、視界を覆っていた魚の残骸は、全てあそこに圧縮しておいたのだ」
「随分すっきりしたし、これなら別の転移陣も探せるかな?」
そう言われて辺りを見渡すと、確かに、今まで以上に視界が広い。先ほどまでも、決して狭い場所だったわけではないのだが、今は、何倍もの広さになって、爛れた肉が丸見えだった。
「にゃ……(おおぅ……)」
さすがの我輩も、この惨状には絶句するしかない。
ただ……そこで、一つだけ、物申すべきことがあると気づく。
「にゃあにゃっ(飼い主っ、巨大魚は、ちゃんと食べられるように残しておいてほしいのだっ)」
我輩、この巨大魚を同胞達に持ち帰るという役目を負っているのだ。爆発させるのは構わないが、それで身がなくなってしまうのは忍びないのだ。
「……そうか、巨大魚はタロの餌か……」
「ケント……タロは凄まじいな」
「うむ……」
懸命に巨大魚保存を訴えれば、飼い主と二号が遠い目をする。
うむ? なぜ、そんな目をするのだ?
我輩、理由が分からずジーッと二人を見上げてみるが、答えてくれる様子はない。と、いうか、我輩から完全に視線を逸らして、何かを探しているようであった。
「うむ、あれだろうか?」
「あれ、だな」
飼い主と二号がうなずき合って見つめる先。そこには、新たな転移陣が一つ、存在していたのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
お待たせしました。
更新……ですけど、これからは、二日に一回くらいのペースで更新していこうと思います。(プロット、まだ不完全ですので)
それでは、また!
いきなり目の前の世界が大爆発を起こして、我輩、びっくぅと全身の毛を逆立てて悲鳴を上げる。
「――――――」
「――――――」
そして、その爆発の後、飼い主と二号が何か会話をしているようだったのだが、生憎、今は耳がバカになっていて全く聞き取れない。
幸い、爆発に巻き込まれないように飼い主が『結界』を張ってくれていたらしく、我輩は無傷のままではあったが……視界はあまりに悪過ぎて、何がどうなっているのかさっぱりだった。
「にゃ……(怖いのだ……)」
耳も聞こえない、視界も悪い。そんな状況に泣き言を言った我輩に反応したのか、次の瞬間、目の前を覆う赤いものが一気に収束し、バスケットボールくらいの大きさの玉になって視界の先で浮かんだ。
「……にゃ? (……あれは?)」
「ふむ、タロ、聞こえているか?」
「にゃっ(飼い主っ)」
赤い玉が何かは分からないが、飼い主の声が聞こえたことで、我輩、一気に不安が解消される。
「とりあえず、視界を覆っていた魚の残骸は、全てあそこに圧縮しておいたのだ」
「随分すっきりしたし、これなら別の転移陣も探せるかな?」
そう言われて辺りを見渡すと、確かに、今まで以上に視界が広い。先ほどまでも、決して狭い場所だったわけではないのだが、今は、何倍もの広さになって、爛れた肉が丸見えだった。
「にゃ……(おおぅ……)」
さすがの我輩も、この惨状には絶句するしかない。
ただ……そこで、一つだけ、物申すべきことがあると気づく。
「にゃあにゃっ(飼い主っ、巨大魚は、ちゃんと食べられるように残しておいてほしいのだっ)」
我輩、この巨大魚を同胞達に持ち帰るという役目を負っているのだ。爆発させるのは構わないが、それで身がなくなってしまうのは忍びないのだ。
「……そうか、巨大魚はタロの餌か……」
「ケント……タロは凄まじいな」
「うむ……」
懸命に巨大魚保存を訴えれば、飼い主と二号が遠い目をする。
うむ? なぜ、そんな目をするのだ?
我輩、理由が分からずジーッと二人を見上げてみるが、答えてくれる様子はない。と、いうか、我輩から完全に視線を逸らして、何かを探しているようであった。
「うむ、あれだろうか?」
「あれ、だな」
飼い主と二号がうなずき合って見つめる先。そこには、新たな転移陣が一つ、存在していたのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
お待たせしました。
更新……ですけど、これからは、二日に一回くらいのペースで更新していこうと思います。(プロット、まだ不完全ですので)
それでは、また!
0
お気に入りに追加
324
あなたにおすすめの小説
稀代の大賢者は0歳児から暗躍する〜公爵家のご令息は運命に抵抗する〜
撫羽
ファンタジー
ある邸で秘密の会議が開かれていた。
そこに出席している3歳児、王弟殿下の一人息子。実は前世を覚えていた。しかもやり直しの生だった!?
どうしてちびっ子が秘密の会議に出席するような事になっているのか? 何があったのか?
それは生後半年の頃に遡る。
『ばぶぁッ!』と元気な声で目覚めた赤ん坊。
おかしいぞ。確かに俺は刺されて死んだ筈だ。
なのに、目が覚めたら見覚えのある部屋だった。両親が心配そうに見ている。
しかも若い。え? どうなってんだ?
体を起こすと、嫌でも目に入る自分のポヨンとした赤ちゃん体型。マジかよ!?
神がいるなら、0歳児スタートはやめてほしかった。
何故だか分からないけど、人生をやり直す事になった。実は将来、大賢者に選ばれ魔族討伐に出る筈だ。だが、それは避けないといけない。
何故ならそこで、俺は殺されたからだ。
ならば、大賢者に選ばれなければいいじゃん!と、小さな使い魔と一緒に奮闘する。
でも、それなら魔族の問題はどうするんだ?
それも解決してやろうではないか!
小さな胸を張って、根拠もないのに自信満々だ。
今回は初めての0歳児スタートです。
小さな賢者が自分の家族と、大好きな婚約者を守る為に奮闘します。
今度こそ、殺されずに生き残れるのか!?
とは言うものの、全然ハードな内容ではありません。
今回も癒しをお届けできればと思います。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
[完結]婚約破棄されたけど、わたし、あきらめきれません
早稲 アカ
恋愛
公爵令嬢エリエルは、王太子から、突然の婚約破棄を通知されます。
原因は、最近、仲睦まじい男爵令嬢リリアナだと知り、彼女は幼なじみのアンドレに、破棄の解消を依頼するのですが……。
それぞれの人物の思惑が絡んで、物語は予期しない方向へ……。
異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました
おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。
※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。
※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・)
更新はめっちゃ不定期です。
※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
前世の職業で異世界無双~生前SEやってた俺は、異世界で天才魔道士と呼ばれています~(原文版)
大樹寺(だいじゅうじ) ひばごん
ファンタジー
生前SEやってた俺は異世界で… の書籍化前の原文を乗せています。
書籍での変更点を鑑みて、web版と書籍版を分けた方がいいかと思い、それぞれを別に管理することにしました。
興味のある方はどうぞ。
また、「生前SEやってた俺は異世界で…」とは時間軸がかなり異なります。ほぼ別作品と思っていただいた方がいいです。
こちらも続きを上げたいとしは考えていますが、いつになるかははっきりとは分かりません。
切りのいいところまでは仕上げたいと思ってはいるのですが・・・
また、書籍化に伴い該当部分は削除して行きますので、その点はご了承ください。
Let's『錬成』!~初めてのVRMMOで不遇職『錬金術師』やってます♪~
夢・風魔
ファンタジー
初めてプレイするVRMMOに『World Skill Fantasy Online』を選んだ中学三年生の茜。
スキルレベルだけで成長をするというシステムのこのゲームで、彼女は錬金術師を選択した。
『錬成』一つでなんでも出来る!
そんな謳い文句のこの職業。しかし攻撃スキルはなく、ポーションの錬成も生産職のソレと比べると回復量は劣り……。
挙句にホムンクルスはパーティーの経験値配分枠を取ってしまい、邪険にされる始末。
不遇と呼ばれプレイヤー人口の少ない錬金術師を選んだ茜は『チョコ・ミント』としてゲームを楽しむ。
彼女は先入観に捕らわれず、斜め上に向かって錬金術師を楽しむことで──
やがて錬金術師プレイヤーの地位向上に貢献することとなる。
*小説家になろう・カクヨムでも公開中
3秒限界の魔法でホントに大丈夫ですか?
木mori
ファンタジー
「アタシは今テスト中なの。あんたの人生をダメにしに来たわ!!」
「えっ?今なんて言ったんですか?それにこんなところから、いったい誰ですか?」
「誰でもいいわ。馬の骨にもならないプチ細胞で構成された中学生、木賀世和人(きがよかずと)なんかに名乗る名前はないわ。」
3秒しか魔法が使えない咲良カエルは、天界から人間界に降りてきた。果たして悪魔にからだを食われた和人を助けることができるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる