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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇

第五百四十六話 勇者と先代魔王とナージャ様

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「にゃあっ、にゃあっ(飼い主っ、飼い主っ)」

「おぉっ、タロ。会いたかったのだ!」


 扉の外に居たのは飼い主で間違いなかった。我輩、助走をつけて思いっきり飼い主に飛び付くと、ドゴンッという音とともに、飼い主に受け止めてもらう。


「……それは、猫、ですの?」


 と、そんな風に、飼い主との感動の再会を堪能していると、ふいに、聞き慣れない声がした。


「にゃ? (うむ?)」


 そこには、黒髪に紫紺の瞳、紫の尾を持つ、美しい美女が佇んでいた。


「っ、ナージャ様!?」


 その美女を前に、ディアムが珍しく驚いたような声を上げる。


「あら、ディアム。久しぶりですわね?」


 バルディスの知り合い、なのだろうか?


 良く分からないが、もしかしたら彼女もバルディス達と同様に、今は魚人の姿を取っているだけで、本来は魔族なのかもしれない。


「ナージャ様、なぜ、ここに?」

「当然のことを聞かないでもらいたいですわね。もちろん、バル様を捜しにきたに決まっていますでしょう?」

「にゃあっ。……にゃー?(飼い主、会いたかったのだっ。……ところで、飼い主も尾をつけたのだな?)」

「あぁ、やはりタロは可愛いな。うむ、そうなのだ。そうでもしなければ、入国できるような状態ではなかったのでな」


 飼い主の足は、今は黒い鱗を持つ魚の尾になっている。やはり、飼い主達も考えることは同じだったのであろう。


「タロ、私も居るぞ?」

「にゃっ(二号なのだっ)」


 飼い主に良く似たケルトを前に、我輩、嬉しくなる。


 飼い主も二号も居てくれる。バルディスも一緒……とっても幸せなのだ。


 少し前まで感じていた不安の塊が、どんどん溶けていく。今の我輩にあるのは、絶対的な安心感だった。


「さて、とりあえず、お互いに話をまとめようか。バルディスは、どのくらいで戻るのだ?」

「後、一時間ほど経てば、戻る予定」

「うむ、ならば、それまでに話せることは話してしまおうではないか」


 飼い主のその言葉で、我輩達はすぐに動き出す。ディアムがナージャという名のレディとケルト、そして、飼い主に椅子を勧め、我輩はそのうちの飼い主の膝の上を占拠する。


 ここは、誰にも譲らないのだっ。


 最後にディアムが席に着いたことで、これまであったことの説明が始まるのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ナージャ様、そろそろバルディスとの再会が待ち構えております。

はてさて、どうなることやら。

それでは、また!
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