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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇

第五百三十五話 クート伯爵家

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 タロと別れ、ハーレを呼びに行く俺は、これからやろうとしていることを考えて、ため息を溢す。


「難しい、だろうな」


 俺達は、話し合いの中で出てきたハーレの存在に、大きな希望を見いだしていた。

 ハーレ・クート伯爵令嬢。彼女は、令嬢でありながら騎士となった変わり者であり、王の側近として仕える兄、バーム・クートと、研究者として魔法研究科所長を務めるマーレ・クートの妹だ。そのため、権力に目ざとい者達は、ハーレに媚を売るか、邪険に扱うかの二つに分かれる。
 兄のバームは、王の側近であると同時に、今をときめくクート伯爵家当主でもあるため、縁談が後を絶たないという。話によれば、あの巨大魚が居る無の大地は元々クート伯爵領の一部であったらしく、巨大魚が居座ることによって大きな打撃を受けている様子ではあったものの、それでもクート伯爵家は磐石だった。手広く様々な商売を司るクート家は、その程度の打撃で揺らぐことはなく、今もなお、多くの商品を生み出しているという。
 姉のマーレはといえば、魔法研究科所長という、王族、公爵家に次ぐ権力を持つ地位にあり、魔法に関する論文をいくつも発表し、それが国内のみならず、国外でも評価されているという。確かに、俺もマーレ・クートの名は聞き覚えがあった。
 そんな兄姉を持ち、妹であるハーレは腐ってしまうのかと思えば、そんなこともなく、誉れあるボスティア海国の騎士団で五番隊隊長に実力でのしあがった傑物だった。
 そんなとんでもない力を持つクート家は、王からの覚えも良く、この国で彼らに逆らうことは王家に反することだとさえ言われる始末だった。


 だからこそ、協力関係を結びたい。


 今、俺達は不法入国した犯罪者でしかない。しかし、ここにクート家の力が加わり、なおかつフィリア姫救出に成功すれば、ボスティア海国とルビーナ商国の関係改善、ひいては、魔族がフィリア姫を拐ったという汚名返上にもなるはずだった。


 タロをダシにして、何とか関係を築かなければ。


 ラーミアがビーを連れてきてくれたおかげで手に入ったその情報を、無駄にするわけにはいかなかった。
 ハーレに教えてもらった建物の前に着いた俺は、迷わず受付へと泳いでいく。そして……。


「すまないが、ハーレ・クートに取り次ぎを頼みたい」


 まずは、タロの存在を伝える。それを目的に、声を上げるのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


バルディスの思惑はとりあえず判明。

そして……すみません、久々に、プロットが詰まっております。

と、いうか、もしかしたらスランプになりかけてるかも……?

一応、三日間更新をお休みして、頑張ってプロットを練ってみます。

もし、それでも詰まっていたら、近況報告の方で次の再開に向けて書いておきますね。

それでは、また!
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