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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇

第五百三十三話 悲惨な脳筋

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「バルディスぅぅぅぅうっ!!」

「のわぁっ!?」


 我輩、ラーミアと一緒に魚人の姿になって、バルディスの元を目指し……その姿を見つけた途端、全速力で尾を動かしてバルディスに飛びつく。


「バルディスっ、バルディスっ、バルディスっ、バルディスぅぅぅうっ!」

「タ、タロ!? 何事だ!?」

「あらあら、タロはバルディスに会えて嬉しかったんですね」

「って、ラーミアっ!?」


 事態が全く飲み込めないものの、ラーミアの姿を確認したバルディスは一瞬喜び……次の瞬間には、さっと青ざめる。


「……そ、そちらは、どちら様?」


 バルディスの視線の先には、グロッキー状態で浮きかけたものの、ラーミアの『水鎖』によって体を繋ぎ止められた憐れな魚人、ビー兄さんが居る。
 実は、ここに来る道中にも、ビー兄さんは失言を繰り返し、その度にビー兄さんはこの状態になっていたのだ。それを何度も繰り返し見ることとなった我輩としては……もう、バルディスが恋しくて恋しくて仕方がなかった。


「コレについては後で説明しますわ。それよりも、ディアム達はどこです?」

「あ、あぁ、そろそろ戻るはず……来たな」


 キョロキョロと辺りを見渡したバルディスは、一点に視線を固定させる。その方向に視線を向ければ、確かに、ディアム達の姿があった。


「っ、ラーミアっ、無事!?」

「えぇ、無事です」


 ラーミアの姿を見つけた途端、ディアムは急いでこちらに来て、そんな言葉をかける。そして、ホッとしたのも束の間。やはり、ビー兄さんに気づいたディアムは、ビクッとして、ラーミアとビー兄さんを見比べる。


「コレに関しては、後で説明しますわ」


 先ほどバルディスに告げたのと同じことを話していると、マギウス達も揃う。彼らも彼らで、やはるラーミアの無事を喜ぶと同時に、ビー兄さんのことが気になって仕方がないらしく、チラチラとそちらへと視線を向ける。


「……仕方がないですね。ほら、起きなさい。ビー」

「む……うぅ……はっ! 珊瑚畑に、死んだばあちゃんの姿がっ!? って、あれ? ここは……?」

「バカなことを言っていないで、自己紹介してください」

「ん? おぉっ、そうかっ! お前達がラーミアの仲間なんだなっ。俺は、ビー・ストロガノ。ボスティア海国で部隊長という役職を賜っている者だっ」


 にっかりと笑うビー兄さんを前に、バルディス達は、警戒して良いのか分からない様子で、立ち尽くす。


「ビーは、敵ではありませんわよ。ですから、私達に協力してもらいますわ」

「おうっ、ラーミアには助けられたからなっ! 恩返しはしっかりするつもりだっ!」


 未だに『水鎖』で縛られた状態のビー兄さんがそう言うと、バルディス達は一応は、ビー兄さんのことを認めたらしく、各々が自己紹介をしていく。


「うむ、それでは、とりあえず隠れ家に向かうのだっ」


 そうして、我輩達は一度、人気のない場所に出ると、そこから地下に潜るのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


脳筋なビーは、書いてて結構楽しいです。

それでは、また!
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