516 / 574
第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇
第五百十五話 巨大魚との対面
しおりを挟む
水の流れを操ってしまえば、そこに辿り着くのは簡単……だったと思うのだ。
群生した珊瑚の中に突入した我輩は、珊瑚にぶつかっては、それらを折ることを繰り返した。
痛くはないが……ちょっと怖いのだ。
そのため、水の流れを緩やかなものに変えたのは言うまでもない。
そうして、我輩は今……黒い瘴気を纏った壁にぶち当たっていた。
……いや、壁ではなく、魚だということは分かっている。分かっているのだが……大き過ぎて、壁としか思えないのだ。
そう、それは、あまりにも大きな魚の姿だった。
恐らくは百メートル近くある全長の魚を前に、我輩、少しばかり遠い目をする。大きなヒレがヒラヒラと動いているところを見るに、この魚は生きているし、なぜだか、瘴気を集める術も持っているらしい。
こんなに大きな魚……どうすれば、倒せるのであろうか?
あまりにも大き過ぎて、攻撃が通るのかどうかも怪しい。
タコの時も、苦戦したのだ。
タコの場合は、あのぬめりを取ることで何とかなったが、この魚の場合はどうだか分からない。
とりあえず、攻撃を……うむ?
小手調べとして、『ガリガリプラス』でも食らわせてみようかと考えていると……魚と、目が合った。
「に、にゃあ(こ、こんにちわなのだ)」
何となく、不味い気がして、我輩、挨拶をする。すると……魚の口が、大きく開いた。
「にゃっ、にゃあぁぁあっ(うわっ、うわぁぁぁぁあっ)」
開いた衝撃によって、我輩、そこで生まれた水の流れに呑み込まれ、魚の口の中へと誘導されてしまう。
「にゃあっ(水の流れを支配しなければっ)」
とっさにそれが分かったのは、我輩にしては良くやったといったところだろう。しかし……。
「にゃあぁぁあっ(どっちなのだぁぁあっ)」
クルクルと回りながら呑み込まれている我輩に、方向感覚はない。どっちに流されているのかなんて、全くもって不明だ。一か八かで、我輩、ある一つの方向に水流を向けたのだが……。
バクンッ。
その直後、我輩の視界は、真っ暗になってしまうのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ラーミアに続いて、タロまでも食べられてしまいました。
さぁ、どうなる、タロ?
それでは、また!
群生した珊瑚の中に突入した我輩は、珊瑚にぶつかっては、それらを折ることを繰り返した。
痛くはないが……ちょっと怖いのだ。
そのため、水の流れを緩やかなものに変えたのは言うまでもない。
そうして、我輩は今……黒い瘴気を纏った壁にぶち当たっていた。
……いや、壁ではなく、魚だということは分かっている。分かっているのだが……大き過ぎて、壁としか思えないのだ。
そう、それは、あまりにも大きな魚の姿だった。
恐らくは百メートル近くある全長の魚を前に、我輩、少しばかり遠い目をする。大きなヒレがヒラヒラと動いているところを見るに、この魚は生きているし、なぜだか、瘴気を集める術も持っているらしい。
こんなに大きな魚……どうすれば、倒せるのであろうか?
あまりにも大き過ぎて、攻撃が通るのかどうかも怪しい。
タコの時も、苦戦したのだ。
タコの場合は、あのぬめりを取ることで何とかなったが、この魚の場合はどうだか分からない。
とりあえず、攻撃を……うむ?
小手調べとして、『ガリガリプラス』でも食らわせてみようかと考えていると……魚と、目が合った。
「に、にゃあ(こ、こんにちわなのだ)」
何となく、不味い気がして、我輩、挨拶をする。すると……魚の口が、大きく開いた。
「にゃっ、にゃあぁぁあっ(うわっ、うわぁぁぁぁあっ)」
開いた衝撃によって、我輩、そこで生まれた水の流れに呑み込まれ、魚の口の中へと誘導されてしまう。
「にゃあっ(水の流れを支配しなければっ)」
とっさにそれが分かったのは、我輩にしては良くやったといったところだろう。しかし……。
「にゃあぁぁあっ(どっちなのだぁぁあっ)」
クルクルと回りながら呑み込まれている我輩に、方向感覚はない。どっちに流されているのかなんて、全くもって不明だ。一か八かで、我輩、ある一つの方向に水流を向けたのだが……。
バクンッ。
その直後、我輩の視界は、真っ暗になってしまうのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ラーミアに続いて、タロまでも食べられてしまいました。
さぁ、どうなる、タロ?
それでは、また!
0
お気に入りに追加
324
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。
武雅
ファンタジー
この世界では8歳になると教会で女神からギフトを授かる。
人口約1000人程の田舎の村、そこでそこそこ裕福な家の3男として生まれたファインは8歳の誕生に教会でギフトを授かるも、授かったギフトは【器用貧乏】
前例の無いギフトに困惑する司祭や両親は貧乏と言う言葉が入っていることから、将来貧乏になったり、周りも貧乏にすると思い込み成人とみなされる15歳になったら家を、村を出て行くようファインに伝える。
そんな時、前世では本間勝彦と名乗り、上司と飲み入った帰り、駅の階段で足を滑らし転げ落ちて死亡した記憶がよみがえる。
そして15歳まであと7年、異世界で生きていくために冒険者となると決め、修行を続けやがて冒険者になる為村を出る。
様々な人と出会い、冒険し、転生した世界を器用貧乏なのに器用貧乏にならない様生きていく。
村を出て冒険者となったその先は…。
※しばらくの間(2021年6月末頃まで)毎日投稿いたします。
よろしくお願いいたします。
続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜
ぽん
ファンタジー
⭐︎書籍化決定⭐︎
『拾ってたものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜』
第2巻:2024年5月20日(月)に各書店に発送されます。
書籍化される[106話]まで引き下げレンタル版と差し替えさせて頂きます。
第1巻:2023年12月〜
改稿を入れて読みやすくなっております。
是非♪
==================
1人ぼっちだった相沢庵は小さな子狼に気に入られ、共に異世界に送られた。
絶対神リュオンが求めたのは2人で自由に生きる事。
前作でダークエルフの脅威に触れた世界は各地で起こっている不可解な事に憂慮し始めた。
そんな中、異世界にて様々な出会いをし家族を得たイオリはリュオンの願い通り自由に生きていく。
まだ、読んでらっしゃらない方は先に『拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜』をご覧下さい。
前作に続き、のんびりと投稿してまいります。
気長なお付き合いを願います。
よろしくお願いします。
※念の為R15にしています。
※誤字脱字が存在する可能性か高いです。
苦笑いで許して下さい。
転生して異世界の第7王子に生まれ変わったが、魔力が0で無能者と言われ、僻地に追放されたので自由に生きる。
黒ハット
ファンタジー
ヤクザだった大宅宗一35歳は死んで記憶を持ったまま異世界の第7王子に転生する。魔力が0で魔法を使えないので、無能者と言われて王族の籍を抜かれ僻地の領主に追放される。魔法を使える事が分かって2回目の人生は前世の知識と魔法を使って領地を発展させながら自由に生きるつもりだったが、波乱万丈の人生を送る事になる
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ
さとう
ファンタジー
書籍1~8巻好評発売中!
コミカライズ連載中! コミックス1~3巻発売決定!
ビッグバロッグ王国・大貴族エストレイヤ家次男の少年アシュト。
魔法適正『植物』という微妙でハズレな魔法属性で将軍一家に相応しくないとされ、両親から見放されてしまう。
そして、優秀な将軍の兄、将来を期待された魔法師の妹と比較され、将来を誓い合った幼馴染は兄の婚約者になってしまい……アシュトはもう家にいることができず、十八歳で未開の大地オーベルシュタインの領主になる。
一人、森で暮らそうとするアシュトの元に、希少な種族たちが次々と集まり、やがて大きな村となり……ハズレ属性と思われた『植物』魔法は、未開の地での生活には欠かせない魔法だった!
これは、植物魔法師アシュトが、未開の地オーベルシュタインで仲間たちと共に過ごすスローライフ物語。
勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした
赤白玉ゆずる
ファンタジー
【10/23コミカライズ開始!】
『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました!
颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。
【第2巻が発売されました!】
今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです!
素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。
【ストーリー紹介】
幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。
そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。
養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。
だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。
『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。
貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。
『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。
『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。
どん底だった主人公が一発逆転する物語です。
※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる