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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇
第四百九十七話 腕輪
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我輩、何やらニタニタと嫌な笑いを浮かべて、ディアム達を嘲るそいつに、思いっきりガリガリを浴びせて振り返る。ディアム達は、なぜか元の姿に戻っており、我輩のプリティなボディに釘付けであった。
「にゃっ(今、助けるのだっ)」
とりあえずは、檻の破壊からなのだ。
「にゃおーんっ! (猫流奥義、ガリガリプラスっ!)」
我輩の爪は、今日も威力抜群なのだ。石で作られたらしい牢屋は、我輩の爪に耐えきれず、バラバラと壊れていく。二回ほど、ガリガリプラスをお見舞いすれば、ディアム達が十分通れるだけのスペースが確保できた。
「にゃっ(これで良し、なのだっ)」
檻を破壊すれば、ディアム達はゾロゾロと檻から出てくる。ディアム、ロギー、ヨナの三人が揃っているのを眺めて、我輩、他の三人はどこであろうかと首をかしげる。
「タロ、これも破壊、できる?」
「にゃ? (うむ?)」
そうして差し出されたのは、ディアムの腕。そして、そこには見覚えのない腕輪が嵌め込まれており、どうやら、それを破壊してほしいらしかった。
「にゃあっ(できるのだっ)」
このくらいなら、我輩のガリガリで軽く砕けるはずなのだ。……傷を負わせないようにというのは難しいが、それも何とかなるであろう。
「にゃ。にゃおーんっ! (『結界』。猫流奥義、ガリガリっ!)」
とりあえず、ディアムの腕を『結界』で守りつつ、ガリガリを発動させれば、腕輪はバラバラと砕け散る。
「ロギーとヨナも、頼む」
「にゃっ(頼まれたのだっ)」
そうして、我輩、ロギーとヨナの腕にもあったその腕輪を破壊する。
「さて……タロ、海に潜るのに必要な腕輪、見ていない?」
「にゃ……にゃあ? (腕輪……これのことなのか?)」
言われてみれば、ディアム達の腕には、見慣れない腕輪しかなかった。海に潜るのに必要な腕輪がどこにも見当たらない。
「にゃー? (どこにいったのだ?)」
「恐らく、ここに運び込まれた際に奪われた。あれがないと、脱出できない」
言われて初めて、我輩、外が水の中であることを思い出す。確かに、腕輪がなければ、水の中を移動するのは難しいだろう。
「俺が探す。タロの腕輪、貸してくれないか?」
そして、そう言われた瞬間、我輩の頭の中には、水への恐怖とディアムからの頼みごとを無下にできないという思いとがせめぎ合い……。
「みにゃあ……(早く、帰ってきてほしいのだ……)」
我輩、涙目で、ディアムに腕輪を差し出すのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
タロが探すよりも、隠密部隊隊長のディアムが探した方が早く見つかるとはいえ……タロは、怖いでしょうね。
それでは、また!
「にゃっ(今、助けるのだっ)」
とりあえずは、檻の破壊からなのだ。
「にゃおーんっ! (猫流奥義、ガリガリプラスっ!)」
我輩の爪は、今日も威力抜群なのだ。石で作られたらしい牢屋は、我輩の爪に耐えきれず、バラバラと壊れていく。二回ほど、ガリガリプラスをお見舞いすれば、ディアム達が十分通れるだけのスペースが確保できた。
「にゃっ(これで良し、なのだっ)」
檻を破壊すれば、ディアム達はゾロゾロと檻から出てくる。ディアム、ロギー、ヨナの三人が揃っているのを眺めて、我輩、他の三人はどこであろうかと首をかしげる。
「タロ、これも破壊、できる?」
「にゃ? (うむ?)」
そうして差し出されたのは、ディアムの腕。そして、そこには見覚えのない腕輪が嵌め込まれており、どうやら、それを破壊してほしいらしかった。
「にゃあっ(できるのだっ)」
このくらいなら、我輩のガリガリで軽く砕けるはずなのだ。……傷を負わせないようにというのは難しいが、それも何とかなるであろう。
「にゃ。にゃおーんっ! (『結界』。猫流奥義、ガリガリっ!)」
とりあえず、ディアムの腕を『結界』で守りつつ、ガリガリを発動させれば、腕輪はバラバラと砕け散る。
「ロギーとヨナも、頼む」
「にゃっ(頼まれたのだっ)」
そうして、我輩、ロギーとヨナの腕にもあったその腕輪を破壊する。
「さて……タロ、海に潜るのに必要な腕輪、見ていない?」
「にゃ……にゃあ? (腕輪……これのことなのか?)」
言われてみれば、ディアム達の腕には、見慣れない腕輪しかなかった。海に潜るのに必要な腕輪がどこにも見当たらない。
「にゃー? (どこにいったのだ?)」
「恐らく、ここに運び込まれた際に奪われた。あれがないと、脱出できない」
言われて初めて、我輩、外が水の中であることを思い出す。確かに、腕輪がなければ、水の中を移動するのは難しいだろう。
「俺が探す。タロの腕輪、貸してくれないか?」
そして、そう言われた瞬間、我輩の頭の中には、水への恐怖とディアムからの頼みごとを無下にできないという思いとがせめぎ合い……。
「みにゃあ……(早く、帰ってきてほしいのだ……)」
我輩、涙目で、ディアムに腕輪を差し出すのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
タロが探すよりも、隠密部隊隊長のディアムが探した方が早く見つかるとはいえ……タロは、怖いでしょうね。
それでは、また!
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