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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇

第四百五十九話 姿の自覚

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 とりあえず、造船所の職員に、船の購入取引は行っておいた。資金源はもちろん、セイクリア教国でもらった財宝からだ。
 からかわれたのだと知った男は、しばらくうなだれていたものの、偏見で俺達を見た自分が悪いことも理解していて、少しばかり船の料金を安くしてくれたりもした。納品は、現在船を使う者が居なくて、ほとんどできかけのものがあるため、三日後になるそうだ。


「助かりましたわ。バル」

「いや、俺も楽しませてもらったからな」

「大丈夫、俺達、この姿、板についてきた」


 最後のディアムの言葉に、俺もラーミアもズンッと落ち込む。


「にゃ? (うむ?)」


 憎らしいことに、全ての元凶はまるで無自覚だ。


「……にゃあ? (……ところで、これからどうするのだ?)」


 俺達の空気を察したわけではないだろうが、タロの言葉に、俺は気を取り直して応える。


「基本は、さっきと変わらず情報収集だが……物資の調達は、ラーミア一人でも大丈夫か?」

「むしろ、バル達が一緒の方が厄介事になりそうですよ。そろそろ、その顔が凶器なことを自覚してください」

「ぐっ」


 確かに、今歩いていても、俺の側にだけは人が寄ってこない。と、いうより、かなり避けられている。これはこれで歩きやすいと考えるべきかもしれないが、それは慰めのような気がして悲しかった。


「バル、無理。俺、大丈夫」

「……ディアムも、変質者にしか見えない自覚を持ちましょうね?」

「? この姿、格好いい」


 そして、未だに自身の姿を気に入っているディアムが幸せそうで、何だか羨ましいような、そうはなりたくないような不思議な気分だ。ラーミアも、苦虫を噛み潰したような表情になってしまっている。


「とにかく、バルとディアムは情報収集の方をお願いしますわ。私は、物資の調達に向かいますので」

「分かった」

「承知」


 ラーミアと別れた俺達は、再び情報収集へと戻る。すると……。


「にゃ? (うむ?)」

「ん? どうした? タロ?」


 おもむろに、タロが耳をピンっと立てて一つの方向を直視する。


「……にゃー(……『邪神の眼』の情報を見つけたかもなのだ)」


 そう言ったタロは、ちょうどルビーナ商国とボスティア海国の間に、それがある可能性を示唆するのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


フィリアの情報は得られず、『邪神の眼』らしき情報の方が得られてしまったタロ。

今は飼い主は居ない。

さぁ、どうする?

それでは、また!
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