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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇

第四百五十五話 少女との会話

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「お願いします。どうかっ、どうかっ!」

「すまないが、嬢ちゃんの期待には答えられねぇ。他を当たってくれや」


 そう言って男が立ち去るのを見ると、野次馬となっていた人々もどんどん周りから居なくなっていく。残されたのは、おさげの髪の少女のみ。彼女は、しばらくそこでうずくまっていた。


「にゃ(バルディス)」

「あぁ、行ってみるか」


 我輩の促す声に、バルディスは我輩を抱き上げて歩き出す。そうして、少女背後まで来ると、バルディスは軽くしゃがみ込み、声をかけた。


「すまないが、ちょっと聞いても良いか?」

「ふぇ? っ、ひぃっ!」


 ただ、なぜか少女の反応は、恐怖に引きつったような表情を浮かべるというものだった。


「あ、ああ、あのっ、わ、私、お金は持ってませんっ!」

「ん? いや、別に金を取ろうってつもりはないんだが……」

「す、すみませんっ、すみませんっ、そ、そうだっ、こ、これなら価値があると思いますのでっ、どうか、どうかっ、見逃してくださいっ」

「おい?」


 真っ青になって何度も謝罪をしてくる少女に、バルディスはかなり困惑している様子であった。


「にゃあ? (何をしたのだ?)」

「何もしてないだろうがっ」

「ひぃぃいっ、すみませんすみませんすみませんっ」

「あぁっ、いや、あなたに言ったわけじゃないんだっ」


 なぜか、少女は怯えきった様子でプルプルと震える。
 これでは埒があかない。そう思ったのは、何も我輩だけではなかったようだ。


「バルディス、その子、バルディスの姿を見て怯えてるんだよ」

「何? ……あぁ、そういうことか」


 途端に遠い目をしたバルディスに、我輩、首をかしげる。


 バルディスの言う通り、渋い感じになってるはずなのだ。飼い主が、こういう感じが渋い男だと教えてくれたのだから、間違ってはいないはずなのだ。


「と、いうわけで、僕が交渉するよ」

「頼む」


 バルディスが頼めば、マギウスは得意げに微笑んで少女の側に向かう。


「ねぇ、君、この人は、顔こそ怖いけど、危険な人じゃないよ?」

「っ……天使、様?」


 そして、今度はマギウスを見て、少女はボーっとしてしまう。


「いや、天使じゃないんだけど……」

「天使様っ、助けてくださいっ! 私、怖い人に襲われそうになっててっ」

「いや、落ち着いて? この人は僕の、えーっと……友達? だし?」

「ひっ、天使様が騙されてる!?」

「いや、騙されてはいないんだけど……」

「あぁっ、私の運命も今日、ここまでなのね。ごめんなさい、フィリア、私、あなたを助けに行けないわ」


 どこか達観した様子の少女を説得するのに、我輩達は一時間ほどを要するのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


イロモノ集団による説得の続き。

ロギーの場合……『ひぃっ、犯される!』

ラーミアの場合……『やぁんっ、可愛い子でちゅねー』

ディアムの場合……『いやぁぁあっ、変質者が居るぅぅうっ』

となったとか?

それでは、また!
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