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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇

第四百五十話 魚ぁ

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 ふむふむ、ここはとても長閑なのだな。


 我輩、現在、ルビーナ商国の端の方にある場所だという村をテクテクと歩いている。バルディスの話では、もうちょっと先に進めば港町が多くなって、美味しい魚が食べられるとのことで、我輩、とっても楽しみなのだ。


「にゃーっ(おっ、あそこに居るのは同胞っ)」


 しばらく歩いていると、我輩の進む先に、何やら丸っこい同胞を見つける。


「にゃーっ(おーいっ)」

「ぷにゃー? (にゃんだー?)」


 呼び掛けてみると、黄色の毛を纏った同胞は伸びやかに返事をする。


「にゃ(初めましてなのだ)」

「ぷんにゃ(うにゃ)」


 黄色の同胞は、駆け寄った我輩の言葉に、大きくうなずく。


「にゃにゃあ。にゃ? (その、ここは魚が美味しいと聞いたのだ。おすすめは何かないであろうか?)」


 今は、特に聞かなければいけないことはない。と、いうより、情報が断片的過ぎて、何も聞けないので、我輩、自分の欲望を優先させる。


「ぷにゃ……(魚……)」


 と、その時、黄色の同胞の目の色が変わる。


「ぷにゃあぁぁぁぁあっ!! (魚ぁぁぁぁぁあっ!!)」

「ふにゃあっ!? (何事っ!?)」


 突然叫び声を上げた同胞に、我輩、ビクゥッと全身の毛を逆立てる。すると……。


「にゃ……(魚……)」

「みぃ……(魚ぁ……)」


 どこからともなく、ゾンビのように生気をなくした同胞達がチラホラと現れる。


「に、にゃ? (な、何事なのだ?)」


 同胞達の目は、恐ろしく血走っていて、我輩、怖くて怖くて仕方がない。


「ぷにゃあぁぁあっ!! (魚ぁぁぁあっ!!)」


 と、また黄色の同胞が叫ぶと、周りに居た同胞達が一斉に我輩へと襲いかかってくる。それも、口々に『魚』『魚』と叫びながら。


「ふにゃあぁっ!? (何事なのだぁっ!?)」


 恐ろしい形相の同胞達を前に、我輩、とにかく戦略的撤退を強いられる。


「ぷにゃ、ぷにゃあっ(魚、魚ぁっ)」

「みー(魚ー)」

「にゃにゃにゃにゃにゃ(魚魚魚魚魚魚)」


 同胞達の尋常ならざる状態に、そして、どんどん増えていく追っ手の数に、我輩、涙目でとにかく逃げ続けるのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


タロはどうやら、随分怖い思いをした様子。

こうなっている原因は、もうちょっとしたら判明する予定です。

それでは、また!
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