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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇

第四百四十七話 ルビーナ商国での冤罪

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「にゃっにゃー、にゃっにゃー(さっかなー、さっかなー)」

「タロはご機嫌ですね」

「あぁ、どうも、魚が楽しみらしい」

「納得」

「あぁ、そういえば、港町があるんだったっけ」


 今、我輩はバルディスの腕の中で、とってもご機嫌なのだ。それもこれも、これから行くルビーナ商国は、港がある国で、美味しい魚がたくさんあると聞いたからなのだ。御者をロギーに任せた馬車で、ガタゴトと揺られながら、我輩、ルンルン気分なのだ。


「さて、次の国ではどんな冤罪が待っているのでしょうね」

「……冤罪が待っていないという選択肢はないのか?」

「……ここまで来ると、冤罪がない方が不思議じゃない?」


 ラーミアとマギウスに容赦なく言われて、バルディスはうなだれる。


「バル……ドンマイ」

「慰めてないよな、それっ」


 ディアムの言葉に精一杯反論するバルディスだったが、我輩も、ラーミア達の意見には賛成なのだ。ここまで来て、冤罪がないとなると、拍子抜けも良いところなのだ。


「こんなことなら、やはりアグニを待つべきだったか?」

「にゃーにゃ? (本当に冤罪があれば、それを晴らすべきなのではないだろうか?)」

「……それを言われると、反論の余地もないんだよな……」


 悲しそうな様子のバルディスを前に、その冤罪が大事でないことを祈ったのが、昨日のこと。
 今日、とうとうルビーナ商国の端の村へと辿り着いた我輩達は、そこでとんでもない冤罪がバルディスを含めた魔族にかかっていることを知る。


「ルビーナ商国ではボスティア海国の姫が、魔王に拐われたと思われてて……ボスティア海国では、ルビーナ商国に誘拐されたと思われてるって……ドロドロじゃないかっ!」


 ひとまず取った宿屋で、バルディスは盛大に嘆く。


「……バル、本当に、呪われてない?」

「にゃー(呪われてはいないのだ)」


 ディアムの懐疑的な言葉に、我輩、とりあえず否定しておく。しかし、もちろんディアムには我輩の言葉は分からないため、ディアムはじっとバルディスを眺めている。


「呪われてはいない、らしい。なんで、こんなことに……」


 さすがに、行く先々の国で冤罪をかけられれば、嘆きたくもなるだろう。


「今回は、ボスティア海国の姫君救出が主な活動内容になりそうですね」

「むぅ、情報集めが大変そうだな」

「そういえば、そろそろ変装した方が良いんじゃないの?」


 そう言われて、我輩達、そろそろ変装をしておかないと、ファルシス魔国に近いこの場所では身バレするかもしれないと話していたことを思い出す。


「にゃっ(任せるのだっ)」

「「「「不安しかない(な)(です)」」」」


 胸を張って応える我輩に、なぜか、マギウスを除く全員から失礼な言葉をもらうのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


さぁ、タロの幻術による変装はどうなるのかっ!

明日は、とっても楽しく書けそうです。

それでは、また!
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