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第四章 騒乱のカレッタ小王国
第四百三十八話 バースを守れ!
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怪しい男達は五人で、バースが居る場所へとゾロゾロ向かう。我輩達も、ソロソロと後をつける。何が話されるのか、我輩、興味津々なのだ。
一応拓けた部屋(?)らしき場所に到着した彼らは、喜色を浮かべるバースの前に立つ。
「良かった! あなた方が来たということは、私の亡命の手助けをしていただけるんですねっ?」
それに対して、男達は何一つ話さない。
《むぅ、これは不味いのだ》
《確かに》
ワクワクドキドキで話し合いの場を見守っていると、なぜか飼い主と二号から『念話』が入る。
何が不味いのだ?
そう思った直後だった。男の一人が、刃物を片手に一瞬にしてバースの元まで距離を詰めたのは。
「っ!?」
《『結界』なのだ》
ガキィンッという音とともに、男が持った短剣らしきものが弾かれる。
「チィッ」
「な、ななな」
腰を抜かしたバースを目の前に、男は盛大に舌打ちする。
「おいっ、手伝え」
「あぁ」
「おう」
それぞれに返事をしながら、彼らは『結界』を壊すべく、魔法で攻撃を始める。そんな魔法ごときで、飼い主の『結界』が揺らぐはずもないのだが、バースが『結界』を張ったと思っている男達は、どんどん攻撃を加えていく。
《ふむ、『防音結界』も張ってあるようなのだ》
《そろそろ助けるか?》
《にゃっ! (助けるのだっ!)》
顔面蒼白で、それでも攻撃の嵐から目を逸らせない様子のバースは、もはや言葉も紡げないくらいに震え上がっている。ここで助けないというのは、紳士として間違っているのだ。
「にゃおーんっ!! (猫流奥義、ガリガリっ!!)」
とりあえずは、我輩が駆け出して男達を背後から強襲する。
「おわっ、猫っ!?」
「いてっ、いたたっ! は、離せっ!」
「おいっ、集中を切らすな!」
「攻撃は続けるぞ!」
一人の顔面に向かってガリッと爪を立てるものの、我輩のことなど脅威とも思っていないかのような対応だった。しかし……。
「『光槍』」
「『闇槍』」
「「「!?!!?」」」
飼い主と二号の攻撃に、男達は目を剥いてその場から離脱する。
バースを守る『結界』の手前に落ちた『光槍』と『闇槍』は、男達と……ついでに我輩も巻き込んで大爆発を巻き起こす。
「ぐあぁっ」
「ぎゃっ」
「ぐごっ」
「ぐっ」
「ぬあぁっ」
男達の声が響く中、我輩も吹き飛ばされながら声を上げる。
「ふにゃあぁぁぁあっ!? (何で、我輩もぉぉぉおっ!?)」
「ふむ、風通しが良くなったか?」
「あぁ、地面には気をつけないといけないかもしれないがな」
爆風で壁を壊し、地面に大穴を開けた二人は、お互いに呑気な言葉を発している。
「にゃあっ、にゃあっ! (飼い主っ、二号っ!)」
「うむ、飛んでいくタロも可愛かったのだ」
「あぁ、驚いた様子が良かったな」
しっかり抗議をしようと思って二人に駆け寄った我輩だったが、飼い主に抱き上げられ、二号に頭を撫でられるとまんざらでもない。
「にゃあっ(特製ツナで許すのだ)」
「うむ、分かったのだ」
特製ツナを食べる約束を取りつけた我輩は、そこでようやく、男達を確認するということを思い出すのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回は戦闘回。
タロ、吹き飛ばされる率が高いような……?
そして、特製ツナで簡単に許してしまえるところが、タロらしいです。
それでは、また!
一応拓けた部屋(?)らしき場所に到着した彼らは、喜色を浮かべるバースの前に立つ。
「良かった! あなた方が来たということは、私の亡命の手助けをしていただけるんですねっ?」
それに対して、男達は何一つ話さない。
《むぅ、これは不味いのだ》
《確かに》
ワクワクドキドキで話し合いの場を見守っていると、なぜか飼い主と二号から『念話』が入る。
何が不味いのだ?
そう思った直後だった。男の一人が、刃物を片手に一瞬にしてバースの元まで距離を詰めたのは。
「っ!?」
《『結界』なのだ》
ガキィンッという音とともに、男が持った短剣らしきものが弾かれる。
「チィッ」
「な、ななな」
腰を抜かしたバースを目の前に、男は盛大に舌打ちする。
「おいっ、手伝え」
「あぁ」
「おう」
それぞれに返事をしながら、彼らは『結界』を壊すべく、魔法で攻撃を始める。そんな魔法ごときで、飼い主の『結界』が揺らぐはずもないのだが、バースが『結界』を張ったと思っている男達は、どんどん攻撃を加えていく。
《ふむ、『防音結界』も張ってあるようなのだ》
《そろそろ助けるか?》
《にゃっ! (助けるのだっ!)》
顔面蒼白で、それでも攻撃の嵐から目を逸らせない様子のバースは、もはや言葉も紡げないくらいに震え上がっている。ここで助けないというのは、紳士として間違っているのだ。
「にゃおーんっ!! (猫流奥義、ガリガリっ!!)」
とりあえずは、我輩が駆け出して男達を背後から強襲する。
「おわっ、猫っ!?」
「いてっ、いたたっ! は、離せっ!」
「おいっ、集中を切らすな!」
「攻撃は続けるぞ!」
一人の顔面に向かってガリッと爪を立てるものの、我輩のことなど脅威とも思っていないかのような対応だった。しかし……。
「『光槍』」
「『闇槍』」
「「「!?!!?」」」
飼い主と二号の攻撃に、男達は目を剥いてその場から離脱する。
バースを守る『結界』の手前に落ちた『光槍』と『闇槍』は、男達と……ついでに我輩も巻き込んで大爆発を巻き起こす。
「ぐあぁっ」
「ぎゃっ」
「ぐごっ」
「ぐっ」
「ぬあぁっ」
男達の声が響く中、我輩も吹き飛ばされながら声を上げる。
「ふにゃあぁぁぁあっ!? (何で、我輩もぉぉぉおっ!?)」
「ふむ、風通しが良くなったか?」
「あぁ、地面には気をつけないといけないかもしれないがな」
爆風で壁を壊し、地面に大穴を開けた二人は、お互いに呑気な言葉を発している。
「にゃあっ、にゃあっ! (飼い主っ、二号っ!)」
「うむ、飛んでいくタロも可愛かったのだ」
「あぁ、驚いた様子が良かったな」
しっかり抗議をしようと思って二人に駆け寄った我輩だったが、飼い主に抱き上げられ、二号に頭を撫でられるとまんざらでもない。
「にゃあっ(特製ツナで許すのだ)」
「うむ、分かったのだ」
特製ツナを食べる約束を取りつけた我輩は、そこでようやく、男達を確認するということを思い出すのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回は戦闘回。
タロ、吹き飛ばされる率が高いような……?
そして、特製ツナで簡単に許してしまえるところが、タロらしいです。
それでは、また!
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