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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第四百十五話 リャンクーとの話(三)

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「父さんっ!」

「リャンクー!?」


 案内された広間には、呼び出されたのであろうラダ族が大勢居た。どこもかしこも桃色の角と髪で、何だか色合いの違う俺達は居心地が悪い。
 リャンクーが駆け寄ったのは、桃色の角と桃色の髪、桃色の瞳を持つ、美女、にしか見えない青年。恐らくは彼が、族長なのだろう。


「すまない。私のせいで、辛い思いをさせた」

「父さんっ、良かった。無事で、本当に……」


 抱き合う彼らを前に、俺達はとにかく待つ。俺達の用事は、何もリャンクーを助けることだけではない。俺達の当初の目的は、王妃達の行方を追うことだ。このリャンクーが何か知っているのであれば、とにかく少しでも情報がほしいところだった。


「私を父の元まで連れてきてくださり、ありがとうございます」


 しばらく待っていると、ようやく落ち着いたのか、リャンクーは俺達に向き合って頭を下げてくる。


「礼はいらない。それよりも、俺達はリャンクーが持っているかもしれない情報がほしい」

「私が応えられることなら何でも聞いてください」


 そう言われ、俺達は王妃達のことを尋ねてみる。それぞれの外見的特徴も含めて話せば、リャンクーは何か心当たりがあるようだった。


「ここから東に行ったところに、人間や獣人達を檻に入れている連中が居たんですが、そこに、そんな獣人達を見たような気がします」

「それは、いつ見たんだ?」

「昨日の夜です」


 その言葉に、俺達は顔を見合わせて確信する。
 昨日の夜ならば、王妃達が誘拐された後だ。十分に可能性はある。


「すまないが、場所を教えてもらいたい。案内はさすがにさせられないからな」


 監視を撒いたとはいえ、いつ見つかるか分からない。そんな中で、リャンクーを連れ出すことはできなかった。俺は、アグニにもらった地図を取り出して、リャンクーにその場所へ印をつけてもらう。


「その、私は、ミルテナ帝国の関係者ということで出入りできましたが、あなた方はそういうわけにはいきません。どうか、お気をつけて」

「あぁ」

「えぇ、もちろんです」

「大丈夫」


 潜入しなければならないことなど、当初の予定通りだ。だから、リャンクーの言葉に俺達はすぐに応える。


「後から、また何か聞くことがあるかもしれないが、大丈夫だろうか?」

「はい。恐らくは、しばらくここに滞在することになりそうですので。……もし私達が居なくとも、アグニ様ならば『転移』で我々の元へ迎えます」


 俺達の質問に答えたリャンクーは、それはそれは嬉しそうに話す。


「分かった。それじゃあ、また会おう」


 そうして、俺達はリャンクー達と別れて、今頃街中を散策しているであろうロギーとマギウスの回収に向かうのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ぞ、族長の名前、結局出せませんでした。

まぁ、ちょい役だからこれでも良いかな?

それでは、また!
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