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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第三百九十八話 酒の席で(三)

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 ケントを紹介すると約束したからには、今度は俺達が尋ねる番だ。


「それで? 『心術』使いの情報と、ミルテナ帝国の情報はもらえるんだろうな?」

「もちろんだ」


 多分、神妙な表情を作ったらしいアグニは、そのまま話し始める。


「どちらを先に知りたい? 一つは勇者を紹介してもらった後に話したい」

「……なら、『心術』使いについてだ」


 ラーミア達と目配せして、どちらの情報を優先するか確認した俺は、『心術』使いの情報を求める。


「この国で『心術』を使っているのは、ラダ族の族長の一人息子だ」


 そして、その情報を聞いて、俺は頭が痛くなる。ただでさえ、魔族の評判が悪いところに、魔族が原因でこの国の王族が危険にさらされたとなれば、戦争に発展しかねない。


「ラダ族は、隠れているんじゃなかったのか?」

「そうなんだがなぁ……ミルテナ帝国の人間に見つかって、族長が人質に取られちまったんだ」

「……おい、守護者」

「そう睨むなって、もう、族長の解放はできたんだから。……まぁ、まだ息子は知らないがなっ」


 ハッハッハと笑うアグニに、俺はため息を吐きたくなるのをぐっと我慢する。


「『メモリークラッシャー』、女。別人?」

「そうなるかもな」

「ん? いや、その一人息子が『メモリークラッシャー』で間違いないぞ?」


 ロギーからあらかじめ聞いていた情報を思い返してディアムが発言したのだが、アグニはそれを否定する。


「その一人息子は、女装の趣味でもあるのか?」

「そういう文化だ」


 冗談のつもりで尋ねた俺は、即答されて、しばし言葉を失う。


「ラダ族は、男も女も、二百歳までは自分の性別と逆の装いをするという風習がある。族長の息子は、まだ百二十歳前後くらいだったから、十中八九女装してるだろうな」


 どうやら、『メモリークラッシャー』はその族長の息子で間違いないらしい。
 さらに詳しく話を聞けば、そいつは族長を人質に取られて嫌々ながら協力している状況らしい。しかも、仲間との連絡は取れないように、ずっと監視がついていると。


「そこまで分かっているなら、なぜ助けない?」

「いやぁ、それがなぁ……俺、暴れると幻術を保ってられないんだわ」


 つまりは、正体が露見するから、助けに向かえないと。


「……情報をもらっていながら、利用されているような気がするんだが?」

「けど、お前だってこのままにはしておけないだろう? 魔王なんだし」

「まぁ、な」


 釈然としないながらも、俺は族長の一人息子、リャンクーの情報を引き出していくのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ね、眠い……。

ちょっとうとうとしながら書いたので、もし、誤字脱字があれば、後で修正しますね。

それでは、また!
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