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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第三百六十三話 お城へゴー!

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 フルルを城に送ることが決まった直後、ケントは、タロを連れてきて、一緒に城へ向かうと言い出した。何でも、タロを王に紹介しておきたいらしい。


「まぁ、タロが大人しくしているのであれば構わないと思うが……」


 どことなく不安ではあるが、紹介したいというのを阻む理由もない。すぐに、合流場所として決めていた場所に向かい、タロ達を回収すると、俺とケント、タロとフルルというメンバーで城へ向かうこととなった。


「ふむ、それでは行くのだ。『転移』」


 その瞬間、周囲の景色が一変する。


「っ、何者っ……って、勇者様!? またですか!?」


 ただし、出た場所は、どう見ても普通の場所ではない。玉座があり、赤いカーペットが敷かれたその場所は……予想が外れていなければ、謁見の間で間違いない。しかも、王はその玉座に腰かけて、俺達の背後に居る者と謁見中であり、周囲には数名の騎士達が配置されていた。
 もちろん、最初に声を上げたのは、その騎士のうちの一人だ。


「……ケント殿。謁見の間への直接『転移』は、勘弁してほしいのだが……」

「ふむ、善処しよう」

「そう、か……」


 カレッタ小王国国王、ルーデルは、救出した獣人の男の子と良く似た狼の耳を力なく垂れる。何とも、苦労人気質が滲み出ていて、仲良くなれそうな気がした。


「ゆゆゆゆゆ、勇者様!?」


 ルーデルに向かって、何となく親近感を感じていると、ふいに、謁見のため丸い体を精一杯縮めてひざまづいていた……恐らく、豚の獣人が吃りながらこちらを凝視する。


「うむ、彼はこの国の勇者、ケント・カイヌシ殿だ。そして、ブッブーよ。余は今からその勇者と話がある。謁見は後日行うが、良いか?」

「はははは、はいぃぃっ。もちろんでございますればっ! そ、それでは御前、失礼いたしますっ!」


 その巨体に見合わぬ素早さでその身を翻したブッブーという男は、そそくさと謁見の間から退散する。


「にゃーっ(あの体で、素早いのだっ)」

(何だか、申し訳なかったな……)


 タロが感心している中、俺の中で、ブッブーの姿が、かつて出会った行商人、デイブと重なる。


「して、ケント殿、そちらは?」

「あぁ、彼は、私の協力者のバルディスです。そして、こっちが私が捜していた飼い猫のタロ、あと、こちらは分かるだろうが、ルーデルの息子のフルルだ」


 ケントの後ろに隠れるようにしていたフルルが姿を現し、その場は騒然……とはならなかった。


「? 協力者と猫は分からないでもないが、余と同じ名前の父親を持つ者か? なぜ、そのような者を連れてきた?」

「えっ……?」


 不思議そうに告げるルーデルのその言葉を聞いた瞬間、フルルは、絶望の表情を浮かべるのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


昨日は更新できず、すみません。

さてさて、今回は、フルルの不幸が顕現した形になりましたね。

次回は、タロもしっかり活躍してくれる、はず?

それでは、また!
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