308 / 574
第四章 騒乱のカレッタ小王国
第三百七話 と、飛びまーすっ
しおりを挟む
ドラゴンの踏み潰し攻撃を精一杯避けながら、我輩を抱えた飼い主は走る。とりあえず、攻撃が効かない腹の下から出て、目や口へと攻撃を加えるべく、それが見えやすい場所に向かうためだ。
「にゃーっ(ブレスが来るのだっ)」
「分かったのだっ」
腹の下から出れば、必然的にブレスの餌食になりやすい位置へと出ることになるため、我輩は飼い主に抱えられながら、背後の状況を報告する。
背後を見ることなく、そのブレスをかわした飼い主は、さらに走る。
「にゃっ! (今度は、何かの魔法なのだっ!)」
幾重にも浮かび上がる魔法陣がドラゴンの口元に出現したことで、我輩、飼い主に危険を知らせる。
「むっ、分かったのだ。『多重結界』!」
飼い主が結界を張った直後、当たりは一面凍りつき、バリバリと砕け散る。飼い主の結界も、どうやら数枚が破られたらしく、バラバラと崩れていくのが見える。
「にゃっ(また魔法なのだっ)」
「では、もう一度、『多重結界』」
次は、フィールド全てがマグマに覆いつくされる。結界も、パリンパリンと割れていく音がした。
「むぅ、これは、不味いのだ。タロ、準備は良いか? これから飛ぶぞ?」
「に、にゃあっ(う、うむ、大丈夫なのだっ)」
高いところは怖いが、飼い主と一緒ならば大丈夫だ。
飼い主は、ドラゴンの方へ向き直ると、その視線をドラゴンの顔へと固定する。そして……。
「にゃ? (うむ?)」
なぜか、飼い主は我輩を片手に持って、大きく振りかぶる。
「に、にゃあ? (か、飼い主?)」
「では、行ってくるのだ。タロっ!」
その言葉の直後、我輩、ものすごい勢いで空中に放り出された。
「ふ、ふにゃあぁぁぁぁぁぁあっ!!!(よ、予想外ぃぃぃぃぃぃいっ!!!)」
顔面に受ける風圧は凄まじく、顔の肉が後ろへパタパタしているのが感じられる。しかし、そんなことを呑気に考えている場合でもなかった。
「に、にゃおーんっ!!! (ね、猫流奥義、くるくるアタックプラスぅぅぅうっ!!!)」
飼い主の期待に応えないわけにもいかない我輩は、体を回転させ、ついでにトゲトゲの魔力で全身を覆ってドラゴンの目へと飛び込む。そして……。
「にゃあぁぁあっ(グチョってしたぁぁあっ)」
ほぼ一瞬ではあったが、体に何かを貫いたような感覚が襲い、そのまま壁へと激突し、めり込む。
「グギャアァァァァァアッ!!!」
「うむ、よくやったのだ。タロ!」
とりあえず、怪我をしたわけでも何でもないが、壁にめり込んだまま動けない我輩は、飼い主の言葉に、攻撃が無駄ではなかったことを知り、ホッとするのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
動物虐待を叫ばれそうな今回の話ですが……タロは普通の猫ではないので、ご勘弁を。
次回は、きっと、まともな戦闘シーンになる、はず?
それでは、また!
「にゃーっ(ブレスが来るのだっ)」
「分かったのだっ」
腹の下から出れば、必然的にブレスの餌食になりやすい位置へと出ることになるため、我輩は飼い主に抱えられながら、背後の状況を報告する。
背後を見ることなく、そのブレスをかわした飼い主は、さらに走る。
「にゃっ! (今度は、何かの魔法なのだっ!)」
幾重にも浮かび上がる魔法陣がドラゴンの口元に出現したことで、我輩、飼い主に危険を知らせる。
「むっ、分かったのだ。『多重結界』!」
飼い主が結界を張った直後、当たりは一面凍りつき、バリバリと砕け散る。飼い主の結界も、どうやら数枚が破られたらしく、バラバラと崩れていくのが見える。
「にゃっ(また魔法なのだっ)」
「では、もう一度、『多重結界』」
次は、フィールド全てがマグマに覆いつくされる。結界も、パリンパリンと割れていく音がした。
「むぅ、これは、不味いのだ。タロ、準備は良いか? これから飛ぶぞ?」
「に、にゃあっ(う、うむ、大丈夫なのだっ)」
高いところは怖いが、飼い主と一緒ならば大丈夫だ。
飼い主は、ドラゴンの方へ向き直ると、その視線をドラゴンの顔へと固定する。そして……。
「にゃ? (うむ?)」
なぜか、飼い主は我輩を片手に持って、大きく振りかぶる。
「に、にゃあ? (か、飼い主?)」
「では、行ってくるのだ。タロっ!」
その言葉の直後、我輩、ものすごい勢いで空中に放り出された。
「ふ、ふにゃあぁぁぁぁぁぁあっ!!!(よ、予想外ぃぃぃぃぃぃいっ!!!)」
顔面に受ける風圧は凄まじく、顔の肉が後ろへパタパタしているのが感じられる。しかし、そんなことを呑気に考えている場合でもなかった。
「に、にゃおーんっ!!! (ね、猫流奥義、くるくるアタックプラスぅぅぅうっ!!!)」
飼い主の期待に応えないわけにもいかない我輩は、体を回転させ、ついでにトゲトゲの魔力で全身を覆ってドラゴンの目へと飛び込む。そして……。
「にゃあぁぁあっ(グチョってしたぁぁあっ)」
ほぼ一瞬ではあったが、体に何かを貫いたような感覚が襲い、そのまま壁へと激突し、めり込む。
「グギャアァァァァァアッ!!!」
「うむ、よくやったのだ。タロ!」
とりあえず、怪我をしたわけでも何でもないが、壁にめり込んだまま動けない我輩は、飼い主の言葉に、攻撃が無駄ではなかったことを知り、ホッとするのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
動物虐待を叫ばれそうな今回の話ですが……タロは普通の猫ではないので、ご勘弁を。
次回は、きっと、まともな戦闘シーンになる、はず?
それでは、また!
0
お気に入りに追加
324
あなたにおすすめの小説
勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした
赤白玉ゆずる
ファンタジー
【10/23コミカライズ開始!】
『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました!
颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。
【第2巻が発売されました!】
今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです!
素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。
【ストーリー紹介】
幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。
そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。
養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。
だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。
『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。
貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。
『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。
『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。
どん底だった主人公が一発逆転する物語です。
※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
モブ系悪役令嬢は人助けに忙しい(完結)
優摘
ファンタジー
※プロローグ以降の各話に題名をつけて、加筆、減筆、修正をしています。(’23.9.11)
<内容紹介>
ある日目覚めた「私」は、自分が乙女ゲームの意地悪で傲慢な悪役令嬢アリアナになっている事に気付いて愕然とする。
しかもアリアナは第一部のモブ系悪役令嬢!。悪役なのに魔力がゼロの最弱キャラだ。
このままではゲームの第一部で婚約者のディーンに断罪され、学園卒業後にロリコン親父と結婚させられてしまう!
「私」はロリコン回避の為にヒロインや婚約者、乙女ゲームの他の攻略対象と関わらないようにするが、なぜかうまく行かない。
しかもこの乙女ゲームは、未知の第3部まであり、先が読めない事ばかり。
意地悪で傲慢な悪役令嬢から、お人よしで要領の悪い公爵令嬢になったアリアナは、頭脳だけを武器にロリコンから逃げる為に奮闘する。
だけど、アリアナの身体の中にはゲームの知識を持つ「私」以外に本物の「アリアナ」が存在するみたい。
さらに自分と同じ世界の前世を持つ、登場人物も現れる。
しかも超がつく鈍感な「私」は周りからのラブに全く気付かない。
そして「私」とその登場人物がゲーム通りの動きをしないせいか、どんどんストーリーが変化していって・・・。
一年以上かかりましたがようやく完結しました。
また番外編を書きたいと思ってます。
カクヨムさんで加筆修正したものを、少しずつアップしています。
復讐魔女の異世界巡り~何処の世界も聖女召喚?それただの誘拐だから、望む者以外元の世界に返してやれ~
藤島白兎
ファンタジー
一輪川ゆきこは、元聖女で元日本人。
ある世界で聖女として魔王を倒した、これで帰れると思った。
しかし、なんか召喚した国はそのまま居てくれとかほざいた。
断固拒否し続けたら、国が色々と言ってきた。
その時人間を止めて、全力であらがった。
何とか日本に帰った。
また聖女として召喚されるか、巻き込まれる事となる。
以後色々とあれど、ほぼ共通していたのは『帰れない』とかほざく。
だから彼女は、ふざけた異世界の被害者を減らす事を考えた。
何時しかセイント・メッスルンと名乗り、異世界誘拐犯にイキリ散らす!
※この作品は短編を予定しております。
また、不定期更新です。
ノベプラの限定の『家族で国外追放されたけど、多少ムカついたので復讐を考えます』
長編の『VRゲームでも運と愛し合おう』
この二つに力をいれたいからです。
プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
廃忘勇者はユーティリティ?〜個性派ヒロイン4人を添えて〜
イヲイ
ファンタジー
かつて、世界を救った勇者『サトリ』。
彼は世界を救ってからどんどんと魔力が衰え始めていた。本来はあり得ない魔力量減少を解決する方法は誰も知らず、彼はいくつもの約束を交わした少女『マサリ』と共にあるかもわからない宝玉を見つけて魔力の減少を止めようとしていた。
一度世界を救い終えた元勇者は、或いは人間的に生きようとした青年は、今度は仲間と共にもう一度世界を旅する——
少し苦くて、少し甘い。そんな世界を彼らは歩く。
変わった仲間を増やしながら。
どう頑張っても捨てられない信条で、大勢の人を救いながら。
猫ばっかり構ってるからと宮廷を追放された聖女のあたし。戻ってきてと言われてももう遅いのです。守護結界用の魔力はもう別のところで使ってます!
友坂 悠
ファンタジー
あたし、レティーナ。
聖女だけど何もお仕事してないって追放されました。。
ほんとはすっごく大事なお仕事してたのに。
孤児だったあたしは大聖女サンドラ様に拾われ聖女として育てられました。そして特別な能力があったあたしは聖獣カイヤの中に眠る魔法結晶に祈りを捧げることでこの国の聖都全体を覆う結界をはっていたのです。
でも、その大聖女様がお亡くなりになった時、あたしは王宮の中にあった聖女宮から追い出されることになったのです。
住むところもなく身寄りもないあたしはなんとか街で雇ってもらおうとしますが、そこにも意地悪な聖女長さま達の手が伸びて居ました。
聖都に居場所の無くなったあたしはカイヤを連れて森を彷徨うのでした……。
そこで出会った龍神族のレヴィアさん。
彼女から貰った魔ギア、ドラゴンオプスニルと龍のシズクを得たレティーナは、最強の能力を発揮する!
追放された聖女の冒険物語の開幕デス!
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる