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第四章 騒乱のカレッタ小王国
第三百六話 苦戦
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「タロ、目や口内を狙うのだ」
「にゃっ(了解なのだっ)」
ドラゴンの肉体は、恐らく硬いばかりで刃が通らない。となれば、柔らかい部分である目や口の中を狙うのは必然といえた。しかし……。
……高過ぎるのだ。
全長五十メートルほどもあるドラゴンは、それだけの巨体の分、目や口といったものも高い位置にある。まずは、その場所に辿り着くまでが問題だろう。
「むっ、タロは登らないのか?」
が、そんな問題を、飼い主はどうやらとんでもない方法で解決しているのを目撃してしまう。
「にゃあ……(いつの間に……)」
遠くから聞こえた飼い主の声に、視線をそちらに向けると、何やら一メートルほどの太さがある光の鎖で、一つの足を地面に固定したらしい飼い主は、そこを起点にしてどんどんドラゴンの体を登っていっていた。
ただ、ドラゴンも張りついている飼い主が邪魔なのだろう。ドラゴンは、体を震わせたり、咆哮を上げたりして、飼い主を振り落とそうと必死だ。
「にゃ(我輩、反対側から登るのだっ)」
ギチギチと音を立てる鎖に、少し心許ないものを感じながらも、我輩、飼い主の真似をしようと、飼い主とは斜向かいの足へと目をつける。
「グルオォォォォオッ!!」
「むぉっ!?」
ただ、駆け出した直後、飼い主の悲鳴が届き、我輩、慌てて振り返る。
「にゃっ!? (飼い主っ!?)」
目に映ったのは、ドラゴンの足が鎖から解放され、飼い主が落ちていく姿。
「にゃあぁぁあっ! (飼い主ぃぃぃいっ!)」
我輩、猫生最大の力を振り絞り、飼い主の落下地点へと駆けつけると、前にバルディスが使用していた魔法をタマに頼んで発動してもらう。
「にゃあぁっ! (『風枕』なのだっ!)」
十メートル近い場所から落下してきた飼い主は、見事、その『風枕』の上に落下する。
「む、すまない。助かったのだ。タロ」
「にゃあっ、にゃあっ(飼い主っ、飼い主ぃっ)」
怖かった。とても、とても、怖かった。目の前で、飼い主を失うかと思うと、小さな心臓がキュウゥッと引き絞られるようだった。
「にゃっ! (無茶はダメなのだっ!)」
「む、すまない」
『風枕』から降りた飼い主は、暴れ出すドラゴンの足を我輩と一緒に避けながら謝ってくる。
「にゃあっ(今度は、飛ぶ方を考えるのだっ)」
「飛ぶ……ふむ、その手があったな。分かった。タロ。私はその方法でドラゴンに対抗しようと思うのだ」
我輩は、空を飛んだことは……何度か、跳んだことがあるくらいで、本当に飛ぶということをしたことはない。しかし、飼い主ならばそのくらいやってのけるだろうと思って、提案する。
「では、タロ。おいで」
「にゃあ(分かったのだ)」
そうして、我輩、一緒に連れていってもらえるのだと思い、飼い主に飛び付くのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「にゃあ(高いところは怖いのだ)」
「大丈夫なのだ。私に任せるのだ」
と、そんな会話が繰り広げられていそうな今日この頃。
さぁ、タロと飼い主は飛べるのかっ!?
戦闘シーンがまともに書けていない気もしますが、次は……ギャグ系?
それでは、また!
「にゃっ(了解なのだっ)」
ドラゴンの肉体は、恐らく硬いばかりで刃が通らない。となれば、柔らかい部分である目や口の中を狙うのは必然といえた。しかし……。
……高過ぎるのだ。
全長五十メートルほどもあるドラゴンは、それだけの巨体の分、目や口といったものも高い位置にある。まずは、その場所に辿り着くまでが問題だろう。
「むっ、タロは登らないのか?」
が、そんな問題を、飼い主はどうやらとんでもない方法で解決しているのを目撃してしまう。
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遠くから聞こえた飼い主の声に、視線をそちらに向けると、何やら一メートルほどの太さがある光の鎖で、一つの足を地面に固定したらしい飼い主は、そこを起点にしてどんどんドラゴンの体を登っていっていた。
ただ、ドラゴンも張りついている飼い主が邪魔なのだろう。ドラゴンは、体を震わせたり、咆哮を上げたりして、飼い主を振り落とそうと必死だ。
「にゃ(我輩、反対側から登るのだっ)」
ギチギチと音を立てる鎖に、少し心許ないものを感じながらも、我輩、飼い主の真似をしようと、飼い主とは斜向かいの足へと目をつける。
「グルオォォォォオッ!!」
「むぉっ!?」
ただ、駆け出した直後、飼い主の悲鳴が届き、我輩、慌てて振り返る。
「にゃっ!? (飼い主っ!?)」
目に映ったのは、ドラゴンの足が鎖から解放され、飼い主が落ちていく姿。
「にゃあぁぁあっ! (飼い主ぃぃぃいっ!)」
我輩、猫生最大の力を振り絞り、飼い主の落下地点へと駆けつけると、前にバルディスが使用していた魔法をタマに頼んで発動してもらう。
「にゃあぁっ! (『風枕』なのだっ!)」
十メートル近い場所から落下してきた飼い主は、見事、その『風枕』の上に落下する。
「む、すまない。助かったのだ。タロ」
「にゃあっ、にゃあっ(飼い主っ、飼い主ぃっ)」
怖かった。とても、とても、怖かった。目の前で、飼い主を失うかと思うと、小さな心臓がキュウゥッと引き絞られるようだった。
「にゃっ! (無茶はダメなのだっ!)」
「む、すまない」
『風枕』から降りた飼い主は、暴れ出すドラゴンの足を我輩と一緒に避けながら謝ってくる。
「にゃあっ(今度は、飛ぶ方を考えるのだっ)」
「飛ぶ……ふむ、その手があったな。分かった。タロ。私はその方法でドラゴンに対抗しようと思うのだ」
我輩は、空を飛んだことは……何度か、跳んだことがあるくらいで、本当に飛ぶということをしたことはない。しかし、飼い主ならばそのくらいやってのけるだろうと思って、提案する。
「では、タロ。おいで」
「にゃあ(分かったのだ)」
そうして、我輩、一緒に連れていってもらえるのだと思い、飼い主に飛び付くのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「にゃあ(高いところは怖いのだ)」
「大丈夫なのだ。私に任せるのだ」
と、そんな会話が繰り広げられていそうな今日この頃。
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