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第四章 騒乱のカレッタ小王国
第三百話 邪神の眼へ
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「それでは、突入するぞ。タロ」
「にゃ(うむ)」
今の我輩達の後ろ姿は、きっと歴戦の勇者並みに凛々しいものだろう。実際のところ、我輩も飼い主も、そんなに歴戦というほど戦ってはいないのだが……我輩に至っては、せいぜいマウマウ退治に勤しんでいたくらいではないだろうか?
『邪神の眼』を前に、我輩も飼い主も一歩、踏み出し、その穴の中へと入り込み……すぐに足を引き上げる。
「にゃ……にゃあ(何というか……ヌルヌルなのだ)」
「うむ、何やらヌルッとしたものに当たったぞ?」
《それはー、邪神の体内みたいなものですのでー、やっぱり、粘液とかはありますよー?》
《それは、知らせるべきではない情報です。やはり、研修が必要なようですね》
《そ、そんなぁっ、でもでもだってー、知ってる方が覚悟できるじゃないですかーっ》
《世の中、知らなくて良いことは山のようにあります》
うむ、我輩も、知らなくて良かったに一票なのだ。見れば、飼い主の顔も心なしか引きつって見える……と思ったが違った。飼い主は、冷静だ。冷静に、自分の体に結界を張っている。
「にゃあっ(我輩もなのだっ)」
さすがにヌルヌルの中を歩くのは嫌なので、我輩も飼い主に習って結界を張る。
「うむ、では今度こそ行こうぞ」
「にゃあっ(うむっ)」
飼い主の真似っこで体に密着するタイプの結界を張り終えた我輩は、今度こそ、『邪神の眼』に足を踏み入れ、その中へと入っていく。
「にゃー(暗いのだ)」
「うむ、『光源』。これで見えやすくなったか?」
「にゃっ(さすがなのだっ)」
飼い主が手から放ったいくつもの光の玉は、何やら蠢いていた黒いものを消し去り、辺りを照らす。そのおかげで、我輩達は道が分かるようになった。
「にゃっ(突撃なのだーっ)」
「うむ、迷わぬように気をつけるのだぞ」
《……ねぇ、先輩ー? この一人と一匹は、さっきの情報に全然堪えてませんでしたよー?》
《それは、この方々が特殊なだけです》
《はっ、これで、研修の件もチャラに《なりませんから》ガーンっ》
何やら賑やかな声を聞きながら、我輩達は一見、洞窟のようにも見えるその場所を探索する。
「ふむ、それにしても、ダンジョンというからには魔物の類いが出ることを期待していたのだがな。居ないな」
「にゃー(居ないのだ)」
暗くなってくる度に、飼い主は『光源』という魔法で辺りを照らす。ただ、何やらその度に、何か蠢いている影のようなものが消えている気がするのは……きっと、気のせいなのだ。
《先輩ー、この一人と一匹、邪神の眷族を屠ってるのに気づいてないですよー?》
《黙りなさい。そんな天然なところがタロ様の可愛いところなんです》
《……こっちは、大人の人間なんですけどー》
サポートシステム同士が何やら話しているのを横目に、我輩、飼い主の歩く速度についていく。そうして……。
「むっ、分かれ道のようだな」
しばらく行ったところで、二手に分かれた道へと出るのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『邪神の眼』は、体内設定……それなのに、結界を張るだけで平然と入れる飼い主とタロは大物ですね。
まぁ、飼い主の場合、総理大臣だったから元から大物なんですけど……。
それでは、また!
「にゃ(うむ)」
今の我輩達の後ろ姿は、きっと歴戦の勇者並みに凛々しいものだろう。実際のところ、我輩も飼い主も、そんなに歴戦というほど戦ってはいないのだが……我輩に至っては、せいぜいマウマウ退治に勤しんでいたくらいではないだろうか?
『邪神の眼』を前に、我輩も飼い主も一歩、踏み出し、その穴の中へと入り込み……すぐに足を引き上げる。
「にゃ……にゃあ(何というか……ヌルヌルなのだ)」
「うむ、何やらヌルッとしたものに当たったぞ?」
《それはー、邪神の体内みたいなものですのでー、やっぱり、粘液とかはありますよー?》
《それは、知らせるべきではない情報です。やはり、研修が必要なようですね》
《そ、そんなぁっ、でもでもだってー、知ってる方が覚悟できるじゃないですかーっ》
《世の中、知らなくて良いことは山のようにあります》
うむ、我輩も、知らなくて良かったに一票なのだ。見れば、飼い主の顔も心なしか引きつって見える……と思ったが違った。飼い主は、冷静だ。冷静に、自分の体に結界を張っている。
「にゃあっ(我輩もなのだっ)」
さすがにヌルヌルの中を歩くのは嫌なので、我輩も飼い主に習って結界を張る。
「うむ、では今度こそ行こうぞ」
「にゃあっ(うむっ)」
飼い主の真似っこで体に密着するタイプの結界を張り終えた我輩は、今度こそ、『邪神の眼』に足を踏み入れ、その中へと入っていく。
「にゃー(暗いのだ)」
「うむ、『光源』。これで見えやすくなったか?」
「にゃっ(さすがなのだっ)」
飼い主が手から放ったいくつもの光の玉は、何やら蠢いていた黒いものを消し去り、辺りを照らす。そのおかげで、我輩達は道が分かるようになった。
「にゃっ(突撃なのだーっ)」
「うむ、迷わぬように気をつけるのだぞ」
《……ねぇ、先輩ー? この一人と一匹は、さっきの情報に全然堪えてませんでしたよー?》
《それは、この方々が特殊なだけです》
《はっ、これで、研修の件もチャラに《なりませんから》ガーンっ》
何やら賑やかな声を聞きながら、我輩達は一見、洞窟のようにも見えるその場所を探索する。
「ふむ、それにしても、ダンジョンというからには魔物の類いが出ることを期待していたのだがな。居ないな」
「にゃー(居ないのだ)」
暗くなってくる度に、飼い主は『光源』という魔法で辺りを照らす。ただ、何やらその度に、何か蠢いている影のようなものが消えている気がするのは……きっと、気のせいなのだ。
《先輩ー、この一人と一匹、邪神の眷族を屠ってるのに気づいてないですよー?》
《黙りなさい。そんな天然なところがタロ様の可愛いところなんです》
《……こっちは、大人の人間なんですけどー》
サポートシステム同士が何やら話しているのを横目に、我輩、飼い主の歩く速度についていく。そうして……。
「むっ、分かれ道のようだな」
しばらく行ったところで、二手に分かれた道へと出るのだった。
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『邪神の眼』は、体内設定……それなのに、結界を張るだけで平然と入れる飼い主とタロは大物ですね。
まぁ、飼い主の場合、総理大臣だったから元から大物なんですけど……。
それでは、また!
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