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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第二百九十七話 我輩の決断っ!

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「なるほど、つまり、ケントは魔王討伐の意思はないと」

「うむ、何か悪さをしているのならまだしも、完全なる冤罪だということは分かっているのでな」

「ついでに、タロと協力しないと封じられない『邪神の眼』、か……」

「私達には説明してくださいませんでしたが、そのようなことがあったのですね」

「すまないのだ。あの時は、ラーミアとディアムのことを詳しく調べるのも失礼だと思い、本当に上部だけの情報だけで危険にさらすべきではないと判断したのだ」

「それ、仕方ない。ケント、判断、正しい」

「……そうですね」


 ラーミアやディアムも加わっての話し合いで、我輩達はお互いに協力できそうだという雰囲気になっていた。飼い主は自分が神に呼ばれ、能力を授かったことから、邪神討伐と我輩への協力を頼まれたこと、調査で『邪神の眼』なるものを見つけたことまで話してくれた。それに対し、バルディスは、アルトルムから始まるそれぞれの国の異変と、ミルテナ帝国の関与、邪神の影についてを話していく。


 ……ちょっと打ち解け過ぎだと思うのだ。


 初対面で、お互いに警戒するかと思いきや、すぐにわけの分からない理由で打ち解け、様々なことを暴露し合う二人に、我輩、何だか複雑だった。こう、なんというか……。


「にゃ……(寂しいのだ……)」

「セイクリアでは、教皇が……ん?」

「むっ?」


 小さく呟いたつもりが、バルディスと飼い主の耳にはその言葉が届いたらしく、話が不自然に中断する。そして、グリンッと我輩の方へと二人が振り向いたかと思えば、二人同時に手招きしてくる。


 むむっ!? こ、これは……どちらに行けば良いのだ!?


 バルディスの撫で心地はとても素晴らしい。撫でられていると、フワフワとして、夢見心地になれるのだ。対して、飼い主に抱き締められるのはとても嬉しい。一緒にいるだけで、心が浮き立つのに、抱き締めてもらえるとなると、天にも昇る気持ちになれる。


 ううむ、迷うのだ……しかし、ここは……。


 数秒、迷った我輩は、どちらの元へ向かうかを明確に決めて、歩き出す。


「ささみがあるぞ?」


 ただ、ボソッと呟かれたその一言に、我輩、進行方向を無条件に変えて、バルディスの元へと駆けた。


「むぅ、タロの扱いに慣れているようなのだ」

「当たり前だ。タロの好物が、ささみだということくらい、知らなきゃやっていけない」


 悔しそうにする飼い主と、得意げなバルディス。そんなバルディスの足元に来た我輩は、テシテシとバルディスの足を叩く。


「にゃあっ(ささみなのだっ)」


 しかし、そんな中、飼い主はふいに、不敵な笑みを浮かべる。


「ならば、これは知っているか? タロ、特製ツナがあるぞ?」


 その言葉を聞いた瞬間、雷を受けたような衝撃が走る。


 特製、ツナ? 飼い主の、あの、特製ツナ?


「タロ?」


 バルディスの呼ぶ声がどこか遠くに聞こえる。我輩は、特製ツナの元へと旅立つのだっ。

 そうして、得意げな顔の飼い主の元に辿り着き、いつの間にか抱き上げられていた我輩は、飼い主お手製のツナを頬張るのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


あれ?

何だか、タロの気を引け大会になってる?

こ、こんなはずでは……。

でも、タロらしくて、これはこれで良いのかも?

次回は、ちゃんと話を進めます。

それでは、また!
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